第3戦 5月16日(日) SUGO西コース
S2、M2コンパウンドがそろい
各クラスでレベルアップが確認できた一戦!



 すっきりとした五月晴れの中行われた全日本ジムカーナ第3戦。しかし開催場所であるスポーツランドSUGO西コースは山の中にある。朝は思ったより気温が上がらず、タイヤ選択に迷う状況となった。気温が高くなると予想される2本目の天候。外周と内周をつなぐハイスピードの周回、その途中に3箇所のテクニカルセクションを置くコース設定。そのテクニカルセクションに傾斜が付いている。1本目全車の走行後、テクニカルセクションの路面にはたっぷりとラバーが乗る。予想しない動きが突如現れることも……。
 予測不能な状況の中でも各クラスで活躍を見せたダンロップ勢。早速、各クラスの戦いぶりを見てみよう。

初めて走ったSUGO西コースで逆転優勝。しかも開幕3連勝で一躍脚光を浴びることとなった野尻隆司。

 今シーズンに入って急激にレベルが上がってきたPN3クラス。そのなかで開幕の備北、名阪と連勝を飾っているのが野尻隆司(インプレッサ)。その野尻は今回、ひとりでエントリー。初めて走るというスポーツランドSUGOでも躍進を見せる。1本目1分13秒404で2位につける。逆転を目指し各選手が激しくコースを攻める。だが、野尻がスタートする前のゼッケンまで、脱輪やパイロンタッチを犯して脱落。タイムアップの可能性は高い。そんな期待感の中、野尻がスタート。スピードが乗る周回路とともに、テクニカルセクションでも積極的にクルマを動かす走り。ベストタイムを更新する1分11秒721。会場内からはどよめきの声が上がる。ラストゼッケンの選手もこのタイムを破ることができない。PN3クラスただ一人の11秒台、逆転で3連勝を飾った。
 「SUGO西コースを走ったのは初めてです。普段走っている名阪とは似てませんが、鈴鹿で走った感じと似てたかな。今回は初めて前後にS2コンパウンドを履いて走りました。それが合っていたかもしれませんね。3連勝できたのは、自分でもびっくりしてます。ここまで来たらチャンピオン目指して頑張ります。あとはPN3が成立するかどうかなんですが、九州にはえんとりーするつもりです」
開幕3連勝というスタートダッシュで、一躍脚光を浴びた野尻。チャンピオンを目指して中盤戦に突入する。

今シーズンも乗り慣れたランサー・エボIXで参戦する梅村伸一郎。2002年の第2戦名阪以来、2回目の優勝を飾った。

 3箇所のターンセクション。スタート前にN4クラスの選手に聞くと、明らかにエボIX有利と見られるコース設定。そこでS2で行くか? それともM2コンパウンドか? その選択が勝負の行方を左右した。茅野成樹(ランサー)が選択したのはフロントM2にリヤS2の組み合わせ。気温の高まりから少し遅れながら路面温度が上昇カーブを描いていた午前中。1本目トップに立ったのは前後ともS2コンパウンドを選択した梅村伸一郎(ランサー)だった。梅村のタイムは1分8秒357、N4クラス1本目ただ一人の8秒台。対する茅野は1分9秒160で3位につける。2本目に入って各車タイムアップし始めるが、思ったほどタイムが伸びない。梅村もコンマ5以上タイムを落としてしまう。
 「実は2~3年前にも茅野さんがM1、ぼくがS1コンパウンドを選択。1本目にトップに立ったんだけど、最後の最後に茅野さんに逆転されたことがあったんですよ。今日も同じになっちゃうかな?と思ったんですけどね」と梅村が語る。逆転不能な状況でミラクルを見せるのが茅野。その集中力の高さは誰もが認めるところ。だが、茅野は痛恨のパイロンタッチ!勝負の世界にタラレバは有り得ないが、2本目の茅野のタイムは1分12秒916。ペナルティの5秒を差し引くと梅村を上回っていた。
「初めて勝ってから、ずいぶんと長くかかりましたね。昨日の公開練習で両方試してみたんですよ。だけどどっちも変わらなくて。その時はタイム的に茅野さんにおいてゆかれてたので、だったらフィーリングの良い方だなと。前後S2コンパウンドでいきました。正解だったのかな? 分かりませんけど(笑)」 と梅村。表彰式では2歳になる息子を連れて登壇してきた。奥さん、お子さんともに笑顔になれる優勝。多くの副賞も貰って、帰り道は楽しく会話が弾んだに違いない。

マシン開発を進めながら着実にポイントを稼ぐ。川脇一晃と津川信次のエボIX開発は着実に進んでいる。

 今シーズンからSA3クラスにランサー・エボXを投入した川脇一晃(ランサー)と津川信次(ランサー)。ふたり共同でのマシン開発は急ピッチに進んでいる。今回はふたりとも2本目にタイムアップして3位に川脇、4位に津川が入った。
「今、目指すところには近づいてきてますね。ただ1本目から目標タイムにもって行けるような信頼性を備えないとイケないね。それにはもっとクルマと仲良くならないと」
とは3位に入った川脇。中盤戦は6月12~13日に九州のモビリティおおむたから始まり、北海道のオートスポーツランドスナガワに続く。川脇、津川ともに得意としている会場だけに、これからのマシン開発にも力が入るところだ。

今回は友人に現場に来てもらったことでドライビングに集中できたという東山晃が2連勝!

 昨年のチャンピオンが不在で混沌とした状況が続くDクラス。だが、第2戦の名阪で久しぶりに優勝をつかんだ東山晃の調子がイイ。1本目1分4秒398でトップから100分の5秒差で2位につけると、2本目に入ってたたき出したのは1分3秒986。オーバーオールのスーパータイムで逆転。混沌とするDクラスでひとり抜き出る連勝を飾った。
会場内でも東山の走りは好評価だ。東山の走りの特徴はアクセルを開けている時間が長いこと。他の選手が全閉にしているところでも、アクセルを抜いていない。だからクルマが前に出ていると評価する声もある。
「今回はターンがあったりして厳しいなぁと思ったんですが、なるべくパイロンにつけてと思っていたらうまく走ることができました。今回は長野から友人に来て手伝ってもらったんですが、そのおかげでドライビングに集中できたのが良かったと思います」
とは表彰式での東山のコメント。子どもが生まれたばかりの慌ただしさの中、しっかりとドライビングに集中出来る環境を作れるのもドライバーの力。優勝して主催者から手渡された副賞の豚肉と米は、家で待つ家族には何よりのおみやげになったに違いない。


 優勝こそできなかったものの、今回も各クラスでダンロップ勢は活躍を見せた。N3クラスの野島孝宏(RX-7)は2本目にタイムアップして、トップのエキシージを約コンマ2秒差まで追い詰める。そしてN2の福永裕介(インテグラ)も約コンマ1秒差でともに2位。昨年に比べ明らかに勝敗にからむようになってきている。
新たな選手の台頭とトップを追い詰めるポテンシャル、そしてベテランの底力。今シーズンうまく歯車が噛み合い始めているダンロップ勢。6月12~13日にモビリティおおむたで行われる次戦では、さらなる活躍を見せてくれるに違いない。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014