第7戦 9月9日(日) 輪島市門前モータースポーツ公園
好天から荒天へ、波乱の門前で2クラス制覇!


 ダートトライアル選手権もいよいよ大詰め、残り2戦となり、各クラスの優勝争いも熱を帯びてきた。今回の開催地は北陸、石川県、能登半島にある輪島市門前モータースポーツ公園、地方自治体が運営する珍しい施設だ。日本海の程近く、山間部を切り開いて造成したコースはアップダウンに富み、大小さまざまなコーナー、最長300メートルのストレートなど見所の多いレイアウトとなっている。
 また当地ではダートトライアル選手権は一大イベントとして歓迎されている。レース当日は出店も数多く出店するなど、さながらお祭りのよう。イベントも充実しており、観客を飽きさせない。
 しかし土地柄か雨にたたられる事も多く、毎年ドライバー泣かせの展開が続いている。天候を読み、時々刻々と変化していくコースコンディションにどう対応していくかが、レースを制する重要なファクターとなっている。今年も朝は快晴だったが、第1ヒート途中で突然の降雨、第2ヒート開始前には止んだものの、やはり簡単なレースとはならなかった。路面状況を考慮してか、殆どのダンロップユーザーがSP SPORT 73-Rを選択し、レースに臨んでいる。

希望を残した河石

 N1クラスでは、ここまでクラス2位の河石潤(インテグラ)の意地が光った。河石のトップとの差は16ポイント、離されてはいるものの、まだ自力でのクラスチャンピオンの可能性は残っている。ここ門前、そして最終戦タカタで優勝すれば、他のドライバーの結果に関わらず、逆転でトップに立てるのだ。言いかえるなら、連勝以外の結果に意味は無い。
 この過酷な状況下にあっても、河石は臆する事無く果敢にコースを攻め続けた。第1ヒートからただ一人の1分37秒台となる1分37秒888をマークし、トップに立つ。すると天候も河石に味方する。突然の降雨でコースコンディションが悪化し、第2ヒートでのタイムアップが困難になったのだ。この結果河石の3戦ぶり、今期2度目の優勝が決定、逆転Vへの希望は最終戦に繋がった。またこのクラス3位には、同じく第1ヒートで好タイムを出した宮谷内光雄(インテグラ)が入り、ダンロップ勢の1、3フィニッシュとなった。
 表彰式では「次も必ず勝って、クラス優勝を勝ち取りたい」と、タイトル奪取を誓った河石、この勢いを最終戦でも見せたいところだ。

タイトルを決めた原

 続くN2は、佐藤秀昭(ブーン)原宴司(ブーン)岡林亮太(ブーン)三人のダンロップユーザーがしのぎを削る激戦区。最後までもつれるかと思われた熱戦だが、ここ門前でついに決着を見た。
 明暗を分けたのは第1ヒートの走り。岡林が1分38秒354で2位、そして原が1分36秒803という驚異的なタイムでトップに立つ中、ここまでポイントリーダーを守っていた佐藤が、一人1分40秒901と大きく出遅れてしまう。そして第1ヒート途中から無情の雨が降りだす。荒れるコースコンディション、第2ヒートでのタイムアップは望めない状態に。ここで勝負あり、2007年のクラスチャンピオンには、大逆転で原宴司が輝いた。岡林も2位に入り、ポイントを伸ばしている。
 原はレース後、やや謙遜しながら「雨が味方についてくれたおかげで、レースに勝つ事が出来た」とコメントしたが、シーズン序盤の出遅れを第3戦からの3連勝で一気に巻き返し、第3戦から第7戦までの戦績は5戦4勝、2位1回とまさに圧倒的。並み居るライバルを一気に差しきり、地力の違いの見せ付けた。

2位獲得でシリーズ優勝の吉村

 ダンロップ勢の快進撃はまだ続いた。主役は現在N3クラスでトップを快走している吉村修(ランサー)このレースの結果次第でクラス優勝が決まるという大一番で、見事期待に応えた。
 N3もN1、N2同様雨によるコンディション悪化により、実質第1ヒートのみの一発勝負となった。各ドライバーがタイムメイクに苦しむ中、吉村は大きなミスも無く、手堅い走りでトップと僅か0.1秒差の1分31秒619という好タイムをマーク、2位につける。ポイントランキングで上位につけていたライバル達が、何れも吉村を上回るタイムを出せず、この結果、吉村修が最終戦を待たずにクラス優勝を決めた。昨年は最終戦までもつれ込みながら僅か1ポイント差に泣いただけに、喜びもひとしおといったところだろう。このレース同様、全てのレースでポイントを獲得、上位につけているその安定感が、シリーズチャンピオン獲得の大きな要因になっている。

三上はクラストップを守った

 続くSA1では、ダンロップユーザーのタイトル獲得こそ逃したものの、大栗一也(シビック)が今期3度目の表彰台となる2位、さらに笹本俊(シビック)が、こちらは今季初となる3位入賞を果たし、来期への期待を持たせる結果を残している。また櫛田正文(ランサー)もSA2クラスで前回に続いて今期自己最高の2位入賞となった。SC2クラスではここまでクラストップに立っている岩田真理(ストーリア)がまさかの7位となったものの、最終戦に逆転優勝の可能性を残している。D部門では同じくクラストップの三上悟(ランサー)が3位となったが、クラストップは変わらず、こちらも最終戦に全てをかけることになった。

ここに来て2位獲得の北村

 シリーズチャンプが決定したクラスでも、最終戦、そして来期に向け、新たな戦いがスタートしている。SC1では工藤清美(シビック)が2位、すずきみがく(インテグラ)は第1ヒートでミスコースをしながらも執念の走りで3位に入った。すずきみがくはここまで全てのレースで表彰台を獲得する抜群の安定感。

 SC3でも捲土重来を期する男がいる、北村和浩(インプレッサ)だ。この一年苦渋を舐め続けた男は、この門前で今期自己最高の2位を獲得した。トップとの差は僅か0.3秒、ギャップは確実に埋まりつつある。


 天候同様、様々なドラマを残した門前、だが全てのクラスの大勢が決したわけではない。広島、テクニックステージタカタが最終章の舞台だ。