特別戦 11月13日(日) 名阪スポーツランド Cコース
川脇一晃のラストランに注目が集まったJAF CUP
2011年最後のビックイベントに200台が集結!


全日本ジムカーナから今シーズン限りでの引退を表明した川脇一晃。その川脇がラストランに選んだのは地元名阪スポーツランドで行われるJAF CUPだった。

秋晴れの名阪スポーツランドで200台のエントリーを集めたJAFCUP。全国各地の地区戦を戦い抜いた上位選手と全日本選手権のトップランカーが、同条件で競い合うイベントだ。会場で大きな話題となったのは、全日本SA3クラスチャンピオン川脇一晃のラストラン。その明るい性格から、選手をはじめ多くのファンから慕われた川脇。今回のイベントではラストゼッケンでの出走となった。「ラストゼッケンいうんは、くるよね(笑)。何かねジムカーナデビュー戦の時みたいに緊張しとって、ここ3日くらいよう眠れんし」と笑いながら話す川脇。ラストランということもあり、今回のイベントには勤務先の同僚も多数駆けつけるなど川脇のパドックは多くの人であふれていた。会場内を歩く川脇に多くの人が声をかける。いつもと違う雰囲気のなか、2011年のJAFCUPはスタートした。

今シーズン全国各地でエントリー台数を増やしたPN1クラス。13台の参加があったこのクラスを2本目に逆転で制したのは、地元近畿の村井友樹だった。

今シーズンの全日本をはじめ、東北、関東、近畿地区戦のチャンピオンが参加したPN1クラス。市販車からの厳しい改造制限で純粋にウデの勝負というコンセプトに全日本戦でも参加台数が増え、デミオやフィット、スイフトやCR-Zなど現行車両での戦いが展開されるクラスだ。天候は1本目の曇りから昼頃には太陽が顔を見せる晴れへと変わる。大半の選手がタイムアップを果たした今回。2本目に1分4秒676を叩き出し逆転でPN1クラスを制したのは地元近畿地区4位で選出された村井友樹だ。今シーズンは全日本にも4戦参加してシリーズ9位にもなっている。「今シーズンからPN1車両で全日本に参戦したんですが、思ったような成績を残せませんでした。でも今回のような大舞台で勝てて嬉しいです。ことし1年、2位に入った野口(泰通)さんから一緒に表彰台に立とうと言われていました。それが今回地元近畿勢で表彰台を独占できてホントに嬉しいです」と表彰式で語った村井。2012シーズンに向けて最高の感触を得たことだろう。

今シーズン中盤でロータスエキシージからランサー・エボXに乗り換えた九州のベテラン山家丈夫。2010年のJAF CUPに続き2年連続で2階級制覇を達成した。

ランサー・エボXやGRBインプレッサなど最新の4WDマシンで争われているPN3クラスには7台が参加。全日本トップランカーが不参加のため、混戦が予想されていた。だが戦前から本命視されていたのは、モータースポーツ歴20年の山家丈夫。今シーズン山家は、九州地区戦の折り返しとなった6月26日の第6戦にエキシージからランサーにスイッチ。地区戦のポイントこそ分散してしまいチャンピオン獲得はならなかったが、そこはベテラン。地元九州で行われた全日本戦で3位に入賞するなど速さを見せていた。今回のJAFCUPでは1本目2位に終わったものの、2本目に入ると3秒近くのタイムアップで1分4秒968。クラスただ一人の1分4秒台のタイムで逆転優勝。昨年のN3に続きことしのPN3クラスと、JAFCUP2年連続での2階級制覇を成し遂げた。「今回始めて一緒に走る方たちばかりだったので、どうなるかなと不安だったんですが優勝できて嬉しいです」と表彰台の上でニッコリと笑顔で語った。

今シーズンの全日本ではシリーズ9位と低迷していた西川純一だったが、一発勝負となる今回のJAF CUPでは速さを見せ優勝。その原動力となったのは奥さんの観戦?

23台と多くの参加車両を集めたN2クラスは、各地区のチャンピオンをはじめ全国の実力者がそろった。今回のコース設定は島周りから内周をフルに使ったテクニカルなもの。中でも前半部分に設けられたフリーターンが曲者。スペース内で2回転、アナウンサーが540度ダーンと連呼するターンセクションが設定されていた。N2クラス2本目に入って始めて1分を切るタイムが出て会場内にどよめきが起こる。そしてそのタイムを更新した59秒887と約コンマ1秒かわしたのが、今シーズン全日本9位と不調に終わった西川純一。「今回は結婚した女房を初めて連れてきたんですよ。そしたら優勝できました。コースが短かくて、切り返しがなかったのであんまり名阪って感じがしませんでした。だからとにかくターンに集中しました。これで仲間と一緒に東京(JAFモータースポーツ表彰式)に行けます!」と喜ぶ新婚の西川。勝利の女神を伴侶として2012シーズン全日本での活躍を期していた。

2010年全日本PN3クラスのチャンピオン野尻隆司が、土曜日の公開練習から好調さを見せていたN4クラス。逆転での優勝に来年への活躍の期待がふくらむ。

穏やかな日差しが続く名阪スポーツランド。午後に入ると前半セクションに日陰の部分が増え、思った以上に路面温度が上がらないことも多い。N4クラスは、まさにその時間帯の出走で1~2本目ともに大きなタイム差がつかなかった。そんな中でもアグレッシブに攻め、2本目にタイムアップした選手の多くが上位をゲット。逆転でN4クラスのトップを奪ったのは、2010年彗星のごとく現れ、PN3クラスの全日本チャンピオンを獲得した野尻隆司だった。「今回は(土曜日の)練習から調子が良くてトップが獲れました。S2コンパウンドがマッチしていて、昨日も今日もS2をチョイスしました。JAFCUPで勝ったのは始めてです。ことしは自分のミスで勝ちを逃していたと思うので、ここで勝てて来年につながるかなと思います」と久々の笑顔。多くのライバルがひしめきあうN4クラスで、2012年の活躍を期待したいところだ。

「アニキに最高の走りを見てもらえたかな?」そう語る津川信次が優勝を飾ったSA3クラス。来年はチャンピオン獲得を目指し、一人での戦いが始まる。

川脇のラストランに全日本トップランカーたちがエントリーしてきたSA3クラス。僚友の津川信次に加え、川脇と最後までチャンピオン争いを繰り広げた天満清。この3人が集まれば激戦は必至。主催者の計らいでSA3が最終のクラスとなり、気合の入りまくった川脇を中心にイベントは最後の最後まで盛り上がりを見せた。1本目1分0秒216を叩き出してトップに立った天満。続く津川も正確なフリーターンを見せたものの、1分0秒445とわずかに届かない。ラストゼッケンの川脇がスタート。津川と同じく正確なライントレースに観客の注目が集まる。だが最終コーナーを抜け、ゴール前のパイロンをわずかに動かしてしまい、ペナルティ5秒が加わり1分5秒084。2本目に入ると天満がタイムダウンするが、次ゼッケンの津川は精密を絵に描いたようなライントレースでなんと59秒886を叩き出す。このタイムを聞いてスタートした川脇。スタート後のパイロンを抜けた内周セクション、ハードブレーキングにタイヤスモークが上がる。「津川のタイムを聞いて焦ったかな?」と走行後に語った川脇。そのコーナリングひとつひとつに観客の目が注がれる。ゴールするとタイムは1分0秒130。津川に届かず2位。川脇のラストランが終了した。優勝した津川は、「全日本の最終戦で勝たしてもらって、今回は2位でイイっていってもそんな走りはできないからね。今日は100%の走りができたしね。コレ以上の走りはできないと思う。そんな意味ではアニキにイイ走りを見てもらえたかな?」とコメント。川脇とともにエボXを煮詰め、僚友として戦ってきた津川。その走りを見せることが川脇への最高のはなむけとなったことだろう。

ラストランとなる今回、最後までファンサービスに尽くした川脇。全日本への参加はなくなってもジムカーナへの情熱は消えない。

ラストゼッケンでの2本目を走り終えた川脇。こちらも今回で全日本を引退する谷森とともに観客の前でセレモニー・ランが行われた。走り慣れた名阪スポーツランドを川脇がドリフト走行で走り、観客席の前であいさつを終え会社の同僚やファンに囲まれる。その人波は途切れることなく続く。「今日は勝ちたかったけど、勝ちたいというよりも自分はこんなんやってきたんやでというのを見せとうてね。そしたらすごい面白かったというのを言ってくれてるから、ちょっとでもジムカーナファンっていうのを増やせたのかな?ってね。勝てたらカッコ良かったけど、負けるんなら津川に負けたかった。来年も続けてもらわなあかんし、それに今度始める言い訳にもなるしね(笑)。今回は津川と天ちゃんが来てくれて、自分もすごい気合入ったし、イイ試合やったなぁ」と川脇。知り合いの川脇に勝った津川は、その後どうしてるかなぁ?そんなきっかけでインターネットやYoutubeを探してもらってもイイ。そんな中からひとりでも会場に足を運んでくれたら。ファンを増やすということがジムカーナ人口増加のための第一歩だ。川脇のインタビューからはそんなメッセージが伝わる。表彰式では多くの選手や関係者から川脇との思い出が語られ、皆が引退を惜しんだ。ジムカーナ界を引っ張り続けた“浪速の種馬”川脇兄は、走り慣れた名阪スポーツランドCコースで2011年11月13日に足を止めた。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014