第7戦 9月6日(日) 鈴鹿サーキット・南コース
田原憲の復活と吉田隆司の優勝!
終盤戦に入っても勝負はあきらめない!!
全9戦で争われる全日本ジムカーナ選手権も今回で第7戦と終盤戦を迎える。舞台は灼熱の鈴鹿サーキット南コース。中部、近畿の地区戦が開催されるこのコースは選手からも人気が高く、155台のエントリーを集めた。コンマ一秒がシリーズ順位を左右する終盤戦。各クラスのシリーズチャンピオン争いは激しさを極める。そんな今回、勝負のポイントとなったのがスタート後に置かれたダブルフリーターンだった。左~左で回るか? 八の字で回るのか? それとも高速で遅れを取り戻すか? 気温とともに高まる路面温度。1本目、それとも2本目勝負? シーズン序盤の雨模様がウソのように晴れ渡った鈴鹿サーキット南コースで、激戦がスタートした。
1本目のミスを物ともせず逆転で今シーズン初優勝を飾った田原憲。
ダンロップの競技用タイヤDIREZZA 03Gに9月、新たに205/50R16サイズのS1コンパウンドがラインナップに加わった。ロータスエキシージのフロントに装着されたこのタイヤが、田原憲を一気に甦らせた。マシンの仕上がりとともに前戦の浅間台から一気に復調。土曜日の公開練習は3位だったものの、今回は明らかに落ち着いて決勝を迎えた。1本目こそスタート後のダブルフリーターンでミスして下位に沈んだものの、十分な手応えを感じていた。調子の良い時は、すべてに先手を打って対処できる。2本目に入るとライバル選手たちが気にする、ラバーグリップの乗った路面も物ともしない。ダブルフリーターンを八の字でクリアすると中間計時でトップの選手をコンマ5秒引き離す。高速区間でもこのマージンを保ちたたき出したタイムは1分14秒406。
「残り2戦、チャンピオン争いをかき乱すよ」田原らしい強気のコメントも戻ってきた。
「1年半ぶりくらいの優勝かな? ドライバーが楽になったね、曲がるし止まるし。全体にポテンシャルが大きく上がったね! フロントに205を入れたら、オーバーを上手く使えるとタイムが出るね。2本目はリカバリーのしやすさを考えてダブルフリーターンを八の字で行った。2本目に入って走り方を変えたり、セッティングを急遽変更したりした選手もいたみたいだけどね」ダブルゼッケンで先に走る田原。このタイムはライバルたちにプレッシャーをかけ、あせりやミスを誘う。今回の田原は明らかにN3クラスの展開を掌握していた。クラスでただ一人の14秒台、2位にコンマ7秒以上の差をつける圧勝。惜しむは今シーズンのチャンピオン争いに絡めなかったこと。だが残り2戦もまったく手を抜く気はない。表彰式でも田原らしいコメントで会場を沸かせた。
M1コンパウンドを選択した吉田隆司は、得意とする鈴鹿で2年連続優勝!
鈴鹿サーキット南コースをホームコースとする近畿、中部勢の中には全日本選手を上回る速さを見せる選手たちがいる。RX-7で参戦する吉田隆司選手もそのひとり。昨年の全日本第8戦で全日本初優勝を飾った選手だ。今シーズンは近畿地区戦をメインに参戦し、シリーズチャンピオンを獲得。名阪で行われた全日本第2戦にもスポットで参戦している。もっとも鈴鹿を得意とする吉田は、2本目勝負と踏んで迷わずM1コンパウンドを選択。1分15秒260をたたき出しトップに立つ。これに追従したのが同じくダンロップ勢でNS-Xを駆る久保真吾。1本目終了時点で15秒台はこのふたりのみ。2本目に入っても吉田、久保のタイムについてこられる選手はいなかった。結果は1分14秒866で吉田が久保をコンマ11秒上回り、2年連続の優勝を果たす。
ライバルとして仲間として戦ってきた久保真吾とのワン・ツーを喜ぶふたり。
「パイロン区間よりも高速区間を重視してM1コンパウンドを選択しました。1本目は思ったより路面温度が上がっていなかったので、パイロンでタイムを落としていました。2本目は読みどおり路温が上がったのでタイムアップできました」と吉田。2位につけた久保も大阪のモータースポーツショップ、チャレンジャーでマシンをメインテナンスしている仲間。
「吉田選手とは、ジムカーナデビューの時期も一緒。地区戦では、いつも順位も近くて一回くらいは二人で全日本ワン・ツー獲ってみたいねと話していたんですよ。でもコンマ1秒でしょ? 勝ちたかったな……」と久保。今シーズンはライバルに先行を許してしまったSA2クラス。だがこの鈴鹿だけは渡さないという意地が感じられるふたりの走りだった。
1本目、ターンセクションでの失敗から下位に沈んだが2本目に2位につけた川脇一晃。
2本目「目いっぱい行きました」という川脇一晃だったが、コンマ3秒及ばず惜しくも2位に。しかし有効6戦で105に獲得ポイントを伸ばした。シリーズ2位との差は6ポイント。最低限3勝して、そこからの争いというSA3クラスのチャンピオン争いはさらに激しさを増すこととなった。次戦の大牟田は、ハイスピードコースでの争い。「もちろん勝ってチャンピオンを決めたいね」と川脇。残り2戦での活躍に期待しよう!
N4クラス3位の茅野成樹。残る2戦も来季に向けた重要な戦いとなる。
N4クラス茅野成樹は、「目標タイムまでは詰めたんだけど先を行かれました」。トップと同じく11秒台までタイムを詰めたものの届かず3位。チャンピオン獲得は無くなったが、茅野は次戦に向けた準備をスタート。
1~10位までが同秒の激戦。0.08秒及ばず3位の西川純一。
その他にも各クラスでもダンロップ勢が表彰台をゲット。1本目に1分17秒222をたたき出しN2クラス2位につけた西川純一。しかし2本目に入って1位から10位までが17秒台に並ぶという激戦。トップから0.08秒差の3位に終わった西川、得意とする鈴鹿南コースだっただけに思わず「悔しい!」のひとことが口をついて出た。
今季2度目の3位表彰台を獲得した谷津。次戦こそは表彰台の一番高いところか!
すでに谷森のタイトルが決まっているSCクラスでは、SC谷津伸樹が久しぶりの出場にも関わらず3位をゲットしてみせた。今回の3位表彰台は砂川に次ぐ2度目、来年の今頃はタイトル争いに加わっていることに期待したい。
残すは後2戦、一週間空いての9月18~19日に早くも九州の大牟田で全日本ジムカーナ第8戦が開催される、この九州決戦でダンロップ勢の活躍に期待しよう。