特別戦 11月6日(日) モビリティおおむた
2011年最後のイベントでも大活躍!
全9クラス中7クラスをダンロップ勢が制覇!
決勝の朝まで降り続いた雨だったが、昼が近づくにつれ曇りに。路面状況はみるみる好転してゆき、2本目勝負の逆転に次ぐ逆転で盛り上がった2011年のJAFCUP。
2011シーズンの全日本ダートトライアル選手権もすべての日程を終了。各クラスでダンロップ勢が大活躍。全9クラス中8クラスでチャンピオンを獲得するという、圧倒的な強さを見せつけた。有明湾をのぞむモビリティおおむたで行われたJAFCUPは、今シーズン最後のビックイベント。全日本トップランカーに全国各地区の地区戦で上位に入った選手、そして各地区の推薦選手だけに参加資格がある。それゆえ地区戦の選手たちにとっては、全日本レベルでの自分の実力を測るものさしにもなる大会だ。そんな晴れの舞台に晴天を期待していた選手も多かったが、レースウィークとなった土曜日から日曜日にかけて残念ながら雨が降り続いた。決勝の1本目には水たまりのできている個所も多く、慎重なドライビングが必要な状況だった。しかしN2クラスがスタートする頃には、雨も上がり曇り空に。2本目が終わる頃には、晴れ間が広がった。刻一刻と回復する路面状況に、大幅なタイムアップを果たす選手も出現。中には全日本チャンピオンを食う選手も現れるなど、ダンロップ勢は今回も各クラスで大活躍した。では早速その模様をお伝えしよう。
全日本トップランカーたちの争いとなったN1クラス。おおむたで速さを見せたのは全日本シリーズ3位の児島泰。2本ともトップの完全優勝を飾った。
チャンピオンのエントリーは無かったものの森田英文、児島泰、内藤聡の全日本戦2~4位までの上位勢が勢ぞろいしたN1クラス。今回は大外の外周を大きく使うハイスピードの設定がなされるなど、選手にとっても走りがいのあるコース。1本目、2位の森田に2秒近く差をつける2分0秒922でトップに立ったのは児島。全日本選手同士の争いから幕が切って落とされた。しかし2本目に入ると路面が回復。ウエットタイヤでの走行ながらも、グリップが増し全車大幅なタイムアップ。関東の向井冬樹が1分54秒750を叩き出しトップタイムを引き上げる。ラスト2台となり1本目トップの児島がスタート。アグレッシブな走りで各コーナーを走り抜けると、タイムは1分54秒010と向井を逆転。ラストゼッケンで全日本シリーズ2位の森田がスタート。しかし1分54秒285とわずかに届かず2位。17台が参加したN1クラスを児島が制した。
こちらも全日本選手同士のトップ争いとなったN2クラス。全日本ではわずか1ポイント差でチャンピオンを逃した佐藤秀昭だったが、快走を見せ2011年を優勝で締めくくった。
こちらも全日本トップランカーが参加してきたN2クラス。還暦前チャンピオンの伊藤益弘を筆頭にシリーズ2位の佐藤秀昭、そして西田裕一、青木辰之の常連組。1本目トップに立ったのはストーリアを駆る佐藤でタイムは1分56秒184。2位には、全日本ラリーにも参戦している村田康介が1分56秒880でつける。3位には中国地区の内海晋作、次いで伊藤のオーダー。路面状況が好転した2本目にはN2クラスも大幅タイムアップ!村田が1分51秒439と一気にトップタイムを跳ね上げると、内海が1分52秒002でこれに続く。さらにアルトに乗る小川静夫が1分51秒164で村田を上回りトップを奪う。1本目トップの佐藤がスタート。各セクションをきっちりと攻め切るとタイムは1分49秒764!スーパーラップで大逆転!!ラストゼッケンの伊藤に期待がかかったものの、タイムは1分52秒037と伸びず5位に終わる。わずか1ポイント差で逃した全日本チャンピオン。佐藤は、その憂さを晴らすかのような激走を見せてくれた。来年につながる勝利で今シーズンを締めくくることができた。
全日本チャンピオンの吉村修を抑え、地元の九州勢が速さを見せたN3クラス。全日本戦でもシングルに入賞する岸山信之が2本目逆転で初のJAF CUP優勝を飾る。
全日本チャンピオンの吉村修が参戦してきたN3クラス。吉村はその勢いを維持するかのように1本目1分49秒809を叩き出してトップに立つ。2位には約2秒差で地元福岡の岸山信之がつける。タイムアップ合戦となった2本目に入り、吉村のタイムは更新され1分46~47秒台でトップタイムが推移する。各コーナーから水たまりが減り、ウエットから路面の固い部分が顔をのぞかせ始めた。そんな状況では、やはり地元選手が強い。2位につけていた岸山は1分45秒378と1分45秒台にトップタイムを跳ね上げる。これには後続の選手も追いつくことができない。ラストゼッケン吉村もラインを外してしまい1分52秒016とタイムダウン。岸山がビックイベントで初の優勝を飾った。岸山は地元のモビリティおおむたを中心にタカタや門前などに遠征を続ける選手。2004年の全日本初参戦以来、一貫してランサーで参戦し続けてきた。今シーズンはおおむたでの第1戦、門前での第3戦と第8戦のタカタにエントリー。そのうちシングル入賞が2回と調子は上向きだった。2012年のシーズンに向け大きな弾みとなるJAFCUP優勝となったことだろう。
地元勢をかき分けて2本目に逆転優勝を飾ったのは、SW20MR2を駆る広島の矢野淳一郎。FF車が大半を占めるSA1クラスでリア駆動車が優勝を飾るという貴重なリザルトとなった。
9台のエントリーがあったSA1クラス、1分56秒945で1本目トップに立ったのは岡田晋吾。2位には星野元と地元九州勢がワン・ツーを占める。とはいえ岡田と星野のタイム差は、なんと6秒近く。ウエット路面の中とはいえ、走り方を心得ている地元勢が優位な流れをつかんでいるかと思われた。開けて2本目、好転する路面の中そんな流れを断ち切ったのが広島の矢野淳一郎だった。SA1クラスただ一人のリア駆動、MR2(SW20)を駆る矢野。その目には、ライバルのFF勢には見えないレコードラインが見えていたか?ゴールするとタイムは1分53秒781!矢野のタイムは更新されないまま、ラストゼッケン1本目トップの岡田がスタート。地元の意地を見せてタイムアップしたものの1分54秒486。トップ矢野にコンマ7秒届かず2位に終わる。優勝した矢野。2006年のJAFCUPからMR2に乗り換えて5年。2010年4月には、モビリティおおむたで行われた全日本開幕戦で2位に入るなどMR2の速さに磨きをかけてきた。今回は地元九州勢を倒しての優勝。SA1クラスでリア駆動勢が勝ったというのも貴重だ。この流れを結び付け、2012年矢野の活躍を期待したい。
リアバンパーが外れたのをものともせず、各セクションを全開の『北村走り』で走り抜けた北村和浩が2本目に逆転で優勝を飾ったSA2クラス。その走りは圧巻のひとこと。
14台とN1に次ぐエントリーがあったSA2クラス。このクラスの本命は、もちろん全日本チャンピオンの北村和浩。1本目に1分47秒341を叩き出し、2位の山本厚に2秒の差をつけてトップに立ち圧倒。2本目に入って46~45秒台で動いていたトップタイム。これを1本目2位の山本が1分44秒891で44秒台にぶち込む。だが圧巻はそこから。コース内でリアをヒットし、1本目からふらついていたリアバンパーを引きずりながらの激走。大外の高速区間でもそれをものともしない踏みっぷりでそのままゴール!タイムは?山本を2秒引き離す1分42秒730!! 圧倒的な迫力で走り切った北村に観客からも大きな声援が上がる。全日本チャンピオンの格を見せつけた北村。その迫力にダートラを始めたいと思う選手が出てきてほしい。そんな北村のメッセージを感じさせた走りだった。
全日本で優勝したこともある九州のベテラン橋本和信。全日本では10位だったが、九州地区戦では満点チャンピオンを決めている橋本がJAF CUP初優勝を飾った。
全国的に台数が少なくなってきている改造車。各位地区戦でもSC3とDを同じクラスとして成立している地区も多い。そんな状況の中、SC3クラスのマシン同士で争える場は全日本とJAFCUPのみ。少数精鋭の中でも地元九州を中心に9台の参加が見られた。胸を貸す全日本選手はシリーズ4位の梶岡悟(中国地区)と5位の岩下幸広(九州地区)の二人を中心に展開するかと思われたSC3クラス。だが1本目1分45秒433と梶岡に約0.4秒差をつけトップに立ったのは、全日本でも優勝を飾ったことがある地元九州のベテラン橋本和信。今シーズンもおおむたとタカタの全日本戦でポイントゲットし全日本10位につけている。一方九州の地区戦では、有効5戦すべて優勝で満点チャンプ。その速さを見せつけた。2本目に入っても橋本は速さを見せ1分40秒475までタイムアップし堂々の優勝を飾った。これまでの橋本の戦歴を調べてみると、意外にもJAFCUPは初めての優勝だった。
2011シーズン最後の走りでオーバーオールのトップタイムを叩き出したDクラスの江川博。2012年こそ、この好調をつなげ全日本初優勝を飾りたい。
ダンロップユーザーの中では、おおむたをホームコースとする全日本Dクラス4位の江川博が参戦。地の利を生かしたドライビングで1、2本目ともトップタイムで優勝。全日本戦ではシリーズ3位だった河内渉を打ち負かす下剋上を見せた。2本目のタイム1分39秒224はただ一人の39秒台でオーバーオールでもトップタイム。この強さを来年の全日本戦につなげたい活躍だった。今回のJAFCUPで今シーズンのダートトライアルも、主要イベントが終了しシーズンオフに入る。2011年全日本でも大活躍だったダンロップ勢だが、2012年に向けてさらなる活躍を期待したい。