第9戦 9月23日(日) モビリティおおむた
灼熱の最終決戦!ダンロップ勢N4クラス完全制覇!


 3月、気温1℃、極寒の名阪スポーツランドから始まった2007年の全日本ジムカーナ選手権もついに最終戦を向かえた。決戦の舞台は九州大牟田市にあるモビリティおおむた。今年8月まで三井三池オートスポーツランドの名で九州のモータースポーツファンに広く親しまれた同コースは、名称こそ変われど施設の充実度はそのまま。有明海を臨む敷地内には、ジムカーナ、ドリフト用コースのみならずダートトライアルコースも併設され、年間を通じて様々なイベント、レースで賑わう。

 最終戦の熱気に負けず劣らず、レース当日は9月下旬とは思えぬ厳しい残暑に見舞われる。気温は朝9時の時点で28℃、午後に入ると31℃まで上がり、真夏日を記録。路面温度も朝の時点で早くも40℃を超えた。ダンロップユーザーのタイヤチョイスは全車DIREZZA 03Gだったが、コンパウンドはM1、S1で分かれた。N1など車重の軽いクラスではフロントにM1、リアにS1という選択をしたドライバーも多数いた。

 まずはN1クラス。早坂剛(ディレッツア)が前回の鈴鹿から好調をキープ、2戦連続の表彰台となる3位入賞を果たした。前年度チャンピオンとして臨んだ今季は苦戦が続いたものの、終盤になって本来の調子を取り戻すなど、来期に向けての明るい材料が揃ってきた。

 チャンピオン争いが最終戦までもつれ込んだN2クラスでは、このレースまでのポイントリーダー黒岩誉広(インテグラ)がまさかの失速で4位に終わり、前年に続く連覇はならなかった。ただし今季3勝はクラス最多、爆発的な強さにコンスタントにポイントを重ねていく安定感が加われば、来年度もチャンピオン有力候補になることは間違いない。またこちらもチャンピオン獲得経験のある松本敏(インテグラ)が3位に入り、捲土重来を予感させるレースとなった。

今季ラストも快勝の田原

 既に田原憲(RX-7)がチャンピオンを獲得しているSA2クラス。その田原が今季を象徴するような磐石のレース運びを見せ、九州のファンにその強さをアピールした。1本目勝負と読んだ田原は第1ヒートで狙い通り、唯一の1分20秒台となる1分20秒449をマークし、トップに立つ。路面温度が上昇した第2ヒートでは各車タイムアップは望めず、見事な年間通算6勝目となった。今季優勝6回、2位3回と他を寄せ付けない無類の強さを発揮した田原。有効ポイントを満点の120ポイントにまで伸ばしている。

田原笑顔の表彰台

「最後までタイヤコンパウンドに悩みました」インタビュー冒頭、意外な胸中を語った田原だが「1本目勝負と踏んだのでS1をチョイスしました。サイドターンをよく使うコースレイアウトだったので、セッティングはオーバーステア気味にしていましたが、よい結果が残せましたね」と、最後は充実したレースを振り返っていた。


 N2同様、最終戦までチャンピオン争いが続いたN3クラス。トップと同ポイントで2位につけていた野島孝宏(RX-7)が力走を見せ2位に食い込んだが、僅かに及ばずチャンピオン獲得はならなかった。しかしダンロップユーザーとなって初のシーズンとなった今季は、開幕第2戦の浅間台で早くも優勝。その後も大きな取りこぼしは無く、安定した走りで表彰台に上り続けるなど収穫の多い一年だった。ダンロップとの親和度が上がる来季、さらなる活躍が期待される。

好調津川の走り

 SA3はダンロップ勢が大活躍。路面温度を意識した津川信次(ランサー)が1本目勝負に見事成功し、有終の美となる2連勝でシーズンを終えれば、最後までチャンピオン争いをにぎわせた川脇一晃(ランサー)が、こちらは第2ヒートで気合の走りを見せて2位を獲得、ダンロップ勢の1、2フィニッシュを実現させたのだ。

喜びの表情を見せる津川

「朝から路面温度が高かったので、コースコンディションを計算してコンパウンドはM1に決めました。1本目勝負と読んで第1ヒートからとばしました、上手くいってよかったです。厳しいコーナーが多いレイアウトですが、マシンに特別なセッティングはしていません。金曜日からタイヤの調子がバッチリだったので、決勝はダンロップユーザー同士の戦いになるだろうなと予感していましたよ」とは津川のコメント。高温でもグリップ力が落ちないダンロップタイヤの信頼性は高いようだ。

圧倒的な茅野のドライブ

 続くN4クラスもダンロップの独壇場。今季8戦中7戦で優勝。無双の強さを発揮した茅野成樹(ランサー)が、第1、第2ヒート共にトップタイムとなる1分18秒462、1分18秒484で、このレースもパーフェクトな勝利を飾る。そして茅野以外で唯一優勝を勝ち取っている古谷哲也(ランサー)が茅野に肉迫するタイムで2位、このレース2クラス目の1、2フィニッシュとなった。

王者の風格、インタビューを受ける茅野

「前日からコース状況などを見ていて、(路面温度が)40℃になるかならないかで、M1コンパウンドにするかS1コンパウンドにするか決めようと思っていたのですが、朝から42℃になっていたのでM1コンパウンドに決めました。1本目勝負に賭けていましたが、成功しましたね、マシンセッティングに関しては、いつもと特に変わったことはしていません」貫禄すら感じる茅野のコメント。こちらもダンロップ勢の好調を意識していたようだ。「金曜から、これは私か古谷か、ダンロップユーザー同士の勝負だと思っていましたよ」

 このレースだけではない、振り返るとN4クラスは全レース、ダンロップユーザーが優勝している。茅野は有効ポイントで完全優勝を勝ち取ったが、ダンロップもまた、このクラス「完全優勝」となったのだ。


 この他、SCクラスでは谷津伸樹(ランサー)が今季3回目の表彰台となる3位に入り、Dクラスでは村上仁が2位、同クラス2位に食い込んだ。

 今年も様々なドラマを生んだ全日本ジムカーナ選手権も、11月4日の特別戦、オールスターを残して全日程が終了した。来季はどのようなレースがモーターファンを沸かせるのだろうか。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014