特別戦 11月4日(日) 2012年JAFカップオールジャパンダートトライアルダートラ 京都
全国地区戦選手たちの晴れ舞台JAF CUPで
ダンロップユーザーたちが大活躍!
朝もやに煙っていたコスモスパークだったが、昼になると写真の秋晴れに。新コースの増設など、来年以降に向けて楽しみな要素が増えた2012年のJAF CUP。
全国各地区戦と全日本選手権の上位入賞者に出場資格のあるフェスティバルイベント、それがJAF CUPダートラだ。元は年1回のオールスターダートラとして、その年の日本一を決めるイベントとして始まったもの。その後に全日本選手権が成立し全国を転戦、時代の移り変わりにより様々な役割を持つものとなった。142台のエントリーを集めた今回のイベントだが、エントリーリストを見るとSC1クラスを除く全日本チャンピオンが参加。地区戦の選手たちが、全日本選手と同じコースで腕試しをする良いチャンスとなった。朝もやが煙る京都のコスモスパーク。ここ数年全日本は開催されていないものの、一部でコースが拡幅されるなど、選手たちからは走りやすくなったという声も聞かれた。全国各地区から関係者が集まり、年に一度のお祭りムードを盛り上げた。それでは早速ダンロップ勢の活躍を見てみよう。
様々な路面に合わせたセッティングとドライビングができるのが全日本選手の真骨頂。走り込みで試したセッティングが当たった川島秀樹がJAF CUPを制した。
全日本チャンピオンの今村宏臣をはじめ、関東、中部、中国地区のチャンピオンがエントリーしてきたPNクラス。改造範囲を厳しく制限された最新車種での競技、その楽しさも浸透し始め全国で台数も増える傾向にある。今回は2本目にタイムアップして、1'36.158を叩き出した川島秀樹が全日本での鬱憤を晴らす走りを見せ優勝。「今回はフロントに87Rでリアに74Rを履きました。ことし走り込みをした時に、いろんな組み合わせで走って探した組み合わせですね。前後ドライにしちゃうとフロントが負けちゃう事がある。だからリアをマイルドに出すためにウエット履かせました。サスペンションだけで対応しようとすると、トラクションが下がっちゃうのでタイヤで合わせた。FF特有のセットといえるかもしれませんね」と川島。様々なコースで走った経験を今回の路面に合わせてベストタイムを叩き出した。
地区戦チャンピオンたちとのバトルを「全力で挑みました」という坂井義浩が4回目の挑戦でJAF CUP初めて手にする事ができた。
DC2インテグラが主力車種となるN2クラス。全日本でも毎戦僅差の戦いが繰り広げられている。絶えず変化して行くダート路面という不確定要素がありながら、100分の1秒や1000分の1秒差で勝敗が決まる事も珍しくなく、ドライビング技術はもちろん運にも左右される競技性の高さにハマる選手も多い。競技スタート前に砂埃防止のために撒かれる散水が勝負の行方に大きく左右した。ウィナーは全日本3位で出場の坂井義浩。「これまで4回挑戦してきて初めてJAF CUPを獲る事ができました。これまでの最上位が2位という事もあって、全力で挑みました。基本はタイムの出るタイヤを選んで走りました。2本目にハーフスピンしてしまった事もあって、タイムアップできませんでした。路面は散水が残った部分と乾いている部分が存在する両極端な難しい路面でした。N1は1秒の中に10人が入る事が当たり前のクラスなんで、実際に見に来てもらえればその面白さを体験できると思いますよ」と並々ならぬ意気込みで参戦してきたことを教えてくれた。
『還暦チャンピオン』のベテラン伊藤益弘を押さえて、JAF CUPを勝ち取ったのは青木辰之。全日本での不調を覆すような走りで、来年に弾みをつけた。
ブーンやストーリア、そしてアルトなどが主力車種となるN2クラス。未だ現役の競技車もあり、今回は14台ものエントリーを集めた。競技は1本目1分32秒214を叩き出した青木辰之がトップに立つ。2本目に入ってタイムアップする選手たちも多く、後半ゼッケンの全日本勢の走りに注目が集まった。1本目トップの青木が、1分31秒493と自己タイムを更新するとエントリーしている選手立ちからどよめきの声が上がる。続く西田裕一が1分31秒568と青木に肉薄するが届かない。最終ゼッケンの『還暦チャンピオン』伊藤益弘の走りに逆転の期待がかかったが……、コース上でスピンする伊藤の姿が。「コースが新しくなって、すごく良い事やね。走りやすくなったし。でも2本目は2回くらいスピンしてもうて、まだまだやなと思います。えらい勉強になりましたわ」と伊藤。ベテラン選手でも学ぶ事が多かったという路面。2012年のJAF CUPは全日本では3位に終わった青木が獲得する事となった。
北海道からただ一人エントリーしてきた北條倫史が1分26秒225でトップに立ち、全日本チャンピオンの佐藤隆行を押さえてJAF CUPを勝ち取った。
全日本も含め5人と最も多くのチャンピオンが集まったN3クラス。年に1回の腕試しを楽しみにしている選手が多いクラスだ。そこでも様々な路面で走った経験を生かしたのが全日本勢。1分27秒台で推移していたトップタイムを一気に26秒台に引き上げた。北海道からただ一人参加してきた北條倫史が1分26秒225でトップに立ち、全日本チャンピオンを退けてJAF CUPの栄冠を勝ち取った。「1本目はウエット用で2本目にドライタイヤを履きました。2本目は散水の影響が気になってたんですが、走りを見ていてギャラリーコーナーを観て情報収集をしているとリヤが出ている選手が多かった。だから1本目より押さえて、真っ直ぐを向いてからアクセルを入れるようなドライビングに変えました。4駆だから滑ってても前には出るんですけどね、その辺りのバランスが難しいところですね」と北條。シリーズ3位に終わった全日本での悔しさを晴らしたリザルトとなった。
今シーズン3回目の全日本チャンピオンを獲得した山崎利博が2本目に、1分30秒113をたたき出して優勝。JAF CUPも制して栄冠に花を添えた。
全国各地のダートラ場を走る経験から、様々な路面に対応する能力を身につける全日本選手たち。その経験を生かすとホームコースで走ったときに大きな違いを感じる事も多いという。コースが改修され、イコールコンディションで争った今回のイベント。SA1クラスで2本目に1分30秒113を叩き出し、全日本に続きJAF CUPも制した山崎利博に聞いてみた。「中部地区のダートラ部会長という立場だと言いづらい事もあるんですけど、全日本でしか学べないものってありますよね。自分も過去そうでしたけど、悔しい思いを一杯してきたしそこから学んだ事って多いですからね。だからいろんなところで走る事って、すごく重要な事だと思いますよ。2本目は87Rを履きました。同じ駆動方式のN1クラスの人に話を聞いてみると、どちらも良い部分がありそうでした。そこで自分的に考えると、87Rはギャップの多い路面での走破性が高いと感じていたので選択しました」と山崎。自らの経験を目の前の状況に照らし合わせたタイヤ選択が功を奏した結果となった。
負けられないというプライドと借り物のクルマという複雑な心理状況のなか、JAF CUPを目一杯楽しんだ北村和浩。来年に向けて大きくモチベーションが高まった。
21台と多くの選手がエントリーしてきたSA2クラス。地区戦からのエントリーが15台もあり、全日本選手との直接対決を楽しみにしてきた選手も多かった事だろう。逆に全日本の選手たちも負けられないというプレッシャーを『感じる』?『楽しみ』?ながらのイベントとなったようだ。このクラスで貫禄を見せたのは、やはり北村和浩だった。「2本目は中途半端な路面で、91Rを履くにはちょっと厳しいかなという状況でしたね。迷った時には87Rというタイヤ選択がうまく行きましたね。全日本の最終戦で転倒してクルマを壊しちゃって、今回は人から借りたクルマという事もあってねぇ。壊しちゃイケナイのに練習走行の1本目でドライブシャフトを壊しちゃった。でも周りの人が協力してくれて直ったし、勝つ事ができた。すごくうれしくて、またダートラをやりたいという気持ちが強くなりましたね」と北村。
SC2クラスが5台のエントリーで成立。エントリーを楽しみにしていた中部地区のチャンピオン村瀬秋男が1本目に1分32秒137をたたき出してJAF CUPの栄冠を獲得した。
全日本選手権では、参加車両の減少でクラス成立が危ぶまれていたSC2クラス。だが中盤戦からダブルエントリーも含め4戦が成立し、チャンピオンが生まれた。今でもSC2車両を所有している選手もおり、今回は5台がエントリー。中部地区のチャンピオン村瀬秋男がJAF CUPを制した。「エントリーしてSC2クラスを成立させてくれた周りの皆様に感謝します。今日は一日、競技を楽しむ事ができました」と村瀬がコメントした。
全日本選手の貫禄を見せた丹羽政彦が、1本目に1分23秒643を叩き出してJAF CUPを獲得。表彰式では、2012年の悔しさを帳消しにする笑顔を見せていた。
地区戦での単独成立が難しいSC3だったが、吉村修と丹羽政彦のふたりの全日本エントリエントリーでクラスが成立した。1本目に1分23秒643を叩き出した丹羽が逃げ切って優勝を飾り、JAF CUPの栄冠を獲得した。これで全日本ダートラは2012年のビックイベントを全て終了しシーズンオフに入った。2013年は3月17日に丸和オートランド那須で行われる開幕戦を皮切りに全国7カ所のダートラ場で、全日本ダートラが開催されます。それまでの間、楽しみにダートラシーズンの到来を待ちましょう。