第9・10戦 7月12日(土)~7月13日(日) 鈴鹿サーキット(三重県)
第9戦は好調な国本雄資選手が、ポール・トゥ・ウインで今季4勝目!
第10戦は佐藤公哉選手がスタートでトップを奪って、待望の初優勝!
第9戦のスタート、ポールの国本雄資選手がトップで1コーナーに進入
7月12~13日、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)第5大会(第9戦、第10戦)は、第2大会以来今季2回目となる鈴鹿サーキットを舞台に、フォーミュラ・ニッポン第5戦と併催。国内屈指のテクニカルコースである鈴鹿サーキットは、来年のF1GP開催を控え、ピットやパドックを中心に大改修が進行中。今秋からはレースを休んで改修されるため、例年のように最終戦の舞台にはならず、今回が今季最後の鈴鹿サーキットでのレースとなる。
鈴鹿サーキットでは、4月16~17日に第3回公式テスト、5月8日~9日に第4回公式テストが行われ、第5大会のレースウイークには、鈴鹿サーキットとしては3回目となる第8回公式テスト(7月10~11日)が行われた。第8回公式テストは両日ともにドライコンディションとなり、初日が3セッション、2日目は2セッションが行われた。第7戦、第8戦で連続2位の佐藤公哉選手が、その勢いをキープして初日と2日目でともにトップタイムをマーク。初日の2位は、第4戦2位、第8戦3位と2度の表彰台を経験している山下雅之選手、3位は今季3勝でランキングトップの国本雄資選手。2日目の2位は国本雄資選手、3位には國分一磨選手がつけた。昨年SRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクール フォーミュラ)を受講した国本雄資選手は、今季FCJにデビューした19歳。第3戦の5位を最上位に4回の入賞を果たして15点を獲得、26人が参戦する今季のFCJでランキング14位となっている。
第9戦でポールを決めた国本雄資選手
●第9戦、第10戦予選
土曜日に行われたFCJ第5大会、第9戦と第10戦の予選は、それぞれ15分間の計測が10分のインターバルで行われた。第2大会から、土曜日か日曜日のどちらかは必ず雨に見舞われたが、今回のレースウイークは、テストデーからドライコンディションで進行。
午前9時15分に第9戦の予選は計測が開始された。序盤に国本雄資選手が1分05秒606をマーク。第8戦で今季2勝目を飾りランキング3位の松井孝允選手が、4周目のアタック中にS字でクラッシュ。結局、序盤に国本雄資選手がマークしたトップタイムは更新されず、今季4度目のポールポジションを決めた。予選2位は、第8戦、第9戦と連続2位の佐藤公哉選手、予選3位には、第7戦で6位、第8戦の予選では4位につけた蒲生尚弥選手が続いた。
第10戦で初ポール獲得の蒲生尚弥選手
10分間のインターバルを経て第10戦の予選がスタート。序盤に蒲生尚弥選手が2分06秒049を叩き出しトップに浮上。各ドライバーのアタックが続いたが、トップタイムを更新できず、それに佐藤公哉選手、国本雄資選手が続いた。佐藤公哉選手は、ポールを奪取すべくラストアタックに入ったが、デグナー進入手前から姿勢を乱してコースアウト。結局、蒲生尚弥選手が初ポールを獲得、予選2位は佐藤公哉選手、予選3位は国本雄資選手。中山雄一選手、三浦和樹選手、霜野誠友選手と続いた。第9戦の予選後にアクシデントなどで、ピットまでマシンが戻れなかった松井孝允選手と國分一磨選手は第10戦の予選に未出走となり、それぞれ最後尾と25番手グリッドからのスタートとなった。
ポールの国本雄資選手と予選2位の佐藤公哉選手(前から)とのトップ争い
●第9戦決勝レース
富士スピードウェイで開催された第4大会から2週間のインターバルで開催された第5大会の第9戦は、快晴のドライコンディションで争われた。15周で争われた決勝レースは、午前の予選に続き、午後1時34分にスタートが切られた。前大会の富士では、連続してポールを獲得しながらスタートでは出遅れてしまった国本雄資選手だったが、今回はポールから好スタートを決めて飛び出し、トップで1コーナーに進入。2番手には予選2位の佐藤公哉選手がつけた。3番手には予選5位からジャンプアップした山下雅之選手、予選3位の蒲生尚弥選手は4番手に後退。そして予選7位の三浦和樹選手、予選4位の中山雄一選手、予選9位の千代勝正選手というオーダーで、各マシンが1周目のグランドスタンド前を通過した。
スタート直後の1コーナー進入での蒲生尚弥選手と三浦和樹選手の4番手争い
レースは、国本雄資選手がリードし、その背後に佐藤公哉選手つけるというトップ争いが展開、その後方には間隔を広げながら山下雅之選手が続いた。終始、2台によるトップ争いが続いたが、国本雄資選手が安定した走りでトップをキープして今季4勝目を飾った。佐藤公哉選手が3戦連続の2位となった。03年から海外レースに参戦していた活動を続けていた佐藤公哉選手は、06~07年にはフォーミュラ・BMW UKに参戦し、今季はFCJで戦っている。山下雅之選手が、第8戦に続いて3位に入った。4位は予選3位の蒲生尚弥選手、5位は予選7位の三浦和樹選手、6位は予選4位の中山雄一選手、7位は予選9位の千代勝正選手と、トップ7は、1周目の順位のままでチェッカーとなった。接戦が展開されたが、今回は、予選順位とスタートでのポジションアップが、ウエイトを占めたレースとなった。
左から2位の佐藤公哉選手、優勝の国本雄資選手、3位の山下雅之選手
「テストでは調子が上がらず苦労しましたが、予選では自分の走りができてポールを獲れました。スタートが決まり、レース序盤にリードすることができましたが、後半には少しずつ追いつかれてしまいました。佐藤選手が迫ってきたことはわかっていましたが、最後まで自分の走りだけに集中して、優勝することができました」と今季4勝目を決めてポイントランキングトップの国本雄資選手。
「今回は木曜、金曜といい流れで、テストではトップタイムを獲れました。でも予選は自分のミスでポールを獲れませんでした。決勝のスタートではホイールスピンで、後ろからプレッシャーを受ける形になりました。勝てるチャンスを生かせず、悔いの残るレースでした。明日も今日と同じ2番手グリッドからのスタートですが、今度はトップでゴールしたいと思います」と振り返る佐藤公哉選手は、前戦の富士から3戦連続の2位となった。
「スタートが決まり、2台を抜いて3番手になり、さらに前を追いましたが、ペースが上がりませんでした。蒲生選手は引き離なせましたが、結果的に前の2台との差は広がってしまいました。3位はうれしいですが、もちろん満足できません」と3位の山下雅之選手。
1周目の2コーナーを立ち上がりS字コーナーへ向かう各マシン
●第10戦決勝レース
日曜日は、前日以上の快晴で、第9戦より5周多い17周で争われた第10戦は、フォーミュラ・ニッポンのフリー走行後の第1レースとして行われた。初ポールを獲得した蒲生尚弥選手だったが、スタートが決まらずに予選2位の佐藤公哉選手に楽々とトップを奪われてしまった。レース序盤、佐藤公哉選手と蒲生尚弥選手はテール・トゥ・ノーズのトップ争いを展開し、それに予選3位の国本雄資選手もピタリとつけていた。レースは、前回の富士スピードウェイから好調の波に乗る佐藤公哉選手がリートすることになり、12周目にはレース中のファステストラップもマーク。中盤には佐藤公哉選手の独走状態となった。一方、トップの2台を追走する国本雄資選手はペースが上がらず、蒲生尚弥選手も単独走行となる。そして国本雄資選手は予選5位の三浦和樹選手に迫られることになり、2台による激しい3番手争いが展開された。
初優勝をマークした佐藤公哉選手
レースは、各所でバトルは展開されていたものの、大きなアクシデントもなく、1周目からトップ5は入れ替わりがないままでチェッカーとなった。レースウイークのテストでトップタイムをマークしていた佐藤公哉選手が、予選2位から1コーナーでトップを奪い、そのまま2位以下を5秒278引き離して、うれしい初優勝を決めた。2位は初表彰台となった蒲生尚弥選手、3位は国本雄資選手。最後まで攻め続けた三浦和樹選手は、パッシングはならずに4位。第2大会の鈴鹿で2勝を決め、第6戦ツインリンクもてぎで3勝目を決めた千代勝正選手が5位につけて、12周目に露野誠友選手をパスした山下雅之選手が6位でチェッカーを受けた。
蒲生尚弥選手と国本雄資選手(前から)の2番手争い
「スタートをうまく決めようと思っていて、100%のスタートができました。タイヤの空気圧をレースの後半を重視した調整にしていたので、序盤は少し苦労して、蒲生選手にプレッシャーを掛けられました。中盤からタイヤの空気圧が予定どおりに上がり、自分の思っていた走りができるようになりました」と待望の初優勝を達成した佐藤公哉選手は語った。
「スタートでは佐藤選手に抜かれてしまい,中盤には佐藤選手に離されてしまいました。結果を出さなければいけないという気持ちが空まわりしていたのですが、メンタルトレーニングの成果も出てきて、調子が上がってきたので、このいい流れで行きたいと思います」と語る蒲生尚弥選手はベストリザルトとなる2位をマークした。
「いいスタートが切れたのですが、前を抜くことはできませんでした。前半は自分のペースがよくて前について行けたのですが,後半にはアンダーステアとなってしまい、前とは離なれてしまいました。後ろが迫っているのもわかっていましたが、後ろを気にしないで自分の集中を切らさずに走れたことは収穫でした」と3位の国本雄資選手は語った。
左から2位の蒲生尚弥選手、優勝の佐藤公哉選手、3位の国本雄資選手
第10戦を終えた時点のポイントランキングは、第9戦優勝、第10戦3位の国本雄資選手が164点でトップをキープ。第9戦で2位、第10戦で初優勝の佐藤公哉選手(109点)が、ランキング4位から2位に浮上。今季3勝目をマークする千代勝正選手は、第9戦7位、第10戦5位で12点加算の107点でランキング2位から3位に後退。今季2勝している松井孝允選手は、第9戦10位、第10戦は16位に終わり、1点の加算の80点でランキング3位から4位に後退した。5位は山下雅之選手(66点)、6位は三浦和樹選手(42点)。第9戦で4位、第10戦で初表彰台の2位となった蒲生尚弥選手が、36点でランキング17位から7位に急浮上した。
次回、FCJ第6大会(第11戦、第12戦。フォーミュラ・ニッポン第6戦と併催)は、4週間のインターバルを経て、8月9~10日、ツインリンクもてぎ(栃木県)で開催される。