第7戦 10月7日(土) モンテカルロカップ ダートトライアル in 広島
ダンロップが2012年全日本ダートラ
全10クラスでチャンピオン獲得!
今回SC1チャンピオンの工藤清美選手が不参加だったものの、会場ではチャンピオンが一同に集結して記念写真。ダンロップスタッフたちも待ちに待った瞬間だ。
全日本ダートトライアルの2012シーズン最終戦となる第7戦が、広島県のテクニックステージタカタで開催された。整備の行き届いた路面状況に定評があり、今回のイベントにも160台のエントリーがあった。チャンピオン争いが最終戦までもつれ込んだのはPN、N1、N2、SA1、SC2の5クラス。結果から先に言ってしまうが、全クラスでダンロップユーザーがチャンピオン獲得。これにより2012年全日本ダートトライアル選手権で、ダンロップは全10クラスでチャンピオン獲得という偉業を達成しました。減少するダートラ人口のなかダンロップのダート競技用タイヤを使い続けてくれたユーザーのみなさま本当にありがとうございました。
激しい戦いとなったPNクラスのチャンピオン争い。序盤で2連勝を飾った今村宏臣が今シーズン3勝目を挙げ、優勝で初の全日本チャンピオンを獲得した。
今村宏臣と佐藤秀昭のふたりに絞られたPNクラスのチャンピオン争い。2連勝など前半戦で稼いだポイントをベースに着実に入賞して77ポイントを獲得した今村。対して今シーズンから乗り始めたデミオで毎戦優勝まであと一歩、前戦の今庄で待望の今シーズン初優勝を挙げ75ポイントの佐藤秀。有効得点の関係で、ともに3位以上でなければ加点できないため2ポイントアヘッドの佐藤秀には3位以上かつ今村より上の順位に入らなければ逆転できない状況だ。散水直後の水分を含んだ重めの路面のなか1本目がスタート。2分00秒628でトップに立ったのは74Rを選択した川島秀樹。87Rを選んだ今村は2分02秒958で6位、佐藤秀は2分02秒175で4位。2本目に入ると大方の予想どおり路面状況は好転。大幅タイムアップ傾向のなか佐藤秀がスタート。1本目よりあきらかに高いスピードで各コーナーをクリア、ゴールすると3.74秒のタイムアップ!1分58秒431でトップに立つ。続く今村、前半セクションでは佐藤秀に遅れをとったものの、中間地点から追い込みゴールするとタイムは1分57秒490と逆転!トップに立った今村は、そのまま逃げ切って今シーズン3勝目。勝って文句なしのチャンピオンを決めた。「メチャ、メチャ踏みました! 慣熟歩行の時は路面が硬いと思ったんですが、走ってみたら滑った。だけど勝つことだけを考えて走り切りました。ホント良かった」と今村。初の全日本チャンピオン獲得とともに、ダンロップユーザーの全クラスチャンピオン獲得を決定づけた。
「タカタはホームコースではないけれど、何度も走っているので自信はあった」と語る高知の細木智矢が全日本初優勝。内藤聡は3位で2度目のチャンピオンを獲得した。
児島泰と内藤聡のチャンピオン争いに注目が集まったN1クラス。他のシード勢がこぞって74Rを選択するなか内藤、児島ともに87Rをチョイスする。1本目1分56秒278を叩き出してトップに立ったのは高知の細木智矢。16位と細木から大きく遅れた児島に対して内藤は6位に。今シーズン最後のトライとなる2本目。「タカタはホームコースではないけれど、何度も走っているので自信はあった」と語る細木。87Rに履き替えた2本目に入っても、1分52秒719と自己タイムを更新してトップを守る。初めて全日本にエントリーしたタカタで全日本初優勝を飾った。細木のタイムを目指す内藤と児島。両者ともに攻めの走りを崩さない。1分53秒420を叩き出した内藤に対して中間タイムで上回った児島、ゴールするとタイムは1分52秒877でトップ細木に0.16秒差の2位……。3位内藤が12ポイント獲得で84にポイントを伸ばす。2位児島は15ポイント獲得で80ポイントと届かない。勝負の世界に“タラ”、“レバ”は禁物だが児島が優勝していたら獲得ポイントは85となり内藤を逆転していた……。稀に見る激戦を制した内藤。今シーズンのコメントで常に口にしていた『目一杯アクセルを踏む』という言葉があった。「年間を通じて攻めの走りをしてきた結果、2回目のチャンピオンを獲れたということが自信になりました。今回も攻めすぎてダメなところもありましたが、走りを変えるつもりはありませんでした。来年は他のクラスに参戦しようかなと思ってます」と内藤。チャンピオンを狙って攻めの姿勢を崩さなかった両者。毎戦内容の濃い戦いを繰り返した結果、内藤のチャンピオンが確定した。
「タカタが自分の走りに合ってる」と語る伊藤益弘が、圧倒的な走りで優勝を飾り昨年の『還暦前チャンピオン』に続き2年連続チャンピオンを獲得した。
79ポイント獲得でシリーズリーダーの伊藤益弘に対して76ポイントの西田裕一。N2クラスは、わずか3ポイント差でチャンピオン争いを繰り広げていた。1本目1分54秒411を叩き出してトップに立ったのは伊藤。2位の青木辰之を1.6秒以上引き離しての堂々たるタイムだ。チャンピオン争いをくり広げる西田はさらに1秒後方の3位。タイムアップ合戦となった2本目、ラストゼッケンの伊藤を残して1分53秒187でトップに立っていたのは西田だが……。「今回は勝てる気がしませんでした」と弱気のコメント。伊藤は、その言葉を裏付けるかのように1分51秒737を叩き出し逆転優勝。昨年、『還暦前チャンピオン』を獲得したタカタで2年連続チャンピオンを獲得した。「タカタで伊藤さんに勝てるほど甘くはないだろうなと思ってました。そういう意味では今庄で勝てなかったのが大きかったですね」と語る西田に対し、「何とかなるもんやね(笑)。タカタのコースはオレの走りにあってるのかも。2回目のチャンピオンは獲れたけどN2クラスの将来的な行方には不安を感じるよ」と『還暦チャンピオン』を獲得した伊藤。エントリー台数の減少にも心配を感じていた。
スタート直後のミスを逆に活かし走り切った北島広実が今シーズン2勝目を挙げる。「開幕戦丸和でのつまずきが響きましたね」とのコメントだが来シーズンの活躍を期待しよう。
前戦の今庄で優勝を飾った北条倫史がその好調さを維持してタカタに乗り込んできた。1本目1分47秒533と2位の北島広実を0.1秒かわしてトップに立つ。だが2本目スタート直後左に切り返すターンを失敗。1分46秒491とトップタイムを更新したものの、ゴール後に「やられる」とひとこと。だが……、「スタートしてすぐの左サイドターンで失敗した」と北島。だが今回の北島は落ち着いていた。「1本目に攻めすぎていたところを抑えて落ち着いて走った」と語るトライから生まれたタイムは1分46秒464!わずか0.027秒の僅差で北条をかわして今シーズン2勝目を挙げ、シリーズ2位を確定させた。「1コーナーの走りで失敗して、ハイスピードでも抑えて走りました。慣熟歩行の時とずれていた路面の滑りには、その走り方が合ってたのかもしれませんね。今シーズンは開幕戦丸和でドライブシャフトが折れて、全てのリズムが狂ってしまいましたね」と反省した北島。最終戦での優勝を来年につなげてゆきたいところだ。
三つ巴のチャンピオン争いとなったSA1クラス。最後の最後で突き抜けた山崎利博が1、2本目ともにライバルを圧倒する走りを見せ3回目の全日本チャンピオンを獲得した。
佐藤孝、山崎利博、稲葉幸嗣の三つ巴のチャンピオン争いとなったSA1クラス。前戦の今庄での2位にかなりのショックを受けていたのが山崎。「ホームコースともいえる今庄、それもかなり練習していたのに……」1ポイント差で佐藤にシリーズリーダーを奪われた山崎。その悔しさを晴らすべく最終戦の舞台タカタに乗り込んできた。その意気込みが1本目から現れた。それまで1分55秒683でトップだったチャンピオン候補のひとり、佐藤を2秒近くぶっちぎる1分53秒710で逆転しトップに踊り出た。「自分の中では勝ちなしでチャンピオンでもいいかな?という弱気な部分があった。でも、それを打ち消そうと必死になってました」と山崎。アグレッシブな気持ちはタイヤ選択にも現れた。佐藤、稲葉が1本目と同じく87Rを選ぶなか、山崎は91Rをチョイス。慣熟歩行と実走行の滑り方のズレを指摘する選手が多いなかで、気持ちを強く持った意志の現れか?2本目に入って、西田司が1分53秒033で山崎のトップタイムを更新する。チャンピオン候補のひとり稲葉は?1分53秒792と山崎の1本目に届かず脱落。シードゼッケンに入り佐藤のタイムは?1分53秒489と西田に次ぐ2位に。続く岡田晋吾が1分52秒837を叩き出し西田を逆転!この時点で佐藤は3位。有効得点の関係で3位以上でなければ70ポイントの佐藤は加点されない。この時点で佐藤は72ポイントを取る可能性があった。逆に69ポイントの山崎は2位以上でなければ加点されない。とにかく佐藤より上へ。ゴールするとタイムは? 1分51秒469 最終戦の2本目という、最後の最後に山崎の気持ちが先に出た!大逆転で待ちに待った今シーズン初優勝。佐藤をポイント加点圏外に追い落とし、山崎は20ポイントをゲットし77まで獲得ポイントを伸ばした。「ホッとしました……」と山崎。3回目となる全日本チャンピオン獲得とともに、来シーズンは強さを身につけた戦いを見せてくれることだろう。
シリーズ成立したSC2クラスは、ベテランの宮木健朗が地力の差を見せて今シーズン2勝目を挙げ、初の全日本チャンピオンを獲得した。
不成立はあったものの今回のタカタと合わせて4戦成立で、シリーズ成立したSC2クラス。最終戦を前にベスト3戦で算出されるシリーズポイントのトップに立っていたのは45ポイントで福田貴一。2位には今シーズンN2でも優勝を飾った宮木健朗が42ポイントでつける。正確には35ポイントの3位の酒井洋二までチャンピオンの可能性があった。1本目から1分55秒973を叩きだした宮木が飛び出す。2本目に入って宮木は1分52秒073と自己タイムをさらに更新してトップを死守。そのまま逃げ切って今シーズン2勝目を挙げ、シリーズポイント52で初の全日本チャンピオンを獲得した。「仕事が忙しくてメンテナンスもセッティングもできなくて、全部SPヤマダさんのおかげです。乗りやすかったし、SC2クラスも成立して良かったです」と宮木。初の全日本チャンピオン獲得に嬉しそうな笑顔を見せた。
実に4年ぶりとなる優勝を飾った梶岡悟。「今シーズン、2回は勝っとってもおかしくなかった」と語るマシンのポテンシャル。来シーズンはチャンピオン争いに絡んでほしい。
1本目にチャンピオンを獲得した吉村修がトップに立ったSC3クラス。ここ数戦、ニューマシンの投入や国際ラリースト田口勝彦の参戦など多くの話題が提供され、14台のエントリーを集めていた。そんな話題の多いSC3クラス、最終戦で注目を集めたのは地元の強豪梶岡悟だった。1分46秒116で吉村に次ぐ2位につけた梶岡。2本目に入ると1分43秒710までタイムアップ!そのまま逃げ切り今シーズン初優勝。梶岡のタイムはDクラストップをも上回るオーバーオールでのトップタイム。見応な復活劇に、「借り物のクルマでやっとるんやけど、今シーズンは2回は勝っとるはずやね。クルマのポテンシャルがあるのは分かっとったから。今庄で壊してしまったので、今回は反省して抑えて走った。それが見た目より滑りやすい路面に合っとったんやろか?久々にダートラらしい道じゃったの。前に勝ったの? もう、そんなん忘れとるわ!」と梶岡。調べてみると2008年の最終戦、場所は同じくタカタ以来実に4年ぶりの優勝となった。シリーズランキングも上位3人をゴボウ抜きして一気に2位へ。来シーズンはチャンピオン争いに加わる事を期待しよう。