ドライバー
11月11日(日) 2012年JMRC全国オールスタージムカーナ
2012年最後のビックイベント
本庄サーキットでのJAF CUPでダンロップ勢が活躍!


舗装された新パドック、そして一部改修された路面。全国から集まった選手たちの願いが通じ2本ともドライコンディションで争われた本庄サーキットでのJAF CUP。

2012年最後のビックイベントとなるJAF CUPジムカーナが、埼玉県にある本庄サーキットで開催された。全日本選手権と各地方選手権のトップランカーが一堂に会し、エントリー台数は何と181台(1台不出走)!新たに舗装されたパドックが大きく広がり、コースの一部も改修された本庄サーキット。競技車がぎっしりと詰まった壮観な風景が展開されていた。晴れの舞台にただひとつ気になったのが天候。週末にかけて西日本から移動してきた雨が、ここ本庄でいつ降り始めるか? 決勝当日の天気予報では、夕方から雨。何とか1日ドライ路面で走り切れるか? そんな期待を込めて空を見上げる選手も多かったハズだ。では早速ダンロップ勢の活躍を観てみよう。

自らのモチベーションを保つのに苦労しながらも見事2本目に逆転でJAF CUPを獲得した松本敏のシビック。PNクラスにはこれまでと違った楽しみがあると語る。

フェアレディZ、シビックタイプR、86、BRZなど最新のマシンたちでの争いが、今シーズンの全日本選手権でも大きな盛り上がりを見せたPN2クラスには15台がエントリー。決勝のコースは、本庄のストレートを生かしたハイスピードでテクニカルな設定。大排気量のZが得意とする直線の加速、86&BRZが速さを見せる高速シケイン、そしてシビックが得意とするターン。各車が得意とするセクションが組み合わされ、排気量無制限のバトルに注目が集まった。だが、残念なことに全日本チャンピオン河本晃一が仕事の都合で不出走。今シーズン最後の手合わせを願っていた優勝候補でシビックの松本敏も、少々拍子抜け気味だった。「JAF カップは、日本全国からドライバーが集まって行うイベントです。だけど今回はチャンピオン(の河本晃一)が、不参加ということもあってテンションが上がらないというのが正直な気持ちでしたね」と松本。気温の上がらないなかスタートした1本目、1分13秒770を叩き出してトップに立ったのは千葉順一のシビック。それに次いで2位につけたのはATのZで速さを見せた大島敏道。松本は5位と出遅れる。午後に入り空から雨は……、落ちてこない! ドライでの走行にタイムアップの期待がかかる。各車タイムアップ傾向で始まった2本目のトライ。ゴール前のターンセクションをキッチリと決めた松本が、渾身のアタックを見せる。タイムは1分12秒981! とトップタイム更新のアナウンスが流れる。続く大島も中間で松本を上回るタイムを残したものの、最後のターンで引き離され1分13秒893と届かない。最終ゼッケンの千葉は、タイムダウンとなり松本のJAF CUP獲得が決まった。

全日本ではシーズン途中からPN2クラスにエントリーしてきた松本。「純粋にドライバーの技量で争えるというのがPNクラスの面白い部分ですね」とPNの魅力を語ってくれた。

「1本目に新品のタイヤを履いて皮むきをしました。それで自分なりにプレッシャーをかけて2本目にキッチリとタイムを出せた。きちんと結果を残せたというのは、自分にとっても大きな意味があったかなと思いますね。ZIIもそれに応えてくれたというのが一番大きかったんじゃないかな? 上位3台全てがZIIユーザーで、表彰台を独占。来年につながる走りができたんじゃないかなと思ってます。今回はサービスに宮部くんという仲間が来てくれて、温度管理も含めてホントに良くやってくれました。ボクひとりの力じゃなくて、サービスやみんなの意見をもらって勝てたんだなと思いますね。2本目サービスに『絶対1分12秒8を出してくる』といってスタートして、ほとんどそのシミュレーションどおりに走れたというのがスゴくうれしいですね」と語る松本。今シーズン全日本ではN2クラスにエントリーしていた松本だが、シーズン途中からPN2クラスに参戦。車両改造を厳しく制限されたPN2クラスにはどんな魅力があったのか聞いてみた。「PNの何がいいのか? というとタイムを出すために何をしようというとドライビングの話になることが多いんですね。もちろんセッティングの話にはなりますが、クルマの転がし方や電子制御を有効に使うとか使わないとか? 今までNクラスでしてきた会話とは内容が違うなと感じてます。純粋にドライバーの技量で争えるというのがPNクラスの面白い部分ですね。走りこんでクルマを手足にしてなんぼというのがジムカーナだと思うんですよ。99.9%はウデだと思ってるんです。その中に山野さんがいて河本がいて争える。それが楽しいんだと思いますよね。ジムカーナは走るのが大好きっていう人が多いじゃないですか。クルマとか道具のせいにするとつまらなくなる。走りこんで身体で覚えるっていう体育会系なんですよ」と松本。来年に向け台数増加が見込まれるPNクラス。その楽しさを見せてくれる1戦となった。

優勝することが次へのモチベーションにつながる。初めてJAF CUPを獲得した金本辰也。金本には、JAF CUP初獲得への並々ならぬ意気込みがあった。

9台のエントリーがあったN4クラス。この頃には幾分気温も上がり始め、路面のグリップも上がってきた1本目。1分7秒台で推移していたトップタイムだが、ラス前の金本辰也が会心の走りを見せる。ゴールするとタイムは1分5秒910。2位の佐藤祐樹を1.3秒も上回るスーパーラップでトップに立った。今シーズン全日本ジムカーナで初優勝を果たした金本だったが、JAF CUPには、並々ならぬ思い入れがあった。以前、年1回のJAF CUPで連覇を重ね『JAF CUPコレクター』と呼ばれた関東の宮島一人という選手がいた。打倒宮島! を公言して争っていたのが金本。その後、宮島が出場しなくなり大本命と言われながらJAF CUPに手が届かなかった。だからこそ気合が入った。だが、2本目に入るとその気合が空回りしてしまったか? 自らミスト認める走りでタイムダウン。だが、1分6秒133まで詰めてきた掛札雄一を抑え、逃げ切って初のJAF CUPを獲得した。「気持ちよかったです~。ことしはじめて全日本で優勝できて、こんなに気持ちいいものだったら早くもう一回勝ちたいと思ってたんですよ。だけどシーズン後半は、自分が原因で結果を残せなかった。それにJAF CUPはぜひとも取りたいタイトルでした。JAF CUP連覇を続けていた宮島一人さんに挑戦していた頃からですからね。その後、本命と言われながら勝てなかった。だから今日はホントにうれしいです。メカからは『持ってない男』と言われて悔しかったですからね~」と金本。うれしそうな表情に、周りからも大きな祝福の声があがっていた。

「JAF CUPはどうしても獲りたいタイトルの一つ」と語る牧野タイソンが、その言葉どおり3回目のJAF CUP獲得。全日本チャンピオンと合わせダブルタイトルを獲得した。

全日本メンバーのほとんどがエントリーしてきたSCクラス。今シーズンの戦い同様、濃い争いが展開された。1本目1分5秒353を叩き出してトップに立ったのは、チャンピオンの牧野タイソン。「今回は(トラブルは)なんにも無いですから」と笑いながら答えるタイソン。順調な流れで迎えた2本目も空から雨粒は落ちてこない。各車一様にタイムアップするなか、前々走車の桃井守が1分4秒850でトップタイムを更新する。「スタート前に桃井さんのタイムが聞こえなかったんですよ。だけど走りを見たら多分抜かれてるなと思いました」と語る。冷静に状況分析ができたのは、ことし1年での大きな収穫か?落ち着いて走ったタイソンは、1分4秒519にタイムアップし、桃井を逆転。全日本とJAF CUPのダブルタイトルを獲得した。「JAF CUPは3年前の鈴鹿で初めて獲ったんですよ。自分の中ではJAF CUPは特別なものがあって、年一回ということもあってどうしても獲りたかったんですよ。ジムカーナってターンで差がつくことが多いんですが、最後に一つしか無かった。だから前半で稼ぎたいなと思いました。SCに来たのは今までやったことのない経験を積んで、もっとうまくなりたいと思っているんです。いや~、全日本より緊張した(笑)。JAF CUPってどうしても獲りたいという気持ちが強くなるもんで……」とタイソン。最高の形で2012年のシーズンを締めくくることができた。

2本目にタイムアップを果たしたものの、惜しくも2位に終わった村上仁。2013シーズンこそ、ライバル小林キュウテンを打ち破る活躍を期待したい。

コチラも全日本メンバーが参戦してきたDクラス。今シーズン全日本ジムカーナで全勝優勝を果たした小林キュウテン。ライバルの村上仁にとっても悔しいシーズンだったに違いない。JAF CUPはその悔しさを晴らす最後の場となった。1本目、1分0秒409を叩き出した村上の気迫が勝る。2本目スタートに向け空を見上げる村上。天気予報では持つかもしれないと言われたが、いつ降り出すともしれない雲行き。雲間から一度も顔をのぞかせない太陽、路面温度は上がったり下がったりを繰り返す。ドライコンディションのなかDクラスがスタートする。若干のタイムアップ傾向が見られるなか、村上がスタート。スムーズな走りで村上は、1分00秒129とコンマ1.8秒のタイムアップ。そして最終ゼッケンの小林がゴール、タイムは59秒359で逆転。フォーミュラマシンでの究極のタイム。2012年、村上と小林とのライバル同士の切磋琢磨が終わった。2012年ジムカーナのビックイベントは終了。2013年は、3月9~10日にかけ鈴鹿サーキット南コースで開幕戦が行われる。2013年もダンロップユーザーたちの活躍を期待しよう。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014