第4戦 7月5日(金)～7月7日(日) 2013 ARKラリー洞爺
シリーズ前半の大一番・洞爺でダンロップ勢が3クラスを制覇！
自治体からの協力も強化されている今年の洞爺戦は、セレモニアルイベントも含め例年以上の盛り上がりを見せた。
2013年の全日本ラリー選手権第4戦は北海道。APRCが併催されるラリー北海道の前哨戦として目される「2013 ARKラリー洞爺」だ。北海道ならではの速度域が高いステージを持つグラベル（ダート）ラリーだが、第2戦からグラベル戦が3戦続いてきたこともあり、各車がセットアップを煮詰め調子を築きつつあるタイミングと共に、ここ洞爺がシリーズ前半戦の大一番とも言える。拠点となるのは、洞爺湖文化センター。セレモニアルスタートとフィニッシュが行われるこの本拠地は、洞爺湖温泉街にも隣接している。地元自治体の協力により、積極的なイベントPRが行われ、昨年よりも増えた観戦ポイントには、例年以上の観客が集まった。DAY1は4本のSSを２ループする8SS。DAY2は今回最長10.16kmを含む3SSを2ループする6SSで、計14SSの総ステージ走行距離は80.60km。DAY1は快晴に恵まれ、最高気温は28度まで上昇。前日夜に降雨があったため、朝方は路面が湿っていたが、スタートの頃になるとドライ路面に変わっていった。
滑り出しから波に乗れないクセが出てしまった勝田。DAY1最後の2本でベストタイムをマークし、DAY2での巻き返しを図る。
開幕からシリーズリーダーが目まぐるしく入れ替わり混戦模様が続くJN-4クラスは、今回も波乱が起こった。ダンロップユーザーでディフェンディングチャンピオンの勝田範彦/足立さやか（スバルWRX STI）はオープニングステージのSS1から5番手スタートとタイムが出ない。続くSS2以降も5～6番手と冴えないタイムを連発していく。前戦の福島でマシントラブルにより久しぶりのリタイアを喫していた勝田は「悪いクセが出てしまい、様子を見すぎてしまいました。序盤、控えめに走るのが当たり前になってしまっていて、よくないですね」と本人が首をかしげる通り、滑り出しのペースがなかなか上がってこないようだ。一方、前戦福島で選手権首位に立った柳澤宏至/中原祥雅（スバル WRX STI）はSS6で電気系トラブルによりストップ。優勝争いから脱落してしまっ た。ようやくペースのあがってきた勝田はラスト2本のSSでのベストタイムと柳澤のリタイアに助けられ、DAY1終了時点でなんとか2位につけたものの、首位奴田原文雄/佐藤忠宜（三菱ランサーエボリューションX）には、11秒のビハインドを許してしまう事となった。
開幕戦唐津に続いて今季2勝目を飾った勝田。それでも速さに満足をせず、シーズン後半戦に向けて気合いを入れ直した。
スロースターターの悪いクセを反省してDAY2を迎えた勝田は、イベント最長となるこの日最初の10.16kmステージSS9で奴田原を6秒先行するベストタイムを叩き出すと、一 気にその差を5秒にまで縮める。続くSS10、SS11でも連続でベストタイムをゲット、ついに奴田原をかわして首位に浮上する。その後も奴田原と好戦を展開しながらも、勝田はギャップをキープ。3.6秒差で今季2勝目となるトップフィニッシュを果たした。しかし、滑り出しでの不調に対する自戒の念が強い勝田は、「タイヤは2日間で6本ずつ使いましたが、DAY2の方が距離が長かったこともあり、減りはすこし多かったのですが耐久性には全く問題はありませんでした。サービス以外でのタイヤ交換もDAY2でしか行いませんでしたので、安心して走ることが出来ました。次戦からは得意なターマック（舗装）が続きますが、やらなくてはならないことがたくさんあるし、速さも上げていかなくてはならない。まだまだ足りませんね」と自分に厳しい評価。次から迎える夏場のターマック連戦に向けて、さらに気合いを入れた。
横尾はトヨタ86で念願の初優勝。今回、JN-3クラスは、香川、小倉と、ダンロップ勢が表彰台を独占した。
激戦区のJN-3は、第2戦、第3戦と連勝した上原利宏が参戦をスキップ。選手権リーダー不在のうちにポイントを稼いでおこうと、バトルもヒートアップした。序盤に飛び出したのは、トヨタ86勢。Gazoo Racingで今年から86を駆る2006年のJN-3王者、横尾芳則/船木一祥と、三好秀昌/保井隆宏がトップ争いを演じた。しかしその三好がSS4でコースアウトすると、横尾の相手は、JN-3クラスの猛者、香川秀樹/浦雅史（ホンダインテグラ）に代わった。序盤の遅れを必死で取り戻そうと奮闘する小倉雅俊/木村祐介 （ダイハツブーン）とベストタイム合戦となったが、安定してトップ3タイムをマークした横尾が、香川に10.4秒差を築いてDAY1を折り返した。DAY2も、トップタイムを争うのは横尾、香川、小倉の3人。特に香川は、横尾を目指して猛追を図るのだが、2.8秒及ばず、横尾が逃げ切り86での初優勝を果たし た。「香川さんとのバトルは白熱しましたね。思うように引き離せませんでしたが、 初日に築いたマージンで乗り切れました。四国、福島ではベストも出るけど負けも大きく、遅い区間の原因が分からなかったのですが、今回はその要因がつか め勝負できるようになりました。タイヤは各日6本ずつで回しましたが、2日間合わせて10本でも行けるくらい、全体を通して安定性のある性能を発揮してくれました。次戦から続くターマックでは、簡単には行かないとは思いますが、もちろん勝つつもりで臨んでいきます。ラリー北海道に向けて、相手と勝負できる武器になるよう、さらに速さを身につけたいですね」とタイトル争いに名乗りを挙げた。
最終的に2位を3分以上も引き離して今季2勝目を飾った松岡。一気にタイトル最有力候補に名乗りを挙げた。
今年も開幕からここまで全戦で成立し、昨シーズン来の盛り上がりを見せるコンパクト車両のJN1クラス。スムースグラベルでのパフォーマンスにも注目が集まったが、 開幕SSから激走を披露したのは、前戦福島で今季初優勝を飾り、選手権首位に立った松岡竜也/縄田幸裕（ダイハツ･ストーリア）。SS1でJN- 3にも食い込む総合21番手と、驚異的なタイムを叩き出して見せた。その後も圧倒的な速さでベストタイム を刻む松岡は、自身の速さについて「今回の洞爺でよく分かったのですが、私は轍が苦手のようです。（同クラスライバルの）宇田圭佑（マツダ・デミオ）さんは轍が得意で、それが久万高原の敗因だったようです」と分析。しかしその松岡は、SS6で3速ギアに入らなくなるトラブルに見舞われる。 「3速がなくてもあまりタイムを離されずに済みましたが、DAY2でライバルの 宇田さんがいなくなったので、最終的に2位に3分以上の差をつけて今季2勝目を飾り、選手権争いでも後続を大きく引き離した。「次戦のターマックでは、小泉（茂）さんが出てくると思いますが、彼には開幕戦の唐津でやられているので、（次戦）モントレーではやり返したいです」と頼もしいコメントを残してくれた。
今年の全日本ラリー選手権もシーズンの折り返し。次戦の第5戦「モントレー2013 in 群馬」（ターマック）は7月26-28日、群馬県渋川市で開催される。首都圏からのアクセスも至便な群馬戦から続く夏のターマック連戦でのダンロップ勢の活躍にご期待ください！
