第7戦 9月11日(日) コスモスパーク
全日本初優勝2人にチャンピオン確定4人
京都でもダンロップ勢が大活躍を見せる!


コース内に立ち上る砂煙。オフィシャルも撮影するプレスも、砂まみれになりながら動く。もちろんドライバーにも度胸が試されるシチュエーションが多くあるコースだ。

全日本ダートラも残すところあと2戦。各クラスで激しい戦いが繰り広げられるチャンピオン争いも終盤を迎え、戦いの場は京都のコスモスパークに移された。京都縦貫道園部ICから日吉ダム湖を目指し、森の中にあるコスモスパークのダートラ場。全日本ダートラが行われると、普段はひっそりとした森にエキゾーストノートが響き空に砂埃が立ち上がる。Youtubeなどで観るインカー映像では、走行中自分が立ち上げた砂埃に飛び込んでゆく映像が多くある。慣熟歩行でコースを確認しているとはいえ、見えないコースにアクセルを踏み込んで走って行く。ドライバーの度胸が試されるシチュエーションが数多く存在する。今回の天候は晴れ、路面はドライで最高のダートラ日和。こうなると1本目からダート表面の砂利が履け、超硬質路面が顔をのぞかせる。1本目勝負?それとも2本目? タイヤチョイスも難しくなり、後半ゼッケンになると1本目から91Rを使用することもある。今回もコンマ差を争う激しい戦いが各クラスで展開された。早速ダンロップ勢の活躍を見てみよう。

「今回は勝つことだけを考えてきた」と語る川島秀樹が優勝でして、2年連続チャンピオンを確定。常に上位をキープするベテランらしいシリーズ展開で栄冠を獲得した。

鳥居晴彦、川島秀樹、佐藤卓也、太田延昭の4人が星を分け合ってきた今シーズンのPNクラス。ここまで2勝を挙げた鳥居がシリーズリーダーとして京都での戦いに挑んだ。安定した成績でトップ争いを繰り広げてきたのがディフェンディングチャンピオンの川島だった。残り2戦となった今回は是が非でも勝ちが欲しいところ。川島の気合が現れたのが1本目。2位に1.3秒の差をつける1分41秒032を叩き出してトップに立つ。2本目には各車タイムアップして1分37秒923までトップタイムが削られる。これには鳥居も追いつけない。ラストゼッケンの川島は、狙いすましたかのような走りでゴールするとタイムは1分37秒053!大逆転で今季2勝目を挙げ、97ポイントで鳥居を逆転。そして鳥居が4位に終わったことで川島の2年連続PNクラスチャンピオンが確定した。「なんとか2年連続チャンピオンを獲得することができました。今日はタイトルのことは考えず、勝つことだけを考えました。大満足です!」ベテランらしい安定した戦いで川島がダンロップ勢としては、2011年2人目のチャンピオンが確定した。


2本目に目の覚めるようなタイムを叩き出した竹本幸広が、逆転で全日本初優勝を飾ったN1クラス。地元近畿の竹本の優勝にマシンをメンテする杉尾ガレージの杉尾代表もニッコリ。

今庄で行われた第6戦でダンロップ勢としてチャンピオン一番乗りを果たした黒木陽介。今季4勝を挙げ文句なしのチャンピオン獲得。だが今回も1本目、内藤聡が1分36秒879を叩き出して先行する。2本目に入って強烈なタイムアップを見せたのは、昨年から全日本に参戦した地元近畿の竹本幸広。1分33秒100とずば抜けたタイムでトップに立つと、シード勢も追いつくことができない。黒木は2本目に入ると1分34秒169までタイムを上げ追いすがるが、ここまで。竹本が全日本参戦9戦目にして初優勝を飾った。「まさか勝てると思っていなかったので嬉しい!杉尾さんはじめ、助けてもらったみなさまに感謝したいです。パドックでもたくさんの人に『おめでとう!』と声をかけてもらってホント嬉しかったです」と笑顔で語る竹本。初のシリーズ参戦となった今年、予想外の初優勝にマシンをメンテする杉尾ガレージの杉尾泰之代表からも笑みがこぼれていた。

コンマ差を削り合う厳しい戦いが続くN2クラス。そんななか、2本目最後の最後で1分32秒320を叩き出し逆転優勝を飾ったのは佐藤秀昭。最終戦で伊藤益弘との戦いに挑む。

80ポイントを獲得する伊藤益弘をリーダーに西田裕一、佐藤秀昭がしのぎを削るN2クラスのチャンピオン争い。1本目トップに立ったのは前戦今庄での優勝から勢いに乗る青木辰之。青木の叩き出した1分33秒993をターゲットタイムに2本目がスタート。チャンピオン争いを繰り広げる3人はそろって91Rにタイヤを変えた。好調の青木は1分32秒463を叩き出し再逆転。西田は1分32秒616を出したものの青木のタイムに届かない。続くシリーズリーダーの伊藤だったが1分32秒819で西田の後塵を拝する事に。最終ゼッケンの佐藤がスタート。砂埃が舞い上がるなか、自分のラインを見失わずキッチリ走りきってゴールするとタイムは1分32秒320!最後の最後に逆転で、今シーズン3勝目を挙げた。シリーズトップの伊藤は今回の4位で合計90ポイント中有効89ポイント。対する佐藤はそのまま20ポイントを加え、有効82ポイントでランキングは2位に上がった。タカタで行われる最終戦でのチャンピオン争いは伊藤と佐藤の一騎打ちとなった。

「吉村さんに走り方を教えてもらってそのおかげで勝てました」と語る茨城県の信田政晴が全日本初優勝。2位に入った吉村修が2年ぶりのシリーズチャンピオンを確定した。

ここまで今シーズン4勝を挙げた吉村修に対して、1勝ながら2位5回と食らいつく北島広実が争いを繰り広げるN3クラスのチャンピオン争い。北島のシリーズリーダーで迎えた今回の一戦。1本目、1分30秒309を叩き出した北條倫史がトップに立ち、北島がこれに続く。タイムアップ合戦となった2本目に入ると、ダンロップユーザーの多くが91Rをチョイス。関東から参加の信田政晴が1分28秒113を叩き出しトップに立つ。このタイムにはシード勢も苦戦!1分28秒648を叩き出した吉村が2位、そして北島は1分29秒109で4位に。「昨日たまたま吉村さんに走り方を教えてもらって、そのおかげで勝てました。帰り道が遠いんで勝利を味わって帰ります」と表彰式で語った信田。地元茨城までの長い道のりも、楽しいドライブとなることだろう。一方注目のチャンピオン争いだが、吉村が2位で合計105中、有効103ポイント。北島は優勝以外ではポイントが伸びないので95のまま。仮に最終戦で北島が優勝しても5ポイントしか増えないため、吉村のチャンピオンが確定した。「コスモスパークでは、2年連続他の人のチャンピオン決定を見てきました。だからなんとしても勝ちたかったんですが……。だけどチャンピオン獲れて大満足です」ダンロップ勢3人目のチャンピオンが確定した。

2本目にSA1クラスただひとりの31秒台を叩き出した柴田一洋が逆転で今シーズン初優勝。シリーズポイントでも2位に浮上し、チャンピオン争いは最終戦までもつれ込むことに。

今シーズン3勝を挙げてシリーズトップを走る市村弘義。2位の山崎利博に次ぐ柴田一洋が市村に追いすがるSA1クラス。今回も僅差の激戦が展開された。1本目に1分35秒156を叩き出してトップに立ったのはケン・ミレニアムチームの市村。シード勢が全車91Rに履き替えた2本目。市村が1分32秒774を叩き出すが、続いて1分31秒957を出した柴田が逆転。柴田のタイムには最終走者山崎も追いつくことが出来ない。SA1クラス唯ひとり31秒台に叩き込んだ柴田が、今シーズン初優勝。シリーズポイントを76に伸ばして山崎をかわし、2位に浮上。市村は2位で85とポイントを伸ばし、トップを守った。山崎は5位で合計73ポイント中有効72ポイントとなった。シリーズ確定は最終戦までもつれこみ、市村、柴田、山崎の3人がタカタでチャンピオンを争うこととなった。


2本目に1分31秒806と、SC1クラスただひとり31秒台を叩き出し逆転で優勝を飾った山崎迅人。初参戦から10年、地元近畿で飾った全日本初優勝は忘れえない記憶となるだろう。

以前に比べれば台数こそ減ったものの、未だ改造車両はダートラの華と捉える選手もいる。シビックやインテグラ、そしてミラージュなどの改造車両で争われるSC1クラス。第2戦からの参戦後破竹の3連勝と、手のつけられない速さを見せていた工藤清美がシリーズリーダーで迎えた第6戦。1本目1分33秒053を叩き出してトップに立ったのは、やはり工藤。だが、2本目に入るとファーストゼッケン山崎迅人のミラージュが1分31秒806を叩き出して逆転し後続を待つ。タイムアップが期待されたシード勢だが、思った以上にタイムが伸びない。最終ゼッケンの工藤も1分33秒135とタイムダウンしてしまう。山崎はこのタイムで逃げ切り、全日本初優勝を遂げる。「そんなに簡単に勝てると思っていなかったので、地元で初優勝できて感激です」と語る山崎。2001年のダートラ初参戦から10年。うれしさもひとしおだろう。一方、3位に終わった工藤だが今回の12ポイントを加え87ポイント。残り1戦で逆転できる選手がいなくなり、シリーズチャンピオンが確定した。
「ダートラ初めて13年、全日本に参戦し始めて5年。コスモスで勝ったことがなかった。でもチャンピオン獲れて嬉しいです」と工藤。今年3月の大震災のため開幕戦は欠場。復興作業の中、時間を切り盛りしての参戦で初の全日本チャンピオンを獲得。2011年は工藤にとって忘れられない1年となるだろう。

2本目に入って1分26秒123とオーバーオールでのトップタイムを叩き出した丹羽政彦。このタイムに追いつけるライバルは現れず、丹羽は今シーズン2勝目を挙げた。

1本目から表面の砂利が履けて、91Rそれとも87Rで行くか?セレクトが半々にわかれたSC3クラス。それだけに1本目からハードアタックをかける選手も多かったコスモスパークでの1戦。1本目に1分27秒117を叩き出した丹羽政彦がトップに立つ。このタイムは2本目に入っても更新されること無く、再び丹羽の出走順へ。キッチリとミスをつぶし、走り切るとタイムは1分26秒123!これには前戦でチャンピオンを確定した谷田川敏幸も追いつけない。このタイムはこの日のオーバーオールタイム。Dクラスを越える走りを見せた丹羽が今シーズン2勝目を挙げた。

1本目に叩き出した1分26秒771のタイムで逃げ切り優勝を飾った宮入友秀。2007年以来4年ぶりのチャンピオン確定。走行後、周囲の人から言われてチャンピオンを知ったとのこと。

今シーズンともに3勝を挙げてDクラスのトップを争う宮入友秀と炭山義昭のふたり。宮入102、炭山82ポイントで迎えた今回のイベント。1本目トップに立ったのは宮入だった。タイムは1分26秒771。対する炭山は1分28秒426と1.6秒もの大差がついた。2本目に入って炭山は27秒282にまでタイムを挙げてくるが時すでに遅し。宮入が1本目のタイムで逃げ切り、今シーズン4勝目を挙げる。「今日はゴールするまでチャンピオン決まると思ってなかった。炭山さんも2位に入っていましたからね。ゴールしたら周りから言われて、えっ?って。まだ実感が無いですが嬉しい気持ちになってきました」と表彰式で語った宮入。今回の優勝で宮入のポイントは合計122中有効110。対する炭山は今回のポイントがそのまま入って102。だが最終戦で20ポイントを獲得しても、4位の10ポイントが消えるだけなので107までしかポイントは増えないため宮入のチャンピオンが確定した。2007年以来4年ぶりのチャンピオン確定。家までの長い道のりで何度も計算を重ね、うれしさを実感することだろう。PN川島、N3吉村、SC1工藤、D宮入と4名のチャンピオンが確定した今回のイベント。最終戦でチャンピオンが決まるのはN2、SA1、SA2の3クラス。これら全てのクラスでダンロップユーザーがチャンピオンを争っている。広島県のタカタサーキットで行われる第7戦、2011年最後の1戦でのダンロップ勢の活躍に期待して欲しい。