第8戦 9月2日(日) 鈴鹿サーキット・南コース
予期せぬ天候にも迷い無し!SA2でクラスチャンピオン獲得!
全9戦で争われる全日本ジムカーナ選手権もついに残り2戦となる第8戦。未だ残暑の厳しい三重県鈴鹿サーキット南コースを舞台に、熱い戦いが繰り広げられることとなった。
ここ鈴鹿サーキット南コースは、モータースポーツのメッカである鈴鹿サーキット敷地内、メインコースのすぐ南にある。普段はカートの、また二輪レースの開催コースとして、様々なレースで知られた、モーターファン、ドライバーにとっては馴染み深いコースである。ジムカーナではこのコースをベースに、毎回各コーナーにパイロンが絶妙に配され、ドライバーにとってはテクニカルで気の抜けないコース設定がなされている。
レース開催初日の9月1日土曜日は澄み渡るような晴天が広がり、厳しい陽射しが降り注ぐ中、各チーム決勝同様2ヒートの練習走行を行った。ところが続く2日の決勝レース当日は、前日とはうって変わって朝から分厚い雲が広がるあいにくの空模様、今にも雨が降り出しそう気配となる。しかし午前中は、慣熟歩行が行われる午前7時頃、僅かに雨が降り出した程度で、第1ヒートのスタート直前にはこれも上がり、スタート直前の気温は24℃、路面温度26℃を記録。午後の第2ヒートでもコンディションは変わらず。ダンロップユーザーのタイヤチョイスは全車ディレッツァ03G、S1コンパウンドを選択となった。
チャンピオンを勝ち取った田原のドライブ
SA2クラスではシリーズチャンピオンに王手を掛ける田原憲(RX-7)が第1ヒートから早くもトップタイムをマーク、シリーズチャンピオンに期待が膨らむ。ところが第2ヒート開始早々、序々に雨が降り出しはじめた。誰もがコースコンディションに神経を尖らせながらのドライブとなる。ポイントランキング上位につける選手も例外ではなく、多くのドライバーがミスから自滅、勝負をかけるはずの第2ヒートでタイムを伸ばすことが出来ずにレースを終えてしまう。対称的に車両特性、コースレイアウトとの相性に自信を深めていた田原は、第2ヒート1分26秒091と2位に3秒近い差を広げるスーパーラップをマークする。今季5勝目を挙げた田原はこの結果、見事このクラスの2007年シリーズチャンピオンを獲得した。
喜びをかみしめる田原
田原はレースを振り返り「RX-7は他の車種と比べてウエットな路面では有利なのと、今回の様なスリッピーでテクニカルなコースは自分に向いているのが解っていたので、自信を持ってレースに臨み、優勝、そしてシリーズチャンピオンを獲得できました」とコメントを残した。
粘り勝った津川
SA3クラスでは今回優勝して、最終戦にチャンピオン獲得の望みを繋げたい川脇一晃(ランサー)が気合の入った走りで第1ヒートのトップタイムをマーク。続く第2ヒートは第1ヒートとは違い、小雨の降りしきる状況となったものの、他の選手が次々とベストタイムを更新し、川脇の出したタイムに迫る展開となった。そしてついに川脇のタイムを上回る選手が現れる。同じダンロップタイヤを履く津川信次(ランサー)だ。第1ヒートでも川脇に0.395の差で続いており、その好調を維持して第2ヒートに臨んでいた。そして川脇の第2ヒート。川脇は第1ヒート以上の鬼気迫る走りで各セクションを通過して行く。一番の難関となった最終コーナーに設定された360°ターンも難なくこなしチェッカー、会場全体が川脇のタイムに注目した。そのタイムは第1ヒートのタイムを2秒も上回る1分23秒464これで川脇の大逆転優勝と思われたが、コース上のマーシャルがパイロンタッチペナルティーのイエローフラッグを掲示。まさかのペナルティーによって、第2ヒートのスーパーラップは幻となってしまった。これにより川脇の第2ヒートのタイムは大きく遅れ、結果、津川が今期初優勝を手にする事となった。3位には同じくダンロップを履く大橋渡選手が入り、表彰台には黄色いダンロップのキャップが並んだ。
今季初勝利の津川は満面の笑み
初優勝を飾った津川は「ウエットではあったが、第2ヒートの方が路面は安定していましたし、タイヤも安定したグリップを確保できていたのでトップタイムを出す事ができました。これが今回優勝できた要因だったと思います」とコメントを残している。
つねに全力、茅野のドライブ
続くN4クラスは、前回トラブルで出走できなかった茅野成樹(ランサー)が、その無念を晴らす今季7勝目を飾っている。N4クラスは第2ヒートの天候と路面状況が悪く、全選手第1ヒートのタイムを更新することが出来なかったのだが、茅野はそんな天候の悪化を察知していたのか、第1ヒートから攻めの走りを慣行し、トップタイムを叩きだしていたのだ。 同じく第1ヒートで好タイムをたたき出した梅村伸一郎(ランサー)も、混戦状態となった3位争いに競り勝ち、表彰台を獲得。ダンロップ勢の1、3フィニッシュとなっている。
茅野、貫禄の表彰台
茅野は実際に天候がこうなると予測していたのか?レース後本人へ質問してみたところ「後がどうなるか解らないので、最初からきっちり行くのをモットーにしています」とのコメントが帰ってきた。しかし第2ヒートでも、さらにタイムを伸ばそうとリスク覚悟の走りを見せている。結果はパイロンタッチの為に出なかったものの、勝負への貪欲さを垣間見せた瞬間だった。どのような状態でもベストを尽くす真摯な姿勢がこの好成績を生んでいるようだ。
その他、N1クラスでは早坂剛(ディレッツァ)が第1ヒートではトップに立つなど大活躍をみせ2位を獲得。N2クラスでも西川純一(インテグラ)松本敏(インテグラ)が混戦模様となった同クラスでトップと僅差の2位、3位となっている。両選手ともに第1ヒートではパイロンタッチによるペナルティを受けており、実質1本勝負となった第2ヒートのタイムでの入賞。大きな価値のあるポイントとなった。
波乱あり、圧勝劇あり、様々な様相をみせてきた2007年シーズンもいよいよ最終戦。舞台は九州、有明海を臨む三井オートスポーツランド。どのようなラストが待っているのか。最後まで目が離せない。