DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第7戦 9月27日(金)~9月29日(日) RALLY HOKKAIDO 2013FIA Asia Pacific Rally Championship併催
劇的すぎる最終SSでの大逆転劇
勝田範彦がラリー北海道で優勝を飾る!


快晴にも恵まれ今年も多くの観客が訪れたラリー北海道。グラベルラリーとして走行距離、SS距離ともに国内最高規模のラリーに選手たちの気持ちも盛り上がっていた。

後半戦に入った2013年の全日本ラリー選手権。チャンピオン争いも佳境を迎えた第7戦は、北海道の帯広に戦いの場を移して行われた。APRCラリー選手権第5戦と併催されるラリー北海道。総距離1000km、SSは約230kmと全日本ラリー最長の距離とスケールを誇りポイントにかかる係数も2.5と最大で後半戦の山場といえる戦いだ。JN4クラスのチャンピオン獲得を目指す勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。「ポイント的には僕も全然意識していなくて、まずは全力でこの係数の中でラリー北海道を完走することですね。2006年にヤム・ワッカを走ったんですけど、大きなクレストがあるんですよ。そこでクラッシュして嫌な思い出があるので(笑)、それはあまり思い出さないようにして、かなりペースノートにコーションをつけました。スローコーションとつけて、それぐらい注意しています」と勝田が語れば、コ・ドライバーの足立も、「ラリー北海道では1位をずっと取ったことがないので、シーズンが始まる前からラリー北海道には照準を合わせてきているつもりでした。メカニックのみんなもすごく頑張ってくれて、この日のために準備してくれたので、行ける気がしています」と気合十分だ。では早速ダンロップ勢の活躍を見てみよう。

「グラベルであそこまでヌタさんに追いつけたことはなかった」と語る勝田範彦。2位をキープし続けることが、最終SSでの劇的すぎる大逆転劇につながった。

セレモニアルスタート、スーパーSSのSS1が行われた金曜日。本格的スタートとなった土曜日、朝には0℃まで下がった気温は太陽が上り始めるとともに20℃まで上がる。一日を通じて快晴でドライコンディションでの走行となった。オープニングとなったSS2は、今回最長の29.11kmニュー・アショロ・ロング1からラリーが始まった。ここで16分53秒9のトップタイムを刻んだのは奴田原文雄/佐藤忠宣(ランサー)。10.8秒後に柳澤宏至/中原祥雅(インプレッサ)、16秒後に勝田がつけるという展開。続くSS3、23.49kmのヤム・ワッカ 1では柳澤が奴田原に7秒差のベスト。4.63kmのSS4リクベツ・ロング1では奴田原が柳澤に0.4秒差で応酬する。SS4終了時点でトップは奴田原、2.1秒差で2位に柳澤、21.7秒差で3位勝田がつける。思った以上に振るわない勝田だったが、陸別でのサービスを挟んで序盤のループとなる中盤戦に向けて再スタート。SS5のニュー・アショロ・ロング2で勝田がこのラリーで初めてのベスト。続くSS6ヤム・ワッカ2では柳澤に8.7秒差の2位、SS7リクベツ・ロング2ではベストから1.7秒差の3位で上がる。トップは柳澤に入れ替わり、勝田は13.8秒差の3位で再び陸別のサービスに戻ってきた。「感覚的にまだここのコースに合わせ切れていない部分はありますが、SS5ではトップが獲れたし残りのステージは行けるんじゃないかなと思います」と勝田。そして、三回目となるSS8のヤム・ワッカ3に向けて走り出した。 SS8で勝田はコメント通り2位に8.3秒の差をつけてベストタイム。トップを走る柳澤を5.5秒差で追撃する。そして迎えたSS9最長のニュー・アショロ・ロング3。ここで勝田と奴田原は、17分12秒9と全くの同タイムを刻みベスト。トップを走る柳澤を10.3秒引き離し、勝田は今回のラリーで初めてトップに立った。最後のSS10は、2.54kmのスーパーSSサツナイ・リバー 2。苦手のショートSSも奴田原の2.6秒落ちの2位で上がり、勝田はLeg1トップで終了した。2位には奴田原が上がり、柳澤は3位と上位3台が10秒位内にひしめき合い混戦が予想された。

奇跡の大逆転劇に初めは何が起こったのか分からなかった。「ポディウムの並び順を指示されて初めて何が起こったのか分かった」とコ・ドライバーの足立さやかも語る。

あけてLeg2は6.12kmのオトフケ・リバース、11.03kmのホンベツ・リバース、10.4kmのパウセ・カムイ3本のSSを2回、そして最後にスーパーSSのサツナイ・リバーを2回という8SS計60.2kmで争われる。まずはオトフケ・リバース1で奴田原が飛び出した。勝田に7.2秒差をつけてSSベストを記録しトップを奪い返すと、SS12ホンベツ・リバース1、SS13パウセ・カムイ1、SS14のオトフケ・リバース2の4連続ベストで勝田に14.1秒差のトップで北愛国のサービスに戻ってきた。このまま奴田原の逃げ切りか? そんな雰囲気がパドックに漂い始める。だが勝田は、サービス後のSS15ホンベツ・リバースで6分50秒4でまたも奴田原と同タイムベストを刻み、あきらめない。一騎打ちの勝負となったSS16パウセ・カムイ2で5分53秒1の奴田原に対して勝田は5分54秒2。1.1秒差で奴田原と勝田の差はこの日最大の15.2秒となってしまった。残るは。2.54kmのスーパーSSサツナイ・リバー2本のみ。ショートSSを苦手とする勝田だったが、終始スムーズな走りを見せるとタイムは1分22秒4。続く奴田原だが思ったほど伸びてこない。タイムは1分25秒8と勝田に3.4秒のビハインド。実はこの時、奴田原はマシンに異変を感じていた。11.8秒に縮まった奴田原との差。最後のSS18、2.54kmでひっくり返すことが出来るのか? 先行の勝田はまたも快走を見せ1分22秒8でベスト。続く奴田原だが、明らかに調子がおかしい。奴田原は、なんと12.8秒遅れの1分35秒6。最終のスーパーSSで勝田の劇的、いや劇的すぎる大逆転優勝が決まった。「走り終わって、みんなから声をかけられても信じられなくて。ポディウムの並び順を指示されて3、2、1位? へ? って初めて何が起きたのか分かって(笑)」と足立、「Leg2に入ってそこそこ追いついけてたんですが、やっぱヌタさんは速い!今まであそこまでグラベルでヌタさんに近づけたこと無いんですよ。でも怖いですけどね。チャンピオン争いは次戦に首の皮一枚つながりましたね。(勝利の)女神が降りたね」と興奮を隠しきれない様子。最大係数2.5のかかる大一番で、Leg1を1位、Leg2は2位での優勝とポイントを稼いだ勝田。得意のターマックでの残り2戦でチャンピオン争いが決する。

2008年以来のラリー北海道参戦となる関根正人/石田裕一のミラージュ。「車種が違うことで得手不得手がはっきり出て楽しかったです。また出てみたくなりましたね」と関根。

バラエティあふれるエントリー車両とともに人気の高いJN3クラスには、今回も多くのエントリーが集まった。なかでも注目は第4戦洞爺から3連勝で北海道に乗り込んできた横尾芳則/船木一祥(86)だ。シリーズランキングトップで北海道に乗り込んできた横尾だがラリー北海道への参加は今回が初めて。「想像していた以上にいろんなタイプの道が入り交ざっていて、正直どこに照準を絞ろうか決めかねているんです。だけど、ハイスピードなコー スはハチロクにとっては得意な道なんで、そういうところで稼いで、道が悪いところは 押さえながら丁寧に攻めていきたいと思っています」と出走前に語る。そしてラリーがスタート。まず飛び出したのが鎌田卓麻/市野諮(BRZ)だ。JN4クラスに迫ろうかというタイムを連発しSS1、2で連続ベスト。これに食らいついたのが地元の関根正人/石田裕一(ミラージュ)だ。SS3で鎌田を逆転すると続くSS4でもベストを刻み、17秒差のトップに立つ。だが最長のSS5ニュー・アショロ・ロング2で鎌田が逆転。SS6、7と鎌田が関根を抑えるがSS8でマシントラブルが発生し下位に落ちるとそのままリタイア。Leg1終了時点でトップ3台は関根、22.1秒遅れの2位に香川秀樹/浦雅史(インテグラ)、さらに29.3秒後に横尾がつけるという展開だ。

初めての参戦となるラリー北海道だったが、Leg2の怒涛のプッシュで2位に浮上した横尾芳則/船木一祥の86。チャンピオン獲得に王手をかけて残りのターマック2連戦に挑む。

あけてLeg2、SS11のオトフケ・リバース1では4分34秒6でSSベストを記録した関根が香川との差を徐々に広げ始める。だがSS12に入ると横尾が7分39秒4のブッチギリSSベストで2位香川との差を9.3秒縮める。ここから横尾の激しいプッシュが始まる。SS13で9.6秒、SS14で1.3秒と香川を上回り迎えたSS15、この日2回目のホンベツ・リバース2。ここを1回目と同タイムの7分39秒4で上ると、香川に0.9秒差をつけて2位に浮上。続くSS16でも5.5秒上回りガッチリと2位をキープ。残る2ステージで順位の変動はなくミラージュ、86、インテグラと異なるマシンで繰り広げてきた激しいトップ争いは、関根ミラージュが制した。「(ミラージュが)速いのは分かってましたから(笑)。車種が違うということで得手不得手がはっきり出ているので、すごく楽しかったです。実はSS6の2回目のヤム・ワッカのゴール手前2.5kmくらいでドライブシャフトが折れてたんですね。鬼門の陸別を走り切れてラッキーでしたね。その後のサービスで交換出来ましたから。そこから香川くんと横尾くんとの戦いに頭を切り替えました。Leg1を終えて22秒差。これじゃセーフティーリードというわけにいかないので、Leg2の1周目は道の良い時に少し稼がなきゃということでアタックしました。(SS13)パウセ・カムイで(香川に)9秒勝ったので、2周目は少し抑えめに行こうかな?と話していたんですけど、今度は2位が入れ替わっちゃって(笑い)。また(SS16)パウセ・カムイを少し頑張ってリードを広げることが出来ました。ラリー北海道は、2008年のブーンで勝って以来ですね。全日本も5年ぶりのエントリーなので。全日本は楽しかったので、また出てみたくなりましたね」と関根。強豪の参戦で盛り上がるJN3クラスもみてみたいところだ。一方2位に入った横尾はシリーズチャンピオン獲得に王手をかけた。10月11~13日に行われる次戦、「第41回M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ」での活躍を期待しよう。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014