第2戦 4月28日(土)~4月30日(月) 久万高原ラリー
ドライからウエットへと変わった路面状況でも
安定したリザルトを残したダンロップ勢!
晴天となったDay1は、GWと重なったこともあり過去最高のギャラリーを動員した今回の久万高原ラリー。多くの観客がラリー観戦を楽しんだことだろう。
満開の桜が散ったかと思えば、あっという間のゴールデンウィーク。九州で開幕した全日本ラリーは3週間のインターバルを空けて四国へ。4月29~30日にかけて、愛媛県久万高原町にある美川スキー場駐車場を中心に展開された。47台というエントリーを集めた今回のラリーDay1。各地で25℃を超える真夏日となった気温は山の上でも高く、ギャラリーステージとなった美川スキー場でも23℃近くに上る。GW初日ということもあり過去最高の観客が詰めかけてきた。Day1は7.94kmの大谷支線と美川スキー場内の特設会場を3回ループするSSトータル27.45kmで争われる。続くDay2は、トータル31.22kmを設定。今回最長の9.06kmの大野ヶ原線と5.34kmの西ノ川、そしてギャラリーステージ美川スキー場内の特設会場を2周する。レキを終えた選手の口からは、「Day1は下りが中心で、Day2はつづら折れの上りと下りが混在するステージ」との声が聞かれる。気になる天気は、Day1が晴れでDay2が雨の予報。Day1から飛び出して逃げ切りを狙う、長距離のDay2で巻き返しを図る。各ドライバーの胸算用も含め先の見えないラリーとなりそうな予感だ。
今回は後半に入ってのマシントラブルで2位に終わった勝田範彦/足立さやか組のインプレッサ。だが、間違いなく走り勝っていた内容のラリーに明るい顔で会場を後にした。
開幕戦7連覇を達成、Day1&2ともに制し満点の16点をゲット、スタートダッシュを決めた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。ライバルの奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)も自己最上位の2位で12点としっかりと追従してきた。第2戦から3戦連続でグラベルイベントとなる今シーズンの全日本ラリー。SS総距離と路面によって異なる係数はグラベルの方が高く、SS総距離150km以上で最大2.5の係数が獲得ポイントに乗せられる。オープニングのSS1は7.94kmの大谷支線。ここでベテランの石田正史/草加浩平組(ランサー)がトップタイムを記録。次いで柳澤宏至/中原祥雅(インプレッサ)、桑田幸典/澤田耕一(ランサー)が3位。トップ石田から2.1秒差の4位に奴田原、さらに0.5秒差に勝田がつけるというオーダーでスタートした。ラリーはここから上位陣がトップを奪い合う激しい展開に。1.21kmのSS2では奴田原がステージベスト。だが上位5台が同秒にひしめき、柳澤がトップに立つ。2周目に入ったSS3の大谷支線で勝田が柳澤に2.8秒差をつけてベストを奪い、この日初めてラリーリーダーに立つ。SS4では奴田原が渾身の走りで勝田に1.6秒差のベストでトップを奪い返す。ショートステージで速い奴田原をロングで勝田が抜き返す。JN4で恒例となった戦いが展開される。3周目となる大谷支線のSS5でこの日初めてベストを奪ったのは柳澤。だが柳澤から0.3秒差につけた勝田がこのステージ5位に終わった奴田原を抜き返し再びトップに立つ。Day1最終スキー場でのSS6では奴田原が意地を見せベストを奪うも、勝田は0.3秒差につけトップを譲らない。結果はトップ勝田、2位に0.8秒差で柳澤、3位にはSS5での遅れが響いてさらに3.5秒差で奴田原というオーダー。
明けてDay2に入ると、明け方から降り始めた雨はステージ全線をウエットに変えた。勝負所となったSS7は今回最長9.06kmの大野ヶ原線。ここで奴田原が地力を見せ、勝田に3.87秒差のSSベストを記録し2位に浮上。続く5.34km、西ノ川のSS8で奴田原は勝田に0.5秒差で3連続のSSベスト。この時点で勝田と奴田原が43分36.5秒と完全に同秒で並んだ。SS9のスキー場でも奴田原は好調で0.1秒差の4連続ベストで勝田を抜く。コンマ差を削り合う激戦、最終サービスを終え最終セクションにラリー車たちが戻ってゆく。黒く厚い雲から振り続ける雨、勝利の女神はどちらに微笑むか?傾きかけた流れを断ち切るかのようにSS10で激走を見せたのは勝田。なんと奴田原に6.3秒差をつけるスーパーラップでトップを奪い返す。だがこの時……、勝田はマシンに異常を感じてスローダウンしていた。続く西ノ川でのSS11に入るとベストを記録した奴田原と柳澤に遅れること2.4秒差の3位。2位奴田原との差は3.8秒に縮まる。パワーダウンを余儀なくされた勝田は、必死に抵抗したものの最終美川スキー場でのSS12で奴田原に5.1秒差をつけられ7位。ファイナルリザルトは奴田原に1.3秒差をつけられての2位となった。だが、今回のようなトリッキーな展開にも動じること無く戦い抜いた勝田。だが、「Day1でDayポイントを獲れたのが大きいですね。次の福島もいきますよ」と表情は明るい。次戦福島で行われる第3戦での活躍に期待しよう。
出足のSS1こそつまづいてしまったものの、Day1最終のSS6でトップを奪う。残るSSでは圧倒的な強さを見せ、最後は2位に53秒差をつけて優勝した村田康介/平山真理組のブーンX4。
痛車対決にニューマシンの登場など、今シーズン大きな注目を集めているJN3クラス。注目のGAZOORacingの86は、香川秀樹/漆戸あゆみ組のドライブによりグラベルラリーに初エントリーしてきた。だがそんな中で虎視眈々と久万高原ラリー表彰台の中央を狙っていたのが、ブーンX4を駆る村田康介/平山真理組だ。グラベル路面では圧倒的に有利な4輪駆動車。SS1こそ松原久/和田善明組(ブーンX4)から8.8秒差の5位に終わったものの、セクション2に入るとクラス2位に浮上してきた。Day1最後のSS6で、この日3本目となるベストタイムを記録。JN3トップを走っていた宇田圭佑/石川恭啓組(インテグラ)からトップを奪って折り返す。Day2に入ってもその勢いは衰えず最長の大野ヶ原線SS7では2位に10.4秒、続く西ノ川のSS8では20.2秒差と3連続のSSベスト。この時点で2位につけていた山口清司/島津雅彦組(レビン)との差は38.3秒。雨の中でも安定した走りで、終わってみれば53.5秒差をつけ圧勝した。
Day1から追い続けた増川智/赤木弥生組の背中が最終SSを前に突如消えた。激しい走りを見せていた高橋悟志/箕作裕子組のヴィッツが久しぶりの優勝を飾った。
ヴィッツ、デミオなどで争われるJN2クラスには、12台がエントリー。オープニングのSS1では、JN3クラスを上回る総合12位のタイムを叩き出しトップに立ったのは増川智/赤木弥生組(ヴィッツ)。7.1秒差の2位に天野智之/井上裕紀子組(ヴィッツ)、12.8秒差の3位に高橋悟志/箕作裕子組(ヴィッツ)の2台の新型ヴィッツがつける。ここから高橋と天野の2台が増川を追い上げ始めるも、なかなかその差を縮められない。一進一退の攻防の末Day1終了時点では天野が6秒差で2位、さらに5秒遅れで高橋が3位とポジションキープするにとどまった。翌日、雨のDay2のSS7がスタートする。ドライのDay1から激しい走りを見せていた高橋は、ここで天野をかわして2位に浮上。ウエット路面の中、競技車がコースをふさぐと、それ以降の車両には前走車までの最遅タイムが加えられる。なかなかリズムを取りづらい状況の中、トップをキープし続けた増川だったが……。あと2本でゴールとなるSS11西ノ川で自らがコースアウトしてしまう。最終SSを前にトップに踊り出た高橋。2位天野の差は12.3秒。シッカリと走り切ってゴール。2009年の第8戦以来2年半ぶりの全日本優勝を飾った。
振り続ける雨に増えるリタイア車両、そして深く掘れたワダチ。そんな状況でも集中力を途切らさず走り切った山口貴利/山田真記子組のストーリアX4が2回目の全日本優勝を飾る。
5台のエントリーで成立したJN1クラス。こちらもSS1で飛び出した葛西一省/安田弘美(ストーリア)を山口貴利/山田真記子組(ストーリア)が追いかける展開。SS2終了時には7.4秒まで広がった2台の差だったが、SS3で山口がSSベストを叩きだしてトップに立つ。そこからトップをキープする山口。上位クラスが走って深く掘られたワダチ、Day2に入るとウエット路面、そしてリタイアによる最遅タイムの加算など集中が過酷な状況が続く。だがトップをキープし続けた山口が2回目の全日本優勝を飾った。