DUNLOP MOTORSPORT
チーム紹介
第2戦 5月3日(木)~5月4日(金) 富士スピードウェイ
好アタックでポール獲得のEpson HSV-010
波乱のレースで健闘するも11位でゴール!

ポールを決めたEpson HSV-010。朝の練習走行は雨量が多かった

 5月3日~5月4日、2012年スーパーGTシリーズ第2戦「FUJI GT 500km RACE」が開催された。5月の大型連休に開催される富士スピードウェイのスーパーGTレースは、500kmで争われていたが、09年からコスト削減の意味もあって距離が短縮され、2回以上のピットインが義務化された400kmレースとして開催。さらに昨年は東日本大震災の影響を考慮して300kmで争われた。今年は、富士の500kmレースが復活することとなった。
 全長4563mの富士スピードウェイは、約1.5kmの長いメインストレートが大きな特徴であり、コース前半は高速セクション、後半のダンロップコーナーからはテクニカルセクションが続くというサーキット。ストレートでのトップスピードの伸びが勝負の分かれ目にもなる。
 GT500クラスは、ダンロップユーザーとして8年目を迎えた「NAKAJIMA RACING」が、デビュー3年目となるホンダのHSV-010 GT、「Epson HSV-010」でトップを目指す。
 GT300クラスは、今季、「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)からチーム名を変更した「GAINER」(ゲイナー)が、3年目のダンロップユーザーとして戦う。昨年は、FIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTCで、シリーズランキング2位を獲得。今季は、最新マシンであるAudi R8 LMS Ultraにマシンをスイッチして、待望のタイトル獲得を狙う。
 GT500クラスとGT300クラスは、ドライ用はソフトとミディアムの2種類。ウエット用は浅溝、深溝の2種類で、それぞれハードとミディアムを用意して、第2戦を迎えた。

左から道上 龍選手、中嶋 悟総監督、中山友貴選手

【GT500】
「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入3年目のベテラン道上 龍選手と、4年目となる中山友貴選手が、今季もGT500クラスのダンロップユーザーとして戦う。の2010年に初登場のホンダHSV-010 GTは、デビューイヤーにチャンピオンを獲得。昨年はラジエターの位置をフロントから前輪の後方に移し、旋回性能を進化させた。今季は、ボディやパーツの空力性能を進化させて、ダウンフォースを保ちながらドラッグ (空気抵抗)を軽減、トップスピードを高める改良が加えられている。富士スピードウェイは、ライバルであるSC430のホームコースでもあり強さを発揮している。だが昨年の第2戦富士はGT-Rが制し、JAF GPではHSV-010 GTが優勝している。
 大型連休後半の木曜日、大雨警報が発令される悪コンディションとなったが、公式練習は午前9時にスタート。雨の量が多く、2時間のセッションは4回の赤旗中断となった。深溝のタイヤでも、路面の水膜で滑るアクアプレーニングが発生する状況だった。慎重な走りに徹して、Epson HSV-010は14番手でセッションを終えた。
 今回の予選はスーパーラップ方式で行われた。予選1回目の上位10台が、予選2回目となるスーパーラップに進出し、単独で順番にタイムアタックを行い、決勝グリッドを決める。午後1時15分の予選1回目は、雨も弱くなり、道上 龍選手は浅溝のレインタイヤでアタックして1分44秒435をマーク、3番手でスーパーラップ進出を果たした。
 午後3時2分にスタートしたスーパーラップでは、さらに雨が弱くなり、セッションが進むにつれて、コースコンディションが良くなっていった。ダンロップ勢が得意とするコンディションとなり、最後から2番目にアタックした中山友貴選手は、浅溝のレインタイヤで果敢にアタックして1分43秒699でトップタイムを叩き出した。最後にコースインした23号車GT-Rは4番手となり、中山友貴選手の初ポールポジションを獲得。 GT300クラスもGAINER Audi R8 LMS Ultraがポールとなり、ダンロップ勢が両クラスでポールを決めた。
「予選は雨が少なくなり、自分たちにとって得意なコンディションになったので、ミスなく走ればポールを獲れると信じていました。09年にロイック・デュバル選手がここでポールを獲った時以来のポール会見ですが、今回は自分のアタックでポールを獲れたので、うれしいと素直に思っています」と見事なアタックで初ポールを決めた中山友貴選手。
「朝の練習走行は雨が多くてバランス的に厳しい状況でしたが、予選では水の量も少なくなり、予選1回目は最初から浅溝でスタートしましたが、タイムが出せて、スーパーラップに繋げられました。明日の決勝レースはドライになる予報で、まだドライでは走れていないのですが、いい走りをして結果を残したいと思っています」と道上 龍選手。

決勝スタート直前に雨が降り出し、セーフティカー先導のスタートとなった

 決勝日となる金曜日、早朝から時折、小雨がパラつく天候となった。午前8時30分、朝のフリー走行はウエットとなり、レース前にドライで走行できる貴重なチャンスを逃してしまった。Epson HSV-010は8番手でセッションを終えた。
 その後、雨は上がり、110周の決勝レースはドライ路面で争われるかと思われた。だが午後2時のスタート時刻直前に小雨が降り出し、路面は次第にウエットに変化。そのため、レースは、1周のローリングラップの後、セーフティカー先導によるスタートとなった。
 続々とレインタイヤに交換するために各マシンがピットイン。スタートドライバーの中山友貴選手もチームの指示でピットインして浅溝のレインに交換。GT300クラスのマシンも間に入り込む波乱の幕開け。3周目にはクラス7番手と、ポールを生かせない序盤となってしまった。
 GT500クラスは8号車の HSV-010のみがドライタイヤのままで、3周目終了でセーフティカーが外れて各車はペースアップ。その後、雨が上がりコースは乾き始めた。中山友貴選手は11周目に再びドライタイヤに交換して、そのままコースに復帰。Epson HSV-010は6番手につけて周回を重ねた。
 Epson HSV-010は、44周目にルーティンのピットストップをして道上 龍選手に交代し、11番手で周回を重ねた。61周目にはストレートで大クラッシュが発生してセーフティカーランとなった。最後のセッションは中山友貴選手が担当し、レース中のベストタイムをマーク。終盤には再び小雨が降り出したが、中山友貴選手は、そのまま最後まで走り切り、Epson HSV-010は、11位でチェッカーを受けた。

最後のピットインで中山友貴選手がコースイン

「予選は、天候にも助けられて久々のポールが獲れたので素直によかったのですが、ドライでは、まだ負けているというのを痛感しました。次へのトライをして行きます。前進あるのみです」と中嶋 悟総監督はレースを振り返って決意を語った。
「雨ではトップタイムを出せましたが、ドライになると厳しくなり、課題が多いレースでした。今回、ロングランができたので、これからSUGOでのテストと合わせて、さらに前進できるように頑張りたいと思います」と語る道上 龍選手。
「雨が上がってウエットからドライに変わる状況では、ライバルと比べて厳しい状況でした。今回、ロングランをしてその原因や問題点などはわかってきたので、データを分析して今後に繋げたいと思います。セパン前にテストがあるので、そこでドライで走れれば、レースへ向けての新たな取り組みができると思います」と中山友貴選手。

第3戦マレーシアでの活躍に期待したい

 今回の富士スピードウェイは、ポールを獲得する活躍をしたEpson HSV-010だが、決勝は11位フィニッシュという厳しい結果となった。第3戦(6月9~10日)は、シリーズ唯一の海外戦となるマレーシア・セパンサーキットでの戦いだ。ストレートと中高速コーナーが組み合わされたテクニカルコースであり、昨年はHSV-010が制している。赤道に近く、高温多湿な気候で、ドライバー、マシン、タイヤにとって過酷なコンディションとなる。スコールなどもあり、予想外の展開となることも多い。進化を見せるEpson HSV-010のさらなる活躍に注目したい。





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ニュルブルクリンク2014