勝田、タフなラリーを制し今季6勝目!ダンロップ勢3クラスで勝利!!



 愛知県新城市が推し進める「DOS(Do Outdoor Sports)地域再生プラン」の核として2004年から開催されている新城ラリー。当初はJAF中部ラリー選手権、JAF中部・近畿ラリー選手権として行われていたが、今年からは全日本ラリー選手権として開催される事になった。新城市郊外山間部のターマックコースを舞台に2日間2レグ、全12SSで行われるこのラリーは、競技初日に8.67㎞のSSを1本、8.55㎞のSSを2本、4.85㎞のSSを2本、ラストにこのラリー最長となる14.92㎞のSSを駆け抜け、二日目に3.91㎞、2.81㎞、4.02㎞のSSを各2本ドライブしてフィニッシュとなる。SS総延長は71.87㎞と決して長くはないが、コースとなる林道の幅が狭くカーブが連続する為、アベレージは低く、ドライバーにとっては難コースと言える。その一方で地元の方々がこのラリーを成功させようと多数参加されており、随所でその活躍を見ることができる。この温かな雰囲気も魅力の一つとなっている。今季8戦5勝と圧倒的な強さを見せ、ターマックラリーに絶対の自信を見せる勝田範彦/北田稔(インプレッサ)がこのラリーを制し、有終の美を飾るのか、それとも追撃する石田正史/宮城孝仁(ランサー)北村和浩/竹下紀子(インプレッサ)が来季への反抗の足がかりをつかむのかに注目が集まる。

ハードなラリーも手馴れたもの?
北村和浩

 競技初日の10日、レグ1スタート前に小雨がぱらつき、SS1「雁峰Short」走行時の路面はまだウェット。8.67㎞と長くはないSSだが、コースレイアウトはハード。直線は50mも続かずタイトなコーナーが連続する。ストレスの溜まるシチュエーションの中、各ドライバーは苦戦したが、王者勝田は手堅くトップと0.9秒差の2位につけた。そして続くSS2「愛郷本線1」では全開のドライブで早速トップに立つ。北村もSS1での出遅れを驚異的なスピードで取り戻し、トップと9秒差の5位にまでジャンプアップした。SS3「やまびこ1」では狭い道幅、連続する厳しいコース設定にトラブルが発生したが、勝田、北村、奴田原文雄/小田切順之(ランサー)らトップドライバーは確実に好タイムをマークしていく。続くSS4「愛郷本線2」でもトップドライバー達とSS1から好調をキープしている徳尾慶太郎/枝光展義(ランサー)の激しいバトルが繰り広げられたが、このころからターマックキング、勝田の本領が発揮され始める。

やはりターマックでは勝田に一日の長あり

着実に首位固めの体勢をとっていく勝田はSS1、SS4では僅差の2位だったもの、SS2、SS3で大きなアドバンテージを稼ぎ、2位に8.9秒差をつける。SS5「やまびこ2」ではその差はさらに開き20.4秒差に。レグ1最終、そしてこのラリー最長のSS「雁峰Middle」大混戦となったSS1のコースがそのまま後半に設定されたSSにおいても難なくトップタイムを記録。10日の全日程終了時には実に33秒ものアドバンテージを築いた。

歓喜の表情

 最終日、第2レグ序盤は小雨が降るあいにくの空模様。各車スリッピーな路面に悩まされることになる。程なくして降雨は止んだものの、日がさし始めると今度はその雨がもやとなって立ち上がり、視界を奪う悪循環。それでも2位以下のドライバーはリスクを承知で攻めるしかない。SS7「大平1」SS8「舟着山1」SS9「ほうらいせん1」…、各車懸命のランでトップ勝田に肉迫せんと試みる。しかし第1レグで生まれた33秒差は如何ともしがたい。短いSSの続くレグ2ではタイムを縮めるにも限界があった。そしてこの一年、常にトップに君臨し続け、勝ち方を知り尽くした勝田も有効にこの貯金を使っていく。リスクマネジメントを行いながらも攻める場面では攻める為、タイムがなかなか縮まらない。レース後「コースコンディションが悪かったので精神的にタフだった」と振り返ったが、そのレース運びは磐石そのもの。2位との差を最大36.4秒まで広げ、力の差をまざまざと見せ付ける。最終的には2位奴田原に27秒差でフィニッシュ。今季最終戦を圧勝劇で締めくくった。4位には北村が入り健闘をみせている。

2連勝でしめた平塚忠博

 またJN2ではダンロップユーザーの平塚忠博/鈴木裕(ブーン)が前戦に続き今季2勝目をあげている。シーズン序盤こそ確実にポイントを獲得していた平塚だったが、中盤は苦しい展開に。それだけに2連勝でしめくくれたことは、本人としても嬉しい結果だろう。

有終の美を飾った廣瀬康宏

さらにJN1でも廣瀬康宏/谷内壽隆が優勝し、こちらは今季3勝目。JN1は不成立のラリーが多く、全5戦しか行われなかったが、その中でも5戦中3勝と確実に結果を残した廣瀬、もう少し活躍が観たかった感はあるものの、その実力は誰しもが認めるところだろう。


 結局このラリーではダンロップ勢が3クラスを制覇し、充実した今季を象徴する一戦となった。振り返ると、トップクラスのJN4では勝田範彦がターマックキングから真のキングへと上り詰め、全9戦中実に6度が優勝と他を圧倒した一年だった。石田正史はシーズン2勝で総合2位を獲得、北村和浩も優勝こそならなかったが、堅実にポイントを積み重ね総合3位と、上位をダンロップユーザーが独占、これ以上無いシーズンだった。他のクラスでもJN2で高橋悟志が、JN1でも西山敏がシリーズチャンピオンに輝いている。今季の全日本ラリーは、まさにダンロップの独壇場だった。しかしそれで安穏としていられるほどラリーは甘くない。来季に向けた闘いはもう始まっている。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014