第7戦 9月30日(金)~10月2日(日) RALLY HOKKAIDO
JN-4勝田、JN-2天野、2年連続チャンピオンを獲得!

多くのステージにギャラリーポイントが設定されているラリー北海道。今年は平年より寒い天候だったが、朝早くから沿道を含め多くの観客が観戦に訪れていた。

2011年の全日本ラリー選手権も今回の第7戦ラリー北海道を含め残り2戦。チャンピオン争いもいよいよ佳境に入ってきた。このラリー北海道は例年アジアパシフィック選手権と併催で開催されており、道東の帯広市を中心に北はオーロラで有名な陸別町まで通常の全日本とは比較にならない広範囲なステージを構成、主催者の努力と周辺自治体などの積極的なバックアップで、10周年を迎える国内ラリーの一大イベントにまで成長した。日本でWRCが開催されない今シーズン、国内最長距離を走るイベントでアジアパシフィックを含め国内外から70台以上がエントリーしている。

勝田にとってSS8以降は、ひときわ長いステージに感じられたのではないだろうか。今シーズン、マシンとダンロップタイヤが引き出してくれたリタイアゼロが勝田とチームにとってのなによりの勲章。

スペシャルステージは金曜夜のセレモニアルスタートを皮切りに、Leg1(全日本選手権ではDAY1と表現)がスタート。帯広市内北愛国のサービスパークに隣接する1.2kmの「SSS OBIHIRO」で始まり、翌土曜日も朝からLEG1が続き「ASHORO LONG」19.84kmと、今ラリー最長で全日本屈指のロングステージ28.41km「NEW KUNNEYWA」を各3回、帯広から100kmほど北に位置する陸別町の林道ダートコース「陸別サーキット」を使用した4.63km「RIKUBETSU LONG」を2回、そしてこの日の最後に「SSS OBIHIRO」を2回走行する。最終日のLeg2は6.29km「OTOFUKE」、9.98km「PAWSE KAMUY」を2回、10.78km「HONBETSU」を3回走り、最終SS「SSS OBIHIRO」でゴールするステージレイアウトとなっており、SS総距離が230kmで獲得できるポイント係数も2.5で通常のイベントでは優勝が10点のところが25点と今回の結果いかんではシリーズランキングのどんでん返しもありうることから、何が起きるかまったく予断を許さない。JN-4クラスと総合のチャンピオン争いは前戦の洞爺でシリーズリーダーに返り咲いたダンロップユーザーの勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)、2位以下には奴田原文雄/佐藤忠宣(ランサー)、福永修/奥村久継(ランサー)が続いている。この上位3クルーに前戦洞爺で2位入賞した柳澤宏至/中原祥雅(ランサー)や復調の兆しが見えてきた石田正史/竹下紀子(ランサー)が優勝を目指してしのぎを削ることになるだろう。

今のコ・ドライバーとコンビを組むようになって2シーズンで2連覇。チャンピオン獲得率100パーセント。このチームにとって足立さやかは、まさに勝利の女神だ!

シリーズリーダーの勝田にとって今回の目標は、「優勝を目指すのはいつものことですが、何としてもヌタ(奴田原)さんより前でゴールすることが一番。リタイアせず何がなんでも完走!」と語り、最終戦の新城に向けての優位を広げることが2年連続のチャンピオン獲得への彼の描いたシナリオのようだ。最初のステージは金曜夜に開催されるSS1。まずは奴田原がベストを取り、柳澤が2番手、勝田は5番手ながらステージの距離が1.2kmと短いため、その差はわずか1秒4にすぎない。そして翌日のSS2から競技は本格的にスタート。19.84kmの「ASHORO LONG 1」では柳澤が奴田原を12秒6引き離すステージベストをマークし首位に浮上、これに石田、勝田が続いている。この後のステージでも柳澤はSS4をのぞきSS6までベストを連発、じりじりと後続を引き離しにかかって行く。2位に奴田原、3位には勝田が続くのだが、勝田のターゲットはもちろん奴田原。首位のことは気にせず、2位奴田原とのタイム差にのみ全神経を集中させてステージを攻略していく。この日3回目のショートサービスが目前のSS7「RIKUBETSU LONG 2」。勝田は4.63kmの短いギャラリーステージを3分45秒8でクリア。1分後を走る奴田原のタイムが気になるところだが、その奴田原がコース途中で痛恨のコースアウト、走行不能となりリタイアとなってしまう。「今回のラリー北海道ではタイトル争いの決着がつくことは多分ないでしょう。きっと最終戦までもつれ込みますよ。」と語っていた勝田にとって、このあっけない幕切れはすぐには理解できなかったのではないだろうか。結局この日残りのステージと、翌日のLEG2を勝田は慎重に走り2位表彰台を獲得、2年連続通算4度目のタイトルを獲得することとなった。「あのSSは短いながらも、かなりスリッピーで気の抜けないステージでした。自分もかなり怖い思いをしましたが、ヌタさんがリタイアするなんて思ってなかったので驚いています。LEG1中盤で勝負が決したことで、前後のタイムを見ながら、残りのステージを確実にゴールすることだけを考えて走りました。まさか今日タイトルが決まるとは思ってなかったのでびっくりしています。まだ最終戦が残っているので勝利に向けて全力で臨みます。」と笑みを見せながら勝田は語ってくれた。

JN-4などの重量級マシンが作った轍のステージで、傷ついたマシンをいたわりながら走りきった天野は見事サバイバルラリーを制し、2年連続のタイトルを勝ち取った。

ランキングトップで第7戦を迎えたダンロップユーザーの天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)は同じダンロップユーザーで2位の増川智/赤木弥生(ヴィッツ)より上位でゴールするのが絶対条件。ところがこの天野に立ちはだかかったのは、まだタイトルに望みのある川名賢/関根慎二(ヴィッツ)。川名はSS1からラリーをリード、2番手につける田中伸幸/遠山裕美子(ヴィッツ)とステージごとにシーソーゲームを繰り広げ、3位天野以下との差を順調に広げていくのだが、SS6でその一角、川名がコースアウトしリタイアとなってしまう。これでタイトル争いが少し楽になった天野は不調になったマシンをかばいながらも増川との差を気にしつつステージを消化していく。このあと川名の脱落で独走状態になった田中も順調にステージを消化して行くのだが、ゴールまで残り僅かとなったSS15でこちらもコースアウトしリタイアとなり、ついに天野が待望の首位に浮上こととなった。天野にとって厳しい状態のマシンをコントロール下に置きながら、まずまずのタイムでゴールを目指すのは並大抵のことではなかったのかも知れない。SS16以降の残り4本を走りきり今季4勝目、JN-2クラスの2年連続タイトルを獲得することとなった。天野は最後に「発売されたばかりのニューマシンを開発しながらタイトルを目指すのはデータが無いなか苦労の連続でした。それだけに喜びも大きいです。」と昨シーズンとは違うタイトルの重みを味わっていた。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014