DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第3戦 6月1日(金)~6月3日(日) がんばろう!福島MSCCラリー2012
雨の間隙を縫ってラリーは終了
グラベルステージでもダンロップ勢が大活躍!


金曜日には激しい雨が降り、土曜日のDay1は快晴。日曜日には朝から降雨の予報で、雷まで鳴っていたものの雨は降らない。最終SSが終了する頃に豪雨がステージを直撃した。

全9戦で争われる2012年全日本ラリー選手権は、早くも第3戦と序盤戦を終える。今回は福島県棚倉町を中心として行われるグラベルラリー。ラリーHQとなるルネサンス棚倉は目の前にサービスパークがあり、そこでセレモニアルスタートが行われる。さらに徒歩3~4分でギャラリーステージが観られる。一方、走る選手たちには全16本、63.43kmのSSが用意された。Day1となる6月2日の土曜日は、いわき市まで足を伸ばし、6.18kmのNagakusaKayayama、8.50kmのTsuruishiyamaをループする。そしてギャラリーステージとなる0.50kmのRenaissanceに戻りサービスを挟み、4.30kmのNagareOkada再びRenaissanceの組み合わせをループする9本のSS。日曜日のDay2に入ると、HQといわき市の中間に位置する古殿町を中心にしたステージが組まれる。2.81kmのHigashinobokuyaR、2.76kmのMikabubokuya、5.01kmのMuroOodairagusaの3ステージをループし最終のHigashinobokuyaRを走りゴールする。エントリーリストを見ると全日本選手権に51台、賞典外のイノベーションクラスに3台に併設の東日本ラリー選手権に13台の合計67台。エントリーリストを見ると18台のエントリーがあったJN4クラス、そのうち11台がインプレッサという逆転現象が起こっていた。ここまで33ポイントでシリーズランキングトップをキープしているのは勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)、次いで31ポイントで奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)、3位には柳澤宏至/中原祥雅(インプレッサ)がつける。さらに今回はAPRCで活躍していた鎌田卓麻/竹下紀子(インプレッサ)も参戦。勝負の行方にどう絡んでくるかが楽しみだ。

前戦の久万高原では苦手のショートステージで逆転されてしまった勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)だったが、今回の勝田は違った。グラベルでの速さがさらに増した。

レキが行われた金曜日には雨が降り古殿町のステージを濡らしたものの、いわき市には一滴も降らなかった。土曜日の天気は快晴となり、Day1のステージはオールドライ。絶好のコンディションでラリーはスタートした。オープニングのSS1を制したのは勝田。2位の奴田原は僅差の0.6秒差、次いで2.3秒差で柳澤と鎌田が続く。戦前に予想された有力選手たちの争いが予想された。だが、SS2に入ると鎌田はマシントラブルで脱落。勝田は連続ベストを記録し2位に浮上してきた柳澤に7.2秒差をつける。だが柳澤は引かない。SS3、4と連続ベストで勝田に1.4秒差まで迫る。サービス前最後のギャラリーステージとなったRenaissanceでは奴田原がこの日始めてのトップタイムを記録するものの勝田は2位でトップをキープ。ここまででトップの勝田と2位の柳澤の差は1.5秒、さらに11.2秒差で奴田原というオーダー。Section2はギャラリーステージの近くにある4.30kmのNagareOkadaのループステージ。仕切り直しのSS6で勝田がトップタイムを刻み、柳澤との差を3.1秒に広げる。続くショートステージのSS7は勝田、柳澤、大西康弘/市野諮(ランサー)が同タイムでベスト。ここまで上位3台のオンステージだったラリーにストップをかけたのが高山仁/河野洋志(ランサー)だった。高山はSS8、9とベストを奪う走りを見せ存在をアピール。杉村哲郎/立久井和子(インプレッサ)、牟田周平/加勢直毅(インプレッサ)の2台を抜いて5位に浮上してきた。勝田と柳澤の差は変わらず3.1秒でDay1を終えた。「クルマは問題無し。ショートステージでしっかり走れてるのでリードできてるね」と勝田。苦手のショートステージを克服して、ますますグラベルでの速さが安定してきた。

2日間16本のSSを走って、2位との差はわずかにコンマ8秒。秒差を削り合う激烈な消耗戦を逃げ切って、今シーズン2勝目を挙げた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。

明けて日曜日、気温は前日より下がり山の中には雷が轟く。だが大方の予想を覆し雨は降ってこない……、ドライ路面でラリーDay2はスタートした。勝田と柳澤の一騎打ちとなったこの日、二人の戦いは壮絶を極めた。2.81kmのSS10は、ともに1分56秒7という同秒の2位。続く5.01kmのSS11では勝田が柳澤にコンマ8秒差をつけベスト。だが柳澤も負けていない。2.76kmのSS12で1.1秒返して、その差2.8秒まで勝田に迫る。SS11のリピートとなるSS13では、さらにコンマ8秒詰めてその差2秒。続くSS14、SS15でコンマ2秒ずつ削り取り、その差はわずかに1.3秒!残るSSは2.81km、SS13のリピートステージとなるSS16のみ。プッシュし続ける柳澤の攻勢に勝田は防戦にまわるしかない。互いのチーム関係者が固唾を飲んで注目した最終決戦。先にゴールした勝田のタイムは1分52秒9。対して次走の柳澤は?1分52秒4で上回るが……、わずかコンマ8秒届かない。勝田が逃げ切って劇的な今シーズン2勝目を挙げた!「抑えて逃げるのはしんどい……、最後は眼の色が変わったのが自分でも分かりました」と勝田。丸々2日間で約40kmのSSを走って、その差はわずかにコンマ8秒。まれに見る激戦を制した勝田は、サービスに戻ると柳澤とガッチリ握手を交わした。シリーズランキングトップを守って序盤戦を終えることができた。次戦北海道で行われる「ARKラリー洞爺」から中盤戦の戦いに挑む。

村田康介とのトップ争いにも、ベテランらしく安定した走りで応えていた上原利宏/郷右近孝雄(シビック)。約7年ぶり2回目の全日本優勝は間違いなくうれしかったはず。

86や痛車の参戦などで話題豊富なJN3クラスには14台がエントリー。今回はシリーズリーダーの山口清司がエントリーしていないが、前戦ポイント係数の高い久万高原で完勝。21ポイント獲得と荒稼ぎして、2位につける村田康介/北川紗衣(ブーン)が参戦してきた。グラベル路面で4輪駆動有利の予測から、もう一台のブーンに乗る松原久/香川俊哉(ブーン)のふたりを中心にラリーが展開すると予想されていた。蓋開けてファーストSSを制したのは?上原利宏/郷右近孝雄の駆るシビックタイプRだった。続くSS2を村田が取り返してふたりのトップタイムの応酬が始まった。SS3で2.6秒、SS4で6.6秒のリードを村田から奪った上原。SS5、6、8、9とステージベストで返す村田。だが上原に2.4秒のビハインドでDay1を終える。明けてDay2最初のSS10、2分8秒8のセカンドベストを叩きだした上原に対して、村田は2.5秒遅れの5位。SS11は上原が0.5秒差でベスト。続くSS12は村田が意地を見せ0.2秒取り返す。大きく取り返すことができない村田に対して、ベテランらしいクレバーな走りで安定してタイムを刻む上原。村田との差を徐々に開けてゆく。SS15で1.7秒差をつけると、トータルで村田との差は7.4秒。2.81kmの最終SS16、ここで村田が力尽きた。2分5秒7でベストの上原に対して村田は5.9秒差の2分11秒6。最後は13.3秒差をつけて上原が優勝を飾った。「Day1で村田くんに食らいついて、Day2で勝負!と思ってたので緊張しましたね。Day2では、常に自分が先行して走っているので村田くんのタイムが後で分かりますからね。でも勝てて良かった」と上原。安定したタイムの裏で強いられていた緊張の糸が解けたのか?終始笑顔でコメントした。実はこのリザルトで上原は、2輪駆動時代の2005年第4戦以来約7年ぶり2回目の全日本優勝。うれしさも一層だったことだろう。

SS1からベストを刻むのは好調な証拠。スタートダッシュでラリーの流れを引き寄せた天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)がそのまま逃げ切って今シーズン初優勝を挙げる。

13台のエントリー台数を集めたJN2クラス。開幕から2戦を終え23ポイントでポイントトップに立つのは天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)、前戦の優勝で22ポイントとして肉薄しているのが高橋悟志/箕作裕子(ヴィッツ)だ。JN2クラスは2台の新型車両がシリーズリーダーを賭けて争っている。「今回はLSDをリセットしてきました。ロックさせてトラクションのかかる方向でセッティングしてきました。今のところトラブルは無いし、タイヤもバッチリ合ってますよ」とセッティングに悩んでいた昨年とは打って変わって明るいコメントをしていたのが天野。この言葉に裏付けされるように、今回もSS1から全開の走りを見せてくれた。2位以下を3秒以上引き離す6分56秒6。続くSS2でも2位に5.9秒差、サービスに戻ってくるまで5連続SSベストで2位の高橋になんと26.6秒差で堂々の1位。その後も手綱を緩めることなく走りDay1終了時点で2位に浮上してきた川名賢/小坂典嵩(ヴィッツ)との差は33.3秒に広がっていた。Day2に入ると大量のリードを生かし、2位との差を見ながらの横綱相撲。デイポイントこそ逃したものの、圧倒的な強さで今シーズン初優勝を挙げた。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014