第9戦 11月9日(日) 丸和オートランド那須
ダンロップ勢、今年の締めくくり、JAF CAPオールスターで4クラスを制覇!
分厚い雲に覆われた会場上空。
日本国内のダートトライアル選手権は全日本選手権、地方選手権の両シリーズは全日程を終え、残すは毎年開催されるビックイベント、オールスターダートトライアルの開催を迎えるのみとなった。闘いの場となるのは北関東のダートトライアルのメッカ、丸和オートランド那須だ。ここ丸和オートランド那須では全日本選手権が2回開催されている程、ダートトライアルに欠かせない開催場所と言えるだろう。このオールスターダートトライアルは全日本選手権シリーズ上位選手と地方選手権シリーズでも各地域の上位選手が選出され、更にはJMRCオールスター選抜戦で上位を獲得したドライバーが集い競われる。
開催当日は分厚い雲が広がり、雨の心配は要らないようだが、冬に近づいている事もあって、この寒さが競技に影響するかが心配である。
全日本選手権では今シーズン優勝出来なかったがこのJAF CAPで優勝を果たした中嶋ケンタロー(ストーリア)
ダンロップ勢で最初に勝者を出したN2クラス。このクラスの一番の注目は今年も全日本選手権のチャンピオンに輝いた原宴司(ブーン)だ。誰もが原の優勢に進むと思われたレース展開だったが、そう簡単にはさせまいと全日本選手権に参戦する他の選手達が上位に留まる。そして向かえた午前の1本目で真っ先に走行するのは、全日本選手権にエントリーする中嶋ケンタロー(ストーリア)で、その中嶋が1本目からスーパーラップをマークする事に。ただ一人の1分42秒台で1本目を終えトップタイムを奪う。中嶋は2本目でも自身のタイムを更に2秒475も縮め、優勝が一段と近づく。この中嶋のタイムを上回ろうと地方選手権のドライバーや全日本選手権のドライバー達が丸和オートランド那須のコースに果敢にアタックを試みるがどうしても中嶋のタイムを敗れない。遂には、全日本選手権第3位の伊藤益弘(ブーン)や全日本選手権チャンピオンの原までもねじ伏せ見事、優勝を果たした。
表彰台の中央に立てた事を喜ぶ中嶋、ダンロップのワン・ツー・スリーフィニッシュ。
優勝を果たした中嶋は「このメンバーの中で一番高いところに立ててよかった。また、理解のある家族に支えられたのが勝因です。」とJAF CAP初優勝のコメントを終始笑顔で語った。
全日本選手権ランカーの実力を十分に見せ付けた赤羽政幸(ランサー)
22台のエントリーで競われたN3クラス。1本目、このクラスのダンロップ勢は全車、泥ねい路と軟質ダートに力を発揮するDIREZZA 74Rを選択。そして午前の1本目で全日本選手権第5位の山野光司(ランサー)がただ一人1分35秒の大台に乗せトップタイムをマーク。優勝への意気込みを見せ付ける。午後からの2本目、ダンロップ勢は全車同じタイヤ選択を行いDIREZZA 86RWへ変更。この変更が功を奏し次々とタイムアップを果たす。1本目トップの山野が1分34秒063をマークしトップに立てば、続く全日本選手権4位の赤羽政幸(ランサー)がこのタイム上回る1分33秒324をマーク。そしてこの終盤に待ち構える全日本選手権チャンピオンの吉村(ランサー)が走行。最終戦から新型の車両で赤羽のタイムを破ろうと果敢にアタックを慣行。しかし、トップタイムに0コンマ311秒届かず2位に甘んじる。結果、ダンロップ勢による激しい優勝争いが繰り広げられ、全日本選手権に参戦する赤羽が優勝を獲得する事となった。
5年ぶりの優勝とJAF CAP初優勝で嬉しさ倍増の赤羽
優勝した赤羽は「5年ぶりとなる優勝がJAF CAPで初めての優勝なのでとても嬉しいです。またサポートしてくれた人や応援してくれた人達に感謝しています。」と謙虚なコメントの赤羽であった。
今季3度目となる工藤とのワン・ツー フィニッシュを飾った笹本。
全日本選手権勢が力の差を見せ付ける結果となったSC1クラス。中でも全日本選手権で最後の最後まで縺れた優勝争いを制したチャンピオン笹本俊(シビック)が全日本最終戦に続き、連続の優勝を獲得。1本目では3位に甘んじるが、2本目でキッチリと全日本選手権からエントリーする工藤清美(シビック)、山本拓(インテグラ)、笹本が全日本選手権と変わらぬ優勝争いを展開。笹本は3位と遅れをとるが、2本目でキッチリとタイムアップを果たし、優勝の結果で2008年シーズン最後レースを締めくくった。
全日本勢を抑え込んでの優勝で大金星を挙げた金枝宣孔(インプレッサ)
SC3クラスでは地方選手権、関東地区のドライバーが大暴れ。このクラス、圧倒的な速さでチャンピオンに輝いた谷田川敏幸(インプレッサ)は1本目で難無く1分33秒702のトップタイムをマーク。そしてこれに食らい付いたのが関東地区、1位の星野伸治(インプレッサ)と3位の金枝宣孔(インプレッサ)だ。2本目では先に走行する。金枝が地元の意地を見せ、1分34秒532でトップタイムをマーク。その後の星野はこのタイムを上回れず、待つ谷田川のみとなる。その谷田川は最終セクションでまさかの転倒。この転倒により競技は一時ストップするが谷田川は走行が無理となり、この時点で金枝の優勝が決定。
来シーズンは是非とも、全日本選手権にエントリーを果たして欲しい。
表彰式の金枝は緊張しているのか、恥ずかしいのか「優勝出来てよかったです。」の一言ではあったが、嬉しさが十分に伝わっていた。