第3戦 5月29日(金)~5月31日(日) ひむかラリー’09 in 美郷
2分の1の生存率!
今季初のグラベルラリーはまさにサバイバル!
今年もグラベルラリーの一つ「ひむかラリー’09 in美郷」がスタート。
全日本ラリー第3戦「ひむかラリー’09 in美郷」は今シーズン初となるグラベルラリー(未舗装路)で開催を迎えた。各エントラントはそれぞれのマシンを開幕2戦のタ―マック(舗装路)仕様からグラベル仕様に変更、ラリーの醍醐味の一つである土の路面を駆け抜け土煙舞うスペシャルステージへの闘いに挑む。その「ひむかラリー’09 in美郷」は九州宮崎県北部の山間部美郷町を中心に2日間に渡り全10SSで競われる。
競技初日のステージ構成は4.95kmの「八重原」を2本、8.53kmの「珍神」を2本とこのショートとなる「珍神S」7.12km、そして今回のSSでは2番目の長さとなる14.56kmの「山神」2本を走行しDay1で7つSS約65パーセントを走り切る。翌日のDay2では前日の「山神」を逆走する今回最長14.60kmの「山神上」を2本と初日に走行した「八重原」4.95kmを1本走行し計3SS、2日間の開催中にトータル10SS、総延長97.35kmを走破するステージ構成だ。
ダンロップ勢トップ!見事、3位表彰台を獲得した福永修/奥村久継(ランサー)。
注目のDAY1、空には雲が薄く掛かり太陽がどうにか顔を出す空模様。気温の高さよりも汗ばむ程の蒸し暑さが感じるなか、午前9時41分ディフェンディングチャンピオン勝田範彦/保井隆宏(インプレッサ)がSS1のスタートを切った。SS1からSS4までのセクション1ではJN4クラスのダンロップ勢は皆、DIREZZA 86RWを履き今季初のグラベルラリーに挑む。SS1、「八重原」フォールショットを奪ったのは今季2戦目となるベテラン石田雅之/清田恵次(ランサー)だ。上りを主体としたこのSS1ではパワーに定評のあるランサーエボXの特性を活かしラリーをリードする。続くSS2では今シーズンからJN-4へ復帰を果したダンロップユーザーの福永修/奥村久継(ランサー)が並み居る猛者達を交わしステージベストをマーク。早くも優勝候補の一角に名乗りを挙げた。SS1、SS2と全く同じ構成となるSS3、SS4でも次なる優勝候補が登場。ベテラン中のベテラン奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)だ。このSS3、SS4で立て続けにステージベストを叩き出しクラス2位に着けセクション1を終える。SS2でステージベストを獲得した福永もこれに続き好位置の3位で午後のセクション2を迎える。そして午後のセクション2に備え各チームは45分サービスに入りセクション2をどう戦うか作戦を変えてくるであろう。
DAY1、午後からのセクション2で遂にチャンピオンの勝田がスパート掛ける。SS5、SS6で立て続けにステージベストを叩き出し大きく順位を上げてきた。この速さのきっかけとなったのはサービス中に変更したタイヤの仕様だった。セクション1は路面の柔らかさを予想してのDIREZZA 86RWだったが、路面は堅いと確信しDIREZZA 86Rへ、この変更が好を奏し大幅なタイムアップに成功する。しかし続くDay1最終のSS7でまさかのマシントラブルがチャンピオンチームを襲う、スタートから約10kmの地点でマシンに異変を感じた勝田はステージ2番手のタイムでSS7を走り切り、この異変を確認すべくサービスに向かうその時、マシンが突如として動きを止めてしまった。どうにかタイムコントロールへ辿り着こうと試みるが、駆動系のトラブルによりマシンは人の力では動かす事が出来ず、残りあとわずかという距離でリタイヤを余儀なくされてしまう。残るダンロップ勢はSS6終了時点で5番手に着けていた優勝候補の一角、石田正史/澤田茂(ランサー)もSS7で、まさかのマシントラブルによりリタイヤとなってしまった。SS2でステージベストをマークした福永/奥村(ランサー)がトップと29.6秒差で優勝圏内の3位でDAY1を終えている。
翌日のDAY2、最終となるセクション3(SS8・9・10)がスタート。DAY2最初のSS8は今回最長14.60kmの「山神上」でトップを行く奴田原が唯一の12分台となる12分56秒2で2番手タイムの石田雅之に10秒以上の差を更に広げた。ダンロップ勢のトップを行く福永は3番手タイムで優勝争いに喰らい付く。続くSS9では石田雅之がステージベストを獲得し残すは最終のSS10。この最終SSでも福永は終始攻めの走りでトップ2台を追い掛ける。結局、福永の追撃も2台には届かなかったが見事、3位表彰台を獲得した。出走36台中、完走が半分の18台、この過酷なラリーを最後の最後まで攻め続けた福永の次戦以降の闘いに注目したい。
JN3クラスと同等の闘いを見せた若槻幸治郎/馬場裕之(パルサー)。
グラベルラリーではJN3クラスをも凌駕する速さのJN2クラス。このラリーでもJN2クラスの優勝者はJN3クラスの選手よりも総合で上位に着ける結果をみせた。そのJN2クラスで見事、2位入賞を果した若槻幸治郎/馬場裕之(パルサー)は、JN3クラスに全く引けをとらないタイムを連発。上位クラスのマシンが路面に刻む深い轍との闘いも強いられるが、見事最後まで走り切って手にしたこの2位入賞は格別なものとなるに違いない。
マシントラブルで出遅れるも、コンスタントに順位を上げ3位表彰台をゲットした小倉雅俊/平山真理(ブーン)。
このクラス2位の若槻/馬場(パルサー)に続き3位表彰台を獲得したのは、こちらも今季初エントリーの小倉雅俊/平山真理(ブーン)。セクション1でマシンにトラブルを抱えるも、何とかマシンの修復に成功。その後マシンをいたわる走りが3位表彰台に繋がった。
JN1クラスで唯一、完走を果した山北研二/大谷美紀夫(マーチ)。
5台のエントリーでスタートしたこのクラスはSSを重ねる度に一台、また一台とグラベルラリーの過酷さにリタイヤとなる。そんなサバイバル状態と化したこのラリーを最後まで走り切り優勝を手にしたのは地元九州から参戦する山北研二/大谷美紀夫(マーチ)。ラリーは決められた一定区間を誰よりも早く走り抜けるといった要素も大事であるが、時には辛抱と粘り強さがもたらす勝利もあると山北の闘いを通じて実感させられた。