第4戦 6月13日(日) モビリティおおむた
雨が上がった二本目勝負のタイムアップ合戦
ダンロップ勢が各クラス連勝でチャンピオンに近づいた!


梅雨入りとなった九州地方。モビリティおおむたは前日の夜から雨が降り続き、午前中はウェット。1本目後半になると雨が上がり、2本目勝負のタイムアップ合戦となった。

 全日本ジムカーナ第4戦は福岡県大牟田市に、その舞台を移して熱戦が繰り広げられた。中盤戦に入りシリーズの流れをつかみたい選手にとっては息の抜けない戦いが続く。会場となったモビリティおおむたは、全日本ダートラも開催される九州モータースポーツのメッカ。最高速を記録する外周は、常に横Gがかかりながら加速するスリリングなもの。ここから一気に減速して島周りも含めたターンセクションへ。スピードコントロールとともに、路面温度が上がればドライバーには、タイヤマネジメント能力も求められる過酷なコースだ。
 全107台がエントリーした今回のイベント。土曜日に梅雨入りした九州地方。天気は朝から雨。1号車スタートから雨脚は強くなり始め、水たまりができ始める。ヘビーウェットでの戦いになるかと思われたが、中盤から雨は弱まり水が引き始める。空には日も差し始め、2本目勝負の様相を呈し始める。2本目に入ると中盤にはドライ路面が顔をのぞかせ、どんどんとタイムが更新される全日本ジムカーナならではの戦いが展開された。

今回も初めて走るコースとなったモビリティおおむた。そんな中でも逆転の4連勝。野尻の対応能力の高さには驚かされる他ない。

 開幕3連勝で60ポイントを獲得し、堂々のシリーズリーダーに立っているのは全日本初参戦の野尻隆司。2位には、前戦SUGOは欠場となったがダブルエントリーの青木信太郎。そして同ポイントで昨年度PN3クラスチャンピオンの山野直也がつけている。雨の一本目、クラスただ一人1分40秒台をたたき出しトップに立った野尻。全日本初参戦ということで、土曜日に初めてモビリティおおむたを走ったとのこと。いきなり対応力の高さを見せた。2本目に入ると雨はやんだ。ファーストゼッケンの船橋悟が野尻のタイムを上回ったものの、思った以上にタイムが伸びない。野尻とダブルエントリーの青木信太郎が1分39秒台と初めて40秒を切るタイムを叩き出す。昨年のチャンピオン山野直也はあろうことか、コースアウト。最終ゼッケン野尻はスムーズな走りでゴール。タイムは1分37秒311! またも逆転でなんと開幕から4連勝!!

ダブルエントリーする青木信太郎の活躍を喜ぶ野尻。開幕戦の備北以来のワン・ツー・フィニッシュだった。

 「ラッキーでした。他の人がミスしてくれて……」と野尻。周りからは『フロックでも4回は勝てへんで!』とツッコミが入る。しかしこれでポイントはダントツの80ポイント。チャンプ一番乗りも視野に入る。イベント開始から2番目に走るPN3クラス。野尻の活躍はダンロップ勢を勢いづかせてくれる。全日本初参戦、初チャンピオンという栄冠を目指して残りのイベントに入る。

コンマ1秒差で2位をかわして連勝の梅村伸一郎。中盤にかけての連勝でシリーズチャンピオンを狙える位置につけた。

 今シーズンまだ勝利を挙げていない茅野成樹。だがベテランらしく、入賞圏内は絶対に外さないしぶとい走りで35ポイントを稼ぎシリーズリーダーの座を譲らない。2位には3ポイント差、前戦SUGOで2回目の優勝を飾った梅村伸一郎。さらに今シーズン好調の武田宏太郎が続くなど、今シーズンN4クラスではダンロップ勢が上位を独占している。
 前回SUGOで久々の優勝を飾った梅村の勢いが止まらない。路面が乾いてきた2本目、一気にタイムアップ。2位をコンマ1秒差で逆転して2連勝を飾る。

自分のフィーリング優先でチョイスしているS2コンパウンド。梅村のフィーリングとマシンセッティングにベストフィットしているようだ。

 ここ数戦、パイロンタッチ病にかかってしまっている茅野。今回9位と低迷してしまったが…、「攻めた結果だからね。分かっているんだけど、いつも左のリヤをパイロンに引っ掛けちゃっている。そこだけを気にしたら全体の走りに影響が出ちゃうんだけど、次回からはクルマの中にコース図貼りつけて、ココ注意!って暗示かけなきゃダメですね。残りは全部勝つ気で頑張ります」と力強く言い切った。
「なんだかS2コンパウンドとの相性が非常にいいみたいで、クルマとドンピシャに合っている気がします」とは梅村のコメント。今回もSUGO同様に、練習会の時から茅野とは大きな差がついていた。そこでタイヤ選択を自分のフィーリング重視で決めた。結果的にそれが功を奏している形だ。「次回の北海道は初めて全日本でいい成績が取れたゲンのいいコースです。だから楽しみですね」

確かな手応えアリ! エボXの素性が見極められてきたことで、戦闘力が高まってきた。次戦川脇、津川コンビの活躍が楽しみだ。

 今シーズンから新たに投入したエボXで苦しい戦いを強いられている川脇一晃と津川信次。だがモビリティおおむたは、エボXのメリットを大きく生かせる高速コースだ。金曜日から会場に入り入念なセッティングを続けてきた川脇と津川。シリーズでも3、4位につけ虎視眈々と逆転のスキを狙う。
 今回は津川が4位、川脇が6位と低迷してしまったが……、「タラレバばっかり言っててもしゃあないけど、2本目は脱輪とパイロンタッチの10秒が加算されたタイム。これなかったら2位に入ってる。ポテンシャルがあることは十分に分かったね」次戦の北海道に向けてふたりの予測は明るい。これからの活躍に期待しよう。

名阪から3連勝できっちりとシリーズリーダーの座を固めた東山。ウェットでもドライでも安定した走りを見せた。

 名阪、SUGOでの連勝で波に乗りシリーズトップを走る東山晃。それまでもシェアな走りへの評価は高く、今シーズン大きく注目される存在となった。そんなDクラスに開幕から欠場していた、チャンピオン小林キュウテンが突如参加。そんなわけで今回のイベントは、シーズンの行方を占う意味でも重要な1戦となった。
 連勝中の勢いを駆って、雨の1本目トップに立ったのは東山。Dクラスマシンの進化が発揮された2本目のドライ路面。小林は1分25秒772を叩き出し、後続を待つ。しかし、ここでも東山は積極的にアクセルを踏んで行く。タイムは小林をコンマ8秒上回る1分24秒979で逆転。3連勝でチャンピオン獲得に大きな一歩を踏み出す結果となった。観客からの注目が集まるイベント最終走者。その中できっちりとタイムを出してくる逆転する姿は、チャンピオンの資格十分。残りのイベントでの活躍を期待しよう。

イベント最後の走行できっちりと逆転する。今回も東山が叩き出したタイムに観客席から感嘆の声が上がっていた。

 連勝で勢いに乗るダンロップ勢。その他にも、SA2クラスでシリーズ上位につける鰐部光二と久保真吾が今回も、2、3位。そして唯一のGRBインプレッサでSCクラスに参戦する大橋渡が3位に食い込んだ。各クラスで活躍を見せ中盤戦以降に大きく希望が持てる結果となった。
 第5戦となる次戦は会場を北海道のオートスポーツランドスナガワに移し、7月4日に開催される。まるで梅雨前線を追いかけるかのようなスケジュールとなった今シーズンの中盤戦。今回もウェット路面で活躍を見せたS2コンパウンドのポテンシャルで、次戦もダンロップ勢が大活躍を見せてくれるに違いない。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014