第3戦 5月18日(土) 名阪スポーツランド Cコース
昼からの雨で第1ヒート勝負の名阪
小粋なコース設定でダンロップ勢が2クラス制覇!
「午後までもってくれれば…」という期待も空しく、昼過ぎから雨が降り出し、懸念通り第2ヒートはウエットに。PN4以降の全クラスで第1ヒートのタイムでの勝負となった。
開幕から3連戦となった西日本での開催、今回の舞台は奈良県の名阪。前日の時点から決勝当日の降雨確率50%が予報されており、どの時点で雨が降るかがポイントと捉えながらも、雨の見込みは極めて高く見られ、全クラスで1本目勝負を覚悟する状況。そして運命の雨は、昼を過ぎた頃に早くも降り始め、PN4クラス以降は、ほぼ全員がヒート2でタイムアップを果たすことができない展開となった。今回主催者が設定した決勝コースには、270度ターンと360度ターンが、それぞれ広大なセクションに置かれた。ライン取りの幅が広いため、百戦錬磨のベテラン勢さえも、アプローチやライン取りに頭を悩ませることとなり、この結果、初優勝が続出するなど興味深い展開となった。それでいて走行には無理はなかった今回のコースは選手陣からの評価も高く、ジムカーナの新しい可能性をも示唆させた。
豪快なドライビングで人気を誇るアメリカのケン・ブロックばりのターン攻略で圧勝した茅野。SA3クラスはこれで開幕から3戦とも異なるドライバーが勝利を収める混戦模様となってきた。
激戦区のSA3クラスは、棄権者以外全員がヒート1のタイムでの争いとなった。強豪勢の先陣を切った茅野成樹(itzzTAクスコDLランサー)は、今大会の攻略ポイントとなった360度ターンを全開で進入していく豪快なアプローチ。しかしこれが大いに効果を表し、野島孝宏(DLレイズChaiWMランサー)が出していたトップタイムを0.888秒も詰め、1分4秒台に乗せてくる。このスーパータイムを返す者が出ないまま、最終ゼッケン、前戦タカタの勝者、天満清を迎える。しかし、その天満がまさかの6番手タイムに沈み、思い切った走行で2つのターンを攻略した茅野が今季初勝利をマーク。選手権争いでは一気に首位に躍り出た。茅野は「勝因は、ケン・ブロックターンです(笑)つまり、位置なんかどこでもよくて、とにかくエラい勢いで全開で突っ込んでやろうと。小さいクルマは極力入ってすぐターンして行けばいいと思っていた。なんでかというと、入るところで減速するので、そのまま出て行くと減速が1回で済むから。でも、1回加速していって、減速して、また加速することになるけど、そんなこと関係あらへん。とにかく旋回を速くして、慣性でギャンギャン行くのが絶対速いと思った。他のクラスは分からないけど、特に4WDはこれが速い。車速が乗り切らないので、見るとそんなに前には行っていないけど、もっと車速が上がればもっと行ける。やろうと思ったらやれるよ。みんなも後から"茅野ターンがたぶん正解だ"って言ってくれた。ウエットでもね。でも、茅野ターンじゃないんです、ケン・ブロックターンです!今日は全体としてイケイケでしたね。新しいS3は守備範囲が広いですね。下から上まで。そして、ウエットでも、今日勝ったからといって安心してはいけないのですが、それなりに行けるのかなということが今回分かりました。Sに関してはいい方向に向かっていると思います。」
今回の山場となった2つのターンのアプローチで勝負の行方が分かれた津川。新しい発想のコースでも、イメージ通りの走りはこなせているのはさすがだ。
一気にたたみかけるようなケン・ブロックターンが大当たりした茅野と対照的なアプローチを見せたのが、開幕戦を制している津川。キッチリ抑えて最短距離をなぞるラインはイメージ通りに走りこなせたが、それでも茅野のタイムに0.502秒届かなかった。それでもチャンピオンの西原正樹は抑えての2位に入り、選手権争いでも2位を堅守した。津川「土曜日の公開練習は調子がよくて、タイムもトップ。セッティングも決まっていい感じでした。決勝はそれに加え、ターンの負荷が増えました。今回話題のケン・ブロックターンの360ですが、土曜日の時点で自分なりに解析した中では、車速を落として小さく周ろう、と決めていました。またもうひとつ重要な270度ターンも、アプローチの角度を色々考えました。茅野さんは比較的まっすぐに入っていって、ズドンと270度周る感じでしたが、僕はナナメに来てターンをする感じ。それぞれ、自分の方法はうまくやり切ったのだけど、この区間でコンマ4秒くらい差がついていました。360度のところはコンマ15秒くらいの差でしたが、最初の270度のところで大きく遅れたのが、今日の茅野さんとの差ですね。それ以外のコースなりのところは互角で、後半は僕の方が速いくらいだったので、キーとなったターンを、狙い通りには走れはしたけど狙いが外れてしまった、という感じです。目印になるパイロンがあれば、速いか遅いかが分かるのですが、目安になるものがなかったので視覚的には速いかどうかが分からない。それで、ターン区間の入り口と出口のタイムを測ると差が出てしまっていた、というくらい判断が難しいポイントでした。よく熟慮されたコースだったと思います。久しぶりにかなり悩みましたし、1本目で間違いが分かったので、それを修正する2本目で勝負できなかったことが残念ですが、それは仕方のないことですね。今日は最初から1本目が勝負だと分かっていたので。」
全日本フル参戦1年目の鈴木が大金星! 新型タイヤの特性をうまく活かしながらフリーターンをそつなくこなして全日本初勝利をつかんだ。
シビックやZ34で争われるPN2クラスは、ルーキーが活躍する頼もしい展開となった。まだウエットの影響は大きく現れず、第2ヒートでタイムを更新する選手が半数という微妙な状況だ。第1ヒートは、松本悟(DLミューEXMシビック)がトップタイムをマーク。第2ヒートで松本のタイムを更新してきたのが、今年から初めて全日本フル参戦に挑む鈴木孝幸(DLT正宗NTLEVOシビック)だ。松本のタイムを0.380秒詰めた鈴木のタイムを目指し、松本がアタックするも、タイム更新を果たせず。続く森田陽介も3番手タイムで終わり、最後に迎えたのは王者、河本晃一(DLラボテックオーリンズZ)だ。開幕2連勝中の河本だが、この日は第1ヒートで4番手タイムに沈んでおり、タイム更新を狙ってヒート2をアタック。しかし、13秒台にも乗せることができず、まさかの4位で今イベントを終える。この結果、全日本デビューイヤーの鈴木が第3戦目にして初優勝を飾った。2位には松本が入り、PN2はダンロップ勢が1-2フィニッシュを飾った。鈴木「今日の勝因は、2カ所のフリーターンで落とし過ぎず、まんべんなくまとめたところだと思います。Z2はよかったですね。縦で止まるので、ハンドルを切らないところで止まってくれるのがありがたいです。少しGがかかっていても止まりますね。ラジアルで横がないことを意識して、縦で使おうという意識しながら走りました。(ドライだった)金曜日から現地に入っていますが、ずっとくってくれました。この調子で、ずっとやっつけていきたいです。」
ターン進入時のわずかなミスで2位に甘んじた川北だが、勢いは加速し続けている。次戦の活躍も楽しみなひとりだ!
NSX、MR2など個性豊かな車種が集まるSA2クラスは、RX-7とエキシージの対決に注目が集まった。まず中盤ゼッケンでトップタイムを叩き出したのが久保真吾(DLチャレンジャーLT・NSX)。続く新井大輔、松崎充意をも届かず登場したのが川北忠(オートバックス DL RX-7)だ。肝となるターンでわずかなミスがありながらも1分7秒台に乗せてトップに立つ。しかし、続く最終ゼッケン、エキシージの柴田優作がわずか0.053秒上回るトップタイムを叩き出し、そのまま優勝タイムとなった。川北は1歩及ばずの2位で終わったものの、柴田にじわじわと迫ってきており、第4戦以降の展開が非常に楽しみになってきた。また3位には久保が入り、ポディウムの両端をダンロップ勢が収めた。川北「何とか勝ちたかったのですが、わずかに届かなかったですね。1本目、小さなミスがあってタイムを落とした部分があるので、自分の中で完璧な走りができなかったことが悔しいです。2回目のフリーターンの1回目、立ち上がりでロスをしてしまいました。ここのロスでたぶんコンマ1か2ほどあったと思うので、そこをうまくまとめることができれば行けたのではないかという感触がありますね。ただ、オフの間にクルマのサスペンションなどを見直したことの効果が表れてきたり、タイヤも新しくなったことで、開幕から差が詰まってきているので、後半戦に向けて巻き返していきたいです。この先、スナガワ、サーキットの仙台といろいろな特長のコースを迎える中で、未知数ではありますが、新作のタイヤが合ってくれると信じているので、大丈夫だと思います。今のところ新作のタイヤはリアだけに履いているのですが、仙台からはフロントも準備できると思うので、夏場はアイテムが増えてセッティングの幅が広がると思います。RX-7は一見、ハンディがあるようにも見られますが、セッティングを煮詰めてくると、エキシージとは違う部分で速いところがあります。そこをうまく見ていただけたら、観戦も楽しくなると思います。これからも食らいついていきますので、がんばります!」
全日本ジムカーナ第4戦の舞台は一気に北上して、北海道へ。「オールジャパンジムカーナ」は、6月16日、北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワで開催される。