第8戦 9月20日(日) モビリティおおむた
SA3クラスのチャンピオン争いは最終戦に持ち越し
2010年のリベンジに向け重要な1戦となった!
モビリティおおむたの路面状況は大きく変わっていた。
全日本ジムカーナも残すところあと2戦。今回は、福岡県大牟田市にあるモビリティおおむたに戦いの舞台を移して争われた。モビリティおおむたは、全日本ジムカーナが開催されている中でも屈指のハイスピードコース。全開加速で飛び込む第1コーナーにハイスピードでのS字や、横Gを感じながらアクセルを踏み続ける外周。直線だけではないハイスピードテクニカルに、パイロンセクションが組み合わされる。夏の暑い時期に開催されるイベントだけに、路面温度も高くダンロップユーザーの多くは中高温向けのM1コンパウンドをチョイスしていた。
各クラスのチャンピオン争いも佳境を迎え、決勝当日は朝から緊迫した空気が会場に流れていた。そんな中、残念なニュースが会場に走った。SA3クラスで熾烈なチャンピオン争いを繰り広げている川脇一晃選手。前日の公開練習でマシントラブルが発生してしまい決勝当日のスターティンググリッドに並ぶことができなかったのだ。今回はライバルである天満清選手に優勝され、シリーズポイントで先行を許してしまう。しかし、全9戦6戦の有効ポイントで争われる全日本ジムカーナ。本庄で行われる最終戦の結果次第では、逆転も十分にありうる。最終決戦に向け川脇選手の活躍を期待しよう。
2本目のタイムアップで2位に入った茅野。意地を見せた走りだった。
毎戦限界ギリギリの走りで観客の目を引き付けるN4クラスの茅野成樹。1本目アグレッシブな走りで攻め込んだものの、惜しくもパイロンタッチ。1本目勝負という大方の予想を考えると上位入賞は難しいものと思われた。しかし、2本目渾身のアタックでたたき出したタイムは1分32秒197。これは1本目のタイムから、ペナルティの5秒差し引いてもそれを上回る2本目最速のタイム。茅野は意地を見せてリザルトの2位に自分の名前をねじ込んだ。
「来年に向けて重要なデータが取れた」と語る。2010年のリベンジに期待しよう。
「これまでモビリティおおむたの路面は、舗装骨材の目が粗い。タイヤへの攻撃性が強いため磨耗が進むという印象でした。ところが今回、練習の日に大牟田に着いてみるとなんだか路面が黒いなぁと。走ってみると路面への引っかかりが少ない。これは何だろう?と思ったら、どうやらドリフト走行が頻繁に行われているということがわかりました。骨材の角が取れ、しかもラバーがたっぷりと乗っている。練習走行は、そんな状態からスタートしました。決勝では風が吹いて砂が乗った。タイヤ選択も難しいものになりましたね。 全国各地のサーキットやジムカーナ場の舗装は、走ってみなければ分からないことが多いですね。全日本は、これまでのデータやイメージだけで同じ選択をしていれば勝てるという甘い場所ではない。来年につながるデータが取れたということでも、非常に重要な1戦でした」今回でN4クラスのチャンピオンは決定してしまったが、茅野自身来年に向けて着実な手応えを感じたイベントだった。
川脇の欠場にも2位を死守した津川。
川脇の欠場ということで出走台数が減ってしまったSA3クラス。後半ゼッケンに入り、刻々とタイムアップする。1本目勝負と踏んだ津川信次は1分32秒257をたたき出し、2位に食い込んでみせた。
「最終戦も川脇のアニキを援護しますよ」と津川は力強く語った。
「去年よりもザラザラとした引っ掛かりが少ない、マイルドな路面だと感じましたね。ボク自身、チャンピオン獲得の目がなくなってしまったので今回は少しでもアニキの援護ができればと思ってたんですが……。悔しいけど練習走行~決勝を通じて、どうにもライバルとの差が埋まりませんでしたね。もちろん最終戦の本庄でも援護しますよ。何としてでもアニキにチャンピオンを取らせたい、そういう年ですから今年は」
シリーズ序盤戦とは明らかに異なり、田原の走りが安定してきた。
前戦の鈴鹿で1年半ぶりの優勝を飾った田原憲。その好調を維持して大牟田に乗り込んできた。ダブルエントリーの先に走り、1分34秒364を叩き出しライバルたちの走りを待つ。惜しくも柴田優作、山野哲也にかわされたものの3位。12ポイントをゲットした。
ジムカーナ界の世代交代は、田原たちを中心に動く。そう感じさせる1戦だった。
「とにかくシリーズポイントを1点でも多く獲得するよ。最終戦の本庄は、初めて全日本が開催されるんだよね。本庄サーキットは関東にいた頃RX-7で走った記憶がある。高速からのストップ・アンド・ゴーが多いところだから、きっちりと走るよ」と田原。以前同じカラーリングで走っていた、柴田のシリーズチャンピオン獲得に悔しさは隠せない。しかし、田原たちの世代が確実に力をつけてきているのを実感させる1戦だった。