第2戦 4月25日(日) 名阪スポーツランド Cコース
季節外れの寒さのなかでも
着実な進歩を見せたダンロップ勢!


時ならぬ霜注意報まで発令された決勝当日の天気。天気予報は晴れだったものの、路面温度がどれくらい上がるかの予想が勝敗を左右する大きな要因の一つとなった。

 季節外れの寒さに震えた4月の週末。4月24~25日、奈良県にある名阪スポーツランドで全日本ジムカーナが開催された。土曜日の公開練習は冷たい風が吹く中で、曇り時々雨。気温の上がらない中、ダンロップ勢は今シーズン発売されたS2コンパウンドを迷わず選択。1コーナー目からしっかりと発熱してくれるS2は、高いポテンシャルを発揮し各クラスで好タイムをたたき出した。
あけて25日決勝の朝、近畿地方にはなんと霜注意報が発令されていた。しかし、天気予報は晴れ。会場上空は青空が広がり日が差し込んでいる。暦的には新コンパウンドのM2を選択する季節。しかし昨日の天気がタイヤチョイスを難しいものにさせた。ここで多くの選手が、フロントにS2リヤにM2をチョイス。初めての組み合わせに、先が読めない展開だった。そこで走行終了後に開発ドライバー茅野成樹選手に話を聞いた。
「気温の上がった2本目に思ったほどタイムアップできなかったですね。路面温度が読めなかったというのはありますが、結果的にはフロントリヤともM2コンパウンドという選択もあったかもしれませんね。特に2本目の路面は走行した感じ、思った以上にラバーが乗っていた印象があります。難しい路面になりましたね」
とのこと。多くの選手がセッティングデータを持たない中、各クラスでダンロップユーザーの健闘が光ったイベントだった。

初の全日本参戦で開幕2連勝を飾った野尻隆司。昨年1年ブランクがあったというが、それを感じさせない活躍を見せた。

 昨年途中から、厳しい改造制限のもとスタートしたPN3クラス。ふたを開けると、ノーマル状態で高い戦闘力を持つGRBインプレッサが大半を占めた。今シーズンの初戦を制したのはダンロップユーザーの野尻隆司。第2戦となる今回は、初代チャンピオンの山野直也が参戦してきた。
自分の実力を推しはかる絶好の機会。フロントにM2、リヤにS2を履いた野尻は、1本目から全開でコースを攻める。たたき出したタイムで、山野をコンマ05秒の僅差ながらかわす。2本目に入ると各選手が思うように伸びない。山野はコンマ5秒タイムアップ。しかし野尻はそんな状況でも、コンマ8秒のタイムアップでトップを奪い逆転、開幕2連勝を飾った。強さを見せる野尻、どんな選手なのか話を聞いた。

表彰式では、クルマを作ってくれたTアシスト代表の古谷哲也への感謝を語った野尻。PN3での活躍を楽しみにしたい。

 「おととしは近畿のミドルシリーズに出ていて、昨年はお休みしてました。ダブルエントリーですけどことしから全日本に参戦しています。近場だけでも参戦できればと思ってたんですが、連勝しちゃったので……。次のSUGOはエントリーしました。できる限り出たいとは思ってます。
土曜日の公開練習で初めてS2コンパウンドを履いたんですが、S1に比べて明らかにグリップレベルが上がっていました。クルマが負けてるんじゃないかと感じるくらいでした」
と野尻。フレッシュな顔ぶれが登場するのも、新しいクラスができたメリット。今シーズン、野尻選手の活躍を楽しみにしよう。

コンマ3秒差で惜しくも2位に終わった茅野。熟成されたエボXで虎視眈々とチャンピオン獲得を狙う。

 有力選手たちがランサー・エボリューションXで参戦するN4クラス。そんな中、熟成され尽くしたエボIXで参戦する茅野。そんな状況を称し、自ら「言い訳無用」と自分を追い込んでいる。セッティングデータが豊富なエボIXに対して、まだまだ未知数のエボX。先手必勝でアドバンテージを稼ぎたいのが、茅野の戦略だ。
「今回は2位でしたが、ライバルより上に行けたことが良かったと思ってます。後半戦に入って一騎打ちになったとき、それが重要になると思います」
2戦目にして後半戦を想定する。ベテランらしい判断だが、誰よりも勝利を渇望しているのは茅野自身。
「今シーズンこそチャンピオンを獲得したいですね」
そんな一言は心から出てきた言葉に違いない。今シーズン、勝利を喜ぶ茅野の笑顔を期待しよう。

川脇とのコンビでエボX開発を進める津川。その成果を着々と形にし、今回は3位に入賞した。

 今シーズン参加台数が増えたSA3クラス。有力選手たちの多くがエボXに乗り換える中、一泡吹かせてやろうというエボIXユーザーの参加も増えて増えているようだ。今シーズンも同じチームパドックで参戦する川脇一晃と津川信次。お互いのセッティングデータを共有することで、マシンの進化スピードを早めようというのが最大の目的だ。
今回そんな成果が早くも津川に現れた。大柄なエボXで細かなターンを決めた津川は、1本目に1分22秒688を叩き出す。対して川脇は少し膨らんだ分だけ出遅れた。1本目は津川が3位で川脇が4位。路面状況が悪化した2本目、津川はタイムダウン。川脇はミスを修正したものの津川には届かなかった。まだ始まったばかりのジムカーナエボX開発。熟成の行方も楽しみなシーズンだ。

約2年ぶりにDクラスでの優勝を飾った東山晃選手。1歳の誕生日を迎えた娘さんのバースデーに、大きな贈り物を贈った。

 昨年のチャンピオン小林キュウテンが欠場したDクラス。今シーズンは開幕から混戦が予想された。そんな中で昨シーズン13インチのスリックタイヤを投入したダンロップ勢が大活躍。1本目に東山晃の隼が1分18秒258を叩き出してトップに立つと2位にYT41の村上仁、3位にM1の上野宗高が続きダンロップ勢が上位を独占。路面状況が悪化した2本目も東山は1本目に0.05秒差のタイムをそろえるなど、安定した走りを見せる。結局順位は変わらず、ダンロップ勢のワン・ツー・スリーフィニッシュが確定した。

Dクラスで表彰台を独占したダンロップ勢。昨シーズン投入された13インチスリックタイヤは、高いポテンシャルを発揮している。

 約2年ぶり3回目の優勝を飾った東山選手。
「以前クラッシュしたことがあるので、名阪にあんまりいい思い出がなかったんですよ。
昨年、女房が出産して娘が生まれたので
名阪のイベント欠場したんです。だから昨日が娘の1歳の誕生日だったんですよ。女房にもがんばってきてねといわれていたので、何か持って返りたいと思っていたんですよ。いい誕生日プレゼントができたかな? 娘には何がなんだか分からないと思いますけど(笑)。
タイヤ的には昨年の最終戦に13インチを作ってもらって、それがすごくクルマに合ってたんですね。それと昨年、小林キュウテン選手が使っていたエンジンを購入したんです。初めてのレーシングエンジンだったので、ポテンシャルも上がりました。ことしはチャンピオンも狙いたいですね」


 次戦の全日本ジムカーナはスポーツランドSUGOで開催される。SUGOといえば昨年改修された新しい舗装がどのように変わっているか? そんな興味が大きい。早くも前半戦が終了する中、シリーズ争いの先手を打つのは誰か? 今から激しい戦いが予想される。5月15~16日に開催されるイベントを楽しみに待っていよう!
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ニュルブルクリンク2014