第2戦 5月30日(日) 丸和オートランド那須
全9クラス中、6クラスでダンロップが勝利を納める!
うち3クラスの優勝は三人の佐藤!


ニューマシンでの優勝で「人生横向き」と書かれた金の扇子を大きく振り回す北村和浩。

 5月最終の日曜日に全日本ダートトライアルの第2戦がようやく開催を迎えた。その戦いの舞台となるのは、毎年の開催スケージュールから外れることの無い北関東のダートトライアル界のメッカ的存在、丸和オートランド那須。2本の長いストレートが特徴の丸和オートランド那須、そのハイスピードの戦いが毎回、観客を熱くさせ開催が途絶えないのが理由のひとつではなかろうか。気になる北関東地方の天候は前日の土曜日の時点で明日の午後から50パーセントの降水確率が予報されていた。
 迎えた決勝当日、昨夜の遅くに雨が降った事で路面はセミウエット、いつ雨が降るか解らない状況だ。気温も先週から続く寒さがまだまだ残っている。この路面と気温を確認したダンロップユーザー達はそれぞれタイヤ選択の異なる仕様で1本目に挑む。

1本目の7番手から一気にトップへ、佐藤卓也(スイフト)が初優勝を獲得!

 全9台のエントリーで争われたPNクラスの1本目。各クラスの先陣を切ってスタートするこのクラスでは路面は整備されたばかりの状態。この滑りやすい路面状況のなか、昨年のコスモスパークで優勝経験のあるダンロップユーザーの長田聖人(スイフト)が1分56秒613のクラストップタイムをマークし、今シーズン初優勝に向け好スタートを切る。しかし2本目になってみると予報されていた雨が降る事が無く、一度各車が走行した事で路面が整いはじめ大幅なタイムアップが望める状態になっている。全9台中の3番目に走行するダンロップユーザーの佐藤卓也(スイフト)がここでなんと長田のトップタイムを5秒近く縮める1分51秒805のトップタイムをマークし1本目の7位からいっきにトップに立つ。その後、各ドライバーがこのタイムを破ろうと決死のアタックを試みるが誰も51秒台にタイムを入れる事が出来ない。1本目トップタイムをマークした長田の2本目は1分52秒151と4秒以上のタイムアップを果たすが佐藤のタイムに届かず2番手に、結局最終走者までも佐藤のタイムを破る事が出来ず第2戦を佐藤が勝利で飾った。

佐藤秀昭(ストーリア)が今シーズン初優勝!ポイントランキングでもトップに立つ。

 毎回、ダンロップユーザー同士での激しい戦いが繰り広げられるN2クラスではこの第2戦丸和でも開幕戦同様に優勝はダンロップユーザーで争われた。1本目では前戦で3位を獲得している佐藤秀昭(ストーリア)が1分46秒940のタイムでトップタイムをマーク。これに西田裕一(ブーン)が2番手で続き、山岡功明(ブーン)が3番手とシードゼッケンの3名が上位に立つ。タイムアップが見込まれる勝負所の2本目ではシード勢の二人目、中嶋ケンタロー(ストーリア)が自身の1本目のタイムを5秒以上塗り替える1分45秒408で現時点のトップを獲得。中嶋に続いて走行した西田は1分47秒107と中嶋に1秒609届かず2番手に留まる。残るはあと二人、開幕戦のおおむたで優勝を飾っている伊藤益弘(ブーン)が出走。中嶋を上回るかと思われた伊藤だったが、僅か0秒828差で中嶋と西田の間に割って入るかたちとなり2番手となる。残すは1本目トップの佐藤のみ、中嶋のタイムを破るかに注目が集まる。その佐藤は既にコースインし各セクションを難無く通過、タイトル獲得に燃える佐藤の走りにミスは見受けられず、そのままゴールを通過。気になるそのタイムは唯一の44秒台に突入する1分44秒382で中嶋のタイムを1秒026上回り見事、今シーズン初の優勝を獲得。前戦の2位のポイントと合わせシリーズランキングトップに立った。

待ちに待った念願の全日本初優勝を飾った佐藤隆行(ランサー)。

 表彰式をダンロップイエローの帽子で染め上げたN3クラス。このクラスを盛り上げたのはノーシード勢のダンロップユーザー達だ。昨年はダンロップユーザーの山野光司(ランサー)のタイトル獲得で活躍を見せたこのクラス。その山野は今年、SA2クラスへとスイッチ。この山野と入れ替わりSA2クラスから北島広実(ランサー)がN3クラスへエントリーし開幕戦のおおむたでは2位表彰台を獲得している。その北島は1本目でシード勢を押し退け1分43秒578のトップタイムをマークする。注目の2本目、ダンロップユーザーの北條倫史(ランサー)が1分42秒396でそのタイムを42秒台へと突入させた。この北條の走りに続き佐藤隆行(ランサー)が1分42秒122とトップタイムを塗り替える。シード勢による優勝タイムは41秒台になるかと思わせたが、そのシード勢の赤羽政幸(ランサー)は1分42秒863で佐藤のタイムに届かない。1本目では2位の吉村修(ランサー)は43秒台に留まり8位と大きく順位を下げてしまう。結果、佐藤がついに全日本初優勝を獲得。表彰台の2位に北島、3位に北條とノーシードの3名が表彰台を獲得。これに4位赤羽、5位今福和彦(インプレッサ)、6位景山浩一郎(ランサー)と6位まで全てをダンロップユーザーが独占する活躍を見せた。

連続タイトルに向け、連勝を達成した山崎利博(シビック)。

 N3クラスに続き表彰式で全てダンロップユーザーの独占場となったSA1クラス。その最上位に立ったのは開幕戦のおおむたで勝利したディフェンディングチャンピオンの山崎利博(シビック)。その山崎が第2戦の丸和も優勝を飾り連勝を達成。セミウエット路面へ挑んだ1本目では山崎ただひとりが48秒台に入る1分48秒889でまずは1本目を制した。続く午後の2本目では路面状況も良くなり僅かながら47秒台までトップタイムが上がる。クラス最終走者の山崎は2本目でもミスの無い完璧な走りで1分47秒689をマークしトップタイムを塗り替えパーフェクトウィンを達成。この山崎のタイムに僅差の0秒102差で松浪太朗(シビック)が2位、市村弘義(シビック)が3位とノーシード勢が上位に入賞する活躍を見せた。さらには4位に柴田一洋(インテグラ)、5位は稲葉幸嗣(ミラージュ)、6位の清野タカシ(シビック)と表彰式の全てをダンロップユーザーで埋め尽くしその強さを知らしめる丸和ラウンドとなった。

ニューマシンのランサーEVO X導入初戦で見事に優勝を飾った北村和浩(ランサー)。

 この丸和で3クラス目となるダンロップユーザーによる表彰式独占のSA2クラス。このクラスで最も注目を集めたのはニューマシンのランサーEVO Xを投入させた北村和浩(ランサー)だ。開幕戦のおおむたではランサーEVO IXで優勝を飾っていただけに、どのタイミングでの投入かが解らなかったが、遂に意を決し連勝の掛かったこの丸和でニューマシン導入を決意したようだ。気になる1本目の北村のタイムは、同じランサーEVO Xに乗る荒井信介(ランサー)の3位に続いての4番手。その1本目でトップに立ったのはここ丸和を地元とする松田周一(ランサー)が地の利を活かし1分41秒810のトップタイムをマーク。ついに勝負が決まる2本目では1本目トップタイムをマークした松田は1分42秒392とタイムダウンしてしまう。1本目で5番手の山野光司(ランサー)が1分41秒038のトップタイムを叩きだすもシード勢の1番手西村浩一(ランサー)がこのタイムを0秒024差で交わし1分41秒014がトップタイムとなる。残る走者は北村と荒井の二人。先に走る北村がコースインし叩き出したタイムはとてつもないスーパーラップ、そのタイムは一気に39秒台に突入する1分39秒943でダントツのトップタイムをマーク。そして北村に続いてコースインしていた荒井がゴールを通過するもそのタイムは42秒台。これで北村のおおむたに続く開幕2連勝が確定。2位に西村が3位は山野が続いて表彰台を獲得。4位は松波克知(ランサー)が入賞。5位は地元の松田が続き、6位に貞清仁(ランサー)が入賞する。終わってみればダンロップユーザーが6位までを完全制覇。表彰時に優勝の北村はニューマシンでの初優勝を「人生横向き」と書かれたお約束の金の扇子を大きく振り回すパフォーマンスで見せてくれた。

今シーズン初出場で初優勝! 工藤清美(シビック)がタイトル獲得に向け好発進!

 ダンロップユーザーがタイトル奪回に燃えるSC1クラス。昨年は惜しくも他メーカーにタイトルを奪われたこのクラスでは昨年シリーズ2位、今シーズン初出場の工藤清美(シビック)をはじめとするダンロップユーザーが奮闘。1本目、工藤の走行までトップだった磯貝雄一(シビック)の1分49秒463を2秒以上も縮める1分47秒389のクラストップタイムで工藤が1本目をトップで折り返す。2本目では同じダンロップユーザーの児島泰(シビック)がそのタイムを46秒台に入れ1分46秒572でトップに立つ。その後児島のタイムは破られず最終走者の工藤が登場。1本目から勢いに乗る工藤は児島のタイムを0秒324上回る1分46秒248をマークし見事トップタイム更新に成功。今シーズン初出場にして初優勝を獲得。惜しくも2位となった小島だが連続2位を獲得した事でシリーズランキングはトップに立つ事となった。


 この第2戦の丸和では全9クラス中、6クラスでダンロップユーザーが優勝。その強さとポテンシャルの高さを見せ付けた。次戦は6月20日、能登半島は輪島市門前モータースポーツ公園へ戦いの舞台を移す。この丸和以上の活躍に期待しよう。