第4戦 5月20日(日)スポーツランドSUGOマルチコース
コーナーに高低差のある難しいコースで
ダンロップユーザーが5クラスを制覇!


N1クラス優勝の折茂紀彦選手のヴィッツ

 5月20日、宮城県村田町のスポーツランドSUGOマルチコースにおいて、2007年全日本ジムカーナ選手権第4戦が開催された。スポーツランドSUGOは言うまでもなく日本屈指のレーシングサーキットで、2輪、4輪問わず、東北のモータースポーツのメッカとして広く知られている。その中の「マルチコース」を舞台に、今回の全日本ジムカーナが行われた。このコースは2005年シーズンまで国際カートコースと呼ばれていたところで、元々はレーシングカート用に設計されたものだ。コーナーにはカント(外側部分と内側部分との高さの差)がつけられており、たとえば一つの島回りを通過する間に、カントを「下って上って下る」といった感じで、平面でのターンにならない場所がいくつもある。この独特のコースの中に、今回さらに270度と360度のパイロンターンが設けられたことで、走行時間は比較的短いものの、タイムを出すためのコース攻略がとても難しい設定となっていた。

 決勝当日は朝から曇りで、朝9時の段階で気温15℃、路面温度20℃というコンディション。かなり風があり、体感温度はさらに低い。そのうえ最初のN1クラスが出走後に小雨が降り始め、それが止むと時々晴れ間が見えるという目まぐるしく変わる天候となった。天気予報は午後に晴れるというものだったが、午前の小雨を見た選手たちは、コンパウンドの選択に一層悩まされることになった。現在の全日本ジムカーナでは、N車両とSA車両の各クラスは1本目で使用したものと同じタイヤを2本目でも使わなければならず、1本目出走前にコンパウンドも決定しなければならないルールだ。ダンロップユーザーたちが使用する「DIREZZA 03G」には、ジムカーナ向きの低温域用「S1」と中高温域用「M1」の2種類のコンパウンドがあるが、1本目で勝負する作戦ならばS1、晴れが予想される午後の2本目で逆転を狙うならばM1という選択になるはずで、選手たちは厳しい表情で、出走の数分前まで思案に暮れていた。


今季初優勝の折茂選手

 トヨタ・ヴィッツが競い合うN1クラスは、昨シーズンのチャンピオン早坂剛選手が東北・山形が地元ということで、SUGOのコースも得意としている。その早坂選手が1本目でトップに立ち、2番手には今シーズン東北ジムカーナ選手権にも参戦する折茂紀彦選手がつけて、ダンロップユーザーがワンツー体制で2本目を迎えた。そしてフロントにM1、リアにS1のコンパウンドを選択した折茂選手が、早坂選手の1本目を上回る好タイムでトップに躍り出た。後続の選手たちは2本目でタイムアップするものの及ばず、折茂選手がうれしい今季初勝利をものにした。
「天気予報とにらめっこしながら、2本目勝負になると思っていました。SUGOで開催された東北選手権に2戦出て共に優勝していたので、コースに対していいイメージを持っていたのが有利に働いたと思います」と折茂選手。早坂選手は4位に入賞した。新旧インテグラのN2クラスは、黒岩誉広選手が4位入賞。マツダRX-7などの後輪駆動車が集まるN3クラスでは、野島孝宏選手が3位に入った。

N4クラス優勝の茅野成樹選手のランサーエボIXMR

 三菱ランサー・エボリューションのワンメークとなったN4クラス。昨年のチャンピオンで、今シーズンも開幕3連勝している茅野成樹選手がしぶとく勝ちを拾って4勝目をマークした。茅野選手は前日の公開練習でS1のフィーリングはしっかりチェックしていたものの、決勝では午後の2本目で晴れると予想して、前後ともにM1コンパウンドをチョイス。それが見事に当たり、逆転劇を演出した。
「コンパウンド選びでは、朝まで悩んでいました。風が強かったこともあって、路面に少し砂が浮いていたようなので、抑え気味にして走ったのが、結果としてよかったですね」と茅野選手。そして2位となった梅村伸一郎選手は、茅野選手とは逆に1本目で勝負しようと考えてS1を選択。それで1本目にトップに立つことができた。「練習日にS1を使ったときのフィーリングが良くて、2本目に暑くなってもS1で大丈夫だと信じて勝負しました。グリップ感も十分でしたし、ここまでS1が持ちこたえてくれるとは思っていませんでした。自分としては大正解で、きょうは出来すぎです」と梅村選手は笑顔を見せた。4位に古谷哲也選手、6位に喜勢竜一選手が入賞した。

SA1クラスで優勝の川北忠選手のRX-8

 車両規則で吸排気系への改造が許されているSA車両。1600cc以下の2輪駆動車が出場するSA1クラスでは、ロータリーエンジンを搭載するマツダRX-8を駆った川北忠選手が、約3年ぶりに全日本戦での優勝を成し遂げた。

川北選手は3年ぶりの全日本優勝となった

「午後にはコース上にラバーが残って、コースコンディションが悪くなると予想して、1本目勝負ということで、前後S1コンパウンドを選択しました。勝負どころはターンでしたね。ライバルのCR-X勢も速いので、最後まで気が抜けませんでした」と川北選手。足回りのセッティングもズバリ当たったようで、久しぶりの優勝に感激の面持ちだった。

SA2クラスで3連勝の田原憲選手のRX-7

 1600cc以上の2輪駆動車で競い合うSA2クラスでは、田原憲選手が3連勝となった。前戦の幸田ラウンドでは、前輪にS1で後輪にM1という選択だったが、今回は前後共にS1をチョイスした。
「温度レンジで言うと、きょうはM1かな。でも風が冷たかったのと低速でのターンが多かったこともあって、縦方向のトラクションを稼いでタイムを出す作戦にしました。クルマの走らせ方は1本目と2本目ではほとんど変えていません。1本目でミスしたところを改善して抑えて走りましたが、うまくタイムアップできました」と田原選手。クラスでただ一人1分03秒台をマークしての優勝だった。そして4輪駆動車のSA3クラスでは、今シーズンからSA3に移行した津川信次選手が2位、川脇一晃選手が4位、井上賢二選手が6位に入賞。改造車のSCクラスでは、ランサーエボの谷津伸樹選手が5位、RX-8の永井伸一郎選手が6位に入った。

Dクラス優勝の村上仁選手のYT41

 フォーミュラカーのような外観を持ち、タイヤの接地面に溝のないスリックタイヤを履かせて走らせる改造車のDクラスでは、村上仁選手が 今シーズン開幕戦に続いて2勝目を獲得した。

オーバーオールタイム、58秒120での優勝となった村上選手

「今回はフロントタイヤのフィーリングがバッチリでした。後ろを流さずに走らせることを心がけていますが、狙ったとおりのクルマに仕上げることができました。コース中間の計測タイムも良かったので、今回は胸を張って勝てたことを喜びたいと思います」と村上選手。上野宗孝選手が5位、東山晃選手が6位という結果だった。

 6月10日の第5戦は、海を渡って北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワでの開催となる。初夏の陽気となりそうなスナガワで、ダンロップユーザーたちがどのような活躍を見せてくれるか楽しみだ。


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ニュルブルクリンク2014