第1戦 4月6日(土)~4月7日(日) 岡山国際サーキット
Epson HSV-010、雨の予選で速さを発揮して2位
果敢に攻めたが、惜しくもポイント獲得ならず!
Epson HSV-010は決勝11位でゴール
4月6日~4月7日、2013年スーパーGTシリーズ第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が開催された。3年連続で開幕戦の舞台となった岡山国際サーキットは、シリーズ中で最短となる全長3.703km。2本のストレートと多彩な中低速コーナーが組み合わされたストップ&ゴーのテクニカルコース。観戦エリアからコースが接近したポイントも多く、マシンの走りや迫力あるエキゾーストノートを身近に感じられるコースでもある。
今季のダンロップは、GT500クラスで1チーム1台、GT300クラスでは1チーム2台のマシンにタイヤを供給する。GT500クラスは、ダンロップユーザーとして9年目となる「NAKAJIMA RACING」が、デビュー4年目のホンダのHSV-010 GT、「Epson HSV-010」で待望の勝利を目指す。2010年のデビューイヤーにチャンピオンマシンとなったHSV-010 GT。だが、来季は大きなマシンレギュレーションの変更があるため、GT500クラスの現行マシンは、そのままでは参戦できず、HSV-010は今年がラストイヤーとなる。来季のホンダ勢のマシンは、新型NSXの投入を予定している。
GT300クラスは、「GAINER」(ゲイナー)が、4年目のダンロップユーザーとして参戦。今季は、昨年新投入したFIA GT3仕様の「Audi R8 LMS Ultra」から「Mercedes Benz SLS AMG GT3」にスイッチ。さらに「GAINER」は新たに2台体制となり、悲願のタイトル獲得を狙う。
今回用意したタイヤは、GT500クラスとGT300クラスともに、ドライ用はソフトとミディアムの2種類。ウエット用は浅溝と深溝の2種類で、それぞれソフトとミディアム。
オフシーズンのタイヤテストや、3月16~17日の岡山での公式合同テストを通して、タイヤとマシンは着実に進化しているだけに、開幕戦での大いなる活躍が期待された。
雨の予選で2位獲得のEpson HSV-010
【GT500】
「NAKAJIMA RACING」は、3年間続いたベテラン道上 龍選手と若手の中山友貴選手のペアが変更された。中山友貴選手に代わって、昨年GT300クラスでCR-Zをドライブして活躍していた中嶋大祐選手が、父・中嶋 悟総監督のチームに移籍。中嶋大祐選手は、「NAKAJIMA RACING」からスーパーフォーミュラ(フォーミュラ・ニッポン)にも参戦する実力派だ。
2010年にデビューしたホンダHSV-010 GTは、デビューイヤーにチャンピオンを獲得。その後、毎年進化を重ねてきた。今年は、2011年からフロントから前輪の後方に移したラジエターの位置を再びフロントに配置するなど、ラストイヤーを飾るべくモディファイを重ね、さらなるポテンシャルアップを図っている。
昨年は、第2戦富士でポールポジション、第7戦オートポリスでは2位でフィニッシュ、最終戦(第8戦)もてぎでも3位となるなど、ウエット絡みの難しいコンディションで、ダンロップタイヤの健闘もあり、好調なパフォーマンスを見せている。
昨年までの予選は、1台ずつがタイムアタックするスーパーラップ方式と、3回のセッションでタイムアタックできる台数を絞りながら決勝グリッドを決めるノックアウト方式の2種類。だが今季の予選はすべてノックアウト方式となり、さらにセッションは2段階に変更された。
テクニカルなコースである岡山国際サーキットは、HSV-010 GTが得意とするコースでもある。レースウィークの初走行となる土曜日の公式練習は、ハーフウエットで始まった。すぐに小雨となり、セッションが進むにつれて本格的な雨となっていった。Epson HSV-010は5番手をマーク。午後のノックアウト予選も、雨が予想されていた。
ノックアウト方式の予選1回目のQ1は15分間、トップ8台が進出するQ2は12分間のタイムアタックを行い、決勝グリッドが決まる。公式予選は、GT300クラスからスタートしたが、強い雨と風でコースアウトするマシンがあり中断。天候の状況を判断する時間も加わり、GT500クラスのQ1は30分遅れの午後3時にスタート。荒天の中、GT-R勢と激しいトップ争いを展開したEpson HSV-010は、道上選手が予選2番手の1分35秒997をマーク。
その後、GT300クラスはQ2を行ったが雨量が多かった。結局、GT500クラスのQ2は中止されることになり、Q1の予選結果で決勝グリッドが決まることになった。
「ポールを獲得できる手ごたえはありましたが、赤旗もあり、うまくタイヤを温め切れずにタイムを伸ばせませんでした。明日のレースは、ドライでもウエットでも、いいレースができるよう頑張ります」と「NAKAJIMA RACING」で4年目を迎えた道上 龍選手。
「予選は天候が荒れた影響で、自分が担当する予定のQ2を走ることはなかったのですが、道上さんとダンロップさんとチームが頑張ってくれたおかげで、予選2番手を獲得することができ感謝しています。明日は全力で戦い、いい結果を残したいです」と中嶋大祐選手。
序盤は健闘を見せたEpson HSV-010
決勝当日、朝のフリー走行は、午前9時15分にスタート。ウエットからドライに変化する路面コンディション。Epson HSV-010は、11番手で30分間のセッションを終えた。
午後2時にフォーメーションラップがスタートした300kmの決勝レース。スタートドライバーの道上 龍選手がドライブするEpson HSV-010が1コーナーでコースオフしたために、フォーメーションラップが2周となり、81周のレースがスタート。序盤は2番手をキープしたEpson HSV-010だったが、路面コンディションにタイヤがマッチングせず、他車との接触もある厳しい戦いとなり、5周目には5番手、10周目には9番手までポジションを落とすことになった。
道上選手は37周目にピットイン、中嶋大祐選手とチェンジして、果敢な追走が始まった。終盤には1号車GT-Rとバトルを展開して、ラスト2周では9番手につけた。だが、ラスト1周のバックストレート直後のヘアピン進入のブレーキングのタイミングで、2台にパスされることになり、惜しくもポイント圏外となる11番手でフィニッシュ。
ピットインして道上 龍選手から中嶋大祐選手に交代
「今回は変化するコンディションにマッチングしきれずに悔しい結果となりましたが、ドライコンディションでのパフォーマンスもアップしていて、昨年より格段の進化を感じています。第2戦富士では、全力で臨んで、結果を残したいと思います」と中嶋 悟総監督。
「気温が低いこともあって、前半はタイヤの温まらず、ペースを上げられませんでした。途中で接触もあり、順位を落とすことになりました。タイヤは確実によくなっているので、次戦の富士では、上位入賞を目指して頑張ります」と道上 龍選手。
「土曜日の予選は、天候が荒れた影響で、自分が担当するはずだったQ2を走ることはなかったのですが、道上さんとダンロップさんとチームが頑張ってくれたおかげで予選2番手を獲得することができ、とても感謝しています。今日は、昨日と違ってドライだったので前半に順位を落としてしまい苦しい状況でしたが、その中でも去年に比べてドライのペースは改善されていていました。後半、8号車 HSV-010の近くを走っていたのですが、オーバーテイクができて9番手まで上がれました。最後に雨が強くなってきて、アウトウッドヘアピンでかなり滑ったので、その次の周のバックストレートエンドのヘアピンでのブレーキングにマージンを残してしまった結果、それでかなりタイムロスがあって、8号車と1号車に抜かれてしまいました。ボク自身の力が足りず、申し訳なかったなと思います。ただドライのペースが改善されているので、これから表彰台は狙えるチャンスは、いくらでもあるでしょう。ウエットは今回の予選で証明されたように引き続いて力を持っているので、チャンスがあれば優勝したいと思います」と中嶋大祐選手はレースを振り返った。
活躍が期待される道上 龍選手と中嶋大祐選手
今回の岡山国際サーキットは、昨年までと同様にウエットとともに、ドライでのパフォーマンスにも手ごたえを得られたレースとなった。
富士スピードウェイを舞台にした第2戦は、大型連休中の4月29日(日)に予選、30日(月)に決勝が開催される。ウエットだけでなく、ドライでも着実に進化しているダンロップタイヤのさらなる躍進を期待したい。