ドライバー
第4戦 6月17日(日) オールジャパンジムカーナ
2本ともウエットコンディションのなか
ダンロップ勢が4クラスを制覇!


2本目に入ると雨脚は更に強まりヘビーウエットコンディションになり、各コーナーには大きな水たまりも。ど派手なウォータースプラッシュを上げながら走る競技車。

序盤戦を終えた2012年全日本ジムカーナ選手権。第4戦となる今回は舞台を北海道に移して開催された。土曜日に行われた公開練習の天気は快晴。ドライ路面のオートスポーツランドスナガワに、北海道らしいハイスピードなコースレイアウトが選手たちの気持ちを高める。だが、翌日の天気予報は午後から雨。1本目勝負となることが予想された。開けて決勝の日曜日。慣熟歩行が始まる頃、どんよりとした曇から我慢できなくなったように雨が降り始める。1本目はなんとかドライで走れるか?期待していた選手たちもウエット用タイヤをチョイスする。前日までの体に染み込んでいた感覚を一気にリセット。それでもブレーキングミスによるスピンやコースアウトが続出する荒れた展開となった。そんな中でもダンロップ勢は各クラスで活躍。早速その模様を見てみよう。

路面コンディションが大きく異なった公開練習から決勝にかけて、危なげない走りでトップの山野直也。第2戦からの3連勝でチャンピオン争いに早くもマジック点灯?

Sタイヤが禁止されているPNクラスで、現在『勝利の方程式』とも言えるのがDIREZZA ZII。チャンピオンを目指す選手でZIIの存在を気にしない選手はいないというほどPNクラス席巻している。PN3クラスを戦う山野直也もその一人。1本目に1分28秒741を叩き出しトップに立つと、2本目に入ってもさらに1分28秒711とタイムアップ。2位に3.5秒という圧倒的大差をつけて3連勝を飾った。「今回は岡野(博史)選手が欠場ということもあって、とにかく勝ちにこだわってました。スナガワの路面はザラザラという印象ですが、ZIIはドライでもウエットでもしっかりグリップしてくれましたね。コントロール性も良くて、とにかく扱いやすいタイヤです。クルマもZIIに合わせて柔らかめのセッティングに変えたので、荷重移動を積極的に使えました。この調子で早くチャンピオンを決めたいですね」ポイントを75まで伸ばした直也。シリーズ中盤戦に入った段階でライバル岡野選手との25ポイント差が、これから大きく響いてくるだろう。鈴鹿サーキット南コースで開催される第5戦、続く仙台ハイランドで行われる第6戦。PN3クラスのチャンピオン争いは、早くもクライマックスを迎える?

初の北海道遠征となった今回の1戦。ウエットコンディションの戦いにパイロンタッチやコースアウトが続出する荒れた展開で、うまくまとめた野尻隆司がN4転向後初優勝を飾る。

慣熟歩行の頃から降り始めた雨は時間が経つとともに強さを増してきた。路面は完全にウエットとなり、Nクラスのダンロップユーザーたちは03GのS2コンパウンドをチョイスする。N4クラスに転向してきた2010年PN3クラスチャンピオン野尻隆司。2年目となる今シーズンは開幕から6位、6位、3位と上向き調子だ。シリーズランキングでも、トップの菱井将文から15ポイント差の4位につけるなど中盤戦での活躍が期待されるドライバー。「北海道に遠征してきたのは初めてなんです」と語る野尻。だが、それが功を奏したのかもしれない。データ化されたセッティングと天気の組み合わせ、当たれば狙いすましたタイムが出る。だが不確定要素の多いコンディションでは、もろくも崩れてしまう場合も……。そんな成果が1本目に出た!うまくまとめて走り切った野尻のタイムは1分23秒730。対して菱井はパイロンタッチ……。2本目に入ると雨は激しさを増し、水はけの悪いコーナーでは大きな水たまりを通過する競技車からウォータースプラッシュが上がる。続出するパイロンタッチとスピン。タイムアップ出来る選手は現れず、野尻が1本目のタイムで逃げ切って優勝。N4クラスに転向してきてから初の全日本優勝に、野尻の顔から大きな笑みがこぼれた。優勝の20ポイントをゲットした野尻は48ポイントとなりシリーズランキングでも、2位にジャンプアップ。トップを行く菱井に3ポイント差と迫った。次戦鈴鹿以降の戦いに、野尻から目が離せなくなってきた。

大方のクラスが1本目のタイムで決するなか、ベテランの茅野成樹は天候と路面の変化を見逃さなかった。2本目に1分23秒548を叩き出し劇的な逆転劇で今シーズン2勝目を挙げた。

競技終了後に行われた表彰式では晴れ間が広がるなど、結果的に走行時間中に雨が降り続いてしまった第4戦。SA3クラスも荒れた展開となった。1本目トップゼッケンの村上公一から4人連続でパイロンタッチが続く。それに引っぱられた訳でもないだろうが……、1分22秒785を叩き出しながらも茅野成樹は2本のパイロンタッチでプラス10秒のペナルティを受け下位に沈む。1分25秒192を叩きだしてトップに立ったのは津川信次。前戦の名阪で待望の今シーズン初優勝を飾り、シリーズランキングでもトップに躍り出た。相性の良いスナガワでの開催ともなれば、何が何でも連勝を飾りたいところ。2本目に入ると大半のクラスが1本目勝負となる展開。歴代の全日本チャンピオン経験者たちが覇を競うSA3クラスともなると、なかなか劇的な展開は予想しづらい。1位津川、2位大橋渡、3位天満清というオーダーのままイベントは終了するのではと思われたが……。

劇的な逆転劇に嬉しさを爆発させた茅野成樹。エボXに乗り換えて以降、ともに二人三脚で必死になって戦ってきたティーアシスト代表の古谷哲也とガッチリ抱き合った。

雨が降り続く2本目のトライ。Nクラスの走行時には、ほとんどの路面でタイヤが水膜を切り裂くような走りが見られた。場内アナウンスでも、1本目のタイムで優勝というワードが聞かれる。だがそんな状況の中でも、天候の回復を強く願う選手がいた。1本目幻のベストタイムをたたき出していた茅野。その願いが天に通じたのか?SA3クラスの2本目が始まる頃になると、雲が薄くなり会場全体が明るくなり始めた。ベテラン茅野は状況の変化を見逃さなかった。スタートすると1本目の津川よりも速い48秒200で前半の高速セクションをクリアする。中速から360度ターンに繋がる後半セクションも1本目と同等のタイムでクリアしてゴールするとタイムは1分23秒548!茅野の執念を感じさせるトライで逆転トップに立つ。続く1本目2位の大橋もタイムアップを果たしたものの茅野には2秒近く及ばない。天満もコンマ4秒タイムアップしたが届かない。最終ゼッケン津川との師弟対決!だが津川はここで痛恨のパイロンタッチ!茅野の劇的な逆転優勝が決まった。「2本目の慣熟歩行の時は、正直ダメだと諦めました。でもスタート前に雨が小ぶりになってきたのが分かったんで、1本目よりもイケました!」と破顔一笑の茅野。マシンメンテンナンスを行うティーアシスト代表の古谷哲也とガッチリ抱き合って喜びを爆発させた。激戦続くSA3クラスで茅野は2勝目一番乗り。シリーズトップは65ポイントで変わらず津川、2位には56ポイントで天満。茅野は戦前14ポイントあった天満との差を一気に詰めて50ポイントの3位。灼熱の中盤戦は気温ばかりでなく熱い戦いが繰り広げられる事となりそうだ。

激しい雨の中、1本目ミスコースと得意の!?展開に持ち込んでしまった牧野タイソン。だが、2本目に入ると集中力を発揮してトップタイムを更新!逆転で今季2勝目を挙げた。

シリーズ参戦を続ける遠征組とともにオートスポーツランドスナガワに乗り込んできた牧野タイソン。高速のコース設定にテクニカルセクションが最後の360度ターン一つという、ランサーには絶好の状況だったが……。1本目は激しく雨が降りしきるなか、『やっちまったぁ~』のミスコース。2本目には気を取り直して走り切り、1分28秒165とトップタイムを更新しての逆転優勝。今シーズン2勝目を挙げ、シリーズランキングでもライバルたちをゴボウ抜きでトップに立った。次戦の鈴鹿で、真価を発揮した走りを見せてくれることだろう。
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Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014