第5戦 7月28日(日) サーキットパーク切谷内
ウエットコンディションの東北ラウンド。
N3クラスで早くもチャンピオン確定!
全長1.7kmのコースの中で大勢のギャラリーを集めたコーナーが今回一番ハイスピードの迫力あるコーナー。ここをきっちりと走ったものが勝者に近づく。
第5戦を迎えた全日本ダートラは青森県にあるサーキットパーク切谷内で開催された。全日本開催8回目を数えるため、すっかりなじみのあるコースとなったことだろう。このコースの路面は超硬質路面として名高いが、あいにく開催週に降った雨の影響でコースコンディションはウエットでスタートした。午前中のヒート1こそ雨は降らなかったが、ヒート2から雨が振り出し、さらにウエットな路面へと変化すると思われた。いや、事実していたはずだ。しかし、前半のクラスは雨にも負けずヒート2で勝負が決まる盛り上がった大会となった。彼らはそれぞれヒート1は74R。ヒート2で87Rをチョイスしていた。ヒート1では硬質路面の上のマッディーな土や砂利があり、ヒート2でそれらが飛びタイムがアップしたと考えられる。こういったタイヤチョイスが勝負の明暗を分けた一戦となった。
不調にあえいでいたチャンピオン今村宏臣はやっとセッティングが決まってきたのか今回は2位をゲットした。
昨年のチャンピオンである今村宏臣(スイフト)がなぜか不調のPNクラス。今回もヒート1ではここを得意とする地元佐藤卓也(スイフト)の出したタイムから遅れること約3秒で9番手タイムと振るわない。ヒート2に入り各車自身のタイムは上げるものの佐藤卓也のタイムを上回るものは出なかった。佐藤自身はトラブルからゴール出来ず。次に走った佐藤秀昭(スイフト)がベストタイムを更新するとラストゼッケンとなる今村も必死にアクセルを踏む。その結果佐藤秀昭には及ばなかったものの佐藤卓也のタイムを上回り2位に入賞した。これでようやく新型スイフトに手を焼いていたチャンピオンの復活の兆しが見えてきた一戦となった。
降りしきる雨の中を大胆かつ繊細に攻めた竹本幸広が今季2勝目を挙げてシリーズリーダーに立った。
シリーズリーダーの山本悠太が今回不在のN1クラス。おまけにシリーズ3番手の坂井義浩も仕事の関係で不参加となった。このチャンスをきっちりと活かしたのがシリーズ2番手の竹本幸広(インテグラ)だった。ヒート1では森田英文(インテグラ)にベストタイムを奪われたもののヒート2で竹本が自らのタイムを3秒以上も上げて大逆転の優勝を果たした。竹本はこれでシリーズリーダーに立った。「1本目は74Rで行きましたが、全体に押さえすぎてました。2本目はPNクラスの選手らもタイムアップしているので87Rを信じて走りました。事実下りでトラクションを感じたので攻めた結果です」と嬉しそうだった。逆転された森田は「ちゃんと走りきれたら勝ててたかもです。ギャラリーコーナーでギャップで弾かれてしまいタイムを落としました」と悔しそうだった。3位にはこちらも逆転で内藤修一が入賞。ダンロップ勢が上位を独占した。
北條倫史は冷静な走りの分析からヒート2で完璧な逆転勝利。5戦目にして早くもチャンピオンを決めた。
この大会で唯一チャンピオンが決定する可能性があったのがN3クラスだ。シリーズリーダーの北條倫史(ランサー)が優勝し、佐藤隆行(ランサー)が3位以下なら北條のチャンピオンが決定する。ヒート1ではその佐藤がパイプ抜けからゴールすることが出来ずノータイムに終わってしまった。そんな中、若手売り出し中の黒木陽介(ランサー)が唯一31秒台でベストタイムを出した。ヒート2で91Rをチョイスした黒木は後半区間でハーフスピンを犯しタイムダウン。「曲がらんかなとサイドを引いたらタイミングを間違った。3戦連続1本目ベストで今日こそと思っていたのに」と苦笑い。リーダー北條は87Rをチョイス。「1本目が駄目だったスタート直後のミスを気をつけて走りました。そこがうまく行ったので」と黒木のタイムをコンマ4秒上回り逆転。続く北島広実(ランサー)はグリップに切り替えた走りでタイムアップはするが届かない。ラストゼッケンの佐藤はこの1本に掛けたが北島を1/1000秒かわして3位どまりとなった。この結果冒頭の条件通りとなり、残り2戦を待たずして北條はチャンピオンを確かなものにした。
毎回、ウイナーの替わるSA1クラスでライバルより先に2勝目を挙げたのは昨年のチャンピオン山崎利博だった。
過去4戦毎回ウイナーが替わるめまぐるしい展開をしているのがSA1クラスだ。ヒート1はシリーズリーダーの佐藤孝(シビック)が唯一37秒台を出してトップに立ち、5人目のウイナーを虎視眈々と狙っていた。しかしシード勢の稲葉幸嗣(インテグラ)や昨年のチャンピオン山崎利博(シビック)との差はごく僅かだった。ヒート2に入り佐藤は87Rをチョイスしスタート。「水たまりがライン上にあり、そこを走ってうまく行かなかった」とタイムダウンしてしまう。それでもヒート1のタイムでまだトップだった。残すはラストゼッケンの山崎のみ。山崎も87Rをチョイス。「水たまりが2箇所あり、外から外して入ったのが結果に結びついた」と逆転で今季2勝目をゲット。このクラスの勝敗は水たまりの走りが明暗を分ける結果となった。
田上正彦は逆転で今季最上位となる2位をゲットした。全日本戦での2位は2010年以来2度目となる。次こそ優勝が欲しい。
チャンピオン北村和浩(ランサー)がシリーズリーダーのSA3クラスはライバル荒井信介(ランサー)がヒート1でトップタイムをマークし北村は2番手に甘んじていた。雨が激しく降りしきる中、各車果敢にアタックし全体に僅かながら自身のタイムを上げてきていた。中でも大きく上げたのが田上正彦(ランサー)だ。北村のタイムを上回り2番手タイムをたたき出した。続く荒井はタイムダウン。最終ゼッケンである北村の走りにギャラリーの目は集中したが、大きくスピンし万事休す。ヒート1のタイムで3位に終わった。次はホームの今庄ラウンド。きっちりと優勝でリベンジしてくれるはずだ。
今季4勝目を挙げた工藤清美は次の今庄ラウンドでチャンピオンを決めてくれるはずだ。
SC1クラスで目下2連勝中で今季3勝を挙げているシリーズリーダーの工藤清美(シビック)
はこのコースがホームコース。ヒート1ではシリーズ2番手の児島泰に約3秒の大差を付けるベストタイムを出していた。ヒート2ではさらにタイムアップを目指して果敢にアタック。中間ではヒート1のタイムを上回る勢いで工藤は走るが勢い余って曲がり切れないコーナーがありタイムダウン。それでもヒート1のタイムで優勝しチャンピオンに王手をかけた。「91Rも考えたけれど練習を含め87Rの方が良いと思いチョイスしました。自分なりのラインでうまく走れたと思います。次の今庄でも勝ってチャンピオンを決めたいです」と笑顔で語ってくれた。次戦の今庄ラウンドでぜひとも公約通りのチャンピオンを期待したい。