第7戦 7月29日(日)ツインリンクもてぎ・北ショートコース
曇天を突く快走。3クラスで勝利を勝ち取る!


 今年の全日本ジムカーナ選手権も、今回を含めて残り3戦となった。上位同士の激しいトップ争いは、ほんの僅かの差が明暗を分ける終盤戦に入っている。

 第7戦の会場となったのはツインリンクもてぎ北ショートコース。ツインリンクもてぎはインディカーレースなどで使用されるオーバルコースと、フォーミュラーカーなどが疾駆するロードコースが併設された、世界でも稀有なサーキットとして知られているが、この2つのコース以外にも、様々なコースが設けられており、イベント毎に使い分けられている。北ゲートから入場してすぐに現れる北ショートコースもその一つで、普段は主にカートレースの会場として使用されている。全長は最も長大なレイアウトの場合でも1キロメートル弱と、その名の通り短いコースだが、2本のストレートとテクニカルなカーブがバランスよく配された、高度なテクニックを要するコースだ。

 当日は午後から降雨との予報で、朝から分厚い雲がたれこめる生憎の空模様だったものの、幸い雨は降らず、各車2本共にドライコンディションでのドライブとなった。タイヤは全車DIREZZA 03Gをチョイスしている。

 レースの幕開けとなるN1クラスでは、兄弟での参戦となっている中根康仁、卓也両選手の弟、卓也選手が、兄康仁選手との入賞争いに競り勝ち、6位に食い込んだ。

黒岩選手の貫禄の走り

 N2クラスでは現在既に2勝をあげ、シリーズトップに立っている黒岩誉広選手が強さを見せた。フロント、リアともに低温域で路面にフィットするS1コンパウンドとし、1本目勝負に出ると、それが吉と出る。トップタイムとなる1分18秒267。2本目、ライバルドライバーが猛アタックでタイムを縮めてくるものの僅かに届かず、見事シリーズ3勝目をあげると共に、ランキングトップも堅守した。

笑顔のこぼれる黒岩選手

「コンパウンドは昨日の練習で調子の良かったS1に今朝、決めました。路面温度が今日ぐらい(35~50度付近)の場合、バッチリのグリップを発揮してくれます。2本目は雨が予想されたので、1本目からアタックを掛けました、良いタイムが出せてよかった」とのコメントを残した黒岩選手、プラン通りのレース運びだったようだ。


 SA1クラスは1分19秒台の中に11台がひしめくという大混戦。1本目で5位にランクされた川北忠選手の2本目に期待が集まったが、痛恨のペナルティを受け、ランクアップはならなかった。しかしコンマ1秒が明暗を分けたレースの中で確実にポイントを得た走りは素晴らしいもの。続くN3クラスでは、第1ヒートでまさかのミスコースを犯してしまった野島孝宏選手が、第2ヒートで猛追、3位表彰台まで僅かコンマ04秒差となる1分17秒894の好タイムでライバルをごぼう抜き、4位入賞を果たした。ダンロップユーザーである田原憲選手がトップを独走するSA2クラス。田原選手は本来の走りが出来ず、苦戦をしたものの、手堅く2位、シリーズトップを保った。あと2戦ではあるが、激しいトップ争いがどうなっていくのか、流れが全く読めない。

今期初優勝、古谷選手の走り

 既に茅野成樹選手が「完全優勝」を決めたN4クラスだが、その茅野選手がトラブルの為に出走出来ず、乱戦が予想された。しかしここまでの6戦、もれなく確実にポイントを獲得し続け、シリーズ2位につけている古谷哲也選手が、このレースでも安定した強さを見せ、一人次元の違うドライブを披露した。第1ヒートでクラス中唯一となる1分14秒台でトップに立つと、第2ヒートではそのタイムをさらに短縮し、他の追随を許さない見事な今期初優勝となった。

ファンの期待に応えた古谷選手

「土曜日の練習でS1のフィーリングが良かった。M1も捨てがたかったのだが、スタート直後の180度ターンで気持ちよくグリップさせたかったので、結局S1を選択した。結果これが良かったようで、「皆さんお待たせしました」の今季初勝利です」と語った古谷選手、次節以降、茅野選手との直接対決がどのようなものになるのか、こちらも面白い流れとなった。

奮闘する竹田選手の走り

 そしてこのクラスでは、同じくダンロップユーザーである竹田宏太朗選手が、今期初の3位表彰台を獲得している。プライベートチームで参戦し、決して恵まれた環境にない中で奮戦した竹田選手の活躍は、大きな価値のあるものと言っていいだろう。


表彰台で笑顔を見せる竹田選手

「昨日の練習より路面温度が低かったので、S1コンパウンドに決めました。昨日の練習でも4位に入れたので、今回こそはの気持ちが強かったです。周りからもはっぱを掛けられていたのですが、1本目失敗してしまって…。古谷選手にサポートしてもらって、何とか2本目にベストが出せました。感謝してます」と謙虚に語る竹田選手、残り2戦の活躍に期待大というところか。

川脇選手の走り

 続くSA3クラス、二人のダンロップユーザーが見事な走りを見せる。川脇一晃選手と津川信次選手は、午後の降雨を予想し、共に中高温域で威力を発揮するM1をはいての1本目勝負に出た。これがズバリ的中し、川脇選手がトップ、津川選手は2位につける。第2ヒート、降雨は無かったものの、時折晴れ間が垣間見える天候で、路面温度が一気に50度まで上昇、低温域のコンパウンドをチョイスしたマシンはタイムを伸ばせず、川脇選手が開幕戦以来の今期2勝目をあげた。津川選手も2位と、ダンロップユーザーの1、2フィニッシュ。

川脇選手は充実の表情

 川脇選手は冷静にレースを振り返り「タイヤのチョイスに関しては、本当に最後まで迷いましたが、ゴールまでのトータルバランスを考えるとM1でした。2本目は雨が降ると予想していたので、1本目勝負に出ました」と語っている。

 SCクラスでは谷津伸樹選手が3位、Dクラスでは村上仁選手が2位に入った。

 ジムカーナはこれから1ヶ月のインターバルを挟み、いよいよクライマックスに突入する。次節の舞台は残暑厳しい9月の鈴鹿。酷暑に負けぬ熱い戦いが期待できそうだ。
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ニュルブルクリンク2014