ドライバー
特別戦 11月10日(日) 幸田サーキットYRP桐山
2013年最後のビックイベントで4クラス優勝
新たなヒーローの誕生に期待!


愛知県にある幸田サーキットYRP桐山で開催された2013年のJAF CUP。午前中は雨が路面に川を作り、昼過ぎ頃には路面の所々が乾き始める。めまぐるしく状況が変化した決勝日。

2013年の国内モータースポーツシーズンも大半のシリーズが終了。各地ではフェスティバルイベントが開催されている。そんななかでも全国の地区戦を戦ってきた選手たちが一同に介し、年に一度のタイトルを賭けて戦うイベントがJAF CUPジムカーナだ。全日本戦をはじめ全国各地区のトップランカーたちの戦いは、次年度の全日本戦を占う意味でも重要だ。全国にその名を響かせるニューカマーたちは、必ずといっていいほどJAF CUPを獲得して全日本で活躍する。そんな注目のイベントが愛知県にある幸田サーキットYRP桐山で開催された。エントリー台数は併設されたレディスクラスを合わせて187台という最大級のもの。「初めての遠征でJAF CUPに」、「全日本選手と自分の走りを比べる」、「今シーズンの雪辱を期し来年の勢いに繋げたい」、さまざまな目的を持った選手たちが集まり土曜日から公式練習が行われたが、気になるのは天気だ。週末にかけ低気圧と寒波の移動で雨の確率が高く、その予報は的中。決勝の1本目がスタートする頃は小降りだった雨も、3分の1の台数が出走する前には本格的な雨に。ヘビーウエットのコンディションにコースアウトする車両も続出する。しかし、今シーズン最後のビックイベントにかける気合が空に通じたのか?昼休みの頃には雨も止み、2本目勝負となるクラスも出てきた。それでは早速、ダンロップユーザーたちの活躍を見てみよう。

1本目のタイムで逃げ切って、初のJAF CUPを獲得した千葉順一。「JAF CUPウィナーの肩書に負けないように精進しないといけないなって思ってます」とコメントした。

3台のZ34と11台のFD2、FN2シビックの戦いとなったPN2クラス。重量級FRとFF勢がウエット路面でどのように争うかに注目が集まる。今回のコース設定はストレートを長く取ったジムカーナでは比較的ハイスピードな設定。さらに幸田サーキットを全日本選手が走るのは2007年の全日本第3戦以来ということもあり、走り込んだ地元の利のある選手の実力も侮れない。PN1クラスが出走するころからポツリポツリと雲から落ちてき始めた雨。PN2クラススタート時、路面はハーフウエット程度の状態だった。だがドライセッティングで走りたい選手の気持ちとは裏腹に、PN2クラス後半ゼッケンに差し掛かる頃には断続的ながら強めの雨へと変わる。コース内のあちこちに水が溜まり始め、後半ゼッケンに集中していたZ34勢には厳しい展開だ。シビック勢は1分6秒台で上位6台を占める激戦を展開する。1分6秒007を叩き出し1本目トップに立ったのは、関東地区戦6位でエントリーしてきた千葉順一。2位の山口拓郎との差はわずか0.056秒という超接近戦を展開する。雨が降り止んだ2本目に入って、路面状況は若干好転した。だが各所に残った水たまりはアクセルを踏む足を躊躇させ、タイムアップできない。結局1本目のタイムで千葉が逃げ切り初のJAF CUPを獲得した。「昨日の練習会からライバルに置いて行かれてたんで、ちょっとどうかなぁ?って思ってました。今シーズンも特にJAF CUP狙いって言うワケではなかったんですけど、JAFの表彰式に出られたらいいなって。今回は天気を操ったとみなさんに言われてますが(笑)。JAF CUPウィナーの肩書に負けないように精進しないといけないなって思ってます。来年のシリーズ参戦は色々あって悩み中です。去年も最終的には全日本がメインになっちゃったんですけど、成績が良かったから出続けようかな?っていう感じでしたから。それが今年になって調子悪くて、チョコチョコっとしか出れなかったんです。」と千葉。全日本戦でも上位に食い込む実力を持っているだけに、2014年も期待の選手だ。

「ウエットですか?滑るものですけど、どのみちいつも滑ってるんで(笑)、ほとんど気にならなかったですね」と語る田辺剛(写真左)がクラスただ一人の59秒台でJAF CUPを獲得。

11台がエントリーしてきたN4クラス。ヘビーウエット状態のなか行われた1本目のトライでは数台の車両が、ストレートエンドに設置されたターンを通り越してコースアウトするなど、タイムを残せなかった。それと打って変わって2本目に入ると曇り空からうっすらと太陽の光が現れて路面は乾き始めた。N4クラスが走る頃には、レコードラインがはっきりとわかるくらいまで路面状況は好転した。こうなると一気にタイムアップ合戦だ。1分5秒台だったトップタイムを地元中部地区戦3位の松尾勝規が一気に1分1秒645まで更新する。各地区戦のチャンピオンたちが1分1秒前半までタイムを削った後、最終ゼッケンで全日本4位の田辺剛がスタート。田辺は2013年の全日本最終戦で優勝を飾るなど、シーズン後半に向けて一気に調子を上げてきた北海道のドライバーだ。好調を維持してきた田辺がゴールするとタイムは59秒380!N4クラスでただ一人1分を切るタイムを叩き出し、最終ゼッケンでの大逆転劇を見せた。

2013シーズン後半から手足のようにクルマを操り速さを増してきた田辺。タテ方向のトラクションを活かした走りが自分に合っていると語る。2014年期待のドライバーだ。

「このステッカー(SP YAMADA)をつけてから調子が良いんです。FIGHTEXの足を入れてから自分の思うようにクルマが動いてくれるようになったのが結果に結びついてますね。それとタイヤとのマッチングがすごく良くて、曲がるというよりもタテにアクセルを踏んでいけるという自分が走りたい乗り方が出来るようになったんで。それが一番大きいかなって。合わせるっていう感じはなくって、自分がこう乗りたいというとクルマがついてきてくれるっていう感じですね。ウエットですか?滑るものですけど、どのみちいつも滑ってるんで(笑)、ほとんど気にならなかったですね。幸田サーキットは初めてのコース?っていっても道があって、そこにラインを決めちゃえばあとは走りたいと思うところを走ればいいんで。タイヤはS3コンパウンドになって特にタテ方向に強くなったんで、タテの力はブレーキに活かせるしトラクションに活かせる。アクセルをしっかりと踏めるようになったので、それがまた自分に合っているのかなって思いますね。今年はいい流れで終われたので、このまま来年に繋げたいですね。最終的な目標は、全日本のシリーズチャンピオンになることですから。まずはチャンピオンに挑んでいくように頑張ります」2007年の全日本初参戦から6年目となる2013年は一気に飛躍の年となった。2014年の活躍が大いに期待されるドライバーが、初のJAF CUPを獲得した。

「大好きなコース」と語る幸田サーキットでオーバーオールのタイムを叩き出した野島孝宏。レディスクラスに出場した美恵さんと夫婦そろっての優勝に笑顔が絶えなかった。

12台のエントリーを集めたSA3。ランサーやインプレッサといったターボ4WDモデルをベースに、給排気系などのチューニングが認められた最速のハコ車で争われるクラスだ。1本目から比較的雨の少なかったSA3の出走順。トップタイムを叩き出したのは、全日本5位でエントリーしてきた野島孝宏の1分1秒718。だが、2本目に入るとさらに路面状況は好転。全日本勢がその実力を発揮し始める。黄色と黒のDIREZZAカラーが鮮やかな金本辰也が1分0秒749でトップに立つと、野尻隆司が59秒994と1分を切るタイムで塗り替える。そしてこちらも全日本シリーズ10位の松本慎が1分0秒179で続くなど、ダンロップドライバーたちの活躍が目立つ。そして迎えた最終ゼッケンの野島を迎える。実はスタート前に野島の肩の荷を下ろす出来事があった。併設クラスにダブルエントリーする奥さんの野島美恵がレディスクラスで優勝を飾っていたのだ。「昨日は、ふたりしてうまく走れなかったんで気分が重かったんですよ~。奥さんが優勝してくれたので大分肩の荷が降りました」とダンナが言えば、「ワタシも無事にクルマを届けられて、大分肩の荷が降りました(笑)」と奥さんの美恵さんが返す。パドックの雰囲気も良くなったなかで、野島が叩き出したタイムは58秒596!この日のオーバーオールとなるスーパーラップで大逆転優勝を飾った。「今シーズンはクルマも人間も調子良かったんですけど、ちょっとしたトラブルもあって流れに乗れなくて……。仙台で勝てたんですが、その後マシントラブルがちょっと出て、そうなると勝てる世界ではないですからね。来年はその辺りを抑えて、本当に勝負したいなって思いますね。今回は自分のワガママで出させてもらったんで、それに幸田サーキットは大好きなんで。以前全日本をやった時も相性が良くって、ハイスピードだしコーナリングもあって度胸もいる大好きなサーキットですし。でも雨で気持ちを切り替えられて良かったのかな?ドライだとやりすぎてたところがあったかもしれないから。来年につながる優勝になりました」と2014年に期する気持ちを語った野島。激戦のSA3クラスで競り勝つ存在になることを期待しよう。

「幸田に来たのは初めてでもっとフラットなコースかと思ってた」と語る?橋和浩。『普段通り』を実践したとことが初のJAF CUP獲得につながった。

5台と少数ながら全日本ランカーたちが集まったSCクラス。2年連続全日本チャンピオンを確定させた牧野タイソンを誰が倒すか?に注目が集まった。1本目に1分1秒960を叩き出しトップに立ったタイソン。こちらも路面状況の好天で2本目勝負に。ここで?橋和浩が1分0秒097とトップタイムを更新。最終ゼッケンのタイソンだったが、スピンからコースアウトしてしまい4輪脱輪でタイムを残せない。全日本戦では2位だった?橋が、2013シーズンの雪辱を果たした。「いつも思うのはタイヤの選択とかいろいろあるかもしれませんが、みなさんイコールコンディションですから。いつも通り、普段通りという言葉を自分に言い聞かせてますね。ココに来ていつもやれないことが出来るはずないって思ってますから。まぁ、幸田に来たのは今回が初めてなんですが自分の頭のなかではフラットでもてぎ的な場所なのかなと思ってたら、相当カントがついていて難しいかなって。でも普段の練習の延長と考えれば、進入の仕方だけ考えれば変わらないだろうと。コースに合わせるというより、普段通りやって勝てたら最高かなと思ってやってました。でも全国を転戦するおかげでそういうことも当たり前になったかなと。だからこそ出来ることを普段通りやろうっていう気になりましたね。大きな声じゃ言えませんが(タイソンに雪辱できて)一番嬉しいです。今年は負けっ放しなのかなと思ってましたから」と落ちついたことが勝利を呼び込み、2014年に向け最高の気持ちでシーズンオフを迎えることになった。今回のJAF CUPで2013年のビックイベントは全て終了。来シーズンに向け、新たな決心で挑むドライバーも多いことだろう。ダンロップは、これからもそんな選手たちをしっかりと見守って行きます。
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Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014