第6戦 8月1日(日) ツインリンクもてぎ 北ショートコース
全日本初参戦で5連勝!
野尻隆司が全日本チャンピオン一番乗り



 全9戦で争われる全日本ジムカーナ選手権。後半戦に入った第6戦は関東に戦いの舞台を移す。7月31日~8月1日という本格的な夏に行われる、そのイベント名も「灼熱スラローム IN もてぎ」。インディや国内の最高峰となるフォーミュラ・ニッポン、SUPER GTなどが行われるツインリンクもてぎの北ショートコースがその舞台となる。決勝の日曜日は朝から天候は晴れ。午前中からぐんぐん気温が上がり、パドックでも37℃以上になる場所もあった。水分補給を忘れず熱中症に注意を促す場内アナウンスも、たびたび放送された。
高温域でタレることなく走りきれる03GのM2コンパウンド。九州で初投入されダンロップユーザー達から、確かな手応えが語られている。路面温度はゆうに50℃を超える今回のような酷暑、しかもコースは1分30秒を超える超ロング設定。こんな中M2コンパウンドの性能は、心強い武器となったのは間違いない。では早速、各クラスの戦いを見てみよう。

約1ヶ月間のインターバルも気にさせないアグレッシブな走りで開幕5連勝を飾った野尻隆司(インプレッサ)。

 チャンピオン争いが佳境を迎える後半戦。ダンロップ勢、大注目は驚異のルーキーPN3クラスの野尻隆司(インプレッサ)。開幕から4連勝を続け、ここまでダントツのトップ。前戦の北海道は不成立だったため、約1ヶ月近くをあけてのイベントだ。1本目がスタートし、今回も野尻は青木信太郎とのダブルエントリーで、先に走ることを選んだ野尻はPN3クラスで2番目の出走順だ。スタートして積極的にクルマを動かす走り。一ヶ月のインターバルも全く関係ないのか?外周を大きく使い、スピードが乗ったメインストレートエンドに置かれた2本のパイロンが今回唯一のターンセクションだ。そのターンセクションでも野尻は、アグレッシブさを失うことなくクリアしてゆく。たたき出されたタイムは1分33秒422。この時点で2位を3秒近く引き離すスーパーラップだ。ディフェンディングチャンピオン山野直也の走りに注目が集まる。だが、山野のタイムは1分34秒977。約1.5秒差をつけ野尻がトップで折り返す。

全日本初参戦で初のチャンピオン獲得初めてづくしの1年に、チャンピオン獲得という大きな勲章が贈られた。

 2本目に入ると気温はさらに上昇。強い日差しの中、路面温度も上昇する。こうなるとタイムはなかなか上がらない。野尻自身もパイロンタッチを犯しタイムダウン。2位につける山野も共にタイムダウンし、野尻の開幕5連勝が決定。そして残り3戦のポイントを数えると、野尻を逆転するドライバーがいない。全日本初挑戦で初の全日本タイトルを獲得するという偉業を達成した。
「初めて全日本に参戦させてもらった、右も左もわからないなかみなさんのご協力でチャンピオンを獲得させてもらいました。特にクルマを作ってくれたTアシストの古谷(哲也)さんには大変お世話になりました」と表彰式の会場であいさつした野尻。灼熱の戦いを制し、疲れも吹っ飛ぶチャンピオン獲得となったことだろう。

ド派手なDIREZZAカラーが目を引く金本のエボIX。今回の2位でシリーズポイントも一気にジャンプアップ。

 今シーズン、2度目のエボX優勝となったN4クラス。高速ロングでターンセクションが1箇所だけだったという設定に、エボIXとXの差が大きく縮まった1戦だった。そんな中、菱井将文(ランサー)と岡野博史(ランサー)の2台のエボXに挟まれる形ながら、2位をゲットしたのがエボIXを駆るN4クラスファーストゼッケンの金本辰也(ランサー)。1本目1分32秒602で4位につけた金本だったが、2本目にジャンプアップ。前後に03G、245/40R18サイズのM2コンパウンドを装着した金本は、タイヤのポテンシャルを遺憾なく発揮!ド派手なDIREZZAカラーリングも相まって、その走りは会場で注目を集めた。

前戦の北海道から好調を維持している川北。今回のもてぎでも十分優勝に届く位置で戦いを進め2位ゲット。

 前戦の北海道で今シーズン2勝目を挙げた川北忠(RX-8)。ライバルたちがEK9シビックやEF8CR-Xなど軽量FFで参戦する中、SA1クラス唯一のFR車RX-8で戦いを挑んでいる。その駆動方式の違いが酷暑の戦いで生きてくる。操舵と駆動をともにフロントタイヤで行うFF車は、エンジンの搭載位置も含めフロントタイヤに大きな負荷がかかる。それに対して操舵と駆動が分かれているFR車は、前後平均的に負荷がかかる。その違いが現れたのは午後の2本目、1本目の1分34秒629からコンマ6秒と大きくタイムアップした川北が1分34秒020の2番手タイムをマークし2位表彰台をゲット。まだまだ続く夏の戦い。次戦での川北とRX-8の走りに注目しよう。

100分の17秒という僅差で惜しくも今季2度目の2位に入賞した久保。残すは表彰台のトップのみ!

 大柄なNSXでRX-7勢に立ち向かう久保真吾(NSX)。今回のように高速周回するコース設定では、安定感のある走りで一気にタイムを削ってくる。1本目1分32秒607で3位につけた久保。前後M2コンパウンドを装着した効果は2本目に現れた。一気にコンマ8秒のタイムアップで、トップの選手とのタイム差はわずかに100分の17秒差に詰め寄り2位入賞を果たした久保。十分に勝機のあったと言えるこのもてぎラウンド。SA1クラスの川北同様に夏の戦いで大きく効果を発揮するM2コンパウンドが次戦でも大きな武器となるに違いない。

事前のテスト走行から好感触を得ていた津川信次。手応えをつかんだ2位に、明るい笑顔がこぼれた。

 ランサー・エボリューションIXを駆る天満清選手(ランサー)が開幕5連勝で波に乗るSA3クラス。対するダンロップ勢は、ランサー・エボXで参戦する川脇一晃(ランサー)と津川信次(ランサー)が必死の走りでこれに喰らいつく。今回、セッティングが合ったのは津川。「事前の練習会でスタビライザーのセッティングをいじったら、ここにあった足回りができた。今日の50℃を超える路面温度もすでに織り込み済み。その時にはエボIXと遜色のないタイムを出せていたので、今日はいけるかもと思ってました」と津川。そのコメントどおり1本目、1分29秒241の天満に対し、同秒の29秒957をたたき出した川脇が続く。2本目に入ると29秒091までタイムを上げた天満に約コンマ5秒差で2位に迫ったのが津川だった。「コースに注文付けてもしょうがないんだけど、今回のパイロンセクションが単純なターンだけだったら、十分勝負できててんじゃないかな?シリーズ順位もほとんど決まってしまったんですけど、いいセッティングの方向が見えてきた。残り3戦でどこまで迫れるか? 来年につながるような勝負をしたいね」と久々に明るい笑顔で話す津川。川脇にも明るい笑顔が戻ってきた。パイロンコースのイオックス、カートコースの鈴鹿南、そして最終戦のミニサーキット本庄。後半3戦でエボIXを上回るタイムを出せるか? 川脇、津川の活躍にも期待しよう。

まだまだ続きそうなDクラスチャンピオン争い。2位に入った村上仁は貴重な15ポイントをゲットした。

 ディフェンディングチャンピオン小林キュウテンの参戦で役者がそろってきたDクラス。改造車時代からのライバル参戦で村上仁の調子も上がってきた。1本目こそ2本のパイロンタッチで6位に沈むものの、きっちりと仕上げた2本目にはトップとコンマ65秒差の2位。今回は序盤に3連勝を飾った東山晃がお休みするなど、まだまだ混沌としているチャンピオン争い。後半戦に向けて目が離せない戦いが続きそうだ。


 第7戦の会場は富山県にあるイオックスアローザ。スキー場に作られた広大な駐車場のパイロンコースだ。注目されるのは、毎年ゴール前に設置されるターンセクション。この設定いかんではエボXにも勝機は訪れるかも? 夏真っ只中の8月21・22日に開催される。チャンピオン争いも激化するこの1戦に注目しよう。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014