第1戦 3月16日(日)備北サーキット
ついにシーズン開幕!ダンロップ勢3クラスを制覇!

静かに開幕を待つ備北サーキット

 JAF全日本ジムカーナ選手権がついに開幕した。岡山県の北西部、中国山地に抱かれた街、新見市郊外に位置する備北サーキットが初戦の舞台となる。今季はこの備北サーキットを皮切りに、北は北海道砂川から、南は九州大牟田まで、全9戦が予定されている。

 中国自動車道北房インターチェンジの程近くに位置する備北サーキットは、交通至便なことから走行会、ドリフト講習会などが頻繁に催され、近隣のドライバーにはおなじみのサーキット。通常は隔てられているAコース、Bコースをフルに使っての全日本ジムカーナ開催となった。

 今季ダンロップユーザーで注目は昨年SA2クラスを制した田原憲。クラスをN3に変更、搭乗するマシンもFD3からNSXとなった。N3には昨季総合2位となった野島孝宏(RX-7)もおり、激戦が予想される。また昨年破竹の6連勝、年間8勝をマークしたN4茅野成樹(ランサー)が今季もこの強さを堅持し続けるのかにも期待が集まる。終盤好調だったSA3の津川信次(ランサー)川脇一晃(ランサー)からも目が離せない。

 コースはパンク、アップダウンが殆どなく、縁石も平坦で全体的にフラット、きついターンが要所に設けられているタイトなコースだ。決勝当日の朝、新見市は降雨こそ無かったが雲が広がり、最低気温は僅か0.6℃、レース開始直後でも3℃前後しかなく、波乱含みのスタートとなった。ダンロップユーザーはリア、フロントともに低温域で効果を発揮するDIREZZA 03GのS1コンパウンドをチョイスしている。

 ダンロップユーザーの中でまず飛び出したのはSA1の川北忠(RX-8)1本目低温の路面をしっかりとグリップすると、1分14秒台の好タイムで2位につける。午後になって日がさし始め、コンデイションが整った2本目はさらにタイムを短縮。開幕戦2位に入る素晴らしいスタートとなった。

 SA2では今季N3クラスからクラス変更した鰐部光二(RX-7)が大健闘。1本目はコンディションが整わず6位だったものの、2本目で一気に0.5秒もタイムを縮め、3位表彰台を掴み取った。今後マシンセッティングが整えば上位への躍進も現実味を帯びてくる。

野島渾身の走り

 そして注目のN3クラス。前日までセッティングを調整し、この一戦に備えていた田原憲(NSX)はその効果かN3クラスでも強さを発揮、1本目条件の整わない中、1分13秒237と素晴らしいタイムをマーク、2位につけた。さらに2本目でも自己の持つタイムを更新し、走り終わった時点でトップに立った。

 このまま田原がN3クラスでも優勝をさらうかと思われたが、この1戦に賭けるもう一人のダンロップユーザー野島孝宏(RX-7)がその眼前に立ちはだかった。前述の通り昨季2位に終わった野島にも期するものがあった。1本目はトップから1秒以上離され5位と不本意な出来だったが、2本目にはまさに異次元の走りを見せ、クラスでは唯一の1分12秒台となる1分12秒358をマーク、最後の最後で大逆転優勝となった。

大逆転勝利に野島、破顔一笑

 表彰台の中央に立った野島、インタビューでは意外なエピソードを披露した。
「(1本目が5位だったので)走り終わって帰ってくると、周りのみんなに怒られてしまいました。嫁にまでヌルイといわれてしまって…。でもこのおかげで2本目に集中することが出来て、優勝することが出来ました」
 思わぬ内助の功?が優勝の原動力になったようだ。

津川、熱い走りで優勝

 続くSA3でも二人のダンロップユーザーがしのぎを削る激しいバトルをみせた。
 川脇一晃(ランサー)は昨年度開幕の名阪で優勝したものの中盤苦しみ、終盤追い上げたもののクラス3位に終わっていた。また津川信次(ランサー)も終盤2連勝でトップに肉薄したが、序盤の不調が響いてクラス2位。今季こそと意気込む二人にとって、この開幕戦は絶対に落とせないレースだった。

 まず飛び出したのは津川。SA3がスタートする頃にはコースに日が当り始め、タイヤがしっかりと路面を捉えるようになっていた。この好コンデイションを生かして2位を0.5秒以上突き放し、クラス唯一となる1分9秒台のタイムでトップに立つ。一方の川脇は力みが出たのか1本目まさかのペナルティを食らい下位に沈んだ。

 しかしこのままで終わらないのが川脇の真骨頂、関西人らしい負けん気の強さで逆襲に出る。果たしてタイムは1分09秒546。津川の1本目を0.048秒差で差しきり、結果を待つ。そして津川の2本目、相当なプレッシャーがかかっていたはずの津川だが、あくまで冷静に備北を攻める。川脇の脅威のタイム、その上をいく1分09秒487で、この大事な一戦を制した。

昨年からの連勝を3に伸ばした津川

 熱戦を制した津川は晴れやかに
「すごくいい風にのれました。これで(去年から)3連勝ですか。これからもこのままのペースで頑張ります」
とのコメントを残している。

ついに壁を乗り越えた古谷の走り

 波乱が起こったのはN4。その主役は昨季茅野成樹(ランサー)の後塵を拝し続けていた古谷哲也(ランサー)1本目それまでのトップタイムをあっさりと更新し、伸び悩んだ茅野を押さえる。2本目はコンデイションが整わず各車タイムを伸ばすことが出来ないまま終了し、見事開幕戦を優勝で飾った。しかし茅野もバットコンディションのはずの2本目でベストラップをマークし、意地の3位表彰台を手に入れている。

宣戦布告?の古谷

 表彰式、茅野がいる中で古谷は
「開幕戦をやっととることができました。今年は茅野さんの好きにはさせませんよ」
 と、堂々の宣戦布告を宣言した。古谷と茅野、二人の争いに今後も目が離せない。

地元の意地、金本の力走

 またこのクラスでは地元金本辰也(ランサー)も出場、強敵が居並ぶ中、堂々6位入賞を果たしている。

 そして取りを務めるDクラスでは村上仁が3位に入る健闘をみせた。

 今季の開幕戦は各ドライバーの様々な想いが交錯し、内容の濃いレースとなった。ダンロップ勢も3クラスを制覇、他のクラスでも表彰台を賑わせている。これからの8戦、どのような展開になっていくのか今から楽しみだ。次回は4月27日、春の盛りの名阪スポーツランドが戦場となる。
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ニュルブルクリンク2014