今季はどのクラスも混戦模様となり、一戦でも落とせない厳しい戦況。そうした中で、前日に降った雨にタイヤ選択で大いに悩んだのは、チャンピオンの勝田範彦／足立さやか（スバルWRX STI）だった。前日夜の雨は乾いているのか、予報されている雨はいつから降り始めるのか、そうして戸惑いながら迎えたスタート。 ショートステージでは苦手意識が出て今ひとつのタイムに終わったものの、第2セクションの6SS中、4本でベストタイムを叩き出し、SS6で首位に浮上。経験の少ないモントレーに昨年は苦戦したが、今回はステージのタイムも向上し、順調に攻めていく。しかしサービスを終えてラリーパーク隣接のギャラリーステージを走行後に臨んだSS8 Miyama(11.170km)をスタートする頃には、赤城山一帯は激しい雷雨に。バケツをひっくり返したような雨に見舞われ、一気にペースを落とさざるを 得なくな る。さらに続くSS9Akagi-3(6.603km)では、視界も悪化する状況で迎えることになったため、ここで10秒以上をロス、それまでの貯金を吐き出してしまい、首位を奴田原文雄/佐藤忠宜（三菱ランサーエボリューションX）に明け渡してしまう。この後のSS10が天候悪化のためキャンセルとなったため、このまま2位で初日を終えることになる。

激戦区のJN-3は、今回FRマシン勢が活躍を見せた。その中でも安定して速さを見せたのは、選手権リーダーの横尾芳則／木村裕介（トヨタ86）だった。序盤は、同じくトヨタ86を駆る三好秀昌／保井隆宏、このイベントでスバルBRZをデビューさせた鎌田卓麻／竹原静香と三つ巴のバトルを展開。横尾は開幕SSこそ3番時計にとどまったが、SS2でベストタイムをマークして首位に浮上すると、天候の悪化に合わせてハードを履きつつ2本のソフトタイヤをスペアに積んだ横尾は、このタイヤをうまくコンディションの変化に合わせた。「デイ1の雨は、これまで経験したことのないようなひどさでしたが、安心して踏めたので、しっかりとプッシュしてタイムを稼ぐことができた」と語るように、自信を持って安定したタイムを維持。まさにバケツをひっくり返したような雨に見舞わ れたSS8 Miyama-R2(11.70km)では、下位クラスが総合上位に上がってくるような混乱のタイムシートの中でも、きっちりとベストタイムをマークし、 三好、鎌田との差を広げていく。デイ2に入ってからも三好と 鎌田の間では2位争いが激化する一方で、横尾も好調の流れを持続させるように、同じリズムでプッシュを継続。最終SS15のHaruna-UP3(6.814km)をベストタ イムでまとめると、最終的に三好に50.5秒の大差を築いて、前戦に続いての連勝。選手権争いでは単独首位に躍り出た。