DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第5戦 7月22日(日) 2012年 東北ダートトライアル IN KIRIYANAI
地元勢の活躍が目立った第5戦
7クラスでダンロップユーザーが優勝!


その締まった路面から2本目勝負が予想された今回のイベント。超硬質路面での走り方がポイントとなるサーキットパーク切谷内。

第5戦を迎える全日本ダートラは、戦いの場を青森県三戸郡にあるサーキットパーク切谷内に移して開催された。35℃を超える真夏日が続いたかと思えば翌日から晩秋かと思うほど気温が下がる。激変する気候に左右されたわけでは無いだろうが……、各クラスで戦前の予想を覆すリザルトが。切谷内といえば超硬質路面用タイヤの使い方がポイントになる。土曜日の公開練習では気温が低かったものの、日曜日の予報は晴れ。しっかりと固められた路面に2本目勝負を予測する選手が多かった。砂ぼこりを防止するためにスタート前に行われる散水。幅広い路面をカバーする87Rを中心に、出走順なども合わせどのタイミングで超硬質路面用の91Rを投入するか?2本目のタイムアップを見越して1本目から91Rの感覚を身体になじませておくか?選手それぞれの思惑が絡みつつ究極のタイムを競う。全日本ダートラの面白さがギュッと凝縮された1戦となった。

地元切谷内での3連覇がかかっていた佐藤卓也。プレッシャーとともに、自信が2本目に現れ逆転での優勝。シリーズポイントでもランキング3位に踊り出てチャンピオンを狙う。

年間7戦で争われる2012年の全日本ダートラも今回で5戦目を迎え、各クラスシリーズチャンピオン争いも熾烈を極めてきた。ここまで2勝を挙げシリーズポイントトップに立つのがスイフトを駆る今村宏臣。2位には優勝こそないものの、25ポイント差で今シーズンからPNクラスにエントリーするデミオの佐藤秀昭がつける。12台のエントリーを集めた今回、1本目1分44秒359を叩き出してトップに立ったのは徳田宏海。しかし気温の上がった2本目、浮き砂利のはけた路面に各選手がタイムアップを図る。ここでチャンピオン争いに新たな選手が名乗りを挙げた。もうひとりの佐藤、シードゼッケンで地元の佐藤卓也だ。前戦の門前で今シーズン初優勝を飾った佐藤卓は好調さを維持。佐藤秀が更新した1分38秒888のトップタイムを1.2秒も更新する1分37秒670。見事な逆転劇で門前に続く連勝。「今回勝つと地元3連覇ということもありプレッシャーがかかってました。2本目も前半セクションは良くなかったんですが、(高速の)後半区間で追い込みました。次戦の今庄は得意のコースなので行きますよ」と佐藤卓。シリーズポイントも56に伸ばしランキング3位に踊り出た。今村は4位で10ポイントを加え77としシリーズポイントトップ。今回2位に入った佐藤秀は67ポイントで2位、3位に2勝と今村に優勝数で並んだ佐藤卓がつける。残り2戦チャンピオン争いから目が離せなくなってきた。

「突っ込みすぎでも目一杯アクセルを踏み込む!」という全日本選手のプライドをかけた走りで今シーズン3勝目を挙げた内藤聡。シリーズでも2ポイント差までトップに肉薄する。

こちらも2本目勝負となったN1クラス。シリーズ2位の内藤聡が叩き出した1分40秒585をターゲットに勝負が始まる。一気に跳ね上がったトップタイム。1分35秒台に叩き込んだのが地元の今隆志。「散水が多くて暑くなりきらなかったので、全日本というよりも地区戦の路面に近い感じでした。2本目も87Rで走りましたが、とにかく攻めました」と路面の印象を語る。今が叩き出した1分35秒527のタイムは、なかなか破られずクラス後半のシードゼッケンに入り1本目トップの内藤がスタート。キッチリとクリップに付いた立ち上がり重視のラインで、ぐんぐんとクルマを前に進めゴールするとタイムは1分35秒122。続くシリーズランキングトップの児島泰が1分35秒552を叩き出すが届かない。そのまま内藤のタイムを更新する選手は現れず、逆転で今シーズン3勝目が決まった。「昨日の公開練習から突っ込み過ぎでクルマを前に出す走りができていませんでした。振り返るとクルマを大きく動かし過ぎていたので、日曜日は小さく動かすことを心がけました。でも目一杯(アクセルを)踏むという今シーズンのテーマで走りきれたので勝てたんだと思います。タイヤは正直1本目74Rでもいいのかな?と思う状況でしたが2本目は慣熟歩行している時に91Rでイケると思いました」と、今回の優勝で75にポイントを伸ばした内藤。ランキングトップの児島は3位で77ポイントとなり、戦前の10ポイント差を一気に2まで縮めた。次戦今庄での戦いが楽しみだ。

今シーズン3回目のN2クラス参戦となる宮木健郎がN2クラスで初優勝!「2本目で逆転されると思ってましたが、こんな事ってあるんですね」と喜びのコメント。

全7戦で争われる2012年の全日本ダートラ。シリーズポイントは全戦の合計ではなく成立したイベントの70%、つまりベスト5戦の合計で争われる。つまりシリーズ参戦し毎戦ポイントを獲得している選手は、単純にポイントを合計できるのは第5戦の今回まで。次戦以降最低順位以上にならなければポイントは加算されないことになる。そんな状況もあり、周りのライバルたちの動きも気になり始める。第2戦での優勝と安定した成績、N2クラスランキングトップで切谷内に乗り込んできた伊藤益弘。ポイント以上に気にしていたのが自分本来のドライビング。「ここ最近、ずっと守りの走りになってしまっていた。今日くらいは攻めていこうと思ってたんやけど」と伊藤。だが気合が空回りしてしまったか?2本目勝負となった今回は3位に終わってしまった。一方、今週末を良い展開で過ごしたのがN2クラスに今シーズン3回目のエントリーをしてきた宮木健郎。第2戦には、SC2クラスで全日本初優勝を飾るなど復活の勢いがあったか?2本目に1分35秒154を叩きだすとそのまま逃げ切っての優勝。「1本目3位だったんですけど、さほど気にしてなくて『どうせ2本目にやられちゃうんだろうな』と思ってました。こんな事もあるんですね。2本目どうやって走ったか思い出せません。そうそうたるメンバーの中で勝ててうれしい!」と宮木。長年戦い続けてきたライバルの中での優勝に笑顔がこぼれた。

門前での転倒から蘇ってきた佐藤隆行。ドライバー自身の恐怖心を取り除きながらの優勝。その陰に『守りに入ったらダメだぞ!』との北村和浩からのアドバイスがあった。

前戦の門前で転倒してしまったシリーズリーダーの佐藤隆行。だが、インターバル期間中に何とかクルマを直して切谷内に駆けつけた。「ドライバーが恐怖心を取り除いている最中で、自分で気持ちにロックをかけてる状態です。他人のタイムがどうか?とか勝負がどうこういうより、前のように乗れるか?そればかり気にしてました」と語る佐藤。その言葉とは裏腹に1分33秒739と北条倫史に次ぐ2位につける。だが……、「2本目に入る前に北村(和浩)さんから『守りに入ったらダメだぞ!ダートラとして攻めろ』っていわれたんです。それが心に残っていて……」1分29秒台にまで入っていたトップタイム争いのなか、攻めの走りをタイムは1分29秒104。それまでのトップタイムをコンマ1秒更新する。その後、佐藤のタイムを更新する選手は現れず結果的に今シーズン3勝目を挙げた。これでシリーズランキングは佐藤が72ポイントでトップ。イベント前、2ポイント差に迫っていた北島広実との差を13ポイントまで広げて残り2戦に挑むこととなった。

混戦が続くSA1クラスで2勝目一番乗りを果たした稲葉幸嗣。準地元でもある切谷内で地元勢との競り合いに勝ち、シリーズランキングでも3位にジャンプアップした。

シーズン2勝を挙げる選手がいないなど完全に『星が割れている』SA1クラス。さらに地元切谷内マイスターたちのエントリーもあり、全く先が読めない展開。ここまで優勝こそ無いものの2位2回、3位2回と表彰台を外さない安定した成績。54ポイントを獲得してシリーズランキングトップに立つ山崎利博。次いで46ポイントを獲得、スナガワで優勝した佐藤孝がつける。こちらも2本目勝負となったSA1クラスの展開。関澤直人が1分35秒600でトップに立ち、伏見利昭も1分35秒729で2位に続き地元の工藤ホンダ勢が活躍を見せる。続いて走行したのが開幕戦丸和で全日本初優勝を果たした稲葉幸嗣。最近では見かけることの少なくなってしまったミラージュを駆る稲葉が叩き出したタイムは1分35秒338。後続のシード勢は不調で佐藤が1分36秒071で4位、山崎は全くいいところなく8位。稲葉が今シーズン2勝目に一番乗りした。「攻めすぎないで走りました。ギリギリでも関澤選手に勝ててうれしい!」と喜びの表情の稲葉。転勤で栃木に来る前に走っていたのはここ切谷内。「2本目きっちり走れたのに負けた。くやしい!」と関澤が語れば、「自信がなくて、抑え過ぎてしまった」と伏見もコメント。準地元も含めて地元勢の活躍が目立ったイベントとなった。稲葉は今回の2勝目で、シリーズランキングも3位にジャンプアップ。山崎は57ポイント、2位佐藤を1ポイント差でしのいでなんとかシリーズランキングトップを守った。

地元勢の活躍が目立った今回のイベント。全日本で無敵の工藤清美に「喝を入れに来た」という小笠原善雄がその言葉どおり優勝。シリーズトップの工藤も思わず「精進します」。

コチラも地元勢が速さを見せたSC1クラス。「工藤店長に喝を入れてやろうと出てきたよ。今までは地区戦と年1回の全日本だったけど、ことしは全日本だけにした」という小笠原善雄はEG6のシビックでエントリー。その言葉どおり2本目に1分34秒087を叩き出しトップに立つ。受けて立つシリーズリーダーの工藤清美。同ポイントながら優勝回数の差で2位につける磯貝雄一との差を広げておきたいところだったが……、「2本目スタートした時に、足まわりがおかしかったのが分かったよ」とトラブルを抱えての走行。その不調が響いたかタイムは1分34秒479と小笠原に追いつかず2位に終わる。「ダートラ30年やってるんだから!これで、工藤店長も少しは成長しただろう(笑)」と小笠原。2010年以来2年ぶりの全日本2勝目を挙げたこともそっちのけのコメントが返ってくると、工藤は「精進します(笑)。出る予定なかったけどタカタにも出ようかな」と笑わせた。ポイントを70に伸ばしたものの、シリーズの行方を考えると最終戦への出場も考えることになったか?喝を入れられた形になった工藤、小笠原ともに地元での全日本ダートラ開催を目一杯楽しんだようだ。

仕様変更以来、悩まされていた不調の中で優勝を飾り、昨年のN3クラスに続き2年連続チャンピオンを確定した吉村修。「オレってめっちゃラッキー」と笑顔。

第3~第4戦での連勝でシリーズリーダーの座を固めた吉村修。チャンピオン獲得がかかった今回のイベントだったが、仕様変更以来クルマの調子がイマイチ。そんななか1本目トップに立ったのは平塚忠博。1分31秒446のタイムが完全に超硬質路面となった2本目のターゲットタイムとなる。トップタイムが更新されるなか、吉村が1分28秒578を叩き出しトップに立つ。平塚も1分29秒273まで詰めてきたが追いつかず吉村の3連勝が決まった。「クルマの調子も良くなってきたんだけどね。2本目はギャラリーコーナーで真横向いちゃって、カッコ良かったんだけどタイム考えたら失敗だね(笑)」と平塚。「信じられない。オレってめっちゃラッキー。今回はクルマの調子が悪くて、1本目は普通に走ってダメ。2本目はデータロガーを見てみなきゃ何してたか分かんないよ」とは吉村のコメント。昨年のN3クラスに続くチャンピオンが確定した(※正式なチャンピオン確定情報はJAFの発表をお待ちください)各クラスでポイント争いが激しくなるなか、Dクラスでも2位に入った炭山義昭がチャンピオンを確定。「なんかイヤだね、2位でチャンピオンは(笑)」と語る炭山。コースを攻めきれずライバルに先行を許したことが悔しかったようだ。9月1~2日に行われる次戦の今庄では勝ってチャンピオン報告をしてくれることだろう。