第3戦 6月12日(日) テクニックステージタカタ
初開催のTSタカタサーキットでダンロップ勢が4クラスを制覇!

週末にかけて雨が降り続いたTSタカタサーキット。晴れ間が出たのは土曜日の公開練習午後のみで、決勝はどんよりとした曇り空から雨が降り続き1本目勝負となるクラスも多かった。

全日本ジムカーナ第3戦は会場を広島県にあるTSタカタサーキットにその場を移して開催された。タカタといえば国内屈指の高速ダートトライアル場が有名。その行き届いた路面整備は、一度は走ってみたいコースとして全国のダートラ選手から信頼を集めている。そのコースオーナーが手塩にかけて作ったのがTSタカタサーキットだ。140台と多くの台数を集めた今回のイベント。パドックが上下に分かれてしまったもののコース整備は行き届いており、コーナーのアウト側にタイヤカスが溜まっているようなことは決してなかった。
天候は金曜日の練習会から雨。強い雨脚が続くこともあり、出走前に様々なデータを蓄積しておきたい選手たちにはつらい状況。だが土曜日の公開練習では、午後になると雨の天気予報に反して雲間から強い日差しが差し込んできた。一気に乾き始める路面と高まる気温。夏を思わせるような気候に、選手たちの走りにも気合いが入る。走行を終えたSA3クラスの川脇一晃に話を聞いてみた。「金曜日からの練習で晴れたのは、今日だけ。でもウエット路面ではタイヤがバッチリ合ってるね。津川(信次)もヘビーレインではぶっちぎりでトップやったし、今日のドライでもエエ感じやったしね。中途半端に雨が降るセミウエット状態やなくて、明日は降るか降らんかハッキリしてくれたらエエね!」とここまでに手応えを感じている様子。早速ダンロップ勢の決勝での活躍を紹介しよう。

ティーアシスト期待の竹田宏太郎エボIX。昨年開幕戦では1000分の3秒差という僅差で優勝を逃したこともある。今回は天候も味方につけ念願の全日本初優勝を飾った。

明けて決勝の日曜日。空は朝からどんよりとした曇り。午後からの天気予報は雨、1本目からベストの走りをできるかが勝負のポイントとなる。2本目にもタイムアップの可能性を残せるか?選手たちは、自らの意思ではどうすることもできない空模様にただ願いを込めるしかない。スタートしてすぐに島周り、そこからアップダウンをともなう外周の中高速セクションへ。タイム差のつきやすい大きなS字から再び外周を周り、ショートカットで新設されたターンセクションへ。そこを立ち上がってゴールとなるコース設定。
N4クラス序盤から動き始めたワイパーは、恒常的に動き始め後半に入ると路面はドライからセミウエットへ。優勝候補筆頭のエボXがコースアウトするなど波乱の展開を見せる。そんな中、ギリギリドライ路面で走れた竹田宏太郎が1分30秒577でトップに立つ。竹田といえば古谷哲也が代表を務めるティーアシストから参戦する期待の選手。全日本戦には2006年から本格的にシリーズ参戦を始め、最近では着実に上位にからむ。2010年の開幕戦ではトップからわずか1000分の3秒差で2位になるなど、初優勝のチャンスを狙っていた。竹田に次ぐ2位につけたのは、今シーズンからチームメートとなった茅野成樹。「まだ運転手が慣れなきゃいけない部分も多くて、毎戦勉強中です」とは茅野のコメント。路面はその後、SA2クラスに入る頃には完全なウエット状態となり回復することはなかった。運も味方に付けた竹田は、1本目のタイムで逃げ切り念願の全日本初優勝を飾った。

表彰式でもまじめなコメントに終止していた竹田だが、『ぶっちゃけ嬉しい』と本音も。チームメートとの上位独占の喜びとともに、次に目指すはシリーズチャンピオンだ!

「何から話したらいいのかな……。正直やっとですね。期待されていたことも分かっていたし、長いことかかってしまったんですけど、やっと(古谷さんに)恩返しができたかなと。周りの人からもアドバイスを頂いて、とにかく小さく前に出すことを心がけて走ったら、結果オーライだったという感じです。乗れてた乗れてないという話は別にして、自分の中で走りきれたなという感覚があって、満足してます」と固いコメントの竹田だが、「ぶっちゃけ嬉しいです! それと同時にこれで終わらんともう1回2回といわず3回くらい勝ちたいですね。今までチャンピオンっていうと遠い彼方の目標だったんですけど、身近なものに感じれるようになってきました」とニッコリ。チャンピオン候補が増えるとともに3位に金本辰也、6位に上島弘義とティーアシスト勢が上位を独占。自らが育てた選手たちが結果を残したことを一番喜んでいたのは、古谷代表だったことだろう。シーズン残りのイベントでの活躍を期待しよう。

第2戦名阪に続き川脇一晃とのワン*ツー*フィニッシュを飾った津川信次。横1線に並んだSA3クラスの争いは、これからますます激しさを増すに違いない。次戦北海道が楽しみだ。

1本目から完全にウエットコンディションとなったSA3クラス。金曜日の練習会から有利に事を運んでいたのは津川信次だった。TSタカタサーキットのウエット路面では、他を圧倒するタイム差。そしてドライとなった公開練習2本目でもコンマ差ながら上位に肉薄するなど、しっかりとした手応えを感じていた。決勝1本目、1分31秒150でトップに立った津川。2位には僚友の川脇がつける。2本目に入ると若干雨脚は弱まったかのように見えた。しかし、コース上はあちらこちらに水たまりがありブレーキングミスでコースアウト、土手にヒットする選手もいた。そんな中でも積極的にアクセルを踏んだ津川は、コンマ18秒のタイムアップでSA3クラスでただ一人30秒台にトップタイムを叩き込んだ。津川の走りを見ていた川脇も、「今回は完敗ですね」と祝福ムード。早速、津川のコメントを聞いてみよう。「一昨年本庄での最終戦以来の優勝コメントですね(笑)。今回はドライでもウエットでもゆける手応えを感じてました。実は今回で3週連続タカタを走っている事になるんです。順走、逆走も含めて攻めどころが分かっていたし、その中で雨が降ったときもあった。どこでハイドロが起きるかも分かっていたのは、大きな強みになったかな?」と津川。歴代チャンピオンが集まるSA3クラス。川脇と昨年から悩み続けたセッティングの成果が明確に表れ始めている。次回も優勝を狙えそうですね?と水を向けると、津川は『接戦になるのは間違いないから』と気を引き締めた。

RX-8からRX-7への乗り換えでクラス移行した川北忠が、今シーズン2戦目にして早くも優勝!しかもウエット路面を克服して優勝という事で、セッティング能力の高さを見せた。

こちらも2本ともウエットコンディションとなったSA2クラス。1本目に1分35秒947をたたき出した川北忠がそのまま逃げ切って優勝。昨年RX-8で初の全日本チャンピオンを獲得した川北だが、SA1クラスに移行して2戦目にして早くも優勝と対応力の早さを見せた。「金曜日からの練習でウエットが良いというデータがあったので、降るなら降ってくれと思ってました。今週末は天候も含めて思惑通りに運んだっていうのはありますね。名阪の時は借りてきたクルマ状態でしたが、その後ずいぶん乗る機会もあったので手応えはありましたね。RX-8はセッティングの幅が広くて、ちょっと外してもタイムは安定していたんですね。だけどRX-7はスイートスポーットが狭いっていうのかな?ちょっと外れるとリアが出ちゃうとか、そういう部分が多いですね。条件が変わると一気に動きが変わっちゃうので、データ取りも含めてその辺りが課題ですよね」と川北。今シーズン残るイベントでデータを蓄積し、チャンピオン争いを繰り広げてくれる事を期待しよう。

4年ぶりの優勝に沸いた村上仁。見事な集中力を発揮し、2本目の大幅タイムアップで2位以下をぶっちぎった。

140台が参戦した今回のイベント。ウエットコンディションとなってしまったものの、各クラスで激しい戦いが展開された。中には懐かしい顔ぶれも……。スキーの事故で重傷を負ってから3年、シティで全日本チャンピオンを獲得した八塚勝博がSCクラスにランサーで復活。そして同じくSCクラスに15年ぶりに内藤源氏選手が復活。トリはアジュールの川村徹代表が、村上仁選手とダブルエントリーでDクラスに復活した。そんな雰囲気もあったのだろうか?今回は村上が好調。1本目小林キュウテンに次ぐ2位につけていた村上だったが、雨脚が弱まった2本目に一気に2.5秒近くのタイムアップ。1分31秒589と小林を1.6秒近く引き離して優勝を飾った。表彰式でも『うれしい!』を連発していた村上。それもそのはず村上の優勝は実に2007年の第4戦SUGO以来。笑顔が耐える事はなかった。


全日本ジムカーナは7月3日に北海道のオートスポーツランドスナガワで開催される。梅雨のない北海道は早くも夏。暑さとの戦いとともにシリーズ争いも重要な中盤戦を迎える。次戦以降のダンロップ勢の活躍にも期待しよう。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014