第2戦 5月3日(木)~5月4日(金) 富士スピードウェイ
【GT300】
ウエットでポールを決めたGAINER DIXCEL R8 LMS
厳しい展開となったレースは、5位でフィニッシュ!
スーパーラップ後の田中哲也選手、山本俊茂監督、平中克幸選手
3年目のダンロップユーザーとしてGT300で戦う「GAINER」(ゲイナー)。昨年はFIA GT耐久仕様のフェラーリF458 GTCを新投入し、田中哲也選手と平中克幸選手が最終戦までタイトル争いを展開したが届かず、ドライバー&チームランキング2位という結果を残した。
今季のGAINERは、フェラーリから最新のFIA GT3仕様マシンであるAudi R8 LMS Ultraにスイッチ。3チーム4台が参戦するAudi R8 LMS。「GAINER」の投入した「Ultra」は、空力特性の改善やさらなる軽量化が進められた最新モデル。
マシンは、3月17~18日の岡山国際サーキットでの合同テストでシェイクダウン。開幕戦の岡山では、予選3位から抜群の速さを発揮して、待望の初優勝を達成した。
第2戦富士スピードウェイに向けて、FIA GT3車両のBOP(性能調整)が見直され、Audi R8 LMSは、開幕戦よりウエイトが35kg軽減されたが、リストリクターが絞られたために、パワーダウンしている。今回、ウエイトハンデを40kg搭載しているので、車重は5kg増えている。実際にどれだけの影響があるのかは、今回の富士で走行するまでわからない。
予選日の練習走行は、ウエット路面となった
走り始めとなる予選日朝の練習走行は、ヘビーウエットでスタート。雨量は刻々と変化し、スピンやコースアウトもあり、クラッシュで赤旗中断となる状況ながら、GAINER DIXCEL R8 LMSは、ウエットタイヤがマッチして2番手のタイムでセッションを終えた。
走り始めとなる予選日朝の練習走行は、ヘビーウエットでスタート。雨量は刻々と変化し、スピンやコースアウトもあり、クラッシュで赤旗中断となる状況ながら、GAINER DIXCEL R8 LMSは、ウエットタイヤがマッチして2番手のタイムでセッションを終えた。
予選1回目は、田中哲也選手がドライブするGAINER DIXCEL R8 LMSが2番手のタイムをマークしてスーパーラップに進出。タイムアタックを担当した平中克幸選手は、最後から2番目のタイムアタックだったが、1分50秒249と、それまでのトップタイムを2秒747更新する驚異の速さでトップを奪った。最後にアタックした87号車ランボルギーニは6番手となり、平中克幸選手がシリーズ戦初のポールポジションを獲得した。
「ボクは朝の公式練習では前半に乗ったのですが、雨量も多くてまともにアタックできなかった。そんな状況からいきなりスーパーラップのアタックをして不安な部分もありました。そのスーパーラップで初めて浅溝タイヤを履き、手探り状態でしたが、ウォームアップラップから印象がよくて、これは行けるという感触をすぐにつかめました。タイヤのパフォーマンスは素晴らしく、ライバルにもタイム差をつけることができました。これまでに何度も予選アタックをさせてもらっていますが2位が多いです。富士では、初めてアタックを任された時が、ヘアピンでスピン。去年は、そのリベンジだったのですが、7位でした。だから今回は、ポールを獲れて、本当にうれしいです」と平中克幸選手。
「今回は性能調整が見直されて、ウエイトは少し軽くなりましたが、リストリクターが厳しくなったので、まだドライでの性能差がわかりません。でも、GT500とGT300のダンロップタイヤのユーザーが、並んでいるのを見れば、ダンロップタイヤのパフォーマンスがよかったのは間違いないでしょう。ドライ予想される決勝レースは展開が読めません。ドライバーのできることは、なるべく速く走り、なるべくタイヤを労わり、なるべく燃費をよくする。メカニックの人たちに完璧なピット作業をしてもらうだけです。正直甘くないと思いますが、連勝を狙いたいです」と決意を語る田中哲也選手。
天候の急変で、セーフティカースタートとなった
110周、500kmの決勝レースは、直前に降り出した雨で波乱のスタートとなった。安全のために、1周のローリングラップのあと、セーフティカーが先導したまま、スタートとなった。レインタイヤに交換するために、各車は次々にピットイン。このタイミングが序盤の順位を決めた。平中克幸選手は、ピットに路面状況を伝えながら2周目にピットインして浅溝のレインタイヤに交換。3周目にセーフティカーがピットに入り、本格的なレースがスタートした時点ではクラス8番手。その後、路面は再び乾き始めて、平中克幸選手は順調にポジションをアップ。序盤は88号車ランボルギーニ、15号車ポルシェと次々とトップが入れ替わったが、平中克幸選手は、2番手争いをしながら周回を刻んでいった。
トップに立った15号車はピットインで後退するが、再びトップを目指して追い上げていた。ところが59周目のストレートエンドで、15号車は激しくクラッシュし、セーフティカーランとなった。この時点で最後のピットインを済ませていなかった田中哲也選手のGAINER DIXCEL R8 LMSは、セーフティカーの入ったポジションも悪く、大きく順位を落とすことになった。
後方から追い上げていたライバル勢は、すでに最後のピットインを済ませていたため、レース再開後に最後のピットインをしたGAINER DIXCEL R8 LMSは、簡単に先行されて周回遅れの5番手まで後退。終盤には小雨も降り出したが、もはや追い上げのチャンスはなく、4番手までのマシンに周回遅れとなったまま、5位でチェッカーを受けた。
初のドライ路面での走行となった決勝レース
「今日はペース的にはよかったのですが、雨とセーフティカーに泣かされた展開でした。次のセパンは、表彰台を目指して確実にポイントを重ねたいですね」と山本俊茂監督。
「今回、BOP(性能調整)でリストリクターが絞られて、マシンの正式なホモロゲーションが出て、リヤウイングの位置が変更になったのですが、雨のために決勝までに何も対策ができなかったのが悩ましかったですね。でも、タイヤとのマッチングは最高だったので、スーパーラップでポールを獲ることができました。そこまでの流れはよかったのですが、レースでは、セーフティカーのタイミングが悪くて、0号車と43号車に前へ出られてしまったのは運がなかったですね。ドライで走ってみたら、燃費が悪く、ストレートスピードも遅かったのが、マイナスポイントになりました。最初の雨でロスした部分も多く、難しいレースでした。次のセパンは、またポールを獲って逃げるレースをしたいですね」と小笠原康介エンジニア。
「ウエットでの浅溝タイヤは、いつものようによかったのですが、決勝までドライで走れなかったのは残念でした。今回はリストリクターの影響もあって、BMWやポルシェとの速度差が大きく、ストレートで簡単に抜かれてしまう状況でした。次のセパンでは、いいレースができるように頑張ります」と田中哲也選手。
「途中までは、いいレースができましたが、アストンマーチンが速くて、それを追いかける展開になりました。今回、リストリクターが絞られたので、ストレートが遅く、ライバルたちに軽く抜かれてしまいました。それを埋めるほどにはコーナーでは稼ぎきれませんでした。辛いレースとなりましたが、ブレーキなどいい部分はあるので、次のセパンまでに、さらに速いクルマに仕上げて、表彰台をねらうレースをしたいです」と平中克幸選手。
性能調整でリストリクターが絞られてパワーダウンしたこともあり、ストレートが伸びず苦しい戦いとなった
ダンロップタイヤとともに3年目を迎えた「GAINER」は、Audi R8 LMS Ultraを新投入して開幕戦を制した。第2戦は5位となり、連勝とはならなかったが、手応えをつかんだ一戦となった。シーズンを進めるにつれて、さらなるタイヤとマシンの進化も期待される。
第3戦(6月9~10日)マレーシア・セパンサーキットでは、どんなパフォーマンスを発揮してくれるのか、田中哲也選手と平中克幸選手の頂点を目指す戦いから目が離せない。