DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第6戦 9月1日(日) オートパーク今庄
温帯低気圧下のトリッキーコンディション
ダンロップ勢が5クラス制覇、SC1でタイトル確定!


台風上がりの低気圧に翻弄された今庄戦。特に外周路ではコースの交差ポイントで段差ができるほどの路面変化にクラッシュも相次ぐサバイバル戦となった。

青森県で行われた第5戦から約1ヶ月。全日本ダートトライアル選手権第6戦は、 再び舞台を北陸に移して争われた。福井県南条郡南越前町にあるオートパーク今庄での全日本選手権は今年も夏休み最後の週末の開催。この週に入ってから台風が発生し、会期中の直撃も心配された。幸い、温帯低気圧に変わったものの、不安定な気圧配置がそのまま北陸地方を襲い、決勝前日は夕方から警報が発令されるほどの豪雨に。当日も、日中を通して雨が降ったり止んだりと非常にトリッキーなコンディション。路面変化が激しくなりスピードコントロールが難しい状況に、コースアウトやクラッシュも続出する大波乱戦となった。

路面変化とタイヤ選択、走りでのコントロールがすべて噛み合った山本が今季3 勝目。最終戦で竹本との一騎打ちに臨む。

N1クラスは前戦で山本悠太(インテグラ)が欠場している間に、竹本幸広(インテグラ)が勝利を挙げてシリーズリーダーに浮上。タイトル争いは、このふたりに絞られてきた。その山本は1本目、1分37.983秒と好タイムをマークするが、シードゼッケンで今季3度目の参戦を迎えた坂井義浩(インテグラ)が山本を0.846秒抑えてのベストタイムを叩き出す。2本目のころになると、かなりウエット層がめくれ路面はドライになってきたが、雨も降り出すなど判断が難しく、N1のダンロップ勢では、74Rと87Rで選択が分かれた。ここで大幅にタイムアップに成功したのは、ヒート1で9位に終わっていた柴原学志(インテグラ)。87Rに履き替 えて攻めた2本目で1分34.447秒を叩き出しての首位に立った。しかしその後に74Rのままでアタックした山本は、柴原を0.784秒も上回るスーパータイムをマー ク。竹本は思うようにタイムアップが果たせず、最後の坂井も柴原に続く3番手と山本に届かず。山本が今季3勝目をマークして、シリーズ首位に返り咲いた。ポイントでは竹本と同数で並び、N1のタイトルは最終戦までもつれこむこととなった。山本は「難しい路面でタイヤ選択も大変悩みましたが、結果的にミス のない走りが優勝につながったと思います。次戦につながるいいリザルトになりました」とタイトルへの決意を新たにした。

意地の勝利を果たし、昨年と同じ戦況に持ち込んだ西田。N2でも広島で最終決戦を迎える。

ブーン、ストーリアなどのコンパクト車両で争われるN2は、選手権リーダーの西田裕一(ブーンX4)が気合いの走りを見せた。今季ここまで、優勝1回、2位4回と好調の西田だが、現チャンピオンの伊藤益弘(ブーンX4)が2勝をマークしているため、有効ポイント数の関係で今回伊藤が優勝すると伊藤の連覇が決まってしまう。西田にとって、タイトル獲りのためには負けられない一戦となった。その意気込みの表れか、1本目ではセカンドベストの伊藤に0.846秒もの差をつける圧倒的な速さで首位に立つ。2本目でもひとり33秒台をマークする異次元の走りを披露して、最終ゼッケンの伊藤を待つ。ここでタイトルを決めたい伊藤は2本目に勝負をかけるが、まさかのタイムダウン。予想外の5位に終わった一方で、西田は今季2勝目を飾った。タイトル争いに望みをつないだ西田は「伊藤さんが優勝するとチャンピオンが決まってしまうので、何としてでも勝ちたかったのですが、伊藤さんが自滅してしまったので、勝てました。去年と同じようなパ ターンで、最終戦のタカタで勝った方がチャンピオンという、伊藤さんとの一騎打ちの形に持ち込めたので、最後は勝ちたいと思っています」と、再び巡ってきた最終決戦に向けて現王者に宣戦布告を放った。

今季2勝目を飾った北島。佐藤とのシリーズ2位争いも白熱している。

前戦で北条倫史(ランサー)が早くもタイトルを確定させたN3クラスでは、天候の変化も影響し、激しい逆転劇が展開された。1本目にトップタイムをマークしたのは、早くもタイトルを決めた今季絶好調の北条。しかし、ヒート2に入ってから降り出した雨も、N3の頃になると止み始め、このクラスでは多くの選手がタイムアップ。北条も1.920秒更新して、首位をキープした。しかし、雨が止んだ効果を存分に活かしたのは、シリーズ2位で北条を追いかけていた北島広実(ランサー)だった。1本目の4番手に終わっていたタイムを3.633秒も更新してのスーパータイムで北条をかわして首位に浮上。続く佐藤隆行がタイムダウンに終わったため、北島が今季2勝目を飾った。前戦では1/1000秒差で3位を逃していた 北島は、「2本目が始まる前に雨が降ってラッキーと思った人は多かったと思うのですが、残念ながらN3クラスでは雨の効果は少なかったんですね。でも、私にとっては雨が止んだおかげで、となりました。チャンピオンは北条選手に決まってはしまいましたが、今回勝ててよかったです」

ベテランを持ってしても忘れられない逆転劇となった北村渾身の勝利。タイトル争いにも望みをつないだ。

緊迫した戦況を迎えているのがSA2クラス。王者北村和浩(ランサー)が思わぬ苦戦で、今季の勝利はスナガワでの1回に留まっている。今回の結果次第では、荒井信介(ランサー)のタイトルが確定してしまうという、連覇を狙う北村にとっては正念場の一戦となった。その北村はヒート1でタービンブローが発生し、まったく勝負にならないタイムに終わってしまう。一方の荒井も8番手タイムと低迷。望みを託して、必至でターボ交換を行った北村は、渾身の力でヒート2をアタック。それまでのトップだった川村栄二(ランサー)のタイムを0.081秒上回っての逆転優勝を飾った。荒井が6位に終わったため、タイトル確定は最終戦まで持ち越しとなった。ここ一番でさすがの踏んばりを見せた北村は「今日勝たなければ、チャンピオンを目指してきたのに一年間何をやってきたんだろう、という結果になってしまうので、何が何でも勝ちたいと思ってきました。そんな中で1本目にトラブルが発生してしまい、なかばあきらめていたのですが、チームのメカニックなど色々な人が協力して、2本目を走れるようにしてくれました。30年以上、ダートトライアルをやっていますが、今日ほどみんなの力で勝てたんやな、よかった!と思ったことはありません。本当に感謝してます。これで広島でも何としてでも1位を獲って、シリーズチャンピオンになりたいと思います!」と喜びと共に、望みをつないだタイトル獲りへの決意を表した。

欠場以外すべてのラウンドで優勝と満点の展開で連覇を決めた工藤。工藤の走りは、まさに横綱相撲。

改造車コンパクトクラスでは、昨年王者の工藤清美(シビック)は、今季参戦した4戦すべてで勝利を飾っており、今戦で2連覇を確定させる可能性が出てきた。その工藤は1本目から貫禄の走りで、2位に0.223秒差をつけてのトップタイムをマークする。2本目では、おおむたで3位に入っている山崎迅人(ミラー ジュ)が4.087秒もタイムを更新する激走で首位に立つが、王者に死角なし。最終ゼッケンの工藤は、山崎を0.316秒上回る危なげのない走りで今季怒濤の5勝目。タイトル2連覇を確定させた工藤は「今日でタイトルを決めることができました。今シーズンは、全部優勝タイムで決めることができました、大西(雅也)選手には先ほど体重を聞かれ、一応85kgですと答えておきましたが、毎戦ウェイトハンディを背負っている状態です。今回はウエットだったので、かなり厳しい戦いにはなったのですが、何とか勝つことができました」と連覇の喜びを語った。


2013年の全日本ダートトライアル選手権も次のラウンドがいよいよ最終戦。第7戦は、西日本屈指のダートコースが舞台となる。「NANO TOPカップ ダートトライアル in タカタ」は、9月22日、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催。今季の締めくくりとなる一戦でのダンロップ勢の活躍にご期待ください。