第8戦 10月21日(金)~10月23日(日) 新城ラリー2011
チャンピオン勝田が地元凱旋優勝!
JN2天野も劇的な大逆転で栄冠に華を添える!


DAY1は雨のため少なかったものの、2日間で1万5000人の観客を集めた今回の新城ラリー。地元自治体との協力で国内ターマックラリー最大級のイベントとなったといえるだろう。

東北大震災で先行きの見えないなかスタートした2011シーズン。復興を合言葉に各地で行われてきた全日本ラリーも愛知県新城市であっという間に最終戦を迎えた。前戦のラリー北海道で2年連続チャンピオンを確定させた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。ほっと一安心という間もなく、地元の勝田にとってこのラリーは負けられない1戦。52台の全日本エントリーに加え、併催される中部近畿地区戦に28台、ヴィッツラリーに48台が参加。トータルでエントリー台数は何と128台に上った。さらに桜淵公園で行われるラリーショーとギャラリーステージで毎年2万人近くの観客を集める新城ラリー。地元自治体との密接な連携が、このラリーを一大イベントとして育て上げてきた。だが今回はスタート前からトラブルが発生。長雨により西日本に大きな被害をもたらした今年の台風シーズン。この多量の雨で新城市も被害を受けた。がけ崩れで通行止めとなったトランスポート区間を避けるため、ラリー直前に急遽コースレイアウトを変更。新城名物といわれる雁峰北(12.83km)、大平(4.54km、4.68km)、ほうらい線(4.23km、2.49km)、ボーイスカウト(3.34km)の4本の林道を逆走も含め使用する。トータル距離235km、12本のSS距離64.22kmでの開催となった。ここまでで総合とJN4クラスは勝田/足立のインプレッサ、そしてJN2クラスでは天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)がチャンピオンを確定。最終戦までチャンピオ争いがもつれ込んだのは、JN3とJN1の2クラスだ。では早速各クラスの戦いを見てゆこう。

周りのライバルたちの様子をうかがいながらスタートした序盤。自らポイントと語っていた雁峰でのSSでスーパーラップを叩き出し横綱相撲で寄り切った勝田範彦。

東海~関東の太平洋側にかけて激しい雨が予報されたDAY1。夜半から振り続いた雨は朝方激しさを増しコースは全てウエット状態。勝田が乗る1号車のインプレッサが桜淵公園のサービスパークを12時にスタートする頃には、降ったり止んだりを繰り返すようになった。そんな状況で大平を逆走する4.54kmのSS1、ここでベストを奪ったのは後半戦に入って復調してきた石田正史/竹下紀子(ランサー)。石田の叩き出した3分50秒に次いで1.6秒後に勝田、さらに2秒後に榊雅広/井手上達也(ランサー)が付ける。続く12.83kmの雁峰北で行われたSS2では、11分49秒7で勝田がベスト。11分52秒9で高山仁/大橋正典(ランサー)、11分53秒3で福永修/奥村久継が続き勝田がトップに踊り出る。4.23kmのほうらい線で行われたSS3に入ると福永が3分43秒でベスト、次いで3分43秒2で奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)。勝田は3分45秒でトップをキープして最初のサービスに帰ってきた。めまぐるしく順位の入れ替わったセクション1だが、整理するとSS2でトップに立った勝田がそのまま順位をキープして1位。3.8秒差で2位に福永、さらに6.1秒後に高山が付ける健闘ぶり。勝田とチャンピオン争いを繰り広げた奴田原はトップから36.4秒差の6位。上位3台が大きく抜け出した格好だ。セクション2が始まると勝田にムチが入る。この日2回目となる大平逆走のSS4で2位高山に2秒差でベスト。続く雁峰のSS5では2位石田に15.9秒の差をつけるスーパーラップで連続ベストを奪い取る。SS6こそ4位に終わったものの、順位を上げてきた2位の石田に46.1秒の差をつけてDAY1を制圧した。「あんまり好きなステージじゃないんですけど……、雁峰林道がポイントになりましたね。あ、嫌味じゃないですど(笑)」とコメントした勝田。周りを見回す余裕を見せた序盤から、今シーズン度々見せる圧倒的なスーパーラップで差を広げる。勝田の勝ちパターンでDAY1を終えることができた。

石田正史、奴田原文雄の強豪ふたりを従えて堂々の2位に入った高山仁。苦しいウエットコンディションのなか石田を逆転し、最後は奴田原を押さえてのSSベストは圧巻の一言。

あけてDAY2。曇り空から時折こもれる薄日に気温が上がる。林道に染み込んだ水分が蒸発し非常に湿度の高い状態。半袖で過ごすことができたが、コース内にはウエット部分が残る。DAY2のSS距離は21kmと少ないものの、昨日の雁峰に変わりボーイスカウトが加わるなど不確定要素も多くラリーはまだまだ予断を許さない。そんな状況で強さ見せたのは勝田。SS7ほうらい線でこの日最初のベストを奪うと、ここまで築いた49秒のビハインドをコントロールするかのよう走り。2位とのタイム差を見ながらの横綱相撲。全く危なげない走りは、連覇を達成したチャンピオンならではの強さ。最後は2位に44秒差をつけて今季3勝目を挙げた。その影に隠れたわけではないが激しい戦いを見せたのが2位争い。石田から10秒以内に高山、榊、奴田原がひしめく混戦状態。SS8でこれまでの不調を晴らすかの如く奴田原がスパート。ここでのベストを皮切りにSS11まで4連続ベストを刻む。これに応酬したのが高山だ。SS8で1.2秒、SS9では1.3秒差のセカンドベストで石田を逆転して2位に浮上。SS10、SS11まで3連続セカンドベストを記録する。最終のSS12を迎え7.5秒後方に石田、さらに3.7秒後に奴田原を従えて2位につけた高山。4.68kmの大平2でついに奴田原を押さえてステージベストを奪い取る。自らのタイムで逆転し、追い上げてきたベテラン勢を押さえての2位入賞は高山にとって大きな自信となったに違いない。2012シーズンでの活躍に大いに期待したいリザルトだ。

最終SSでの劇的な逆転で今季5勝目を挙げた天野智之。新型ヴィッツの投入から様々なトラブルに直面しながら、しっかりと自分のラリーを戦い切り、2連覇という栄冠を獲得。

こちらも前戦のラリー北海道でチャンピオン争いが決したJN2クラス。2年連続でチャンピオンを獲得した天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)も、地元での開催となった今回の新城ラリーに並々ならぬ意気込みで参戦してきた。オープニングのSS1で丹羽和彦/永山聡一郎(フィット)と同タイムでSSベストを叩き出した天野。SS2はトラブルのためスルーとなり仕切り直しのSS3は川名賢/関根慎二(ヴィッツ)、SS4で丹羽の先行を許し2位に後退。さらにSS5で川名に3.2秒、DAY1最終のSS6では5位に終わる。これで天野はトップの川名から11.3秒差の2位。DAY2に入ってもこの差はなかなか詰まらない。SS7、SS8とベストを刻んだ川名と天野の差はこの時点で12.5秒。だが天野はあきらめない。SS9で川名を4.9秒引き離して、この日最初のベストを叩き出した天野はSS10も連続でベストを記録する。二人の差は2.4秒。SS11は川名が意地を見せベストを奪い返し、2.8秒差で迎えた最終SS。4.68kmの大平2を走行する天野の視界にコースアウトした川名のクルマが入ってきた。「諦めず走っていて良かったです。うまく追い上げられて逆転することが出来ました」と天野。今年最後の1戦で劇的な逆転勝利で今シーズン5勝目を飾った天野。チャンピオン連覇に、自ら大きな華を添えた。

今季5戦が成立したJN1クラス。最終戦の今回は西山敏と葛西一省のチャンピオン争いとなった。西山は全SSでベスト叩き出す快走で優勝し見事チャンピオンを獲得した。

5戦が成立し有効3戦で争われるJN1クラスでは、西山敏/大谷美紀夫(シティ)と山口貴利/山田真記子(ストーリア)が41と全く同ポイントで並んでいる。だが山口は今回不参加となり、チャンピオンは西山と7ポイント差で3位葛西一省/安田弘美(ストーリア)の争いとなる。ラリーはSS1から連続してベストタイムを叩き出す西山がリード。DAY1トップに立った西山がDAY2に入っても手綱を緩めない。すべてのSSでベストを刻む完璧な走りを見せて葛西を圧倒してチャンピオンを獲得した。参加台数の減少からここ数年シリーズ成立が危ぶまれてきたJN1クラスだが、今シーズンは5戦が成立。クラス存続をかけて参加してきたエントラントたちの努力が実った。2012シーズンには参加者が増えることを期待したい。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014