第7戦 10月15日(金)~10月17日(日) 第38回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2010
SSで勝ってラリーで敗れた福永修
勝田範彦は2年ぶり3回目のチャンピオン獲得!


勝田は2008年以来、2年ぶり3回目のタイトルを確定。コ・ドライバーの足立は初の栄冠を勝ち取った。

全8戦で争われる今シーズンの全日本ラリー選手権、残りあと2戦となる第7戦目の開催を迎えた。毎年、欠かす事の出来ない開催地の一つ、岐阜県高山市で行われるラリーハイランドマスターズが今年も開催を迎えた。足かけ40年、38回目の開催を迎えるこのハイランドマスターズは国内ラリー選手権を代表する伝統的な一戦である。そしてこのコースの一番の見所はダンロップユーザーのタイトル獲得のチャンス。総合とJN-4クラスの同時タイトルを狙う勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)は7位以上でタイトルが決まり、JN-3クラスの香川秀樹/船木一祥(インテグラ)は3位以上でタイトルが決まる大一番となる。昨年は雨により荒れた展開となったこのハイランドマスターズだが、今年は雨の心配が要らない空のもとで各選手たちは万全の体制でスタートを切った。

勝田の「優勝でチャンピオンを獲る」執念は凄かった。DAY2朝のスパートは圧巻そのもので、見事に目標を達成して見せた。

ほおのき平スキー場の駐車場をサービスパークにSS距離105.25km、総走行距離411.98kmで争われる今回のラリー。一番の注目はJN4クラスのタイトル争いだ。シリーズランキング2位の奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)は、タイトル連覇へのわずかな望みを繋ぎつつ何とか一矢報いたいところ。ラリーはSS1、6.32kmの駄吉林道上りから激しい攻防を見せる。トップゼッケンの勝田が4分38秒6で上がると、奴田原も同じくトップタイムを叩き出す。同じく駄吉林道上りを使うSS2で勝田が4分38秒0を出せば、奴田原も負けじと同タイム。さらにコンマ3秒差で続いていた福永修/奥村久継(ランサー)が4分37秒7のスーパーラップでSS2のベストを奪う。この時点で勝田、奴田原、福永の3人が10分の1秒まで全くの同秒で並ぶという展開。午前中のステージを終え、各車はセレモニアルスタートが行われる高山スキー場へ。ここに設定されたジムカーナのSS3。福永はクラス2番手のタイムを叩き出し、わずかに抜け出す。だが今度は駄吉林道の下りを使うSS4でスピンを喫し、5位まで順位を落としてしまう。この時点でトップに立ったのは勝田。再び高山スキー場ジムカーナのSS5で奴田原に首位を奪われるものの、SS6で再逆転。勝田はセクション1をトップで終えサービスに帰ってきた。セクション2は14.66kmの無数河/牛牧とナイトセクションを含む4つのSS、41.94kmの戦い。この日は一日晴天に恵まれ昼間には20℃前後まで上がる過ごしやすい秋晴れ。各クラスのダンロップユーザーたちは、03Gの安定したトラクション性能を活かして好タイムを刻む。勝田は、2位につける奴田原との差をじわじわと広げ始める。SS7から4連続のセカンドベストタイムと安定した走りを見せ、勝田はトップでDAY1を終える。一方5位に転落した福永だったが、SS6からこの日最終のSS10まで5連続のベストを叩き出し2位にジャンプアップ。勝田との差を1.9秒にまで縮めてきた。

勝田を追い詰めた福永はDAY1絶好調だった。優勝までもう少しだったのだが無念の2位に終わる。次戦に期待大だ!

あけてDAY2。朝夕になると気温は7℃にまで低下。前日使用した無数河/牛牧を逆走で使う今回最長距離のSS11から始まる。波に乗る福永VSチャンピオン奪還を目指す勝田。残すは4本のSSながらも、まだまだ気の抜けない戦いは続く。朝7時50分のサービスアウト、勝田は「絶対ちぎってくる」と言ってスタート。その言葉どおり、この日最初のSS11で2位を4秒近く引き離すスーパータイムを叩き出し、続くSS12でもベスト。2位との差を引き離しにかかる。福永もSS13でベストを出し食い下がるものの、最終SS14で勝田がダメ押しのベストタイム。最後は福永に12秒の差をつけて優勝を飾った。勝田はこれで今シーズン7戦中5勝、1戦を残してのチャンピオン確定。圧倒的な実力を発揮して2年ぶり3回目の王座を奪回した。そして2位に入った福永。SS4でのスピンが悔やまれるが、14秒近くのビハインドを跳ね返してのリザルトは驚異的だ。全14本のSS中、半数近くの6本でベストと勝田を上回るSS奪取率。残る福島での最終戦、そして来年に向けての活躍に期待が高まる。

JN-3の眞貝は前戦新城ラリー同様、上位のクラスを喰う走りを披露、総合7位フィニッシュで今季4勝。タイトル争いに踏みとどまった。

今回15台のエントリーを集めたJN3クラス。シリーズ争いのトップを走る香川秀樹/船木一祥(インテグラ)。2位につける田中伸幸が欠場したため、冒頭に書いたように今回3位以上でチャンピオンが確定する。だが、SS1から出遅れDAY1を8位で終える。これに対して好調だったのは、前戦の新城でも優勝を飾った眞貝知志/田中直哉(インテグラ)。SS1から4連続ベストで序盤戦からラリーをリードする。高山スキー場で行われたジムカーナのSS5こそ4位に終わったものの、SS6から再び4連続ベスト。DAY1で圧倒的なリードを築く。翌DAY2でも最終のSS14で2位に2秒近くの差をつけてベストを出すなど、2日間を通じて圧倒的な速さを見せた。前戦の新城でも13SS中10本を奪取、今回もSS4では総合6位に入るタイムを叩き出すなど眞貝の走りはスムーズそのもの。今シーズンのターマックイベント全戦で優勝の4勝目。残る福島での最終戦で逆転のチャンピオン獲得に望みをつなぐ。シリーズリーダーの香川だが、5位に終わりチャンピオン決定は最終戦までもつれ込むこととなった。

前戦新城ラリーですでにタイトルを決めている天野は、今回も快走。モチベーションを切らす事なく、今季5勝目を手にした。

前戦の新城で、念願のJN2クラスのシリーズチャンピオンを確定させた天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)。その勢いは衰えることがなかった。SS1で2位に2秒、SS2で5.8秒差をつけてのトップ。SS3こそ、青島巧/保井隆宏(フィット)にコンマ5秒差をつけられ2位だったが、残る13ステージ全てでベストタイムを記録。常にJN3クラスのタイムを気にしているとのコメントどおり、クラス違いの圧倒的な強さ。今シーズン5勝目を挙げて、自ら栄冠に花を添えた。


第7戦MCSCラリーハイランドマスターズでは、成立したJN2、3、4の3クラス全てでダンロップユーザーが優勝。JN4クラスでは勝田/足立選手がシリーズチャンピオンを確定させた。11月5~7日に福島県棚倉町周辺で行われる最終戦、「MSCC東京ラリー2010」はグラベル70kmが予定されている。2010年最後のイベントでもダンロップ勢の活躍を期待しよう。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014