第10戦 11月1日(日) 鈴鹿サーキット 国際南コース
年に一度の晴れ舞台に179台が参戦!
荒れた天気に各クラスで明暗が分かれた


ジムカーナ選手たちから人気の高い鈴鹿サーキット南コース。今回のJAF CUPには179台が参加した。

 全国で開催されている地区戦と全日本選手権シリーズで上位入賞した選手が戦うJAF CUPジムカーナ。年に一度のお祭りとして、この大会への参加を楽しみにしている選手も多い。今回は中部、近畿の地区戦が行われている鈴鹿サーキット南コースでの開催。地域的にも日本列島の中心部にあるため、北海道から九州までどの地区からも参加しやすい場所でもある。そんなこんなで集まった台数は179台。
 クラスはCUP対象外のレディス、その豊富な車種から各地区戦で人気を集め始めているスーパー1500、そして今回は台数が足らず不成立となってしまったSCの3クラス。JAF CUPをかけて戦うN1~4、SA1~3、Dの全11クラス。全日本選手権とは異なり選手たちの間では、表彰式で授与されるカップをもじり『○個のJAF CUPを持っている』という言葉で語られることが多い。これまで7個とJAF CUPの最多ホルダーが関東のダンロップユーザーで、N4クラスを戦う宮嶋一人選手だ。「年に1回しか会わない人とこの場で会える。織姫と彦星みたいだねって言われちゃった。どっちが織姫でどっちが彦星か分からないけどね(笑)」。関東地区N4クラスチャンピオンとして来場した宮嶋は、会場でも旧知の仲間と久しぶりの再会を楽しんでいた。今回は天候に翻弄され、8個目のJAF CUP獲得はならなかった。だがライバルの選手たちから『来年もまた来てね!』と声をかけられるなど、ジムカーナの楽しみ方の広さを見せてくれた。
 さてイベントだが、事前の天気予報は日本全国で大荒れ。午前中は汗ばむほどの陽光が差し込むものの、午後には雨の予報。多くの選手たちが1本目に勝負をかける。実際には2本目のN4クラスがスタートする頃に雨が本降りになり、逆転の芽が潰え各クラスの明暗が分かれることとなった。

今シーズンの全日本最終戦でも3位に入るなど好調さを維持した中根卓也が3位に入賞。来年につながる結果だ。

 N1クラスに参戦する近畿の中根兄弟。今シーズンも全日本選手権シリーズ有効戦数を越える7戦に参戦。今ひとつ成績がついてこなかったが、最終戦で弟の卓也が3位に入賞。卓也が好調さを維持してJAF CUPに挑んだ。1本目は9位だったものの、2本目には3秒近くタイムアップし3位に食い込んだ。

ここ鈴鹿南コースで抜群の速さを見せるN2クラスの西川純一。今回もその速さを見せて2位に食い込む。

 全日本でも多くの参加者を集めるN2クラス。同秒内に10人近くの選手がひしめくのは当たり前で、毎戦激しい戦いが繰り広げられている。そんな中、高速コースになると飛び切りの走りを見せるのが近畿の西川純一。全日本最終戦の本庄サーキットで優勝を飾るなど、高速コースを得意とする西川が本領発揮! 2本目にタイムアップして2位に割り込むなどダンロップ勢は好調さを見せる。

いつ雨が降り出すか?会場の選手が見守るなか、牧野タイソンは逆転に向けてツキも呼び込みJAF CUP初出場で初優勝を飾った。

 中部地区戦2位で今回JAF CUPに初参加した牧野タイソン選手。ことしは地区戦と全日本戦で鈴鹿を走っている地元の選手だ。1本目1分3秒640で3位につけたが、気になるのは天気。前週にはカートのイベントが行われ、タイヤのラバーが塗りこまれた路面。ウェットになればタイムアップは望むべくも無い。そんな中でもSA3クラスはギリギリ逆転可能なレベルで路面が乾いていた。2本目に1分1秒414と2.2秒のタイムアップでトップに立ったタイソン。後続のライバルたちは、このタイムを破ることができない。牧野タイソンJAF CUP初参加で初のJAF CUPゲット!

大学自動車部時代から鈴鹿を走っていた牧野。1年のブランクを経て、今シーズン中部地区戦のSA3クラス2位で今回のJAF CUPに参加した。

「今回はS1コンパウンドを使いました。というか他は用意できなかったんですけど(笑)。ジムカーナはお金も時間も一杯かかりますけど、だからこそこうやって勝てるとうれしいですね。競技自体は学生時代の自動車部で始めたんです。学生の全日本もココ(鈴鹿南コース)でやってましたから、相性は良いかもしれませんね。昨年子供が産まれて『ちょっと辞めてくれんかね?』と言われて、ココで続けると大変なことになるかなと思って活動を休止したんです。だけどどうしても我慢できない!といったら、快くでは無いですけどオーケーしてくれたんです。今日は家族も来てくれて、その前で優勝できたのでホントーにうれしいです」家族の理解があってこそ成績は安定するもの。今日、牧野家の話題はお父さんの晴れ姿一色。息子さんと一緒に入る風呂は、一味もふた味も違うことだろう。

今シーズン最後のビックイベントとなったJAF CUP。最後に出走するDクラスで村上仁が有終の美を飾った。

 参加台数全10台中9台がダンロップユーザーと、独占状態のDクラス。中でも全日本にレギュラー参戦するベテラン村上仁と隼を駆る東山晃が好調だった。1本目、東山が56秒758と初めて1分台をきるスーパータイムをたたき出す。続く村上は、これをコンマ5秒以上上回る56秒185で逆転してトップを奪い返す。最終ゼッケンの全日本チャンピオン、小林キュウテンは前半に設けられたパイロンセクションでスピン! 1本目をトップで折りかえした村上。2本目に入ると直前のN4クラスから雨が降り始める。雨足は弱まることなく、路面は完全ウェットに。パイロンタッチや脱輪する選手が増え、ゴールするクルマも何とかコース上にとどまっている状態。これを見て村上と東山は2本目不出走を決める。残るは、小林と前走の選手がコースアウトのため再出走となった清水潤のふたり。果敢にコースを攻めるものの、悪化した路面コンディションにタイムを上げることができない。1本目のタイムで逃げ切った村上の優勝が決まった。

事前に13インチタイヤをテストして好結果を得ていた村上。2010シーズンに向けて確かな手ごたえを得た1戦だった。

 「JAF CUPは2003年と2007年に獲っているので、今回で3個目ですね。実は全日本の鈴鹿(第7戦)が終わった後に、13インチのタイヤを買って試したんですよ。そしたら、それだけで1秒くらいタイムアップしちゃった。その話をダンロップさんに話したら残り2戦を13インチで走らせてくれたんです。全日本の最終戦で結果は4位でしたが、公開練習ではトップが獲れたんですよ。鈴鹿は好きだったしもっと詰められるかな?と思ってました。今回は雨に助けられましたが、こんなご時世の中ワガママを聞いてもらった担当者さんに感謝です。ありがとうございます!」と村上。Dクラスはもちろん、各クラスで光る活躍を見せたダンロップユーザーたち。前日の公開練習から、川脇一晃や津川信次、そして茅野成樹など開発ドライバーたちが参加するダンロップユーザーの応援とアドバイスに訪れていた。


 今シーズンあと一歩届かなかった全日本チャンピオン奪還に向けて、各選手は役割を認識している。今回のJAF CUPでの活躍を2010年全日本の開幕戦に結びつけ、スタートダッシュ決めてくれるだろう。それと宮嶋や牧野のように、仲間とともにジムカーナを楽しむ選手。そんなすべてのジムカーナフリークにとって楽しい2010年に向け、ダンロップは一丸となって頑張ります。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014