第8戦 10月4日(日) 門前町モータースポーツ公園
N2クラス、原の大逆転タイトル!
ここ門前でダンロップ勢が3クラスを制覇!


天候にも恵まれ、ベストコンディションの中、最終戦が開催された。

 全8戦で争われて来た今シーズンの全日本ダートトライアル選手権も石川県は輪島市 門前町モータースポーツ公園で遂に最終戦を迎える事となった。この門前町モータースポーツ公園は1992年に日本海側初のダートトライアル場としてオープン。300mに渡るストレートと起伏に富んでいる事がこのコースの特徴。また今年で12回目を迎え、全日本ダートトライアル選手権には欠かせない会場の一つである。
 タイトル争いでは4つのクラスがこの最終戦までもつれ込むといった激しさを展開。この中には連続タイトルが掛かったN1クラスの河石潤を始めとするダンロップ勢の戦いは特に目が離せない。天候も朝早くに瞬間的な雨が降るものの、その後はシーズンを締めくくるにふさわしい快晴が会場の上空に広がり、コースコンディションやマシンコンディションに不安要素を与える事の無いベストなコンディションの中、最終戦のスタートフラッグが振られた。

思いもよらない大逆転で原宴司(ブーン)が連続タイトルを決定!

 今シーズン最もドラマティックな最終戦となったN2クラス。この最終戦を迎え、タイトルの可能性を持つのは全てダンロップユーザー。現在、1勝ながら全戦での高ポイントゲットでトップに立つ西田裕一(ブーン)、2位に好調の佐藤秀昭(ストーリア)、3位にはベテラン伊藤益弘(ブーン)、4位にディフェンディングチャンピオンの原宴司(ブーン)とこの4名にタイトルの行方が絞られた。1本目では朝の雨により湿った路面を判断してブーン勢はDIREZZA 74R、ストーリア勢はSP SPORT 73-Rを選択。この一本目では原が2番手、西田が4番手と、これ以外の上位はノーシード勢が絡み予測不可能な展開となった。そして決着が付く2本目ではダンロップ勢の殆どがSP SPORT 85-Rへとスイッチするが、原は1本目と同じDIREZZA 74Rを選択。この選択の違いが勝敗を分けるのか注目だ。そしてタイトルが掛かったラスト4名の順番となり西田がコースイン、その西田のタイムはタイトル争いを盛り上げる1分45秒054でベストタイムを更新。続く伊藤が既に走行を開始しておりそのタイムは1分44秒639と西田のタイムをコンマ415秒上回り会場全体が更に盛り上がりを見せる。ラスト2番手の佐藤がこのタイムを更新するかに思われたが前半セクションで思うようにタイムが伸びず何と1分45秒321で4番手となってしまう。残すは最終走者の原のみ、その原は前半セクションでトップタイムをマークし、その勢いは後半セクションも変らずゴールラインを通過。静まり返った会場に響いたそのタイムは1分44秒219、伊藤のタイムをコンマ420秒塗り替え優勝を獲得。この優勝で獲得するポイントを集計すると何と僅か1ポイント、佐藤を上回り原が大逆転で連続タイトルを決定するドラマを最終戦で繰り広げた。

ダンロップ勢での激しいタイトル争いを制した原が一番高い所へ。

 「今回の様なチャンピオン獲得は今まで無く凄く嬉しいです。」と満面の笑みを浮かべ表彰台の真ん中に立つ原。得意とは言えないここ門前での優勝ともあって、このタイトル獲得は一生忘れられない思い出になるに違いない。

今シーズンは新型車両での優勝も飾り、シリーズ2番手の活躍を見せた吉村修(ランサー)。

 N3クラスの吉村修(ランサー)は前戦コスモスパークを終えてポイントランキングを3位で最終戦を迎える。その吉村は1本目を1分39秒482のベストタイムをマークしトップに立つ。続く午後の2本目、最終走者となる吉村までに田崎克典(ランサー)がベストタイムを更新している。吉村はこのタイムを塗り替えるべくアタックを行い、自己の1本目から1秒185タイムアップを果すがベストタイム更新とまでは行かなかったが見事2位表彰台を獲得。シリーズランキングも3位から一つ上げ、シリーズ2位を獲得する事となった。

唯一の1分41秒台のタイムを叩き出した工藤清美(シビック)。

 本日、ダンロップユーザー2人目のウイナーはSC1クラスから誕生。既に前戦のコスモスパークで太田雅文(ランサー)のチャンピオンが確定しているが、シリーズ2位のポジション争いがこの最終戦までもつれ込んでいる。この2位の座を掛けての激戦をダンロップユーザー工藤清美(シビック)が制しシリーズ2位を獲得。競技は工藤と3位の福山重義(シビック)、に太田が加わり、最終戦のトップ争いを繰り広げられた。1本目で工藤と福山は同タイムとなる1分44秒771でどちらもトップを譲る気を見せない激しい走りを展開。続く2本目ではコースコンディションも整い勝負はこの2本目で決まる。この3名の内、太田がまず走行、タイムは1分42秒127でこれまでのベストタイムを更新。続く福山は無事ゴールするものの太田に1秒18届かず2番手。この時既に工藤がコースインしミス無く各セクションを走り抜けゴールを目指す。そして工藤がゴールラインを通過。気になるタイムは1分41秒496、遂にベストタイムを塗り替え今季3勝目をマーク。この優勝でシリーズ2位のポジションを決め2009年のシリーズを締め括る事となった。
 今季3勝目を飾りシリーズ2位を獲得した工藤は「来年も頑張ります!」と短いがチャンピオン獲得を目指し来シーズンへの熱い意気込みを感じさせた。

門前での初優勝を飾った岩田真理(ストーリア)は今季3勝をマーク。

 SC2クラスも前戦でチャンピオンが確定しており、こちらも2番手争いがこの最終戦にまでもつれ込んだ。1本目で既にタイトルを決めている青木辰之(ミラ)がベストタイムをマークし好調さをアピール。続く2本目ではこのクラス最初に走行する辰巳浩一郎(ミラ)が青木の1本目のベストタイムを更新しトップに立つ。そして4番目の走者となる岩田真理(ストーリア)が走行を開始。岩田は前半セクションを3番手で通過し後半セクションへと突入。この後半セクションでの走行もスムーズかつリズム良くこなし、ゴールラインを通過。そのタイムは辰巳のベストタイムをコンマ149秒上回り遂にトップに立つ。この岩田以降、ベストタイムを塗り替えられる事無くSC2クラスの走行が終了。結果、岩田が今季3勝目を飾る活躍を見せた。3位には同じダンロップユーザーの川口つぐみ(アルト)が入賞し表彰台の2つをゲット。
 ここ門前での初優勝となった岩田は第4戦のオートスポーツランドスナガワ以来の今季3勝目。「来年もこの門前で勝たせてもらいます。」とコメント。この門前を得意の会場の一つとしたようだ。

前戦2位に続く3位表彰台で最終戦を終えた梶岡悟(インプレッサ)。

 SC3クラスでは、前戦2位入賞を果した梶岡悟(インプレッサ)がこの門前でも3位表彰台を獲得。1本目では1分37秒632の2番手タイムで好発進を見せ、続く2本目では谷田川敏幸(インプレッサ)、炭山義昭(ランサー)に続く1分36秒951の3番手タイムで見事、最終戦を3位表彰台で締め括った。


 この最終戦で3クラスを制する活躍を見せたダンロップ勢、N2クラスで原の大逆転タイトル獲得等、ドラマを見せてくれた2009年。約半年間のシーズンオフを挟み、2010年シーズンの開幕は4月18日のモビリティおおむたから始まる。来シーズンもダンロップ勢による熱い走りに期待しよう。