第8戦 10月9日(日) 本庄サーキット
2011最終戦で見せた意地
茅野成樹と津川信次が本庄で優勝を飾る!


秋晴れの中埼玉県の本庄サーキットで行われた2011年全日本ジムカーナ最終戦。シリーズランキング上位120台で争われるイベントで、各クラスで様々なドラマが展開していた。

秋晴れの過ごしやすい天候のなか、全日本ジムカーナ2011シーズンの最終戦が埼玉県の本庄サーキットで行われた。ことしで3年目となる本庄サーキットでの全日本イベント開催。ランキング上位の選手のみが参加できる120台限定のイベント。各クラスのチャンピオンも出そろったものの、最終戦までもつれこんだのがPN1、PN2、N2、N3、SA1、SA2の6クラス。スタート後に設けられた島回りから外周へ、ストレートでは、5速にまで入るハイスピードなコース設定がなされた。ダンロップ勢には、路面状態も含め特に4WD車両に非常に相性の良いサーキットだ。それではさっそく各クラスの結果を見てみよう。

1本目のパイロンタッチから、2本目逆転で優勝を飾った茅野成樹。本庄では3年連続優勝!「抑えてタイムを出す方法がわずかながら見えたことが今回の一番の収穫ですね」と笑顔。

本庄サーキットで行われるイベントではとびきりの相性の良さを見せる茅野成樹。一昨年のイベントから2年連続優勝を飾っている。今シーズンもここまで優勝は無かったものの最終戦には大きな意気込みを持ってエントリーしてきた。だが、それが空振りに終わってしまったか?1本目1分22秒410を叩き出してトップに立ったのは喜勢竜一。茅野はパイロン移動1本で5秒のペナルティが加わり、1分27秒282と下位に沈む。気になるライバルの菱井将文は1分23秒448と4位に終わり2本目に注目が集まった。「1本目S字の先のブレーキングに失敗して、きちんとクリッピングにつけなかった。スタート後の島回りの出口でクリッピングにつくタイミングがずれたのが原因。ずれたタイミングのままS字を走ることになって、ブレーキングの時にリア荷重状態になってしまった。パイロンタッチのペナルティに、この失敗を矯正すれば十分トップを狙えると思ってました」と茅野。2本目に入ると5秒弱のタイムアップで1分22秒247を叩き出す。これにはライバルの菱井も追いつけない。茅野の3年連続本庄サーキットでの優勝が決まった。「もう少しタイムアップする予定だったんだけど、思ったほど上がらなかったね。今日は一日中、弱いながらも風が吹いていたので路面に砂埃がのっていたみたいだね。少しグリップ感の低い個所もあったからね。でも今年エボXで1回勝てたのが大きい。抑えるところはしっかり抑えないとタイムが出ないことを実感しますわ。クルマとドライバーのパッケージングでタイムは出るもの。今回の収穫は抑えてタイムを出す方法がわずかながら見えてきたことかな?」と茅野は久々の笑顔を見せた。苦しみ続けた2011年のシーズン。最終戦で見えた一筋の光明は、2012年の新たな予兆となるか?来シーズンの茅野の活躍を期待したい。

広島のタカタサーキットで行われた第3戦以来、今季2勝目を挙げた津川信次。「勝ってアニキを安心させたいと思ってた」と語る。

N4クラスの茅野同様、本庄サーキットと相性が良いのがSA3クラスの津川信次だ。チャンピオン争いは決してしまったが、シリーズ2位を行く天満清とのポイント差はわずかに2ポイント。今回の最終戦で十分に逆転が可能だ。「(川脇)アニキとシリーズワン・ツーを目指して頑張りますよ」と語っていた津川だが、相性の良さは1本目から発揮された。津川は1分21秒168を叩き出してトップに立つ。2位には1分21秒211と僅差で天満、3位に1分21秒519で西原正樹がつける。2本目に入ると津川はタイムダウン。だが津川が1本目に叩き出したタイムに、上位陣は追いつけない。ただひとりタイムアップしてきたのが川脇一晃だった。1分21秒194と100分の26秒差で川脇が2位に入った。「結果的にアニキとワン・ツーが取れて良かった。アニキの2本目の集中力ってすごいものがあって、このクラスで勝つにはそれくらい集中してないとチャンピオンは獲れない。ことし一年かけてそれをアニキに教えてもらったような気がしますね」と語った津川。今回の最終戦には心中に期するものがあったようだ。

2本目のタイムアップで津川に100分の26秒差まで迫りダンロップ勢でワン・ツー・フィニッシュを飾った川脇一晃。最終戦となる今回のイベントで、今シーズン限りでの第一線からの引退を表明した。

九州のモビリティおおむたで行われた第7戦で3回目の全日本チャンピオンを獲得した川脇一晃。サラリーマンドライバーとして、2足のわらじを履いての全日本参戦。仕事と家庭の両立はもちろんのこと、自分が大好きなクルマも含めてバランスさせることに頭を悩ませる選手は多い。もちろん今どこにプライオリティを置くかは本人次第。その結果として最終戦では、引退や活動休止といった話題も多く上がる。実はこの1年、川脇は心にある思いを秘めて戦っていた。チャンピオンを獲れても獲れなくても、今シーズンで第一線から引退をしようと。川脇のクルマをメンテナンスする井本メカと全国を転戦しながら、ここに来るのも最後やなと確認し合っていたという。川脇が情熱を傾けてきた全日本ジムカーナの最終戦。チャンピオンとしてこのイベントを迎えられたことに感謝し、目一杯走った川脇。結果はトップの津川信次から100分の3秒遅れの2位だったが、悔いは無い。表彰式前に選手たちの主導で、川脇と全日本10連覇を達成した谷森雅彦の引退セレモニーが行われた。その明るい性格から多くの人に愛された川脇。一緒に戦った仲間たちひとりひとりからの言葉に、川脇の目からはみるみる涙があふれた。「ボクはホンマに幸せもんやと思う。もう、言葉にならんわ」そういいながらも、泣いてないと目薬をさして笑いを誘うエンターテイメントも忘れなかった。そんな川脇は地元近畿で行われるJAFカップジムカーナにエントリーした。11月13日に名阪スポーツランドで行われるJAFCUP、ここで川脇の最後の走りを記憶に焼き付けてほしい。

数少ない参戦ながら確実に表彰台をゲットする東山晃。高速サーキットでの戦いとなった今回も、確実な速さを見せて2位に食い込んだ。

こちらも前戦の九州で小林キュウテンのチャンピオンが確定したDクラス。だがこの本庄には一昨年熾烈なチャンピオン争いを展開した東山晃が参戦。今シーズンも数少ない参戦で確実に表彰台をゲット、実質的な開幕戦となった第2戦の名阪で1勝を挙げている。その速さでチャンピオン小林に食い下がった東山。1本目1分16秒502から、2本目1分16秒393にタイムアップして2位に食い込んだ。3位にはシリーズ2位を確定させた村上仁が入るなど、ダンロップ勢も意地を見せてくれた。

全日本で初めて成立した電気自動車とハイブリットカーで争われるAEクラス。この初代ウィナーとなったのがダンロップユーザーの岡本明大だ。2012シーズンでのさらなる成立を期待したい。

ダートラとジムカーナで今シーズンよりスタートしたAEクラス。電気自動車とハイブリット車両で争われるこのクラスに、4台のCR-Zと1台のプリウスが参加し今シーズン初めてクラスが成立した。このAEクラスで安定した速さを見せたのがダンロップユーザーの岡本明大が駆るCR-Z。2本目にはタイムアップして2位の選手をわずかにかわし、初めて成立したAEクラスの初ウィナーに輝いた。また九州で全日本初優勝を飾り、わずかながらチャンピオンの可能性を残したPN1クラスの野口泰通。だが最低条件である優勝をコンマ7秒差でクリアすることができず2位に終わる。来年の活躍に期待したい。今シーズン顕著に台数を増やしたPNクラスの台数は、来年も増えることが予想される。新車のストックに近い状態で争われるPNクラスの魅力が、全国的な流れになった1年だったといえるだろう。11月13日に名阪スポーツランドで行われるJAFカップでのクラス成立状況にも注目が集まるところだ。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014