第5戦 7月12日(日) イオックスアローザスポーツランド
川脇一晃がシリーズトップを奪還!
富山県にあるパイロンコース、イオックスアローザ。今回は、天気予報と朝に降り出した雨がタイヤ選択を難しくさせた。
シーズン5戦目となる全日本ジムカーナは、舞台を富山県のイオックスアローザに移して開催された。次戦の浅間台とともに2戦連続でのパイロンコースでの開催。シリーズチャンピオン争いを占うには重要な戦いが続く。スキー場の駐車場に常設されるイオックスアローザは、繰り返された舗装からグリップ力の高い路面と低い路面が混在する。ライン取りによっては、後輪のみ滑りやすい路面を通るコーナリングやターンなど、主催者も選手を試すかのようなコース設定。
そして結果を大きく左右する天候。天気予報では10時と14時頃に雨の予報が出されていた。N2クラス後半には絶え間なく雨粒が落ち始め、路面はセミウェット状態。気温の上がる2本目に合わせ、中温域性能を重視してM1コンパウンドを選ぶか?それともこのまま雨が降ることも考えS1コンパウンドか?勝負の展開に大きく影響するタイヤ選択に、スタート直前まで頭を悩ます選手の姿も見受けられた。
雨にたたられた前半戦。開幕戦以来の2勝目に笑顔が戻ってきた川脇一晃。今回の優勝てシリーズトップの座を奪い返した。
2本目に雨が降ると予想してS1コンパウンドを選択したSA3クラスの川脇一晃選手。雨は結果的にN2クラス後半からN3クラスの間で降ったものの曇りが続き、2本目に入ると雲の間から太陽が顔をのぞかせ気温はぐんぐん上昇。川脇の予想は覆されたものの、今回は入念な慣熟歩行が功を奏した。「この路面やったらこんな挙動が出るやろなというのを徹底的にシミュレーションしました。路面温度が上がってきたら後半のセクションが不安やったんですけど、トラクション性能が最後まで続いてくれましたね。後半にサイドターンが固まって設定されていたのもラッキーでした」
1本目2位にコンマ4秒の差をつけてトップに立った川脇が勢いに乗った。強力な縦方向トラクションを誇る03GのS1コンパウンドは、気温の上がった2本目でもしっかりと性能を発揮。川脇はコンマ3秒のタイムアップを果たし、SA3クラスでただひとり2本とも1分12秒台をたたき出した。待望の今シーズン2勝目!勝利の女神は運をつかもうとする者に味方した。
「ハナから最終戦までもつれると思ってます。最低でも3勝しないと」と川脇。チャンピオン争いの厳しさを物語るコメントだ。
「これまでモヤモヤしていたものが大分スッキリとしました。ジムカーナを始めた頃のような気持ちで必死で走っているのが運を呼んできてくれたのかな?開幕戦と合わせて今季2勝目ですけど、(強豪が集まる)このクラスですからね。最低3つ勝たないとチャンピオンは取れない。ハナから最終戦までもつれ込むことは予想してます」、これでシリーズポイントでもトップを奪回!川脇にはつらつとした表情が戻ってきた。相変わらず激戦が続くSA3クラス。以前ほどターンセクションへの苦手意識が無くなったという川脇。最近ではターンでライバルに差をつける術も身に着けたという。次戦の浅間台での活躍が楽しみだ。
今回は僅差の4位に終わったものの明るい表情だった津川信次。次戦もパイロンコースとなる浅間台での活躍に期待しよう。
川脇の調子が上がればもちろん、僚友津川信次も負けてはいない。前戦、雨のスナガワで優勝を飾り調子は上向きだ。1本目に1分13秒511をたたき出し、3位という好位置につける。しかし……、津川は後半セクションで遅れてしまった。0.07秒というわずかな差で表彰台を逃す4位。「次もパイロンコースが続くので、きっちりとセッティングを煮詰めてこようと思っています。目一杯行きますよ」と津川。今回の4位も原因がはっきりしているのか?意外とサバサバとした表情でコメントしてくれた。シリーズポイントでも3位をキープ。強豪が集まるSA3クラス、川脇・津川のDLコンビでのワン・ツー・フィニッシュを期待しよう。
難しい天候の中でタイヤ選択に悩んだ茅野成樹。それでも3位とを獲得できたのは、懸命に走る茅野の強さかもしれない。
「天気に翻弄された1戦でしたね。2本目は雨だと思っていたのでS1コンパウンドを選択しました。1本目の路面温度では、M1を選べませんでしたね。でも、目一杯走ってトップからコンマ差に抑えられたのは収穫でしたね」 と語るのはN4クラスの茅野成樹。給排気系の変更が認められていないため、より市販車に近い状態で争われるN4クラス。それだけに各クラスともタイムが詰まり、ひとつのミスで順位も大きく変わる。
今回のコースを前半と後半に区切った区間タイムの順位を見てみた。1本目、茅野は前半1位で後半12位。パイロンギリギリまで攻め込む茅野のドライビングスタイル。2本目に入ると前半部分が1位、後半の失敗を取り返して5位。トップからコンマ3秒まで詰め寄っている。マージンなしのギリギリのパイロンワークは、他の選手から驚嘆のため息が出るほど。次戦もパイロンコースの浅間台。元祖「パイロンマイスター」の活躍が楽しみだ。
全日本ジムカーナ第5戦が開催されるのは、千葉県の浅間台スポーツランド。古くはダートラ場から始まり、舗装されてジムカーナ場となった。最近では珍しくなってしまった本格的なパイロンコース設定で有名だ。昨年は、スタート直後に置かれたダブルフリーターンなどがある。主催者の設定を選手がどう攻略するか?
楽しみな一戦だ。