9月22日(日) テクニックステージタカタ
開催全9クラス中7クラスで優勝!
最終戦タカタで3クラスのチャンピオン確定!
今回も締まった路面で167台のエントリーを集めたテクニックステージタカタでの最終戦。
選手たちからは運営も含め最高のおもてなしをしてもらったと感謝の声も。
3月の開幕戦から半年、全7戦で争われる今シーズンの全日本ダートラトライアル選手権は早くも最終戦を迎えた。チャンピオン争いがもつれ込む最終決戦、近年その役割をになってきたのが広島県のテクニックステージタカタ。コースコンディションはもちろんのこと、スムーズなイベント運営も選手から好評を得ているイベントだ。天候は朝から晴れで路面はドライコンディションとなり、絶好のダートラ日和。グングン上がる気温は昼ごろには30℃を超え真夏のコンディションとなった。さて、注目のチャンピオン争いだが最終戦までもつれ込んだのはN1、N2、SA1、SA2、SC3の5クラス。各クラスのチャンピオン候補の戦いを中心にダンロップ勢の活躍を見てゆこう。
2ポイント差で迎えた最終戦、渾身の走りで優勝を飾った竹本幸広だったがシリーズリーダーの山本悠太が2位に入ったことで3ポイント届かずシリーズ2位に終わる。
前戦今庄で今季3勝目を挙げ、ノーシード勢ながら72ポイントでシリーズランキングトップに躍り出た23歳の山本悠太(インテグラ)。 一方、ランキング2位の竹本幸広(インテグラ)は70ポイントと僅差で追う一騎打ちの争いだ。プレッシャーがかかる中、1分53秒447を叩き出してトップに立ったのは山本だった。対する竹本は1分54秒755で2位。2本目に入ると気温の上昇とともに好転した路面状況の中、各選手ともに自己タイムを更新。1分53から52秒台で推移するトップタイム。山本は1分51秒640でトップタイムを更新してフィニッシュする。注目のシード勢の走り! 内藤修一(インテグラ)は1分52秒230で山本に届かない。続く竹本は1分50秒697と山本を逆転してトップに立つ。この時点で2位の山本は竹本を3ポイント上回っているが、最終ゼッケンの坂井義浩(インテグラ)が2人の間に割って入ると全くの同ポイント。捨てポイントの大小で決定となれば、竹本の8に対して山本は2となり逆に竹本のチャンピオンとなる。坂井のゴールに注目が集まる。中間タイムを山本のコンマ3秒遅れで入ってきた坂井、ゴールするとタイムは1分52秒186で3位。竹本は優勝したものの3ポイント及ばず、2位の山本が今シーズン初めてシリーズ参戦した全日本で初のチャンピオンを決めた。
今シーズンが初めての全日本シリーズ参戦という23歳の山本悠太が、もちろん初めての全日本チャンピオンを獲得した!待ち望まれていた若手が台頭してきた。
若手の台頭で話題を集めた今シーズンのN1クラス、中でも23歳と最も若い山本がシリーズ参戦初年度にして初のチャンピオン獲得。初物尽くしのなか表彰式でチャンピオンインタビューを受ける山本は、「今日はきっちりと勝ってチャンピオンを決めたかったんですけど、1秒もちぎられてしまってちょっと情けなかったですが目標としていたチャンピオンを素直に喜びたいと思います」とコメント。一方チャンピオンを逃した竹本は、「今年もいろんな人の応援で参戦出来たので感謝の気持で一杯です。今日は勝てて非常にうれしいでんですけど若者に負けてしまって(笑)。正直、無茶苦茶悔しいです。でもこれからも若手も頑張っているんだぞというところを見せていきたいと思います」と話す。ニューカマーの登場が待たれる全日本ダートラで、久々にフレッシュなチャンピオンが登場した。来年の活躍も期待したい。
2年連続の対決となったN2クラスのチャンピオン争い。「最後の対決ということで悔いのない走りが出来ました」という西田裕一が伊藤益弘との戦いを制しチャンピオンに。
最終戦を迎えるまでに2勝同士でシリーズポイントを争ってきた西田裕一(ブーン)と伊藤益弘(ブーン)のふたり。優勝以外はすべて2位という西田が85ポイントでシリーズトップに。伊藤は6ポイント差で2位に。だがベスト5戦という条件のため西田は優勝以外加点できず、伊藤も優勝がチャンピオンへの必須条件となる。共に優勝以外は要らない勝負は1本目から熱い火花が散る。西田が1分54秒796で上がれば、伊藤は1分54秒887と0.091秒差の2位でフィニッシュする。互いに手の内を知り尽くしている同士の戦い。路面状況が好転するなかドライタイヤでの勝負となった2本目がスタートする。1分1秒92と誰よりも速く中間計時を切った西田は、勢いをそのままにゴールラインを切った。タイムは1分50秒676でトップに立ち、最終ゼッケンの伊藤を待つ。その伊藤だが狙い過ぎたか? 中間でコンマ5秒のビハインド。ベテランのしぶとさを見せるか?だが……、ゴールするとタイムは1分51秒763で2位に終わる。西田が同門対決を制し全日本チャンピオンを獲得した。「ついにこの時がやって来ました(笑)。去年は最終戦で伊藤さんにあっさりと負けてしまって、今年も同じパターンかなというのもありました。ですが実質このクラスで走るのは最後ということもあって悔いの残らないように走ろうと思いました。ブーンで7年、その前のストーリアから合わせると15年くらいこのクラスで走ってきました。最後の最後でチャンピオンが獲れてホントに良かったです」と西田。一方伊藤も、「もうぼちぼち後進に道を譲ってもいいかなと(笑)。長いこと共に戦ってきたブーンと別れるのは寂しいんですが、来年もどこかのクラスでまた戦えたらいいかなと思ってるんで頑張ります!」と力強くコメント。来年もダートラ場でふたりの姿を見ることができることを期待しよう。
最終戦タカタの優勝で1位4回、2位3回とほぼパーフェクトなシリーズだった北條倫史。「ライバルのお陰で自分を追い詰めて速く楽しく走れた」とライバルに敬意を表した。
20台がエントリーしてきたN3クラスは、前戦の今庄で2位に入った北條倫史(ランサー)が優勝3回と2位3回という安定した成績で初の全日本チャンピオンを確定。シリーズ2位につけていた北島広実は、今回のタカタではSA2クラスにチャレンジするなど来シーズンを見据えた展開がなされていた。今シーズン圧倒的な強さを見せた北條を中心に展開するかと思われた今回。決勝1本目に1分45秒916とクラス唯一の45秒台を叩き出して、意地を見せたのはラストゼッケンで昨年のチャンピオン佐藤隆行(ランサー)。約コンマ6秒差で2位に北條、3位にはノーシードながらシリーズ4位に食い込んでいる黒木陽介(ランサー)がつける。2本目に入ると超硬質路面用タイヤを選択する選手も増えるなか、上位3台は1本目と同様にドライタイヤを選択。黒木は1本目から3秒以上のタイムアップを果たし1分43秒947を叩き出す。このタイムにシードゼッケン勢もなかなか追いつけない。そして北條がスタートする。今シーズン安定した成績を残した北條は、中間地点で黒木をコンマ5秒上回る快走を見せ、そのままゴール。タイムは1分43秒844と黒木をコンマ1秒かわしてトップに立つ。最終ゼッケンの佐藤はこれに追い付くことができず3位に終わる。「今日は黒木くんが良いタイムを出したのが走る前に聞こえていたので、ちょっと届かないかなと思っていたんですけどタイムを残せてよかったです。今回のみならずN3のライバルのみなさんがいるお陰で、自分を追い詰めて速く楽しく走れたんじゃないかなと思います。来年もN3で走るつもりなのでぜひ注目してください!」と北條は話した。
2本目に逆転で2009年から5年連続でタカタ開催の全日本イベントで優勝という連勝記録を伸ばした山崎利博。来年の活躍に期待したい。
最終戦を迎えて実に上位4人にチャンピオンの可能性があったSA1クラス。前戦の今庄で今季2勝目を挙げた岡田晋吾(シビック)の67ポイントをトップに、ダンロップ勢では66ポイントで2位の佐藤孝(シビック)、3位に稲葉幸嗣(インテグラ)、そして昨年のチャンピオン山崎利博(シビック)が55ポイントで追いかける。三つ巴ならぬ四つ巴となるこの戦い。岡田は4位より上位に入れば75ポイント以上を獲得。こうなると、2位佐藤と4位山崎は優勝しても74ポイントで岡田を上回れない。残る稲葉は優勝すれば79ポイントとなり岡田を逆転可能という複雑な状況。さらにN3クラス終了後に行われた散水もタイヤ選択に影響を与えた。ウエットタイヤを選択する選手もいたが、多くの選手がドライ用タイヤをチョイス。中には硬く締まった路面に超硬質路面用のタイヤを選択するドライバーもいるなど、それぞれのドライビングスタイルの違いが見て取れた。様々な思惑が入り乱れるなか、1本目1分54秒372を叩き出してトップに立ったのは岡田。チャンピオンを争う稲葉は3位につけたものの、佐藤と山崎はそろってパイロンペナルティを喫して下位に沈む。勝負の2本目。真夏並みの気温に散水された路面はみるみる乾いてゆく。トップタイムが1分52秒台に更新されて注目のシードゼッケン勢4台がスタート。1分51秒966で岡田がトップタイムを更新して4位以上を確保、佐藤と山崎のチャンピオン獲得の目が無くなった。続く稲葉は1分51秒557で逆転してトップに立ちチャンピオンへの望みをつなぐ。次の佐藤は1分51秒775と自己タイムを更新するが稲葉に届かない。最終ゼッケン山崎のタイムは1分50秒410でトップタイム更新で2009年から続くタカタ5連覇を達成したが、岡田のチャンピオンが確定した。「前戦今庄での転倒と門前でのミッショントラブルの2戦が響いてしまったシーズンだったなと感じています。でもここタカタでは連勝記録を伸ばせて良かったかなと思っています」と優勝して74ポイントとなりシリーズ2位に上がった山崎。2位に入って74と同ポイントながら優勝回数の差でシリーズ3位となった稲葉は、「去年と同じ3番になってしまいました。今度3人目(の子供)が生まれるので、来年続けられるかは家族会議で決めたいと思います(笑)」と語る。毎年最終戦までもつれ込むSA1クラスのチャンピオン争い。来年も彼らの活躍を期待しよう。
荒井信介に先行を許す苦しい序盤戦から逆転につぐ逆転でチャンピオンを決めた北村和浩。優勝で決めた4年連続のSA2クラスシリーズチャンピオンに笑みがこぼれた。
北村和浩(ランサー)が荒井信介(ランサー)に2ポイント差をつけて迎えた第7戦。ここまで両者は、開幕から2連勝を決めた荒井に対し、北村が表彰台を外さない着実さで追い続け第4戦の2位で逆転。だが続く第5戦で荒井が3勝目を挙げて80ポイントとして再度逆転。正念場となった前戦の今庄で北村が優勝して82にシリーズポイントを伸ばす。対する荒井は6位に終わり有効得点の仕組みからポイントを伸ばすことができなかった。最終戦を迎えて加点条件は北村の方が厳しく2位以上、一方の荒井は5位以上でポイントを加えることができる状況だ。実は北村は2006年以来、タカタでの優勝が無い。さらに土曜日の公開練習では、ライバルたちの先行を許し7位に終わった。だが心配ご無用!開けて日曜日の決勝1本目には1分43秒050とSA2クラスただ一人の43秒台を叩き出し、荒井に約1.7秒の差をつけてトップに立つ。実に31台ものエントリーを集めたSA2クラス、2本目に入るとさらに引き締まった路面に続々とタイムアップ。シードゼッケン勢を迎え、田上正彦(ランサー)が1分42秒784と42秒台にトップタイムを叩き込む。だが1分44秒293とわずかに自己タイムを更新するものの、荒井は伸びない。最終ゼッケンの北村は、ハイスピードテクニカルと称されるテクニックステージタカタのコースを攻めきりゴール!タイムは1分42秒377と田上を上回り優勝!最終戦で貴重な20ポイントを獲得しシリーズポイントを90ポイントに伸ばしシリーズチャンピオンを確定した。表彰式では金色にチャンピオンと書かれた扇子を手にした北村、「『砂の神に選ばれし者、タカタを制す』ということで今日は『砂の神』に選んでもらって優勝することができました。これでSA2クラス4年連続チャンピオンを獲得することが出来ました。お世話になったみなさん、そしてファンのみなさん本当にありがとうございました!!」と締めくくった。
FF勢が大半を占める中、ミッドシップのMR2での参戦を続けてきた前田幸男がついに全日本初優勝を飾る。「広島のおもてなしの心で優勝できました」と前田。来年の活躍を期待したい。
シリーズ参戦全てで優勝を飾り満点チャンピオンを獲得した工藤清美。今回は欠場することとなり、『ポスト工藤』の座を争う戦いとなったSC1クラス。今シーズンその急先鋒と目されていた児島泰(シビック)を中心にその争いが展開されると予想された。決勝1本目は予想どおり児島がトップタイムを叩き出す。だが2本目に入ると超硬質路面用タイヤを選択した前田幸男(MR2)が4秒以上のタイムアップを果たし、1分49秒401のスーパーラップを叩き出してトップに立つ。これには児島も追いつくことができずコンマ3秒差で2位に。前田が全日本参戦10戦目にして初優勝を飾る。「MR2で全日本に参戦して初優勝がやっと出来ました。今回は広島のおもてなしの心で勝たせてもらったんだと思います。来年も頑張りますんでよろしくお願いします!」今シーズン4戦に参戦していた前田は、今回の優勝で20ポイントを加えシリーズランキングも7位から一気に3位にジャンプアップした。
2本目のタイムアップ合戦から抜け出し、今シーズン2勝目を挙げた梶岡悟。2年連続、地元タカタでの優勝をオフィシャルともども喜んでいた。
シリーズチャンピオンの可能性は無かったものの、ここタカタでの優勝を待ち望む声が大きかった地元の選手がいる。第2戦で久々の優勝を飾り、ここまでシリーズ3位と復活の兆しを見せてきた梶岡悟(ランサー)だ。1本目1分43秒644で抜き出るとその好調さを維持。2本目に入ってタイムアップ合戦の中でも競り勝ち、1.6秒自己タイムを更新して1分41秒986を叩き出すとそのまま逃げ切って今季2勝目を挙げた。今回の優勝で20ポイントを加えた梶岡は、シリーズランキングでも2位にアップ。来年の活躍に期待がかかるところだ。表彰式では、「選手のみなさんオフィシャルのみなさんお疲れ様でした。それとクルマを出してくれた西元アナありがとうございました。おかげ様で地元で2連勝できました」と梶岡が語ると西元アナからは「来年の企画書を持ってきてください」と注文が入るなど会場は笑いに包まれた。今回のタカタで全日本ダートラは2013年のスケジュールを終了。ダンロップ勢としては、全9クラス中5クラスを制覇した。残るビッグイベントは11月2~3日に丸和オートランド那須で行われるJAFカップが最終となる。2014年は8戦で争われる全日本ダートトライアル選手権、来年もダンロップタイヤの活躍をご期待ください。