第6戦 8月21日(日) オートパーク今庄
赤羽政幸が8年ぶりの優勝で完全復活
9クラス中6クラスをダンロップが制覇!


左右にテンポよく現れるテクニカルコーナーに、『走行中同じ景色に見える』という声をよく聞くオートパーク今庄。ミスコースに注意して走行することが必要だ。

昨年のJAF CUPで初めてビックイベントが開催されたオートスポーツパーク今庄。右に左にテンポ良く切り変わる中速テクニカルの内周セクションと全開で駆け上がる外周コース。異なる性格のコースをいかに攻めきるか?今庄攻略のカギはそんなところに隠されている。今回のコース設定ではスタートからいきなり外周セクションへ。テクニカルからストレートをつないでテクニカルでゴールというもの。そして急激に秋の空へと変わった天候は、同時に雨雲も連れてきた。前日の公開練習終了後に降り始めた雨に決勝当日の路面は、ウエットコンディションからのスタート。ダンロップユーザーたちの話題は、路面カバー範囲の広がった最新の87Rで行くか?それともウエットタイヤの定番74Rで行くか?ここが勝負の行方を大きく分けることとなった。過熱するチャンピオン争いも含め早速ダンロップユーザーたちの戦いを見てみよう。

2本目に入ってディフェンディングチャンピオンの意地を見せた内藤聡。逆転優勝を飾ったものの、シリーズチャンピオンは2位に入った黒木陽介に確定した。

初のチャンピオン獲得に王手をかけた黒木陽介。何とか食い下がりたいライバルたちの戦いに注目が集まったN1クラス。散水が無くなったとはいえ、路面はウエット。初開催で走行データのない選手たちも多く、どんな展開が待っているのか予想がつかない。曇り空の中スタートした1本目1分36秒863を叩き出しトップに立ったのは児島泰。注目の黒木は1分38秒232と振るわない。2本目に入ると小雨が降り始めたもののタイムアップする選手が出てきた。森田英文が1分35秒650とトップタイムを35秒台に叩きこむ。黒木は1本目87Rから2本目は91Rを選択し、3秒以上のタイムアップで森田をかわしトップに立つ。ここで2本とも87Rを選択したディフェンディングチャンピオンの内藤聡が意地を見せる。なんと黒木を1.2秒ブッチぎる1分33秒903で逆転優勝を果たした。だがシリーズはここまで。2位に入った黒木は15ポイントを獲得して107ポイントで初めての全日本チャンピオンが確定した。

シリーズリーダー伊藤益弘を2本目に逆転で下した青木辰之。N2クラスに移籍後、初めての優勝に表彰式でも笑顔がこぼれた。

2本目に入って降り始めた小雨はN2クラスが始まっても止まない。1本目に1分34秒280を叩き出してトップに立ったのはシリーズリーダーの伊藤益弘。タイムアップできるかに注目が集まった2本目。シードゼッケン勢トップでスタートした青木辰之が自己タイムを3秒近く更新する走りを見せ、1分33秒513でトップ立つ。これには伊藤も追いつけず逆にタイムダウンで3位に終わる。青木はN2移籍後初の全日本優勝。SC2時代はチャンピオンを獲得したこともある強豪。残る2戦でも活躍を見せてくれることだろう。ポイントリーダーの伊藤は12ポイントを加え80ポイントで首位を守る。シリーズ2位の西田裕一は伊藤に0.008秒届かず4位で70ポイントの2位をキープ。まだ分からないチャンピオン争いの行方に次戦も注目。

アメリカのラリーでの悪夢の事故から8年。一歩一歩復活への足取りをたどってきた赤羽政幸だったが、今庄オートパークで完全復活の全日本ダートラ優勝を飾った。

前戦切谷内で今シーズン4勝目を挙げ、チャンピオン獲得に一歩前進した吉村修だが、1本目1分31秒522を叩き出したライバル北島広実の先行を許す。1本目シード勢のタイヤチョイスは87R。ただひとり74Rで走ったのは影山浩一郎で、5位に終わっていた。2本目に入るとN3クラスがスタートする頃には雨も止み始めた。各選手がタイヤ選択に頭を悩める中、74Rを選択したのは赤羽政幸だった。赤羽は1本目ミスコースしかかり土手にヒット。大きくタイムロスをしていた。2本目にミスをつぶし着実な走りを見せた赤羽のタイムは1分31秒407。これには吉村も北島も追いつくことは出来なかった。赤羽の全日本ダートラ優勝は実に8年ぶり。2003年丸和で行われた全日本ダートラで優勝を飾った後、アメリカで行われたラリーに出場。そのときハイスピードコーナリング中にロールオーバーし、生死をさまよう横転事故。一歩一歩積み重ねてきた復活への道のりが、今庄で実を結んだ。「オフィシャルのスタートフラッグで気落ちよくスタートできました。これからもまだまだ勝ちたいね」と表彰式で語った赤羽。完全復活に周りからは祝福とともに『まだ勝つつもり~?』との声もかかり会場が笑いの渦に包まれた。これで2位の15ポイントを加えた北島が、90ポイントの吉村を逆転してシリーズリーダーに返り咲いた。残る2戦N3クラスのチャンピオン争いから目が離せない。

事前の走行での成果が2本目になって現れた市村弘義が逆転で優勝を飾る。市村は今季3勝目を挙げて、第2戦丸和以来のシリーズリーダーに返り咲いた。

シリーズリーダー柴田一洋を筆頭に、山崎利博、市村弘義の3人にしぼられてきたSA1クラスのチャンピオン争い。全日本初開催ということもあり、走行経験の差が大きく出る結果となった。1本目1分37秒013を叩き出してトップに立ったのは関沢直人。前戦切谷内で今シーズン2勝目を挙げた市村弘義は1分37秒604。シリーズリーダー柴田、ディフェンディングチャンピオンの山崎ともに38秒台と振るわず低迷。雨の上がった2本目。ノーシード勢から一気にタイムアップしてきたのが1分35秒248を叩き出した岡田晋吾。ここで市村が意地を見せる。事前の練習会で走行した成果を発揮し、正確なラインをトレースしゴールするとタイムは1分34秒822!トップに立っていた岡田をコンマ4秒下し、今シーズン3勝目を挙げた。これで市村は20ポイントを加え70ポイント。山崎はしぶとく4位に食い込み65ポイント、柴田はポイント圏外に終わった。第2戦以来のシリーズリーダーに返り咲いた市村。SA1クラスチャンピオンの行方は残り2戦まだまだ分からない。

北村和浩は自らの走りを封印してまでこだわった勝利。シリーズポイントでも急激に追い上げられた北村だったが、表彰式でもお客さんに謝ることしきりだった。

開幕連勝からここ3戦優勝から遠ざかっていた北村和浩。その間にライバル勢は北村との差を詰めてきており、わずか5ポイントまでアドバンテージは減っていた。ホームコースといえる今庄、チャンピオンを狙う北村にとって優勝はマストの条件だった。だが1本目トップに立ったのは山野光司だった。1分32秒118の山野との間にふたりを挟んだ4位につけた北村。是が非でも2本目逆転に賭ける。そんな中、北村が選択したタイヤは74Rだった。「全部が74Rの路面というわけではないけど、87Rでいくのはギャンブルやなと思った。応援に来てくれた人にはホント申し訳ないけど、今回は勝ちにこだわって走った。確実にタイムを出すには74Rのチョイスがベターだったね」と語る北村。その言葉通り3秒近くのタイムアップで1分30秒337を叩き出し逆転。このタイムはオーバーオールでも2位に入るもの。タイムを狙った走りでも、北村のポテンシャルの高さを裏付けた。表彰式でもファンに向かって『スイマセン』を繰り返した北村。自らの走りを封印してまでこだわったシリーズリーダーだった。残り2戦でチャンピオン獲得に挑む。

AE101で参戦していたがクルマが壊れたのを機にセリカを製作。2本目に工藤清美を逆転して自らも驚く全日本初優勝を飾った寺田伸。

多くの選手が口にする今庄の難しさ。それがテクニカルコースの景色だ。常にGがかかっている状態で右に左にと繰り返されるコーナリング。今回も公開練習から、コース図と同じ所を曲がっているはずなのにミスコースしてしまう選手が続出した。第3戦から破竹の3連勝でシリーズリーダーを走る工藤清美。毎戦ブッチ切りのタイムで優勝を飾っているが、今回は勝手が違った。1本目1分37秒233でトップに立った工藤だったが、2位には福山重義がコンマ5秒差につける。2本目に入るとセリカを駆る寺田伸が1分35秒861と工藤のタイムを更新。工藤は1分35秒951と寺田に追いつくことができず2位。これまでAE101に乗っていた寺田だが、クルマが壊れたため急遽セリカを製作して参戦。自らも驚く全日本初優勝を飾った。


全8戦で争われる全日本ダートラも次戦京都のコスモスパークで行われる第7戦で残り2戦。ダンロップ勢で一番乗りを果たした黒木に続くチャンピオンは現れるか?まだ最終戦までもつれそうなクラスも……。秋風の吹く中で行われる京都決戦に注目だ。