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第5戦 7月14日(日) 仙台ハイランドレースウェイ レーシングコース
パイロンタッチ続出の大波乱戦
激戦区SA3で野島が待望のクラス初勝利!


パイロンを駆使した難コースと不安定な天候で数々の名場面が生まれた仙台戦。見応えのある展開は、インターネットでの生中継も行われた。

全8戦で構成される2013年全日本ジムカーナ選手権は、早くも後半戦に突入。第4戦から1ヶ月のブレイクを経て、第5戦「ともに、前へ仙台」オールジャパン ジムカーナ イン 仙台ハイランドの舞台となったのは、東北・宮城の仙台ハイラ ンドレースウェイ・レーシングコース。東日本大震災以降、被災地復興イベント としてこのコースで全日本戦が開催されるのは、今回が2度目となる。ご当地ア イドルのコンサートなどの演出でイベントを盛り上げる一方、バックストレートを中心に 使用するコースは、メインスタンド前までコースが延長。パイロンが たくさん並ぶテクニカルなコースで、終盤に待ち受ける360度ターンへの姿勢作りや、それまでのリズムをつかむことが難しく、パイロンタッチも続出。攻めが いのあるコースとエントラント陣からも好評だった。空は雲に覆われ不 安定な天候となったが、時折ポツポツと降る雨は、第2ヒートのSC、Dクラスあたりで強くはなったものの、ウエットタイヤを検討するまでには至ら ない程度だった。

仙台戦の波乱を生み出したパイロンのトラップにかかってしまった鈴木だが、見事な挽回で僅差の2位と、ルーキーとは思えない強さを見せた。

PN3が新設され、86/BRZが抜けたPN2クラスは、前戦スナガワが不成立となったため、今回が今季4戦目。ここまで、昨年王者の河本晃一 (DLラボテックオーリンズZ)が2勝、全日本ルーキーの鈴木孝幸(DL正宗WMエボNTLシビック)が、5月の名阪で1勝をマークしている。しかし、第1ヒートでは、この河本、鈴木が揃って痛恨のパイロンタッチを喫してしまう。気を取り直してタイムアップを目指し、第2ヒートに臨む。まずは1本目トップの森田が1分28.440秒とタイムを更新、トップに立つ。このタイムを目指した鈴木は中間のスプリットも森田とほぼ同タイム。 終盤も鮮やかな360度ターンを決めたが、わずか0秒071届かず2位となっ た。しかし選手権争いでは、首位河本が今回4位となったため、2位鈴木がその差を5ポイントに縮め、シリーズ争いが過熱してきた。

両ヒート合わせて9回のパイロンタッチが記録された大混戦のPN4クラス。難コー スを1回目の走行で合わせ込んだ掛札が大健闘を見せた。

PN4クラスは、パイロンタッチが続出して大波乱の展開となった。第1ヒートは、このクラスだけで6台がパイロンタッチ。今季5連勝中、全日本随一のパイ ロンさばきに定評のある岡野博史さえもが、この罠にかかってしまった。この混乱の中、1分24秒2と、安定した速さでクリアな走行を果たしたのが、掛札雄一(FRTブロケIRS☆DLWRX)。4枚ドアのスバルインプレッサで、マシン回頭性を生かして、軽やかにスラロームを決めて見せた。しかし、さらなるタイムアップを図った第2ヒートでは、その掛札がパイロンタッチ。辛うじて第1ヒートのタイムはトップに陣取るが、最後に迎えるのは第1ヒートで屈辱のパイロンタッチを喫した岡野。パイロンの魔術師とも言われるほどの技を誇る岡野の反撃はさすが にすさまじく、掛札のベストタイムを0秒511更新。しかし、百戦錬磨の岡野を相手に、パイロンタッチがなければ0秒181差まで詰め寄った掛札が今季2度目の2位をマークした。

踏んばりどころのテクニカルコースでいぶし銀の走りを見せた村井が今季初勝利。後半戦への挽回に弾みをつけた。

SCP10ヴィッツのワンメイク状態となっているN1クラスは、Sタイヤを履いてのコンパクトな車両が見せるスピード感ある走りが魅力。PN2クラス同様、前戦のスナガワが不成立となったため、今回が今季成立4戦目となった。ここまでの3戦は、鎌尾邦彦が勝を収めている。しかしその鎌尾は第1ヒート、鬼門の360度ターンの対応が今ひとつ決まらず、3番手タイム。ベストタイムをマークしたのは、今季初勝利を狙う村井勝(DL和合NUTEC小杉 ヴィッツ)だった。しかし2番手タイムの平田有三とはわずか0秒064の僅差。逃げ切りを目指し気合いを入れて第2ヒートに臨む。その村井は、第2ヒートでタイムを1秒858更新する渾身の走りを披露。平田もタイムアップは果たす物の、村井との差はさらに広がった。そして、最大のライバル、鎌尾の走りを待つ。連勝を伸ばしてタイトル獲りの守備を固めたい鎌尾だったが、コース中盤でなんとパイロンタッチ。鎌尾は、最後の360度ターンでも姿勢を崩し、あわや転倒かという場面も見せながら、なんとクラス最下位のタ イムに沈んでしまった。この結果、村井が今季待望の初勝利をマークした。「3連勝されているので、何とか止めたいと思っていました。ここのコースはダンロップと相性が良く、ものすごくグリップしてくれて、おかげで勝つこと ができました」と、表彰台の頂点では、両手を大きく掲げた。

天候も味方につけた野島が、前オーナーの川脇も見守る前でうれしいSA3初優 勝。クラス強豪たちからも祝福を受け、強豪の仲間入りを果たした。

全日本王者経験者の四天王が勝利を分け合いながら、昨年王者の西原正樹が今季勝利に恵まれないなど大混戦となっているSA3クラスは、今季台風の目となっている野島孝宏(DLレイズChalWMランサー)が、その包囲網をついに打ち破った。 川脇一晃が2011年にSA3タイトルを獲得した三菱ランサーエボリューションXを買い取って参戦する野島は、今季、5位、4位、2位、2位と上り調子。しかし前戦のスナガワでは、目前に迫っていた優勝をパイロンタッチで逃し、悔しい思いをしていた。雪辱を晴らすべく仙台に乗り込んだ野島だったが、またしても二度のパイロンタッチで出鼻を挫かれ、1本目はクラス最下位タイムとまさかの滑り出しになってしまった。この1本目は、茅野茂樹(itzzTAクスコDLランサー)が、 2 番手タイムの佐藤裕樹(DL Itzz URGランサー)を2秒以上も引き離す快走を見せた。そして第2ヒート、この茅野が1本目に叩き出したスーパータイムを塗り替える会心の走りを見せたのが、野島だった。茅野の1本目を0.146秒上回るトップタイムを出して、シード勢のスタートを待つ。が、この頃から、フロントガラスを左右するワイパーの動きが早くなってくる。1本目ベストの茅野、西原、開 幕戦勝者の津川信次(DL☆itzz☆URGランサー)は、いずれも絶妙なパイロ ンワークを披露するが、それでも野島のタイムに届かない。そして迎えた最終走者は、奇しくも前戦で今季2勝目を献上してしまった天満清だった。その天満は18秒台に乗せてきたものの、野島のタイムにはわずか0.036秒届かず。野島が1本目の乱調から見事な大逆転を演じて、待望のSA3クラスでの初勝利を手にした。「前回 (スナガワ)での悔しさもあったので、絶対にターンを決めようと練習してきました。最後の方はちょっと雨も降り出してきたので、ずっと雨乞いしてました (笑)それが実った感じで、とてもうれしいです」

第2ヒートは刻一刻と強さを変える雨に翻弄された終盤クラス。1本目でキッチリ走り込んだ高橋が、今季2勝目を勝ち取った。

改造範囲の広いSCクラスは、昨年王者の牧野タイソン、大橋渡、高橋和浩のダンロップ勢が三つ巴のタイトル争いを展開して、面白みを増している。この仙台では、前戦を欠場した高橋(DLCB保険スタッフランサー)が、圧倒的な強さを見せた。トップ3の中で、最初に走行したのは、この高橋。それまでのトップタイムを1秒217も上回る1分19秒543と19秒台に乗せてきた。一方、大橋(DL奥伊吹PRSインプレッサ)は2番手タイム、昨年王者の牧野(DL★PRS速心クスコラン サー)はなんと5番手タイムに終わってしまった。第1ヒートのスーパータイムを叩き出した高橋は、第2ヒートでも逃げ切りたいところ。しかし、SCクラスの第2ヒート中盤頃になると雨足が強くなり始める。さらに高橋の前走者、谷津伸樹のマシンがコース上で停車し、車両移動のために一時中断するハプニングに見舞われる。強くなりつつある雨も気になる高橋は、その後まもなく競技が再開するまでタイヤを念入りに温めてスタートするが、路面の影響もありタイムアップ には至らない。第1ヒートのトップタイムを維持したまま、後続を待つことに なった。しかし、プレジャーレーシングの師弟組、大橋、牧野は共にタイプ アップを果たすものの、20秒台が精一杯。コンディションがよかった第1ヒートで圧倒的な速さを決め打った高橋が、今季一番乗りで2勝目をマークした。「(イベント実況の)阿久津さんがいる時に勝てたことがほとんどないので、今回は勝ててうれしいです。また、SA3の野島さん同様、私も雨乞いをしていました(笑)。タイミングがうまく合ってよかったです」と、混戦の中、頭ひとつ抜け出した喜びを語った。また今回も、このクラスではダンロップ勢が表彰台を独占した。


全日本ジムカーナ第6戦は、東日本を南下して栃木県での開催。「第3回がんばれ日本! チャリティスラローム IN もてぎ」は8月10-11日、栃木県茂木市のツインリンクもてぎ北ショートコースで開催される。終盤の行方を決める真夏の天王山の一戦、ダンロップ勢の活躍にご期待ください。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014