第13・14戦 8月30日(土)~8月31日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
第13戦は国本雄資選手が今季5勝目を決めてチャンピオンを獲得!
第14戦は予選3位の国本雄資選手が2連勝をマークし今季6勝目!
ウエットとなった第13戦のスタート
8月30~31日、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)第7大会(第13戦、第14戦)は、第4大会以来今季3回目となる富士スピードウェイを舞台に、フォーミュラ・ニッポン第7戦と併催された。富士スピードウェイは、10月12日には、昨年に続いてF1日本グランプリが開催される注目のコース。前半は高速セクション、後半はタイトコーナーが続くテクニカルセクションで構成され、攻めがいのある近代的なコースとなっている。
富士スピードウェイでは、第1大会、第4大会が開催され、公式テストは、第1回(3月12~13日)からレース直前の第10回(8月28~29日)を含めて計5回が行われている。
第10回公式テストは、8月28日にウエットで3セッション、29日にドライで2セッションが行われた。ウエットの初日は、小林崇志選手が第1、2セッションでトップだったが、第3セッションでトップタイムをマークした松井孝允選手が初日のトップとなった。ドライとなった2日目は、第4セッションは小林崇志選手、第5セッションでは国本雄資選手がトップとなったが、総合のトップタイムは小林崇志選手が獲得した。
第13戦予選で初ポールを決めた山下雅之選手
●第13戦、第14戦予選
土曜日に行われたFCJ第7大会、第13戦と第14戦の予選は、それぞれ15分間の計測が10分のインターバルで行われた。早朝の小雨は予選前には上がっていたが、まだ路面はウエットだった。各マシンはウエット用タイヤでコースイン、午前9時5分に第13戦の予選計測がスタート。次々とトップタイムが更新されていった。国本雄資選手がチェッカー直前にトップタイムをマークし、さらにラストアタックで更新を狙ったが、クリアラップとならずに途中でペースダウンして、そのままピットに戻った。その後、ラストアタックの川村和希選手、山下雅之選手とトップが入れ替わった。結局、今季からFCJに参戦する山下雅之選手が最後に1分53秒290をマークし、待望の初ポールポジョンを獲得。それに川村和希選手、国本雄資選手、千代勝正選手、三浦和樹選手、小林崇志選手と続いた。
ドライとなった第14戦予選で初ポールを獲得した金井亮忠選手
10分間のインターバルを経て、午前9時30分に第14戦の予選が始まった。路面は、ほぼドライとなり、各マシンはドライ用タイヤでコースイン。ここでも終盤になるにつれて各マシンのタイムはグングンとアップしていった。6周目に金井亮忠選手がマークした1分44秒093を更新するべくアタックは続いた。だが、各マシンのラストアタックでもトップは変わらず、金井亮忠選手の初ポールポジションが決まった。そして佐藤公哉、小林崇志、国本雄資、東徹次郎、蒲生尚弥と続いた。安定した強さで優勝と入賞を重ねて、今大会でチャンピオン獲得の可能性を持つ国本雄資選手は、タイムが伸びずに、今大会ではポール獲得とはならなかった。
ウエットのレースを制して、今季5勝目の国本雄資選手
●第13戦決勝レース
土曜の午前に行われた第14戦の予選ではドライとなっていた路面だが、午後の第7大会の第13戦が始まる前にコースは完全なウエットとなり、全車がレイン用タイヤを装着。15周で争われた第14戦は、ピットウォークに続いて、午後1時34分23秒にスタートした。
ポールの山下雅之選手は、好スタートを決めてトップで1コーナーに進入。マシンの後方には派手なウォータースクリーンが巻き上がり、後続車にとっては視界が悪いコース状況が続いた。その後は、トップの山下雅之選手と予選4位から2番手に浮上した千代勝正選手が熾烈なトップ争いを展開し、その後方には予選2位の川村和希選手を頭に3番手集団が形成された。だが、3周目のヘアピンで川村和希選手がスピンしてコース上にストップ。その排除のために、セーフティカーランとなった。
再スタートが切られた5周目、山下雅之選手と千代勝正選手はサイド・バイ・サイドで激しいデッドヒートを展開。シケイン形状のダンロップコーナーで2台はブレーキングミスのためにコースオフ。山下雅之選手は、そのままダンロップコーナーをショートカットする形でコースに復帰してトップをキープ、千代勝正選手は4番手に後退。
初ポールの山下雅之選手がリードしたが、ドライビングスルーペナルティで後退
その後は、山下雅之選手、国本雄資選手、千代勝正選手、佐藤公哉選手というトップ4のオーダーで周回が続けられた。だが、山下雅之選手にはダンロップコーナー不通過によるドライビングスルーペナルティが課せられて、11周目には18番手まで後退。ここで国本雄資選手がトップに立ち、そのまま2番手の千代勝正選手を2秒以上も引き離してトップでチェッカー。国本雄資選手は、今季5勝目を飾るとともに、2年目の参戦となるFCJで、3戦を残してシリーズチャンピオンに輝いた。
2位千代勝正選手、3位佐藤公哉選手までトップから約3秒差で表彰台を獲得。予選18位の松井孝允選手が追い上げを見せて4位、そして李 康太選手、秦野耕太郎選手、細川健治選手、小林崇志選手、金井亮忠選手、日向俊博選手までが、ポイント圏内のトップ10に入った。レース中のベストラップは、10周目に佐藤公哉選手がマークした。
左から2位の千代勝正選手、優勝の国本雄資選手、3位の佐藤公哉選手
「レース序盤はクルマがなかなかグリップしなくて手こずりましたが、自分の走りをすることに集中しました。山下選手と千代選手がコースオフしたことで、トップに立つことができました。トップになってからは視界もよくなり、自分の走りができました。残りの周回数はアッという間で、楽しく最後まで走れました。まだレースは残っていますので、気を抜くことなく臨みたいと思います。今回の結果でFCJのチャンピオンになりましたが、自分の目指すところはまだ上にあるので、これで満足しているわけではありません。課題や、やらなくてはいけないことが、まだたくさん残っています。残り3戦でそれを埋められるようにして、来季以降に生かしたいと思います」と優勝でチャンピオンを決めた国本雄資選手。
「スタートで2番手に上がることができましたし、セーフティカーあけの第1コーナーではトップに立つこともできました。山下選手とは抜いたり抜かれたりで、それでも首位は守れると思っていましたが、ダンロップコーナーでは自分のブレーキングミスでコースから飛び出してしまい、トップを国本選手に譲る形になりました。勝てるレースだったので、この2位という結果はとても悔しいです」とレースを振り返る千代勝正選手。
「スタートが15番手だったので、レースでは表彰台よりも確実に最後まで走りきることを考えていました。そして抜けるチャンスが来たら、一発で抜けるようにと心がけてレースを戦いました。3位でしたが、自分としてはいいレースとは言えません。1周目には6番手に上がったのに、2周目にはスピンしてその順位を落としたからです。結果的には順位を戻すことができましたが、やはりあのミスは悔やまれます」と語る3位の佐藤公哉選手。
初ポールの金井亮忠選手が好スタートを決めてレース序盤をリードした
●第14戦決勝レース
日曜の朝、雨は降ってはいないが、午前8時から走行開始となったフォーミュラ・ニッポンのフリー走行時の路面はハーフウエットでスタート。続けて行われたFCJ第14戦は、イン側グリッド部分だけが少し湿っているという微妙なコンディションとなった。遠くには雨雲も確認できたが、FCJの決勝レースは、日が差したり曇ったりという天候で行われた。
第13戦より6周多い21周で争われた第14戦は、午前8時59分26秒にスタート。初のポールの金井亮忠選手は、トップで1コーナーへ進入してレースをリード。2番手には予選4位の国本雄資選手、予選3位の佐藤公哉選手、予選5位の東 徹次郎選手、予選3位の小林崇志選手というオーダーで続いた。だが、ヘアピンで林崇志選手がコースアウトしたため、第13戦に続いて序盤でのセーフティカーランとなった。
7周目にトップに立ち、そのまま今季6勝目を決めた国本雄資選手
4周目に再スタートが切られて金井亮忠選手がリードしたが、6周目の最終コーナーで金井亮忠選手のペースが鈍って2番手の国本雄資選手が急接近。ストレートエンドで国本雄資選手はイン側からトップに立ち、そのまま1コーナーに進入。その後は、国本雄資選手を先頭に金井亮忠選手と佐藤公哉選手がトップ3集団となってレースは進行。その後方には少し離れて東 徹次郎選手が4番手で続いた。16周目には銘苅 翼選手をパスして佐々木大樹選手が5番手に浮上。17周目には李 康太選手が6番手に浮上するなど中盤ではバトルが展開されて順位の変動はあったが、トップ3は1秒前後の間隔で7周目の順位のままでチェッカーとなった。
国本雄資選手が今季6勝目を決めて、8周目にベストラップをマーク。初ポールの金井亮忠選手は2位、予選2位の佐藤公哉選手は3位となった。そして東 徹次郎選手、佐々木大樹選手、李 康太選手、細川健治選手、霜野誠友選手、銘苅 翼選手、中山雄一選手がトップ10フィニッシュを果たした。
セーフティカーランが抜け、再スタート直後の1コーナー
「優勝できてうれしいです。スタートは今季いちばんと言えるくらいにうまくいきました。路面状態があまりよくない4番手グリッドでしたが、スタートで2番手に上がれました。セーフティカーが入ったことで首位との差も縮まり、金井選手が最終コーナーでミスしたようで、1コーナーで抜くことができました。ファステストラップを狙って、最後まで集中して走りました。今日のレースではいろいろな収穫がありました。次の菅生は、昨年も2連勝しているサーキットです。次も2連勝して、有終の美を飾りたいと思います」と国本雄資選手。
「今週末は雨で路面が濡れていたり、雨が止んで路面が乾いたりと、いろいろな条件での走行になりましたが、状況に自分をうまく対応させた結果が、ポールポジション獲得につながったんだと思います。今日のスタートは決まったのですが、ミスもあったり、タイムを伸ばせなかったりで、国本選手に抜かれてしまいました。2番手になってからは、気持ちを切り替えて、もう一度抜き返そうという強い気持ちで走りました。抜けませんでしたが、収穫はありました。次の菅生では表彰台の真ん中に立って今季を終えたいと思います」と2位の金井亮忠選手は、最終大会へ向けての決意を語った。
「今日のレースは、国本選手と同じように路面が濡れている2番手グリッドからのスタートでした。でも路面の読みの甘さが出て、スタートで遅れてしまい、これが今日のレースのすべてだったと思います。昨日のように大きなミスはありませんでしたが、2番手の金井選手に接近している状況でミスをしたので、そういう自分の精神的な弱さなどを改善しなければいけないと感じます。次の菅生は走ったことはありませんが、木曜のテストからしっかりと組み立てて表彰台の真ん中に乗りたいと思います」と語る3位の佐藤公哉選手。
左から2位の金井亮忠選手、優勝の国本雄資選手、3位の佐藤公哉選手
第14戦を終えた時点のポイントランキングは、第13戦と第14戦で連勝を飾り、第13戦でチャンピオンを決めた国本雄資選手が229点を獲得して2位以下に79点差でトップを独走。第13戦と第14戦で連続3位の佐藤公哉選手(150点)がランキング2位をキープ。今季3勝の千代勝正選手は、第13戦は2位で15点加算の132点でランキング3位。今季3勝の松井孝允選手は、第13戦の4位で10点を加算して116点でランキング4位。第13戦で初ポールの山下雅之選手(67点)はポールのみの1点加算でランキング5位と、トップ5は変わらず。第13戦で9位、第14戦はポールと2位で18点加算の金井亮忠選手(64点)は7位から6位に浮上。第11戦で初優勝した銘苅 翼選手(63点)は第14戦の9位のみの加算に終わり6位から7位に後退。8位はノーポイントに終わった三浦和樹選手(42点)。
次回は、いよいよ最終ラウンドとなるFCJ第8大会(第15戦、第16戦。フォーミュラ・ニッポン第8戦と併催)は、3週間のインターバルを経て、9月20~21日、スポーツランドSUGO(宮城県)で開催。今季を締めくくる注目の一戦だけに、好レースが期待できそうだ。