第5・6戦 5月23日(土)~5月24日(日) ツインリンクもてぎ(栃木県)
第5戦は国本雄資選手がポール・トゥ・ウインで今季2勝目!
第6戦は千代勝正選手が波乱のウエットを制して今季3勝目!
第5戦、好スタートを決めた予選2位の国本雄資選手がトップで1コーナーに進入
5月23~24日、フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第3大会(第5戦、第6戦)が、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦と併催された。舞台となるツインリンクもてぎは、オーバルとロードコースという2種類のコースを併設。FCJの舞台となるロードコースは、ストップ&ゴーの続くテクニカルコース。また、長い下り坂のダウンヒルストレートから90度コーナーへの迫力あるブレーキング勝負は、見どころのひとつとなっている。
ツインリンクもてぎでは、レースウィークの5月20~21日に第5回公式テスト、予選前日の5月23日に第6回公式テストが行われた。ドライバーにとっては、これが今季初のツインリンクもてぎでのFCJ走行となった。第5回公式テストは、初日に3セッション、2日目に4セッションが行われた。初日は李 康太選手、2日目は松井孝允選手がトップタイムをマーク。第6回公式テストは、銘苅 翼選手が総合でトップタイムを叩き出し、第2戦優勝の国本雄資選手、第1戦優勝の松井孝允選手、第3、4戦優勝の千代勝正選手と続いた。
第5戦でポールを獲得した松井孝允選手
●第5戦、第6戦予選
FCJ第3大会、第5戦と第6戦の予選は、それぞれ15分間の計測が10分のインターバルで行われた。予選当日は午後からの雨も予想されたが、曇りのままで、路面は完全なドライコンディションだった。
午前9時40分に第5戦の予選は計測が開始された。次々とトップタイムが更新されて、中盤に松井孝允選手が1分53秒699マーク。各車のタイムアタックは続いたが、2番手に国本雄資選手、3番手に2連勝中の千代勝正選手、4番手に第6回公式テストでトップタイムの銘苅 翼選手が、それぞれ1分53秒台には入ったが、松井孝允選手のタイムを更新することができずに第5戦の予選は終了。松井孝允選手が今季3度目のポールポジションを獲得した。
第6戦でポールを獲得した千代勝正選手
10分間のインターバルを経て第6戦の予選がスタート。中盤には再び1分53秒台の勝負となり、国本雄資選手が1分53秒711、松井孝允選手が1分53秒901をマーク。さらに各車のタイムアップが見込まれたが、銘 苅翼選手が、ヘアピンの立ち上がりでコントロールを失ってイン側のウォールに激突。予選は赤旗中断、残り5分で再計測となったが、各車はトップタイムを更新できないままで、予選は終了。国本雄資選手が今季2度目のポールポジション、松井孝允選手、銘 苅翼選手、千代勝正選手、佐藤公哉選手、李 康太選手がトップ6だった。赤旗が各車の流れを変えた予選だった。
予選2位からスタートでトップに立ち、そのままレースを制した国本雄資選手
●第5戦決勝レース
ヘビーウエット、ハーフウエットで戦われた鈴鹿サーキットでの第2大会から2週間のインターバルで開催された第3大会の第5戦は、ドライコンディションで争われた。12周で争われる決勝レースは、予選日の午後1時20分にスタート。好スタートを決めた予選2位の国本雄資選手が1コーナーでトップに立った。ホイールスピンの量が多く出遅れたポールの松井孝允選手は、1コーナーに進入では予選3位の千代勝正選手にインからパスされるが、立ち上がりでは2番手を奪う。だが、2コーナーでは再び千代勝正選手が2番手を奪い返した。それに予選6位の岩崎祐貴選手が続いた。
レース序盤、千代勝正選手(前)と松井孝允選手(後)が2番手争いを展開
レース中盤には、トップの国本雄資選手がリードを広げ、千代勝正選手と松井孝允選手が2番手争い、岩崎祐貴選手と銘 苅翼選手が4番手争い、そして國分一磨選手を先頭にした6番手争いが、それぞれ展開されることになった。8周目に、3番手の松井孝允選手がエアバルブのトラブルによる左前輪の空気漏れでピットインし、最後尾となった。これで岩崎祐貴選手が3番手に浮上したが、この時点では国本雄資選手、千代勝正選手、岩崎祐貴選手、銘 苅翼選手のトップ4台は、単独走行となっていた。そのさらに後方では東 徹次朗選手を先頭にした5位争いが展開されていた。
独走の国本雄資選手が今季2勝目を飾り、2位は千代勝正選手とトップ2は参戦2年目の優勝経験者が占めた。今季からFCJに参戦する岩崎祐貴選手が3位に入り、うれしい初表彰台を獲得した。4位に銘 苅翼選手、5位に東 徹次朗選手、6位には佐藤公哉選手が入った。
左から2位の千代勝正選手、優勝の国本雄資選手、3位の岩崎祐貴選手
「公式テストから流れはよかったのですが、電気系統のトラブルでほかのドライバーほどは走れず、いろいろと試したかったこともあまりできませんでした。でも、チームスタッフがボクのメンタルのケアをしてくれたのでリラックスして臨めました。スタートがうまく決まって、自分の走りができました。優勝できてうれしいです」と今季2勝目の国本雄資選手。
「前回、調子がよかった(2連勝)ので、今週もその流れで行けると思っていました。
スタートでは、松井選手と競り合って2番手に上がりました。それからはアンダーステアが強く、松井選手を抑えるのに集中していたので、国本選手に離されてしまいました」と振り返る千代勝正選手。
「今日のレースは6番手グリッドからスタートで順位を上げられましたが、レース序盤はアンダーステアが強くてペースが上がりませんでした。松井選手の後退もあっての初表彰台ですが、運も実力のうちということで、よかったと思います」と語る岩崎祐貴選手。
第6戦のスタート、ポールの国本雄資選手がトップで1コーナーに進入
●第6戦決勝レース
FCJ第6戦は、フォーミュラ・ニッポンのフリー走行に続いて開催された。前日の夕方から降り出した雨は、朝になっても降り続いていた。レース前には弱くなってはいたが、レースは完全なウエットコンディションとなり、スタート時刻の午前9時15分を迎えた。
18周で争われた決勝レースは、ポールの国本雄資選手が好スタートを決めてトップをキープして1コーナーに進入。その後方では、予選2位の松井孝允選手にアウトから予選3位の銘苅翼選手から並びながら1コーナーに入った。だが、松井孝允選手がアウト側にはらんでしまい、2台はそのままアウト側にコースアウトして大きく順位を落としてしまった。2番手に浮上した千代勝正選手は、トップの国本雄資選手を追った。すると、2周目のヘアピンで国本雄資選手がブレーキングミスでコースアウトして4番手まで後退。
2周目のヘアピンで国本雄資選手(前)がコースアウト、千代勝正選手(後)が逆転
国本雄資選手は、前2台が次々とコースアウトして4周目には2番手まで浮上したが、トップの千代勝正選手とは10秒以上も離れていた。だか、千代勝正選手のペースは上がらず、国本雄資選手は次第に差を縮めていった。千代勝正選手にはピットから国本雄資選手が1秒以上速いラップタイムで接近していると知らされたていたが、タイヤの空気圧セッティングが前半勝負に合わせてあったこともあり、ペースが上げられなかった。さらにシフトミスなどもあって、国本雄資選手に急接近されることになった。だが、千代勝正選手はプレッシャーをはねのけてトップを守り切り、0.964秒差でトップチェッカーを受けて、唯一の3勝目を達成した。国本雄資選手は、抜くまでには至らず悔しい2位。予選10位の三浦和樹選手が、着実な走りで初表彰台となる3位。4位は予選15位の山下雅之選手、5位は予選19位の日向俊博選手、6位は予選2位の松井孝允選手。26台中18台が完走という雨が波乱の展開を呼んだ一戦となった。
レース終盤、トップの千代勝正選手を追走する国本雄資選手
「国本選手は調子がよく、予選4位だったので勝つのは難しいと思っていました。とにかくポイントを獲り、チャンスがあればと狙っていました。スタートで少し出遅れましたが、1コーナーでアウト側に行った前の2台はそのままコースアウトしていなくなり、2周目に国本選手がコースアウトしてトップに立てました。終盤は国本選手が速いペースで迫ってきました。タイヤの空気圧をレース前半勝負の設定にしていたので、ペースが上がらず、ミスもしましたが、勝つことができてうれしいです」と今季3勝目の千代勝正選手。
「スタートはうまく決まったのですが、2周目のヘアピンでコースアウトして4番手に落ちました。前もコースアウトが続いたので2番手になり、あとは全力でアタックしました。千代選手もミスをしていたので、接近はできたのですが、抜くことはできませんでした。追い抜くには周回数が足りませんでした」と2位でゴールした国本雄資選手。
「第5戦は最後まで走れなかったので、レース前にアドバイザーや関係者の方から、今日は最後まで生き残れとアドバイスを受けました。雨で波乱の展開になると予想されたので完走を絶対条件に走りました。1周目から前のドライバーのコースアウトなどで順位が上がり、プッシュしながら完走を目指しました」と3位初表彰台の三浦和樹選手。
左から2位の国本雄資選手、優勝の千代勝正選手、3位の三浦和樹選手
第6戦を終えた時点のポイントランキングは、第5戦優勝、第6戦2位の国本雄資選手が98点でトップをキープ。前大会で2連勝を決めてランキング2位に浮上した千代勝正選手は、今大会は第5戦2位、第6戦優勝と健闘して89点で2位をキープした。だが、国本雄資選手が第5戦決勝でのベストラップと第6戦のポールを獲得し2点を加算したため、トップ2人の得点差は7点から9点に拡大。第1戦で優勝している松井孝允選手は、今大会は第5戦のポールで1点、第6戦の6位入賞で6点を加算して46点で3位をキープ。
次回、FCJ第4大会(第7戦、第8戦。この大会のみ、フォーミュラ・ニッポンとの併催ではない)は、6月28~29日、富士スピードウェイ(静岡県)を舞台に開催される。